d-15) (発電原理) 外部電源と軍事/テロ攻撃
2025年11月
原発やU濃縮施設などには、かなりの外部からの電力供給が必要に
なることについては、
上の肥大化した黒いメニューにあるページ
付録 w-1) 付録 w-3) 付録 w-15)
などで、CO2排出との関連で取り上げております。
しかし、原発の冷却には外部電源が必要という事実は、軍事や
テロ攻撃との関係でも問題になります。実際、
右端 ⇒ にある「アーカイブ」で2025年11月をクリック →
11月15日の「原発そのものを攻撃しなくても、~~」
で紹介した通り、ロシア軍がウクライナのリウネ原発と
フメルニツキ原発に外部電力を供給している変電所を標的にした
という事態が、つい最近ありました。
実際、次のパターンがあり得るからこそ、ロシア軍は変電所を
標的にしたのでしょう:
外部電力供給の送電線なり変電所なりを軍事/テロ攻撃 →
原発への外部電力供給が停止 → 原子炉の冷却ができない →
メルトダウンの危険性
このパターン、当然日本の原発にも該当しますよね。
つまり、原発(原子炉)そこへ外部電力を供給している電力線を
攻撃されると ・・・
実際、軍事攻撃でなくても、福島第一では自然災害で外部電力
供給が途絶えた
2011年3月に始まったこの原発のメルトダウンでは、地震による
盛り土崩壊 → 高圧線の鉄塔倒壊、という事故が発生していました。
もちろん、この倒れた鉄塔の電力線は、この原発に外部電力を
供給していました。
詳しくは、「砂防学会誌」の2012年64巻5号の「東北地方太平洋沖
地震で福島第一原子力発電所の送電線鉄塔倒壊をもたらした盛土
斜面崩壊について」という論文をお読みくださいな。
[T12814]砂防学会誌64‐5/P38‐42 技術ノート 鈴木(4C)
上の黒いメニューにあるページ g-6) でも、鉄塔倒壊については
短く言及しております。
鉄塔を倒すなどというのは、我々非戦闘員にはほぼ不可能なこと
ですが、軍事兵器であれば充分可能なことでしょう。
TEPCOも外部電力供給のredundancy(いざという場合のために
重複化しておくこと)を確認
この福島第一での賛辞を受け、経済産業大臣から電力各社などに対し、
こうしたredundancyなどの調査確認の指示があったようです。TEPCOも
この指示に応じて調査・確認を実施、2011年5月付の「原子力発電所
及び再処理施設の外部電源の信頼性確保について」という報告を
提出しています。
110516e.pdf
にあります。
一般に原発にとって、冷却用の外部電力供給がどれだけ不可欠で、
深刻な問題なのか、これでお分かりいただけたでしょう。
で、その報告書によれば、たとえば柏崎刈羽原発の場合、外部電力
供給の電力線は5系統あるそうです。これは確かに、電力だけ
考えれば、充分なredundancyでしょう。
しかし、軍事/テロ攻撃となると~~
敵は、こちらの原発に事故を起こさせようとして、その外部電力
供給線を破壊しようとしてくるわけですから、当然、たとえば
供給線が5系統あるならその5系統すべてを破壊しようとしてくる
はずです。
テロ攻撃などの防止のため、電力各社は電力線の正確な位置などは
非公開にしているようです。これは正解でしょうし、そうした努力を
私は称賛します。
しかし。
スパイや諜報活動といったものが、この世界にはあるわけでして
・・・ 特に、日本はスパイ活動がやりやすい国だとよく言われて
おります。
スパイがテロ組織に電力系統の所在などを教え、その変電所すべての
破壊を指示 → ドローンなどで、テロ組織がその変電所すべてを破壊
という事態になると、メルトダウンの危険性が高まりますよね。
このとき、テロ組織がウォームなどで原発構内にある緊急用
ディーゼル発電機を作動不能にしてしまったら、ほぼ確実にメルト
ダウンとなりましょう。
電力線を破壊するには一か所切断すれば済むが、防衛するには全体を
守らないと
今回のリウネやフメルニツキの事態が騒ぎになっていることからも
明らかなように、1系統の電力線を破壊するには、一か所をぶっ壊せば
済みます。しかし、その電力系統を防衛するには、全体を守らないと
いけません。
で、5系統なら5系統の電力線を守るには、かなりの面積の地域を
防衛することになります。
原発用ではないですが、私が暮らす東京23区西部には「杉並線」と
いう高架電線系統があって、現物を見てみると彼方まで延々と鉄塔が
並んでおります。これのどこにドローン攻撃があるかなんて、
予測は困難だよなって思います。
そしてこのところ、原発敷地内をドローンが飛んでたという事件が
何件か報道されてますよね。
加えて: 一部地域でブラックアウトが起きても、原発には冷却用の
電力を供給しないと
もうひとつ、これは攻撃によるものとは限らないのですが、
原発が稼働不能に陥り地域的なブラックアウトが発生している最中で
あっても、利用できる少量の電力があれば、原発の冷却に充てないと
ならなくなります。だって、冷却しないと大変なことになります
もんね。
「原発内にディーゼルがあるじゃないか!」といった批判がすぐに
聞こえるのですが、ディーゼルで対応できる日数は、限られて
います。


