ベトナム(Vietnam)
【ベトナムの原子力発電所建設計画】
2030年までに原発14基の建設を計画している。
第1サイト(1-4号機) 1,2号機(ロシア)運転開始20年、21年
第2サイト(1-4号機) 1,2号機を日本が建設。運転開始21年、22年
中部地域 (1-6号機) 1,2号機建設の優先交渉権を韓国が獲得(12.3月)韓国標準型原子炉APR1400(加圧水型軽水炉、出力140万kW)完工後の運営支援や燃料供給も含めた一括契約を目指す。
●残る8基を、2015年までに発注の予定 韓国と日本等が積極的に受注競争。
【日本政府の対応】
☆11.10月ベトナムの原子力発電所建設に係る協力に関する日越政府間の文書(概要)
外務省・経済産業省
☆12.8月枝野経済産業相がハノイでグエン・クアン科学技術相と会談し、万一事故が起きた場合の
賠償制度の整備にも日本が協力することで合意。
【ベトナム原発に関する各種情報】
★ベトナムへの原発輸出へのこれだけの疑問−現地調査を踏まえて−(パワーポイント)
横浜会議資料・国際環境NGO FoE Japan メコン・ウォッチ満田夏花氏
★ベトナムへの原発輸出に対するこれだけの疑問〜現地から見えてきたこと〜
国際環境NGO FoE Japan 満田夏花氏
★ここが原発の輸出先だ(ベトナムの建設予定地は豊かなビーチ)
京都大学教員 伊藤正子氏 AERA 12.06.04
★ベトナムへの原発輸出を巡る周辺国の状況ー住民生活から見た問題点(パワーポイント)
11.11月 木口由香氏 緊急院内セミナー
★ベトナム原発輸出への抗議〜いやがらせと弾圧 満田夏花氏
【インドの原子力発電】
インドは、アジアで最も早く原子力研究開発に着手した国であり、45年には、タタ基礎研究所が設置されました。69年に初めての原発としてタラプール1・2号機(各16万kW、米国GE社製BWR)が運転を開始しました。
インドの原子力開発計画は、インド国内にウラン資源が乏しく、品位も悪いことから、豊富なトリウム資源を有効に使う「トリウム・サイクル」路線を、40年以上にわたり、一貫して遵守しています。インドでは現在、各地で地域住民による反対運動が激しく展開されています。
インドの経済規模は、現在アジアでは、日本、中国に次いで第3位ですが、25年後にはGDPで日本を追い抜き、世界第3位の経済大国になると予想されています。また、人口は、中国に次いで第2位ながら、これも50年には15億人となり世界第1位になると言われています。
08年、インドとアメリカは民生用原子力協定に調印し、世界に論議を巻き起こしました。当時アメリカ側が最も懸念していたのは、インドが核拡散防止条約(NPT)の批准を拒否しているにもかかわらず協定を結んだことで、ほかの国も核兵器開発に意欲を燃やすのではないかということでした。
【インドの原子力発電所】
20基 運転中
【インドの原子力発電所地図】
【加圧水型重水炉(PHWR:pressurized heavy-water reactor)について】
インドに現存する発電プラントの大半は、カナダAECLとインドのNPCIL(Nuclear Power Corporation of India
Ltd)が共同開発した加圧水型重水炉(PHWR)であり、濃縮ウランを必要としない。NPT非締約のインドは、可能な限り自国の技術と資源で自立が可能なように、原発と核燃料サイクル技術の開発を進め、共同開発したラジャスタン1号機以外はすべてNPCILの国産技術である。発電炉ではトン単位で使用しなければならない重水は、天然水中に微量(0.015574%)しか存在せず、高価である。重水炉は軽水炉よりプルトニウム、トリウムの生産効率が高く、濃縮工場無しで兵器転用が可能で、核拡散リスクが高い。実際、インドはCANDU炉で生成したプルトニウムから原子爆弾を製造している。
トリウム燃料サイクルとは??
