g-6) (ジャパン) 発電所内部からのサボタージュ

サボタージュとは、「サボる」んじゃなくて、「破壊活動

発電所内部の職員さんたちによるサボタージュとなると、さらにやっかいです。同じくWikipediaのVulnerability of nuclear plants to attackより、Sabotage by insidersという段落から;

A fire caused 5–10 million dollars worth of damage to New York’s Indian Point Energy Center in 1971. The arsonist turned out to be a plant maintenance worker. Sabotage by workers has been reported at many other reactors in the United States: at Zion Nuclear Power Station (1974), Quad Cities Nuclear Generating StationPeach Bottom Nuclear Generating StationFort St. Vrain Generating StationTrojan Nuclear Power Plant (1974), Browns Ferry Nuclear Power Plant (1980), and Beaver Valley Nuclear Generating Station (1981). Many reactors overseas have also reported sabotage by workers. Suspected arson has occurred in the United States and overseas.

(私の日本語化)

1971年、ニューヨーク州のインディアン ポイント エナジー センターという原発で火災が発生、500万から1,000万ドルの損害をもたらした。その放火犯(単数であることに、ご注意!)は、この発電所のメンテナンス作業員だった。職員によるサボタージュは、アメリカでは他の原発多数でも報告されている。ザイオン原発(1974)、クアド シティーズ原発、ピーチ ボトム原発、フォート サン ヴレイン原発、トロ―ジャン原発(1974)、ブラウンズ フェリー原発(1980)、ビーバー ヴァリー原発(1981)などである。アメリカ国外でも多数の原発から、職員によるサボタージュが報告されている。放火の嫌疑が持たれる事態は、アメリカでも諸外国でも発生している。

「うちの作業員たちは優秀でまじめで、最低賃金でよく働いてくれますよ ・・・ ヒヒ」

「うちの作業員たちは優秀でまじめで、最低賃金でよく働いてくれますよ ・・・ ヒヒ」

「いや、日本の原発に限っては、しっかりと人選をしてるから大丈夫」などとおっしゃる方がいらっしゃれば、まあ、正直、その人は「おめでたい」です。

まずは、福島第一原発周辺の「除染」活動に駆り出された作業員の方々のことを、思い出してください。「孫請け」どころか、「ヒヒヒ孫請け」で何重ものマージンを搾り取られた後のわずかな報酬で、作業期間だけ雇われた作業員の方々の様子が報道されていましたよね。とても、「まともな雇用」の在り方ではありません。

「それは、原発事故の後始末であって、発電所内部の雇用じゃない」と仰る方は、「よほどおめでたい」のでしょう。
事故のない状態での原発作業員の手記が、単行本で出ているハズです。

たとえば、
川上武志、「原発放浪記」が宝島社から、今でも出ていると思います。

上記の書物などお読みくだされば、いかにいい加減な人材管理状況か、すぐにお分かりいただけるはずです。原発作業員の方々の生命は、いわば「使い捨て」にされており、サボタージュなどがいつ起きても、不思議ではないと思います。

テロ組織の回し者が入り込む可能性

もっと怖いのは、こうした異常な雇用慣行の職場ですから、身元調査など厳密に実施していたら作業員を手に入れられなくなる → 過激派の回し者が原発内部で働くようになる

という可能性でして ・・・ 思い起こしてほしいのですが、秋葉原の古書店でISISの「募集」が行われていた事件が、2014年10月に報道されましたよね。「日本には、過激派などいない」と思い込むのは、大間違いです。

「原発のシュラウド交換、1日3万円だよ~」 (ただし、宿泊費8,000 + 食費3,000 + 現場までの送迎費用 2,000 = ¥13,000 差し引くよ)

「原発のシュラウド交換、1日3万円だよ~」
(ただし、宿泊費8,000 + 食費3,000 + 現場までの送迎費用 2,000 = ¥13,000 差し引くよ)

「危ない作業は、あいつらに・・・」

さらに、「寄せ場」で「シュラウド交換の作業員」の募集がなされていた実例を、私は聞いております。

まず、原子炉内部の「シュラウド」とは何かについては、https://www.tepco.co.jp/fukushima1-np/bnsh01-j.html
をご覧ください。一種のステンレス性の仕切り板なのですが、圧力容器内部にあるもので、この交換作業では確実に大量の放射線にさらされます。ところが1997年6月から1年ほど、福島第一原発の3号機で、そのシュラウドの交換作業が行われました。詳しくは、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89
を参照。

