National Interestの記事
Pakistan’s war in Afghanistan is tied to its nuclear strategy
私が以前から心配していた問題を扱っている記事を見つけました。
アメリカの外交問題を専門とする隔月刊誌National Interestより。
パキスタン vs アフガニスタンの戦争が現在行われていますが、
核兵器保有国であるパキスタンが核兵器を何らかの形でちらつかせてくるかも/
それに対抗して、テロ組織が核施設を攻撃するかも
という懸念が、私には以前からありまして。
「そんなの、考えすぎだよ」で済ませたいのですが、実際に核兵器がパキスタンの行動に影を落としている、と考える人が他にもいました。
長くなりますが、その人の見解を要約・抜粋・日本語化で紹介しますね。
ただし、このNatikさん、アフガニスタンの立場からものを
言ってらっしゃるので、その偏りにはご注意くださいね。
私はあくまで他人の意見を紹介しているのでして、Natikさんの
見解をendorseしているわけじゃ、ございません。
Natikさんは過激派への対抗や教育の普及、人権侵害への対抗、
市民社会の強化などに取り組むBetter Afghanistanという団体を2020年に設立してらっしゃいます。
では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
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Pakistan’s war in Afghanistan is tied to its nuclear strategy
(パキスタンのアフガニスタンでの戦争には、核戦略が
絡んでいる)
Natik Malikzadaさん
2026年6月16日
Pakistan’s パキスタンはここ何週間アフガニスタンに爆撃を
行っているが、そこから世界が直視したがらない事実が伺える。
つまり、パキスタンは根本的に「ならず者国家」であって、
国際法を無視して行動する、といいう事実だ。
国連の発表によれば2月26日から3月18日まで、アフガニスタン
ではパキスタンによる空爆により少なくても289名が死亡した。
それには女性や児童も含まれる。また避難して移住した人たちは115,000人に達した。
その一つとして、3月16日のカブールの薬物リハビリ センターの
爆撃もあり、これは悪名高い。この爆撃では非戦闘員143名が死亡、他に数百人が負傷した。
国際社会に対しては、パキスタンはこうした攻撃を「対テロ」
ミッションであると説明している。パキスタン政府によれば、
そうした攻撃の標的になっているのは、パキスタンのテロ組織なのだが基地をアフガニスタンにも置いているTehreek-e-Taliban Pakistan (TTP) ということになっている。つまり標的は
「テロリストのキャンプ」や「隠れ基地」、「TTPのアフガニスタンに本拠を置いた指導者たちや工作員たち」であると、美辞麗句で
実態をぼかした発表をしていたのだ。だが今回の爆撃の間や前後に行われた公的な発表を見ると、標的は明確にされていない。
あれだけの非戦闘員の死者数を説明できるような標的が、明確に
提示されていないのだ。パキスタン側はこの攻撃は「特定標的
のみを対象にした」<surgical> だと主張しているが、これだけ
多数の市民が死亡や負傷していること、建物の被害が出ている
こと、多くの所帯が他所へ避難している事実を見ると、こ
うした主張は信用できない。

あっちには、何もない~~
今回の軍事攻撃でさらに恐るべき要因として、パキスタンは
軍事的脅威のエスカレーションに関し何のドクトリンも定めて
いないのだ。今までのところ、アフガニスタンでパキスタンが
やってきたことは、無秩序なものだ。
敵対している相手がアフガニスタンなどよりも強力な国であれば、この無秩序性が核兵器使用にまで至らないという保証はない。
砲撃や空爆、国境を越えてのエスカレーションといった点で、
パキスタン軍は今のところ、自己抑制を示していない。なら、
将来はどのような手に打って出るのだろうか?