【インドの原発反対運動】
☆クダンクラム原発
クダンクラム原発は、88年、当時のゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が建設協力に合意したが、ソ連の崩壊で一時は消えかけた「冷戦の亡霊」のような原発である。04年末のインド洋津波で被災したインド最南端の沿岸部に建設がほぼ終了。第1期の2基の稼働が間近とされ、稼働のために必要となる燃料を運び込む作業が始まった。原発の運転開始に反対する住民らの激しい反対運動が展開され、11年に予定されていた稼働開始がずれ込んでいる。稼働直前になっても環境影響調査や安全性評価の報告書などが公開されず、公聴会もろくに開かれない。住民らでつくる「反原子力国民運動(PMANE)」によると、ここで使われるロシア製原子炉は圧力容器の中央に大きな溶接部があると分かり、更に不安が広がっている。12年9月にも大きなでもが行われた。(ビデオ参照)
クダンクラム原発を10日前後でフル稼働させるという情報もあり、地元の人々は全国規模での反対運動を呼び掛けています。クダンクラム民衆への弾圧への抗議アクションは、ドイツ、オーストラリア、イギリスなど各国に広がっています。インドのウェブサイトDirNukeをご覧ください。
)がありました。
まお、インドは原発建設に当たるロシアに、原発事故があった場合、ロシアに賠償を求めるとした。ロシアは反発している。(毎日新聞記事12/11/14)
☆ジャイタプール原発
ジャイタプールは、経済的な中心都市ムンバイの南400キロほどに位置する。計画されている93億ドル(約7300億円)規模の原子力プロジェクトは、インドに限らず世界中から注目を集めている。欧州加圧水型炉(EPR)6基のうち最初の2基の建設契約を、フランスの原子力大手アレバと結んだ。発電能力1650メガワットの原子炉6基を設置し、総発電量は世界最大の柏崎刈羽原発を25%上回る。電力は近隣の農村だけでなく、インドで最も経済発展が進んだマハーラーシュトラ州全域に供給される。
福島事故後は、インド全土の環境保護活動家が立ち上がり、反対運動が大きな広がりを見せた。建設予定の沿岸地域は5段階の地震危険度で第3のランクとの指摘もある。12年4月にはデモ隊と警察が衝突し、漁師1人が死亡、負傷者も複数出た。
<最新情報>12.10.25
クダンクラム原発を10日前後でフル稼働させるという情報もあり、地元の人々は全国規模での反対運動を呼び掛けています。クダンクラム民衆への弾圧への抗議アクションは、ドイツ、オーストラリア、イギリスなど各国に広がっています。インドのウェブサイトDirNukeをご覧ください。
【インド原発の事故例】
☆2004年マドラス原発
04年のスマトラ沖地震でインド南部にあるマドラス原発では、津波でポンプ室が浸水するトラブルが起きていた。津波に襲われたマドラス原発は22万キロワットの原発2基のうち1基が稼働中だった。警報で海面の異常に気付いた担当者が手動で原子炉を緊急停止し
た。冷却水用の取水トンネルから海水が押し寄せ、ポンプ室が冠水。敷地は海面から約6メートルの高さ、主要施設はさらに20メートル以上高い位置にあった
。
☆93年3月ナローラ原発
北部のガンジス川のほとりに建つナローラ原発で起きた重大事故を引き合いに、原子力の危険性を訴える。この事故では高速蒸気タービンの翼が折れ、火災が発生。福島と同様に停電が起こり、炉心の過熱が進んでメルトダウン寸前まで達したという。
☆12年6月・7月ラジャスタン原発
定期点検中に、5号機で作業員38人が放射性物質トリチウムを大量に吸い被ばく事故が起きた。
また7月中旬にも点検作業中に更に、放射性物質がポンプから漏れ出し、作業員4人が被ばくした。
【インド原発に関する各種情報】
★12年9月25日にインドで入国拒否され強制送還(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン事務局のメンバー)
【インド原子力発電公社(NPCIL)】
インドでは原子力省(DAE)が直接、原子力発電プロジェクトを立案・運営していたが、87年9月にNPCILが設立された。インド政府から予算支援は受けていない。