で、こんな危険な作業、ほとんどの作業員の方々はやりたがりませんよね。そこで、東京なら「山谷」や「西新宿」、大阪なら「愛隣地区」、横浜なら「寿町」といった「寄せ場」つまり日雇い労務に携わる方々の集まる地域で、シュラウド交換作業員を募集するビラを私も見かけましたし、寄せ場でボランティアをしていた友人たちからも「見かけた」と聞いております。そのビラを今まで保管していれば、ここで実物を証拠として紹介できたのですが ・・・

とにかく、そんな募集をせねばならない現状ですから、厳格な身元照会など行われるはずもありません!良からぬ意味での「手配師」が暗躍するような労働市場なのです。
そんな現状ですから、テロリストの回し者が原発に作業員として入り込む可能性は、否定できません。

この下のシナリオは、私の想像によるものです

この下のシナリオは、私の想像によるものです

内部サボタージュ+テロ組織によるドローン攻撃 → メルトダウン、という可能性

あくまで私個人の想像なのですが、内部サボタージュとドローン爆弾攻撃を同時に行えば、テロ組織が原発でメルトダウンを引き起こすことも可能だと私は見ております。
そうした「最悪のシナリオ」を説明しますので、「それは、単にHeedayの思い過ごしだ」とおっしゃる方は、シナリオの問題点をご指摘くださいませ!
yadokari_ermite*yahoo.co.jp (<– * を@に置き換えてください)
まで!

無論、このシナリオのような事態が決して起こらないことを願って書いております!厳密なテロ対策に要する労力や資金がばかにならないことも、原発の再稼働や新設の前に充分検討していただきたいものです。

実際にメルトダウンを引き起こした条件

この「やかんをのせたら~~」のページ d-2) (上の黒いメニューで、クリック)に、加圧水型原発と沸騰水型原発のメカニズムを説明する略図があります。どちらも、熱源となる原子炉と、その熱で水を蒸気に変える「冷却系」(要するに、水を沸騰させる「ヤカン」)、その蒸気でタービンを回して発電する発電部分という3つの主要部で構成されています。

この冷却系では水を移動させるわけですから、ポンプがあります。ポンプを稼働させるには、そのための電源が必要です。たいていの原発では、この電源は発電所の外部にある送電グリッドから引き入れています。(「外部電源」)

この外部電源が何らかの理由で途絶えると(station blackout と呼んでいます)、ポンプが動きません。すると、原子炉が過熱してしまいますよね。原子炉に制御棒はありますが、核分裂を止めてもすぐに原子炉内の核燃料が冷えるわけじゃ、ありません。さらに、多くの原発では使用済み核燃料を冷やしながら保管している「プール」があって、水のなかに使用済み核燃料を入れています。この水も冷却しないと、蒸発してなくなっちゃいますよね。そこで原発には、ディーゼル発電機その他の非常用発電装置も用意されています。

福島第一のメルトダウンの場合、広く報じられている原因として、
1) 同原発に外部電源を供給していた送電塔が、地震で倒壊
2) 直後の津波で、非常用発電機器も動かなくなった
→ 3) Station blackout
4) 原子炉を冷やせなくなった
5) 各種の緊急冷却をトライしたが、原子炉内の過熱で核燃料がメルトダウン
というプロセスが知られていますよね。
つまり、分厚いスティールなどでできている原子炉そのものを破壊する必要はどこにもなく、外部電源をすべて遮断してしまえば、原子炉内でメルトダウンが発生しうるわけです。

つまり、テロリスト組織が次の2条件を同時に満たしてしまえば、人為的にメルトダウンを発生できる、ってことになりますよね?
a) 外部電源の原発への供給を遮断する
b) 非常用発電機器類も破壊する

Blackout!

Blackout!


