付録 w-22) LEU価格が急騰したら??
2026年2月
「原発」に関して昨今の日本での世論を見ると、次のような主
張を頻繁に耳にしますよね:
1 – 福島第一の事故から、もう15年近くたったが、大きな
原発事故は起きていない。もう、事故を恐れすぎる必要も
ないだろう。
(⇔ チョルノービル(チェルノブイリ)の大惨事(1986年4月)
から福島第一の悲劇(2011年3月)まで、約25年ありましたよ。
物事は、もっと長い視野でも見てまいりませんと)
2 – ウクライナ戦争の影響や全般的なエネルギー需要の増大
などなどで、電気料金が値上がり → 既存原発を再稼働して、
料金を下げよ!
(⇔ 下でこの主張の明らかな問題を指摘します)
3 – CO2排出を削減するためにも、原発を!
(⇔ 上の黒いメニューの終わり近くにある 付録 w-1) 、
w-3) 、w-8) 、w-18) 、w-21) などを参照)
4 – 上記の1と2と3の結論として、既存原発の再稼働を急げ!
本ページでは、特に上の2を考察します。
すぐにわかることですが、
a) 発電用燃料(この主張2で問題にしているのは、天然ガスや
石油、石炭など)の価格が、軍事情勢やマーケットの状況
などで高騰 → 電気料金も急上昇
というパターンを問題にしていますよね。
ならば将来、核発電の「燃料」、つまりLEUの価格が
高騰したら?同じようなパターンの電気料金上昇が発生しえ
ますよね?
核発電のコストでは、燃料コストの比率が小さいことは、
存じています。しかし、LEU価格が高騰した場合、その影響が
ないはずはありません。
やはり上の黒いメニューにある ページ s-0) でも、指摘済みです。
b) Uは明らかに、軍事戦略に深くかかわる物質です。
c) 付録 w-15) などでたびたび指摘したとおり、原発には冷却の
ための外部電力供給が必要です。災害時や故障時を除き、
主に送電グリッドからの供給です。その供給がないと、原発は
稼働できません。
ということは ・・・ そのグリッドの電力が火力によるもので
あれば、結局は化石燃料の価格変動は、原発の発電コストにも
影響するってことになります。
じゃ、現実の、最近のウラニウム価格を見てまいりましょう。
Uranium – Price – Chart – Historical Data – News
のチャートを見れば、ここ何年も基本的に上昇を続けて
きていることは、明らかですよね。
同じページにある解説(2026年2月6日JST) も、私の要約と
日本語化で紹介しておきますね:
< > 内は、私からの補足説明。
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アメリカでのウラニウム先物は値を下げ、1ポンド
<0.454kg> あたり92ドルとなった。
少し前には、ここ2年間での最高値$101.5を記録していた。
この下落は、このところ価格を押し上げていたウラニウム
需要が急拡大するだろうという予想を、世界でのウラニウム
供給の新たなそして一時的な膨張が上回ったことによる。
ウズベキスタンのUzbek Atomic Energy Agencyが昨年、
年間のウラニウム産出量を7,000トンにまで増大したのだ。
この増産は市場の予想を大きく上回るものだ。
だがイエローケーキ <ウラニウム鉱石を精製した物質。
これを六フッ化ウラニウムに「転換」して遠心分離機などで
「濃縮」し、酸化ウラニウムに「還元」して核燃料に加工
します> の価格はかなり高止まりで、これはデータ センターや
電化による電力需要拡大を予想してのことだ。
アメリカ政府は、ウラニウムの転換を行う免許のための規則を
緩和し、新規原発建設のための新たな決定を発表した。
<これについては、近日中に別の記事で紹介する予定です>
政府はCentrus社 <アメリカのメリーランド州に本部のある、
ウラニウム濃縮と関連サービス企業> その他の原子炉企業や
ウラニウム濃縮企業に対し、新たに27億ドルの契約を提示する
などしているが、これはロシアからの核燃料を経済制裁の対象に
アメリカがしたため供給が減少していたのだが、それを補充する
ためだ。
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Uがいかに市況や軍事上y制に左右される物質か、お分かり
いただけたと思います。
特に、どこかの国が新たに核兵器を開発しようとしたり、
増産を始めようとした場合には、それもUの需要を増大させる
ことは明らかですよね。
実際、核保有2国からの需要のため、カザフスタンが西側には
U供給を続けにくくなった実例が、報道されていました。
(2024年9月22日付)
冷静に
現実を見ましょう。原発依存度が高くなると、こうした
国際的な軍事情勢や緊張関係などのためにLEUが入手困難と
なった場合、原発で電気料金が下がるどころか、計画停電
すら発生しかねないですよね。
実際、原発依存率の高いフランスでは、制裁対象のはずの
ロシアからのU輸入に、結局は頼らざるを得ない現状だとの
報道があります(2026年1月26日付)
Kangnam Timesの該当記事
要するに、日本は自国内でU鉱石を産出できないのです。
現在、Uはすべてを輸入に頼っています。ですから、
将来を考えるのなら、「自前で供給できる」エネルギー源を
もっと確保しませんと。つまり、最近評判の悪い太陽光や
風力、また地熱などをもっと「上手に」活用する技術開発
などに注力しませんと。エネルギーや食料は、やはり自給
できませんとね。
それと世界的に見た場合、まだまだ石炭が発電用エネルギー源
として巨大なシェアです。CO2削減を唱えるのなら、現実的な
ソリューションとして、石炭からのCO2排出を削減する技術を
開発できないのでしょうか?
反原発派の皆様へ
批判を浴びることを覚悟のうえで、ハッキリ申します:
「大事故があったから、原発反対!」という主張、
それ自体は間違いではないけど、
そればかりを反対する主な理由にするのは、もう
やめませんか?
上で私が記したような、
・ 核兵器との不可分性 → 核兵器用U需要拡大で、他の
諸国がUを入手しにくくなる可能性
・ 需要と供給などによる、マーケットでのU価格の変動 →
高騰すれば、原発依存度が高い諸国では電気料金も上がる
・ 結局、エネルギーや食料は自給できることが望ましい ⇔
日本のU燃料は100%輸入依存
といった問題の指摘を、反原発勢力の皆様からあまり聞いた
ことがないのですよ。
もっと広い視野で、関連する各種問題系を取り上げる反原発
活動へと発展変身していかないと。
私自身は、1990年ごろからずっと核兵器と核発電には反対して
きております。
私自身も含めて、そうした「福島第一以前から反対」して
きている人間の目には、2011~12年ごろの全国的な反原発
デモは、「一時的な流行」に見えましたよ。
それから15年ほどを経た今日、私などの予想が的中して
しまっている現状を見て、実に残念です。
ご反論があれば、
yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp
までお知らせください!