NPCILでは、熱中性子炉による原子力発電所のサイト選定、設計、建設、試運転、運転、保守、改造、寿命延長、廃止措置を担当している。原発の建設に当たっては、NPCILの基本設計を基に、総合重電機器メーカーが詳細設計、製造、据付を行い、建設工事に関しては、建設会社に発注している。
ラジャスタン1号機、高速増殖実験炉(FBTR)、ならびに高速増殖原型炉(PFBR) を除くインド国内のすべての原子力発電所を所有している。
注)ラジャスタン1号機はDAEが所有し、運転はNPCILが行っている。FBTRは所有者・運転者ともDAEである。PFBRは、バラティヤ・ナビキヤ・ビジュット・ニガム公社(BHAVINI)が建設・運転・保守を行う。
【ヨルダンの原子力発電所建設計画】
ヨルダンは2019年までに初の原発の稼働を開始することを目指し、30年末までにエネルギーの30%を原子力でまかなう方針だったが、現在は経済性と安全性への懸念からヨルダンの議会は原発プロジェクトの推進を一時停止する議案を可決し、中断の状況である。原子力委員会は12.4月末、アトメア社とロシア企業に優先交渉権を与えると発表したばかり。来年初めまでに1社に絞り、14年初めに契約する予定だが、発注には議会の承認が必要となる。
【日本企業の対応】
三菱重工業と仏アレバの合弁会社「アトメア(AREVA)」が優先交渉権を得て受注を目指し、ロシアのアトムストロイエクスポルト社と競合している。
【ヨルダン原発に関する各種情報】
★ヨルダン原発が特に危険な理由
ヨルダン輸出の問題点「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
@冷却水の確保困難A地震リスクB大都市が近いCテロの危険性D経済の脆弱性Eその他
★日本の原発輸出政策とヨルダンの事例(パワーポイント)
横浜会議資料・「環境・持続社会」研究センター(JACSES)田辺有輝氏
【リトアニアの原子力発電所建設計画】
リトアニア 人口330万人。ロシア系は5%でバルト三国の中で最もロシア系が少ない。面積は東北地方と同規模の約6万5千平方キロ。1990年にソ連からの独立を宣言。2004年に北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟。
リトアニアは、86年に大事故を起こした旧ソ連チェルノブイリ原発と同型だったイグナリナ原発(2基)を09年末に閉鎖しておりましたが、それ以降、ロシアからの天然ガス輸入に依存し電力料金が値上がりしました。政府は現代の標準レベル以上の福島第一原発の旧式なモデルよりもっとパワフルな1300メガワットの原子炉を求めて、12年3月、日立製作所と、リトアニア北東部で計画されているビサギナス原発1基の建設について、仮契約を結び、暫定合意しました。2020年の運転開始を目指しています。
【ビサギナス原発】
首都ビリニュスの北東約150キロ、ベラルーシとラトビアの国境沿いに位置するビサギナスは75年に造られた人工都市です。 20年の運転開始をめざす。改良型の沸騰水型炉(ABWTR)で、出力は130万キロワット級の予定。閉鎖されたイグナリナ原発の隣接地に建設し、費用は68億ユーロ(約6800億円)とされます。日立製作所は12年3月に事業権付与契約に署名、6月にリトアニア国会が賛成多数で承認した。エストニアやラトビア、米企業のゼネラル・エレクトリック(GE)とも連携して建設を進めます。 リトアニア(38%)、日立(20%)、ラトビア(20%)、エストニア(22%)の出資で計画されており、投資に関する最終的な決定は2015年になる見込み。
【閉鎖されたイグナリナ原発の歴史】
83年に1号機が稼働。電力はソ連式の送電網で供給され、2号機、3号機の工事が進んだ。ところが、86年にチェルノブイリで原発事故が起こる。イグナリナ原発はチェルノブイリと同型の原子炉を有していた。2号機はそのまま建設が続行され、87年に完成。イグナリナ原発は2つのチェルノブイリ型原子炉が稼働したまま、91年のソ連崩壊を迎えた。リトアニアは独立後もソ連からこの原発を受け継ぎ、ビサギナスにはソ連出身の専門家が残った。同原発は国の電力供給の7割超をまかない、近隣諸国に余剰電力を輸出さえしていた。ソ連に占領された屈辱の歴史を繰り返さないためにも、リトアニアはEUに接近。03年の国民投票で、91%の圧倒的多数の賛成により加盟を選んだものの、EUはチェルノブイリ型原発を保有しないことを加盟の条件にしていた。結局、リトアニアは加盟と引き換えに、イグナリナ原発の閉鎖を受け入れた。多数の国民がEU加盟を喜んだが、ビサギナスだけは別だった。04年に1号機、09年に2号機が稼働を停止すると、大半の作業員が失業者となった。「最後の夜、住民は涙を流し嘆き悲しんだ」(市長)という。
