NuScaleとユタのSMR取引、 電力消費契約の不足から崩壊

Beyond Nuclear Bulletin
2023年11月9日号より
NuScale-Utah SMR deal collapses for lack of electricity subscribers – Beyond Nuclear

NuScale-Utah SMR deal
collapses for lack of electricity
subscribers
(NuScaleとユタのSMR取引、
電力消費契約の不足から崩壊)

2023年11月9日付

下の2023年11月4日と6日の投稿
で、SMR販売が難航しているとの
記事をBeyond Nuclear Bulletinから
日本語化して紹介しました。
11月4日の投稿では、NuScale社が
契約を「でっち上げ」た疑いを
取り上げていましたね。
その続報です。

実は全然売れてないので、大安売り~~

実は全然売れてないので、大安売り~~

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

11月4日の投稿をまだお読みで
ない方は、スクロールダウンして
それをご一読の上で、下記をお読み
くだされば。
*****************************************

オレゴン州ポートランドに本拠を置く
NuScale Power Corp. とユタ自治体
連合電力システム <Utah Associated
Municipal Power Systems、UAMPS>
は <下の11月4日の投稿で言及が
あったように> 77 MWのVOTAGR
という小型モジュール原子炉(SMR)
6基 (合計462 MWe) をライセンス
取得・建設・稼働する契約を結んでいた
のだが、この度両社は同契約を終了する
ことで合意した。このSMRの開発は
既に10年間も進められており、アメリカ
エネルギー省からの補助金14億ドル、
さらには最近発効したインフレ軽減法
<Inflation Reduction Act> に基づく
追加補助金のオファーさえあった。
この追加補助金は、30/MWhドルと
推定されている。またエネルギー省の
アイダホ国立研究所からの連邦保有地
の優遇措置も受けていた。この
VOYAGR という設計は、従来型の
加圧水型原子炉を小型化したもので、
最大で合計12個のモジュール式
ユニットを1か所のコントロール
ユニットから稼働管理することが
可能だ。

小さい = 安全とは限らないから、 やはり審査は必要

小さい = 安全とは限らないから、
やはり審査は必要

VOYAGR原子炉の計画デザインは、
安全性と信頼性との関連で、まだ
アメリカ原子力規制委員会 <US
Nuclear Regulatory Commission、
NRC> からの認定を受けては
いない。つまりVOYAGRはまだ
幻の原子炉なのだが、その建設と
稼働に必要だとNuScale社が2023年
1月に公表した想定経費が膨大に
膨らんでおり、それを受けてUAMPS
のユタ州を主とする自治体電力協同
組合に参加している50の自治体の
うち27の町がNuScaleへの信頼を
なくした。さらにアリゾナ、
カリフォルニア、アイダホ、ネヴァダ、
ニューメキシコ、ワイオミングの各州
にも電力供給の自治体組合があり、
それらもNuScale社を考え直すに
至った。2023年3月現在、この
プロジェクトの計画電力アウトプット
のうち、NuScaleとの電力購入契約は
およそ26%を占めていた。NuScale
とUAMPSの契約加入者との間の契約
内容では、均等化発電原価 <Levelized
Cost of Energy、LCOE> を$89/MWh
未満に保ち、また2024年2月までに
電力購入契約の加入率をかなり大きな
80%にまで増大させることが求められ
ていた。その後でも、購入側である
組合は自分の選択で契約から脱退する
こともできる。NuScaleがかき集めた
契約加入者率は80%(370 MWe)には
遠く及ばず、提唱されている発電能力
462 MWeのうち120 MWeしか契約
されていない。この契約加入者率の
最低限にも、かけ離れている。

中身がなかった・・・

中身がなかった・・・

さらに最近になって、 Iceberg
Research社 <不正経理などを究明
する企業です>という「株式公開
企業の財務諸表にある収益の詐称や
経理不正」を専門に扱う投資調査
会社が、今年10月にある報告を
公表した。それにより、UAMPSの
NuScaleに対する信頼は、さらに
揺らいだ模様だ。この報告のため、
NuScaleは財務破綻の危機に瀕して
いる。Iceberg Researchの見解では、
NuScaleは Standard Power 社という
顧客1社とVOYAGR原子炉27基、
合計出力1,848 MWe、370億ドルの
契約を交わしたと主張していたのだが、
これが「でっち上げ顧客」であると
見られている。Standard Power 社は
アメリカのスタートアップ企業で、
暗号通貨のデータ マイニングを営む。
オハイオ州とペンシルバニア州で
プロジェクトを展開しようとしている。
Iceberg Researchの同報告によると、
NuScaleによるこの「契約には実現
される見込みが全くない。それは、
Standard Power 社にはこれほどの
規模の契約を守るための方法が皆無で
あるからだ」

裏で何かが~

裏で何かが~

このIceberg Researchによる報告は
さらに、NuScale社とUAMPSの間の
契約内容にも踏み込んでおり、
「UAMPSの無炭素電力プロジェクト
<Carbon Free Power Project> の
現状は、NuScaleが認めているよりも
はるかに悪い」としている。それに
関し Iceberg Research はさらに、
「当社の発見事項の1つとして、
(NuScaleの) 前CFO <最高財務
責任者> であったChris Colbert氏は
2023年5月以来現時点まで自分の
所有する同社株式を売りに出しており、
今年10月13日には持ち株すべてを売り
払った。同期間にそれにより彼が得た
利益は総計で170万ドルにのぼる。
これを見れば、NuScaleの実情が、
言わずとも分かるはずだ 」と
報じている。

このIceberg Researchによる報告の
結論によって、UAMPSに加盟している
NuScale株主たちの同社に対する信用が
高まったはずはない。「NuScaleが
Standard Powerと締結したと主張した
契約はでっち上げであり、戦略的な動き
などでなく、<実際のビジネスが低迷
している中で> 投資家たちの信用を
高めるため、やけを起こして取った
行動というべきであろう。同社の
ビジネスは低迷中で、政府からの
補助金などがなければ、同社の株式
にはほとんど何の価値もないと、当社
<Iceberg Researchのこと> は見て
いる。政府からの支援が今後も続いたと
仮定しても、エネルギー省の通常の行動
原理として、資金は民間部門とシェア
することになっており、したがって
既存の株主たちの保有株式の価値は
希釈されてしまう」
**************************************

ホントのことなんか、言うな!

ホントのことなんか、言うな!

NuScaleといえば、SMR業界を代表
する企業でした。それが、この
テイタラク。
SMRというビジネスが、少なくても
今までのところは、かなり無理な代物
だということが分かりますよね。
SMRに限らず、「もんじゅ」の例から
も明らかなとおり、核発電は巨額の
税金投入があって初めて成り立つ商売
ですね。まあ、それを隠ぺいするため
でしょうか、日本のMETIなどは
「原発は発電コストが安い」などと
いう見え透いた数値を発表して
いますが。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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