s-10) (SMR) もっとproliferation risks (s-3) への続き)

s-10) (SMR) もっとproliferation risks
(s-3) への続き)

2025年10月

上の肥大化した黒いメニューにあるページ s-3) ですでに、
SMRのproliferation risksについては述べております。
しかし。
従来の原子炉と違い、SMRはまだ実際には実用化されておりません
ので(2025年10月5日現在)、現実にSMRがproliferationに
繋がった実例は存在しておりません。
すると、s-3) で私が記しいていることも、単なる「イマジネーション」で片付けられてしまう可能性もありますよね。
だから、
特にSMRのproliferation risksに注目した専門家たちによる研究
成果も紹介しませんと。

そんな研究を見つけたので、以下で一部だけ抜粋し、私の
日本語化で紹介しますね。

(単なるジョークだよ)
小さくて持ち運べるものは、見つけにくい ・・・

https://resources.inmm.org/sites/default/files/2023-07/finalpaper_278_0513034611.pdf

”Small Modular Reactors and Nuclear Proliferation: to What Extent
will the Global Spread of SMRs Impact Nuclear Proliferation?”
(SMRと核兵器拡散: SMRの世界的普及が核兵器拡散に及ぼす
影響の程度)
Joel Christoph, Omar Sayeed Saimum, Adjoa Amponfi

* 発表年月日が明記されていないのですが、REFERENCESの
記載を見る限り、どんなに古くても2023年5月以降のものです。

どうも、現時点では
SMR ⇒ データ センターの電源に最適 ⇒ 今後、需要が世界的に
拡大するハズ ⇒ SMR開発企業の株価が上昇続き
といった反応ばかりが社会では目立っていて、SMRにありがちな
proliferation risksについては、あまり論じられておりません。
核兵器のない世界を目指すのであれば、本来「核兵器製造技術」
なのに「平和利用」とされてしまっている核発電の”各種技術”に
ついても、そのproliferation risksを洗い出して社会的問題にする
ことは、必須ですよね。

ではまず、””Small Modular Reactors and Nuclear Proliferation: —-”
のごく一部を抜粋・日本語化で紹介しますね。
いつもどおり、<  > 内は私からの補足説明です。

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4 SMRに伴うproliferation risks

小型モジュール式原子炉(SMR)が世界に普及するなら、
核のproliferation(拡散)という面でリスクや課題が発生する
恐れがある。特に大きな懸念事項の1つとして、SMR技術は
二重用途(dual-use)である。平和目的にも、核兵器開発にも
利用できるのだ。<← SMR以外の核発電技術も、同様ですが>
大型の原子炉と比べSMRは小型であり、proliferationの防止が
しにくい。
そのため、間違った利用や転用を招きやすい。SMRが「拡散」
するなら、核兵器の「拡散」の懸念も深まる。核兵器を製造
する潜在能力を有している国家の場合、特にそうだ。核兵器を
拡散させようとしている者たちにとって、SMRは大型原子炉と
比べ <建設・設置などの> コストが小さくて済むのだが、
<大きかろうが小さかろうが> 発電原子炉は兵器グレードの
プルトニウムを短期サイクルでかなりの量、製造できる。
・・・・

「元々軍事用技術だった」というなら、そもそもインターネットもそうですし ~~
元が軍事技術だったから、いつまでも邪悪ってわけじゃありません。
でも、原子炉とU濃縮は、「平和化」できない ・・・

SMRの歴史上の起源は軍事用途にあり、特に海軍用船舶や
潜水艦の原子炉の開発に遡る。そうした軍事プログラムで
得られた経験が、民生用SMRの発達の基盤となっている。
現在でも、SMRの設計の多くは軍事用原子炉プログラムの
実績や知識を利用しており、小型の炉心やパッシヴ
セイフティーシステム、モジュール式設計などの
特徴を取り入れている。・・・ このように軍部では小型で
運搬可能、信頼性の高い核発電システムを求め、それが
SMRというコンセプトに影響したのではあるが、その
フォーカスは民生用のエネルギーのニーズに対応し、
持続できるエネルギー源の推進ということへと移行して
いる。SMRは元々の軍事的枠組みを超え、今や民間の
エネルギー需要への対応や温室効果ガスの削減、確実で
持続可能な発電を第一の用途としているのだ。そうでは
あっても、軍事目的でSMRを建設したり、転用してしまう
可能性については、懸念が消えていない。
SMRは小型であり輸送も可能であるため、大型原子炉と
比べて検知しにくく監視が難しい。そのため、民生用SMR
プログラムという隠れ蓑の下で秘かに核兵器を製造する
というリスクが生じる。・・・ <ついでながら、私がページ s-3)
で述べたproliferation riskの例も、決してバカげた空想では
ないことが、これでお分かりになったと思います>
SMRが軍事転用されてしまう危険性のため、核不拡散の努力や
国際的な安全保障が脅かされる恐れがある。さらに、SMRが
普及することで平和利用を確保し確認する上でも課題が生じえる。
世界の諸国で多数のSMRが配備されるようになると、核規制の
国家機関や国際機関が核不拡散の取り組みの規定に合致して
いるかを監視・検証するためのキャパシティーも厳しくなる。
そうした課題に対応しSMRの世界的普及に伴うリスクを軽減
するためには、セイフガードや透明性、国際協力の確保が
欠かせない。・・・・・

SMRに伴う核兵器拡散リスクが懸念されるのには、いくつか
の要因がある。まず、転用だ。SMRのなかには増殖炉も
あるのだが、これはU-238 をPu-239に核種変換できる。
このPuは、核兵器グレードにまで濃縮が可能なのだ。
さらにSMRでは核燃料サイクル最寄り発達したものとなり、
核燃料のサイズも小型になるため、セイフガードのための
検査にとっては問題となる。さらに冷却材が不透明で、
核燃料も鉛直方向に保管するため、検査はさらに複雑な
作業になる。こうした要因から、セイフガードの専門家
たちが設計チームと協力し、SMR固有の監視手法を開発する
必要がある。 ・・・・
***********************************


なんか、やばそう~~
私の20分クロッキー

小さいことは、必ずしも良いことでは ~~
小さいことは怖いこと、になっちゃう場合もあるのですね。
小さいがゆえに、見つけにくい・観察しにくい。
おまけに、搬送できてしまう ⇒ いつのまにか、地下の
秘密基地などに運び込まれたら ・・・
といったSMR固有のproliferation問題があって、
上記の通り専門家たちもそれを指摘している
ということが、お分かりいただけましたよね?

この核兵器拡散という深刻な危険性を検討することなしに、
ただ「データ センターにはSMRが最適だ」と
先走ってしまうのは、あまりにも危険すぎます。

「やかんをのせたら~~」ではSMRを取り上げる際、その
proliferation risksにかなりこだわって論じてきておりますが、
ご納得いただけたのでは?

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