【原発建設に関する国民投票】
国民の多くが原発建設の費用対効果への疑問や原発事故への不安から、原発反対に傾いていることが世論調査で判明。10月14日、国会議員選挙とともに国民投票を行い、原発新設の是非が問われることになりました。賛否は相半ばしているとみられる。 クビリウス首相は「国民投票に拘束力はなく、すべての決定は政府や国会が行う」とするが、もし大多数が反対という結果に終われば、原発推進の動きは停滞すると見込まれている。投票結果は6割以上が反対。(12.10.16朝日新聞、同日毎日新聞、 12.10.17東京新聞 崔 勝久さんのブログ)
☆国民投票の結果をめぐって原発推進派の大統領と、新しく首相になった原発反対派の間で対立がある。(産経新聞 2013.1.9)
【リトアニア発に関する各種情報】
☆欧米・アジアの環境活動家ら 「日立の原発輸出にノー」 BLOGOSにリンク
☆日立製作所のリトアニアへの原発輸出は絶対阻止---朴鐘碩さん
【トルコの原子力発電所建設計画】
人口3,275万人。北大西洋条約機構(NATO)に加盟、欧州連合(EU)に加盟申請中。 トルコの原子力発電所開発計画は1968年から開始され、23年までに原発を3カ所で建設し、国営電力のトル コ発送電公社(TEAS)は、地中海沿岸のアックユAkkuyuと、黒海沿岸のシノップSinopに発電所を建設する ことを計画したが、立地サイトや財政上の問題で計画を凍結されていました。経済成長を背景に電力需要が急拡大しており、20年までの電力需要の伸びを年率最大7・5%と予想、供給力拡大が必要と判断し、原発建設計画を再開しました。
【シノップ(Sinop)原発】
シノップは欧州とアジアをつなぐ玄関口として知られるクアランプールの西約500キロ、同国最北端に位置する黒海沿岸の都市です。 19年の運転開始をめざす。シノップの原発計画をめぐっては、10年末に日本が優先交渉権を獲得し、東京電力と東芝が受注する可能性が高まっていましたが、3・11以降、東電が撤退し、交渉が停滞した事実上ストップしました。さらに菅首相の「脱原発」発言で政府レベルの支援を日本が実行できるかどうか不透明になったため、優先交渉権は白紙に戻っている状況。このため当初から受注を目指してきた韓国のほか、中国やカナダも交渉入りし、受注競
争が激化しています。ただ、トルコでは日本の豊富な経験や技術に対する期待も根強いものがあります。
【アックユ(Akkuyu)原発】
地中海沿岸のアックユ原発建設計画で、2010年6月にロシア企業ロスアトムが受注の契約締結され、12月に首都アンカラで「アックユ原子力発電株式会社」が設立されました。19年稼動予定。 ロシアにおける新しいテクノロジーといわれる第3世代のVVR-1200を採用しました。
【トルコ原発建設の問題点】
今回(12年)の地震は、99年にトルコで発生したM7.6の大地震(死傷者2万人)以降12年ぶりに発生した大規模地震です。99年の地震はトルコ北西部で起きたが、今回の地震は南東部で発生しました。震源の位置が予測しない場所に大きく移動しました。地盤が不安定な断層地帯に位置するトルコは、地球上で地震活動が最も活発な国家の一つとされています。実際、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は最近、世界で最も地震の危険が高い原発として、トルコがロシアとともに推進する「アックユ」原発を挙げています。
トルコ内でも、「日本の原発も不安だ」として反対世論が激しくなっています。
【トルコ原発に関する各種情報】
★対日不信を生む危険性がある
花岡洋二氏(毎日新聞エルサレム支局)
★トルコ原発、三菱重名乗り(毎日新聞2013.1.24)
大久保 徹夫氏コメント
【フィンランドの原子力発電】
森と湖の国、フィンランドは北緯60度以上と高緯度にあり、温室効果ガスによるオゾン層の破壊の脅威にさらされており、欧州でもフランスに続く第二の原発推進国である。