最悪のシナリオ

ですから、テロリスト組織が人為的に原発のメルトダウンを引き起こしたい場合を想定すると、

まず上記のa) については、今や送電塔を倒壊させる必要はありません。(*)  鉄塔で電線をつないで送電している限り、ドローン爆弾で充分なはずです。該当する電線をドローン爆弾で破壊してしまえば、それで事足りるのですから。

ドローンに爆薬を搭載した爆弾の危険性については、たとえばアメリカの 911 Securityというドローン検知ソフトウェアの会社のウェブサイトをご覧ください。
https://www.911security.com/blog/drones-are-a-looming-domestic-terrorism-threat/
から抜粋してみますね:

So far, roughly a dozen Iraqi soldiers have been killed by bomb-carrying drones —

— Today’s drones can carry a payload of about the weight of a grenade or a handgun, but the technology will develop quickly and before long they will be able to carry 10 or 12 pounds, more than enough to wreck havoc at a crowded concert or sporting event.  —

(私の日本語化 — 今までに、イラクの兵士10数名がドローン爆弾で殺害されている ・・・
・・・ 現在のドローンで搭載できる荷重は、手りゅう弾やけん銃程度のものだ。だがドローン技術は急速に発展しており、近年中には10から12ポンド(5kg前後)を運べるようになるだろう。それだけの爆薬があれば、混雑したコンサートやスポーツ イベントなどを充分に壊滅できる。・・・)

(*) なお、何者かが送電鉄塔を人為的に倒壊させた事件の実例として、1998年2月の「坂出送電塔倒壊事件」があります。詳しくは、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E5%87%BA%E9%80%81%E9%9B%BB%E5%A1%94%E5%80%92%E5%A3%8A%E4%BA%8B%E4%BB%B6
をご覧ください。

上記の条件 b) については、原発内部職員の中にテロ組織がエージェントを紛れ込ませ、そのエージェントが緊急用発電機器類などを破壊してしまう可能性があるはずです。

* 実際、2021年4月にはTEPCOの柏崎刈羽原発のテロ対策に不備が多数発見されたと、
日本語メディアの多数で報道がありました。たとえば、
東電 柏崎刈羽原発 核燃料移動禁止の処分 テロ対策に重大不備 | 各地の原発 | NHKニュース
を参照。
さらに同年9月には、同原発の7号機で火災警報器の問題も発覚しました。たとえば
柏崎刈羽原発 火災感知器に不備 – Yahoo!ニュース
を参照。

あるいは、Stuxnetのようなウォーム(この「やかんをのせたら~~」のページ d-4) 参照)を使ったサイバー攻撃で、緊急用発電装置を使用不可能にすることも、可能なのかもしれません。これについては、Stuxnetなどに詳しい方々のご教示をお願いいたします!

この3つを同時にやらかしたら~~

この3つを同時にやらかしたら~~


いずれにせよ、上記をまとめるなら、どこかのテロ組織が暗躍して、

・ 原発に外部電源を供給している送電塔の該当する電線を、すべてドローン爆弾で破壊
・ 原発内部では、そのテロ組織のエージェントが原発職員になり、緊急用発電機器類をすべて破壊(自爆テロなど)
・ そうしたエージェントの誰かが、Stuxnetのようなウォームを原発の管理コンピューターに入れてしまう

この3つを同時に実行すれば、この原発がメルトダウンを起こす可能性は否定できませんよね?

もちろん、私はそんな事態が決して起きないことを願っています!

だからこそ、ここに上記のシナリオを描いているわけでして。しかし、対策を講じるには
原発への外部電源供給を行う送電系統を、すべて地下ケーブルなどに変える
原発作業員などの募集や採用、雇用条件などを大幅に改善する
といった措置が必要でして、かなりの労力と経費が掛かります。

いったい、もし原発が単に「電力のため」にあるものなら、そこまでして発電をする必要がどこにあるのでしょうか?火力発電所のほうが、全体としては安上りですし。太陽光や風力のコストも、大幅に下がっていますし。

それでも「原子力」にこだわる政府があれば、やはり「裏の理由」つまり「核の潜在的抑止力」があると見るべきでしょう。

では、次回のページからは新しいシリーズ「Go nuke, go broke」(原発事業に手を出して、倒産しよう! → もちろん、皮肉ですよ!)に入ります。

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