どのような国家も核兵器を保有してはならず、核兵器はソモソモ
存在してはならない、と主張する者もいる。だが現状の世界では、核兵器は存在している。しかしそうではあっても、核兵器は自制ができエスカレーション リスクを真剣に回避しようとする国家の
手の中に、核兵器はあるべきだ。
パキスタンは、そのまさに反対の国家である。国境を越えての兵器使用が慢性化しており、戦闘員と非戦闘員の区分もおぼろげに
なっており、対テロリズムというあいまいな言葉で市民の死亡を
済ませてしまっている。
さらにイスラム過激派の武装プロクシー <代理集団> を操り
隣国でテロ活動をさせているのだが、核の傘をそうした
テロ組織の保護に利用している、との非難がある。こうした
行動をする国家はそもそも、核兵器を保有してはならない。
パキスタンの核開発プログラムの起こり
パキスタンが核プログラムを開始したのは1971年、インドとの戦争で敗れるという屈辱を体験した年のことだ。この敗北を受け、
それまで東パキスタンと呼ばれていた地域は現在のバングラデシュとして独立した。3年後の1974年、そのインドが初めての核実験を
実施した。<上の黒いメニューにある b-9) 参照>
当時のパキスタン首相Zulfiqar Ali Bhuttoはパキスタンも
核プログラムを開始すべきだとしたが、これは自らが1965年に
した予言を成就させる結果になった。 「インドが核兵器を製造するなら、パキスタンも核兵器を持つ。たとえ、そのために泥水すすり草を食むことになろうと、飢えようと」
その後何十年か、パキスタンは核不拡散条約には加盟せずに
核開発能力を身に着けた。同国初の核実験は、1998年5月のことであった。<b-10) b-11) 参照 > パキスタンは核兵器保有国に
なったが、NPT体制に準拠してなったのでは、なかった。同国の
核実験を国連安全保障理事会は、1998年6月に決議1172で非難した。さらにパキスタンの核プログラムの汚点となったのが、
Abdul Qadeer Khanのスキャンダルだ。<b-11) f-3) f-8) g-7) を
参照>
Khanはパキスタンの核物理学者で、パキスタン国内では核兵器の
父として尊敬を集めていた。そのKhanが中心となるネットワーク
が核兵器に関する秘密情報をイランやリビア、北朝鮮に密売して
いた。こうしてパキスタンの核開発はインドへの対抗というだけ
ではなく、その他諸国への非合法なノウハウ販売とも結びついたのだ。
そしてパキスタンの核保有は、もはやインドへの対抗という
だけでは済まない。
2025年9月、同国は戦略的相互防衛合意をサウディ アラビアと
締結した。<f-10) 参照、特に f-4) のサルマン皇太子の発言を
参照 > これは2国間の合意ながらもNATOのような防衛体制で、
相互の安全保障合意を含んでいる。
あるパキスタン高官たちの言葉では、この合意の下では、
いずれか1国に対する攻撃があれば、両国に対する攻撃とみなす。
またサウディ アラビアのある高官によれば、これはあらゆる
軍事的手段を含んだ「包括的な防衛合意」であり、核兵器の
使用も明示的に含んでいるそうだ。
一見すると、この合意は歓迎すべきものに見受けられるかも
しれない。だがペルシャ湾地域全体に核抑止を拡大するもので
あり、世界が核兵器の緊張の緩和に努めている中、パキスタンは
核の緊張を高めてしまっている。これでサウディ アラビアが核に
よる安全保障という鉄壁を手に入れたのであれば、
その敵対国と呼んで間違いないイランや、ことによると
カタールやUAEも、同じく核による安全保障を求める危険性が
ある。その例として、必要なら自国での核兵器保有も考える
恐れがある。言うまでもないが、核保有国はその核という威光を
利用して近隣地域での政治的影響力を強化してしまう危険性も
ある。
核兵器と国家の主権
核不拡散条約の下では、核兵器保有国として認められている
のは1967年1月1日時点ですでに各装置を製造し爆発させていた
国家のみだ。この体制下では、「正式に」核保有国と認められる
のはアメリカ、英国、フランス、ソヴィエト連邦(今のロシア)、
中華人民共和国だけである。