北海道の総人口よりやや少ない530万人が住むフィンランドは日本の約9割の国土面積で、西部オルキルオトに2基、南西部ロヴィーサに2基、南部エスポーに研究用の1基、合わせて5基の原子炉が稼働している。長い冬の寒冷な気候と暗さと、製紙・パルプ産業に支えられた国の経済事情からしても、国民一人当たりおよそ16,000
kWhという大量な電力が必要とされ、電力の30%は原子力に頼っている。
02年に旧ソ連・チェルノブイリ事故以来、西欧で初めて原発新設を決め、「原発回帰」の旗手として注目を集めた。また福島第一原発事故後でも、予定されていたオルキルオト3号機の建設は進められ、10年に建設許可が下りていた4号機も建設の取り止めはなかった。そればかりか、11年10月には西部ピュハヨキに、福一原発事故後で世界初の新規原発の建設許可が下りている。
さらに、01年5月にオルキルオトを、高レベル放射性廃棄物の最終処分予定地として決定している。ポシヴァという会社が04年6月から地下特性調査施設(オンカロ)の建設をオルキルオトで開始、20年には本格的な操業を開始する計画であると言われている。
【フィンランドの原子力発電所】
商業用原発4基 運転中
原発 | 号機 | 設備容量 (万kW) | 炉型 | 状況 | 開始 (予定) | 備考 |
ロヴィーサ (Loviisa) | 1 | 48.8 | PWR ソ連型加圧水型原子炉(VVER)のVVER-440/213e型 Eastinghouse |
操業中 | 1977年 | |
2 | 操業中 | 1981年 | ||||
オルキルオト (Olkiluodon) | 1 | 86 | BWR ASEA-Atom (現・Westinghouse ) | 操業中 | 1979年 | ボスニア湾に面したオルキルオト島に立地している。数マイル離れたところにオンカロ核廃棄物処分場がある。 |
2 | 操業中 | 1982年 | ||||
3 | 160 | EPR(アレバ) | 建設中 | (2013年) | ||
4 | 100-180 | EPR(仏)、ABWR(東芝)、ESBWR(日立)、APWR(三菱重工)、APR-1400(韓国)5社で競合中 | 計画中 | (未定) | ||
ピュハヨキ (Pyhajoen) | 1 | 170-180 | 東芝改良型BWR またはアレバ(EPR) | 計画中 | (2015年) | 事業費は40億〜60億ユーロ(約4100億〜6100億円)と推定 |
【フィンランドの原子力発電所地図】
【オンカロ(ONKALO:洞窟の意味)最終処分場について】
オンカロは、フィンランド西部のオルキルオト原子力発電所の近くにある、世界初の高レベル放射性廃棄物を地層処分するためのトンネル状の最終処分場である。オルキルオト原発を運営するTVO(Teollisuuden Voima Oyj)と南西部にロヴィーサ原発を持つフォルトゥム(Fortum Oyj)という二つの電力会社が共同所有している。同施設は83年から構想が練られ、94年の「フィンランド原子力条例」の修正時に、「国内で生産されたすべての放射性廃棄物は、国内で処分されなければならない(使用済み核燃料の輸出入の禁止)」と定められたことから、TVOとフォルトゥムの合弁会社ポシヴァ(Posiva Oy)により、04年から建築が始められた。
建設にあたって、全国土から地盤の強さを基準に建設候補地を調査したところ、安定した地形と頑強な岩盤を持つオルキルオトに決定し、04年より着工。トンネルは今現在、全長4987メートル、455メートルの深さにまで達しており、20年までには運用が開始される見込みだ。使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの半減期は2万4000年、生物にとって安全なレベルまで放射能が下がるまでにはおよそ10万年の歳月がかかるといわれ、その数字が映画の邦題『100,000年後の安全』に反映されている。
この世界で唯一無二の処分場の建設現場に、12年8月23日、IAEA(国際原子力機関)の天野之弥事務局長が訪問、フィンランド国営放送(YLE)は「世界のリーダーTVO社が最終処理場のお手本を見せる時」と盛り上げ、全国紙ヘルシンギンサノマットでは、「天野氏はとりわけ工事の進行が早いことに深く感銘を受けた」と確かな手応えを報じた。
