イスラエル vs イラン戦争の根底に、U濃縮のproliferation risks
イスラエルとイランが激しくミサイルやドローンで戦火を交えていることは、多くのメディアが報じている通りです。
無論、今急に始まった戦争ではなく、2023年10月に(イランのproxyである)ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けたときから現在の戦争へとつながっているのですが、日本語の報道をお読みの方々の多くは、「いったい、なんでここまでの争いになってるの?」と不思議がってらっしゃるかも。
なお、ここ数年での対立のタイムラインは、
Timeline of tensions and hostilities between Israel and Iran
を参照なさってください。
もし読者の中にもそうした方がいらっしゃるのなら ・・・
この現在進行中の戦争の根底には、「やかんをのせたら~~」のフォーカスとなっている問題、つまり核発電と核兵器の不可分性があります。
この場合、その不可分性とはウラニウム濃縮にあります。
U-235の濃度を高めないと、発電も兵器もできない
すでに何度も掲載してきた説明図を、もう一度掲載します。
要するに、
大きな遠心分離機などを何百台も連結したU濃縮工場で
U-235(自然状態では、約0.7%しか含まれていない)とU-238を少しずつ分離し、
U-235濃度を3-5%に ⇒ 軽水炉発電用
濃縮作業をさらに続けて90%以上に ⇒ 核兵器
というわけです。
ところが。
イランは既に60%濃縮を達成しており、この濃度のUには民生用用途などないのです。
当然、「核兵器を作るつもりだな!?」と睨まれますよね。
イスラエルもそう考えており、以前からSTUXNETによるサイバー攻撃などを実施してきたようですが、今回の爆撃でもイランのナタンズやフォルドウにある核施設を主な標的としていました。
無論、IAEAも黙っていたわけじゃなく、先日、イランがNPTの下でのIAEAとの協力という義務を果たしていない、と非難する決議を採択したところです。
ところが。それに対抗してイランは、さらに新たな濃縮工場を作ると ・・・
Iran plans new uranium site amid pressure from watchdog
私は何も、イランを叩きたいんじゃありません。ある意味で公平に、イスラエルがおそらくすでに核兵器を保有していることも、説明済みです。
上の黒いメニューが膨張しすぎており使いにくくて申し訳ないのですが、基本的に項目をアルファベット順に配列しておりますので、ページ c-3) , c-4) をご覧くださいな。
さらに、イスラエルが他国の核施設を爆撃したイラン以外での実例については、ページ c-1) , c-2) をどうぞ。
また、イランの核開発関連要人が暗殺された事例もあります。たとえば、c-7)
さらに、そもそも2015年にイランとアメリカ、ドイツ、英国、フランスなどとの間でいったんは核合意JCPOAの締結を見たというのに、2018年にトランプ政権が一方的にこの合意から脱退してしまった、という背景もあります。
こういった、今世紀に入ってからのイラン vs イスラエルの対立と紛争の展開を短くまとめた固定ページを、これから作成してまいります。
それにしても皆さん、「核の平和利用」などという戯言は、もうやめませんか?