NPTが効力を発揮した直後に加盟した諸国には、大きく分けて
2種類あった。
既に核兵器を「正式に」保有していた諸国と、核兵器開発に
まったく関心がないか、現実に開発できる能力のない諸国である。<その2つ以外に> 第3のグループがあり、それはトルコ、
インドネシア、南アフリカといった中堅諸国であった。核兵器を
開発する資金力も技術的ノウハウも、政治的意志も有していた。
こうした諸国は当初、NPY加盟に二の足を踏んでいた。
インドとパキスタンも、この第3グループの国であった。
時の経過とともに、また国際社会からの絶えざる外交圧力も
あって、躊躇していた諸国も多くはいずれ、NPTに加盟して
いった。だがインドとパキスタンは加盟することがなく、この
両国はそれぞれ独自に核プログラムを進めていった。核兵器
開発は主権国家の権利だ、と主張していたのだ。
原理的には、確かにその通りだ。つまり、不安定で無責任、
無謀な国家であっても、それが核兵器を保有することを禁じる
国際法はないのである。
NPT体制はこれ以上の核兵器の拡散を防止するための制度で
あり、<ある国が核兵器を保有してよいか否かという> 適性を
判断する試験では、ないのだ。
現実には、国際社会の傾向としては、どこの国であれ核兵器が
これ以上拡散することは世界秩序を本質的に揺るがす深刻な
安全保障上のリスクであると捉えてきている。そのため諸国は
核の拡散を防止すべくあらゆる手を尽くしてきた。<たとえば>
アメリカは2003年、イラクの独裁者サダム フセインが核兵器の
開発を進めているとの疑念の下でイラクへの侵略すら行った。
(もっとも、この疑念は結局、誤りであったと判明したのだが)
だが ならず者国家がいったん核兵器を手にすれば、その国に
対する侵略者にその国が核兵器を使用する恐れがあり、行動
には自重が伴うことになる。
北朝鮮は2006年に最初の核実験を成功させたが、それ以降
アメリカが北朝鮮には何の軍事作戦も行っていないことには、
注意すべきだ。現在のイランとの関連でも、この教訓を忘れては
ならない。
パキスタンに核兵器があるがゆえに、インドはテロ攻撃を
受けても報復できない
パキスタンにとっては、核兵器は一種の盾のような役割を
果たしている。
核があるがゆえにパキスタンは、近隣諸国に対し不安定化を
招くような活動を実施しても、報復などを恐れずに
いられるのだ。1999年にはカーギル紛争があり、パキスタン軍の
部隊とパキスタンの支援を受けた武装集団とがインドの治めて
いるカシミールの地区に侵入した。<インドの最北部に当たる
カシミール地区は以前から領土争いの対象になっており、
小競り合いが続いていました。b-10) の「1999年カルギル戦争」という段落も参照> この際、パキスタンは核兵器の弾頭を
発射する用意をしていたとの疑いがあるのだ。この戦闘は
エスカレートし、インドとパキスタン両国が核兵器保有を
公言するようになって以来、最初の両国間の直接交戦という
事態になった。2001年終わりにも、同様の交戦が発生した
模様だ。このときには、パキスタンに本拠を多くテロリスト
組織がインドの議会を襲撃、それをきっかけに両国は
大掛かりな兵力を国境付近に集結させた。結局、戦闘は
回避できたのだが。パキスタンは「核の先制不使用」原則を
明白に採択することを、拒否してきている。つまり、
インドが先に核兵器を使用しない限り、パキスタンからインドに
核兵器を使用することはしない、という宣言を拒否しているのだ。それどころかパキスタンは、核の先制使用に関する方針を意図的に不明瞭にしている。
パキスタン高官たちの宣言によれば、同国の存立が脅かされれば、
核兵器を使用するとしている。だが、「存立」が脅かされるような
事態とはどのような事態なのか、明確に定義されたためしはない。実質的にはこうした態度は、インド陸軍からの攻撃に対して
戦術核を使用するぞ、という脅しになっているのである。
こうした状況下では、インドがパキスタンへの侵攻をためらう
ことも理解できる。そしてそのため、パキスタンの支援を受けた
テロリスト組織がインド国内でテロ攻撃を実施するが、インドは