TVO社のプレスリリースには、天野氏が同社の研究レベルの高さと豊富な知識を高く評価し「オルキルオトの原発、処分場ともども、何の心配もいらない」と太鼓判を押したこと、ポシヴァ社のサイトには同氏が「近い将来のオンカロの完成は、全世界にとって明るいニュースとなる」と発言したことなどが書かれている。天野氏のフィンランド訪問は、国内の原子力業界の関係者や地域住民に対し、士気高めてしまう結果となった。
『100,000年後の安全』が10年に公開され、パリ、アムステルダムにコペンハーゲンなどの映画祭で賞を総なめにし、世界中で高い評価を受けた後の12年1月、YLEのウェブ・ニュースに、オンカロ自体の安全性を疑問視する記事が掲載された。
フィンランド放射線・原子力安全センター(STUK)で研究していたことがある地質学者の権威、マッティ・サーリニストが、オンカロはトンネルを蜂の巣状に掘るため地下岩盤が弱くなり、ゆくゆくは放射能が地下水に漏れ出る可能性があることを指摘した。もちろん、ここ数十年の話ではなく、今から10万年以内の可能性であるが。
また、ここ数年の主要メディアの関連記事を遡ってみると、今回の天野事務局長の訪問の記事を除いて、ほとんどの原発報道が国民の利益や安全性を問う、批判精神に満ちたものである。フィンランドは83年、現時点で高レベル放射性廃棄物を安全に処分する方法は、地層処分以外にはあり得ないという結論に達し、その後30年もの年月をかけてオンカロの構想を練り、実践してきた。
小中学校の教科書にも「高レベル放射性廃棄物は危険なので“地中に埋めて”処理しなければならない」と明記し、国民に放射能とその危険性について十分な教育がなされている。
【フィンランドの原発反対運動】
☆ピュハヨキ原発
11年10月、北西部ピュハヨキに、福島第一原発事故後で世界初の新規原発の建設許可がフィンランドの電力会社フェンノボイマにおりている。
事業費は40億〜60億ユーロ(4100億〜6100億円)。フェンノボイマは東芝とフランスの原子力大手アレバに入札参加を促しており、13年に2社のうちから建設業者を決定し、15年の建設開始を目指す。
フィンランドで建設予定の原発の反対運動を行っている現地の市民団体「プロ・ハンヒキヴィ」の
ハンナ・ハルメンペー副会長は来日し、福島第1原発事故の被災地を視察すると共に、フィンランドの原発の状況を日本に伝え、議論を広げようと各地で講演や会見を開いている。
ハルメンペーさんは「ピュハヨキ原発は、福島第1原発事故後、最初に建設が決まった。東芝が建設業者の候補として挙がっている。避難生活で苦しんでいる人がいても、日本は原発の輸出を止めない。原発の新規建設について考えてほしい」と呼びかけ、1月28日に東芝本社前で抗議行動を行った。ハルメンペーさんを支援するNNAAでは抗議行動に参加すると同時に、札幌では日時をあわせて東芝札幌支店前にて抗議行動を実施した。
なお、フィンランドでは欧州連合(EU)に対し立地反対の請願を出したり、フィンランドの裁判所に訴訟を起こしたりしている。
【フィンランド原発の事故例】
☆1993年ロヴィーサ原発2号機
1993年2月25日、Loviisa 2で給水ポンプを起動すると給水配管が破断し2次系の冷却水が漏洩するという事故が起きた。冷却水が漏洩した箇所は直ちに隔離され、蒸気発生器の水位も自動起動した補助給水ポンプにより制御された。この時、Loviisa
2は運転員により手動停止されユニットは安定した。この事故の原因は冷却水の流体振動による腐食が原因であると考えられている。
☆1990年ロヴィーサ原発1号機
類似した事故は,1990年にLoviisa 1でも発生している。なお,この事象による所内外への放射性物質の放出はなく,評価レベルは2であった。
【フィンランド原発に関する各種情報】
★原発輸出、フィンランドの陣(毎日新聞2013.3.13)大久保 徹夫さんより
〒166-0003
東京都杉並区高円寺南 1-18-14 高南レジデンス102
携帯 090-4067-9352
事務局/崔 勝久
NNAA/ FACE BOOK
【MAP】
●東アジア原発マップ
●世界の被爆マップ