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感想・意見 etc

   核のゴミ負担への一考察---大久保 徹夫さん

 東京新聞に、原発で発電された電力をその消費地ごとに仕分けし、それに従って核のゴミ(使用済み核燃料)を分担したらどうなるかを試算した記事が載った。
 日本の原発で2007年〜2011年の5年間に燃やされたウラン燃料は3,629トン。東京向けに消費されたウランは359.1トン、最も少ない鳥取は6.5トン。消費地負担原則を適用すれば、東京は鳥取の55倍の核のゴミを負担すべきと。

【感想・意見】
やっと、本質的な議論のベースになるデータが出てきた。今まで私たちは原発の問題を声高にアピールしてきたが、どこか、第三者的な視点で物を言ってきた気がする。
しかし、この記事で突きつけられたデータは、グイグイと迫ってくる。
昔、東京都で「杉並ゴミ戦争」という事件があった。杉並区にはゴミ処分場がなく、他の区のゴミ処理施設にお願いしていた。しかし、自区で出したゴミは自区で処分するのが当たり前との原則で、区内にゴミ処分場を建設しようとした。
しかし、立地候補地が上がると付近住民は大反対運動を起こして建設は進まない。
「処分場を作るのはいいが、うちの近くはイヤだ」の典型。その間、杉並のゴミは江東区のゴミ処分場に持ち込まれた。
業を煮やしたのは江東区住民。実力で杉並のゴミ収集車を追い返した。杉並区はゴミで溢れた。仕方なく、杉並区住人はゴミ処分場を受け入れた。
核のゴミ(使用済み核燃料)は各原発の「使用済み核燃料プール」の中に納められている。全体の平均で言うと、そのプールは既に7割以上使用済み核燃料で満たされており、そこで数年冷やされた後、青森県六ヶ所村の「中間貯蔵施設」に移設される
が、既にそこは満杯状態。正に「糞詰まり」の状態だ。

「核のゴミ」は電力の消費地ではなく、原発のある過疎地域に置かれている。私たち大都市住民はそんなことはお構いなしに安穏と電気の恩恵を受けている。
核のゴミ問題は「杉並ゴミ戦争の全国版」だ。

昨年12月2日に日本学術会議主催の学術フォーラム、「高レベル放射性廃棄物を巡って」があった。その場でも、ある発言者から「核のゴミは電力の受益地域で応分に負担するのが原則であろう」という報告がされた。
まったく、同感である。 「受益者負担」というのが人間の生きる倫理的基本姿勢だ。NIMBY(Not In My BackYard)は許されない。

このゴミの処分、「自分が得た便益相当分は自分で処理する責任がある」ことを基礎にすれば、国民的議論(私はこの「国民」という言葉が好きではない、本来「日本に住んでいる人」とすべき。私が「国民」という場合はその意味で使う)に展開できると思う。
(蛇足だが、この議論を進めて行けば、発送電分離、消費者が電力を選ぶ自由、そして更には廃棄物処理コストがいくらか解らない原発の電気を避けるようになり、自然に原発ゼロになると思う)

安倍政権になって、推進派が息を吹き返しつつある中、BSジャパンの「賢者の提言」という番組(日経新聞提供)で経団連の環境問題担当コマツ会長の坂根正弘氏が語っていたのは「原発がないとエネルギーコストがあがり、国内産業が崩壊する」の一点張りで、ゴミの問題には全く触れず。「賢者」が呆れる。

もう既に、国内に1万数千トンの「使用済み核燃料」が溢れている。これはその近辺に数十秒いただけで、確実に死に至るほどの放射線を出す。この処理をどうするか、1度立ち止まって(原発をすべて停止し続けて)国民的議論をすべき時だと思う。