それに対し抗議を示す程度の報復しか行わず、パキスタンが
何らかの意味ある決定を下す前に停戦合意が成立、という
パターンが繰り返されているのだ。そしてこのパターンは、
数年後にも再発した。2025年4月のパハルガムでのテロリスト
攻撃 <インドの北部地域。b-10) の「惨劇自体」という段落も
参照> やそれに続いた両国間での4日間空戦は、このパターンの
最新の実例だ。これで最後になるとは、思えない。
もっとも、現在のアフガニスタンとの戦争では、パキスタンが
核兵器を使用するつもりではないことは、明らかだ。だが
パキスタンの今までの核に関する実績や戦略を発展させていく
体質、非戦闘員のいのちに対する軽視を見れば、そもそも
パキスタンは核兵器を保有すべきではない。
核兵器が危険であるのは、発射された場合だけではない。
核兵器は一種の盾となり、それに隠れて国家は如何なる紛争に
おいても核兵器未満のレベルで一層暴虐に振る舞うことが
できてしまう。パキスタンの目論見では、核攻撃にまで至らない
暴虐行為であれば、隣国に対しどんな暴力でも振るうことが
できる、と見ているのだ。そうした相手国は、自国内に核兵器を
使われては困るという不安から、あまり強く反撃ができない。
こうした戦略の中心にあるのは、核兵器である。核のために
パキスタンの暴虐さはさらに激化し、同国は一層悪辣に
振る舞うようになってしまった。
核兵器を持つ国が他国の非戦闘員の殺害を繰り返し行い、
戦闘員と非戦闘員の区別も実質的に付けられず、そうした
暴虐に対し苦言を呈する他国があれば核戦争を始めるぞと脅す。
これは単にパキスタン周辺諸国の問題などでなく、全世界の
問題だ。パキスタンの核兵器が物理的に安全確保されて
いようが、いなかろうが、核兵器を管理している国家を国際
社会が信頼できることが必須だ。はたして、国際社会は
パキスタンをこの意味で信頼できるのであろうか?
世界は、今となってはパキスタンをどうできるのか?
国家の在り方や軍事ドクトリン、周辺地域への働きかけの中心に
核兵器を位置付けている国家の場合、自らの意志で核兵器を
廃止することは考えにくい。単純に言ってしまえば、
パキスタンが自ら核兵器を放棄することは、考えにくい。また、
他国がパキスタンにそう強制することはできない。
それよりも少しだけ現実的な目標として、パキスタンの核に
関する姿勢を変えさせる、というものがある。とはいえ、これも
困難な目標なのだが。
国際的なプレッシャーとしてまず、如何なる国家も代理戦争や
無謀なエスカレーションを隠すために核抑止を利用しては
ならないという単純な原則を訴えるべきだ。パキスタンはもう
数十年も、こうした代理戦争やエスカレーションをパキスタンは
利用してきた。パキスタン自体は、その核兵器は防衛のためのみ
に存在していると主張して譲らないが、そうであるのなら、
それを立証する責任はパキスタンにある。つまり、
どういう事態になれば核兵器を使用するのかを明らかにし、
先制使用方針に関する曖昧さを明確化し、
パキスタン領土内で武装集団への強制力としては核兵器を
使用しないと正式に約束する、などだ。
より一般的に、パキスタンの核兵器を固定した事実として、
専門家が閉ざされたドアの向こうで密かに扱えばよいもの
として扱うことを、国際社会はやめるべきだ。核兵器は政治的な
道具であり、パキスタンはそれを政治目的のために利用して
きたのだ。この事実から、何らかの政治的な対応が必要となる。
パキスタンが ならず者国家として振る舞うつもりなら、
国際社会はパキスタンを ならず者として扱うべきだ。
核兵器を使った脅しをしてはならないし、そんな脅しは成功
しない、そして通常兵器での大きな対価を支払う結果を招くと、
はっきりと伝えることが必要だ。

あっちで何やってんだ?
私の昔の20分クロッキーに、後で背景色をつけたもの
男性のモデルさん
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ほんと、「やっぱりな~~」って感じです。
核兵器を誰かが持つと、その周辺諸国も何らかの意味で
巻き込まれてしまう、という実例ですね。






