d-13)(発電原理) U濃縮に要する消費電力

d-13)(発電原理) U濃縮に要する消費電力

2025年6月

2025年6月17日にHOMEに投降した
発電用燃料の製造に大量の電気が必要
なる記事で、IAEAのラファエル グロッシ
事務局長の発言の一部を紹介しました。

もう1回読むのかよ~
私の彫刻デッサン

Centrifuges at Iran’s underground
uranium enrichment plant at Natanz were
likely to have been “severely damaged if
not destroyed altogether” following Israeli
strikes —
Rafael Grossi of the International —- this
was a result of power cuts caused by the
attack, in which an above-ground plant
was “completely destroyed” and the elec-
trical installation sustained “almost total
damage”.
という箇所ですね。
underground uranium enrichment plant
なのに、above-ground plant was “comp-
letely destroyed” and — というのは、
どういうこと??と指摘、
U濃縮工場そのものが地下に ⇒
でも、濃縮には何百台(あるいは、
それ以上)もの遠心分離機を稼働させる
ため膨大な電力が必要 ⇒ 工場用の発電
施設を建設、それは地上に
という説明をしました。
この地上発電施設がたとえば石炭火力
だったりしたら、「原発はCO2を出さ
ない」などと言えるのか? という問題
ですね。

原発はCO2を出しません ~~
U濃縮などなどは??

具体的な数値が、見つからなかった

ただ、「数百台以上の遠心分離機」とか
「膨大な電力供給」などと私は申し
上げており、具体的な数値を挙げて
いませんでした。
単純に、具体的な数値を記載した資料
を見つけられなかったためです。
スイマセン。。

やっと見つけました!
GlobalSecurity.orgというウェブ
サイトにあるGas Centrifuge Uranium Enrichment
という記事です。著者名や日付が、
見当たりません。
その記事から、次の2か所をお読み
ください:

計算は苦手だ~~
私のかなり昔の15分クロッキー

About 100 – 120,000 SWU is required
to enrich the annual fuel loading for a
typical 1000 MWe light water reactor.
(私の日本語化: 現在の原発として
典型的なのは1000MWeの軽水炉だが、
それが1年間に必要とする核燃料を
濃縮するには、およそ10万から12万
SWUの濃縮作業量が必要だ。
* SWUとはSeparative Work Unitつ
まり同位体の分離作業量の単位です)

The specific energy consumption is —-
100 – 300 kWh/SWU foe gas centrifuge.
(私の日本語化: 現在のところ同位体
の分離技術として一般的なのはガス
遠心分離だが、その場合に必要なエネ
ルギー消費はSWUあたり100から
300kWhだ)

これで、軽水炉1基を1年間稼働させる
だけのU濃縮を行うための、現時点
での平均的なエネルギー消費量を計算
できますよね。

小さく見積もって、
100,000 SWU x 100 kWh/SWU =
1,000万kWh

これは年間ですので、24 x 365 = 8,760
(hour) で割ってみると、
およそ 114万W/h
大きな数字なので言い換えると、
1,140 kW/h
一般家庭の消費電力とは、異次元な
電力消費だとお判りでしょう。
よく家庭で使う電気ストーブが
1 kW/h程度ですから、それ1,140台
相当。
やれやれ~~

まあ、さらに遠心分離機を改良して効率
を上げることはできるでしょうけど、
それにも限界があります。
たとえば:
家庭でよくある遠心分離機といえば、
洗濯機の脱水装置ですが、あれでもよく
「ガタガタ」と振動を起こしますよね?
遠心分離機を大型化すれば確かに効率
は良くなるのですが、「ガタガタ」を
どうするのでしょうかねえ?

タワーマンション並み高層遠心分離機
逃げろ~~

\(;; > O<) / じゃあ、その濃縮工場への
電力供給も原発でやれば「原発はCO2
を出さない」って言えるじゃないか!?
・・・ そんな反論もありますが、
そしたら必要になるU燃料の量が
増える ⇒ 結局、濃縮をもっと
やらないといけなくなる
というだけのことですよね。

これ以外にも、核発電は電気を喰う

U濃縮だけでも、上記以外にUの
搬入出、UF6への「転換」、濃縮後の
UF6のUへの「還元」、遠心分離機を
制御するコンピューター システム
・・・ これらもすべて、電力を必要と
しますよね。
U濃縮以外にも核発電が大量の電気を
喰う、ほんの数例として:
・ SMR(上の黒いメニューで s-1)
参照)などを除けば、冷却材を循環
させるために電動ポンプが必要、使用
済み核燃料もプールなどで冷却せねば
ならず、電力を喰う
・ そうした炉内核燃料並びに使用済み
核燃料の冷却は、発電稼働をしていない
時でも必須(黒いメニューの下の方、
付録 w-15) 参照。放射性物質は、
何もしていなくても崩壊熱を発します
のでね)

よく考えると、もっと
本質的な宿命が ・・・
私のソフトパステル練習

しかし、このU濃縮に要する消費
電力の大小という問題からも、
「核発電の宿命」と呼ぶべき、解消
不能のディレンマが窺えます。過去
の事実として、核発電は「核兵器
製造の申し子」なので、その
ディレンマは避けられないのですね。
それについては、次回アップロード
予定のページ d-14) をお待ちくだ
さいな。

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