Beyond Nuclear Bulletin
2023年October 12 号より
Russia and US to spar over nuclear
test ban treaty?
(ロシアとアメリカ、核実験禁止条約で
いがみ合い)
October 11 2023
Russia and US to spar over nuclear test ban treaty? – Beyond Nuclear
1991年12月に旧ソヴィエト連邦が解体
されて以来、世界は核戦争の脅威は
緩んだものと錯覚してきましたよね。
その間もインドVSパキスタンの「核の
にらみ合い」は」続いていましたし、
中東では核開発の疑惑は持たれ続けて
いました。
最近になって、イランのU濃縮、北朝鮮
の核武装、ロシアのウクライナ侵略 ⇒
核兵器を使うぞという脅し、イランに
対抗してか? サウディのU濃縮計画
・・・ と核の脅威は再度目に見えて
表れてきています。
そうした状況に関連して、ロシアと
アメリカがある種の核実験を再開する
つもりか?という記事です。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
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The Bulletin of Atomic Scientistsの
「終末時計」は現在、「深夜90秒前」
を指している。さらにロシアVS
ウクライナ、イスラエルVSガザなど
拡大の可能性をはらんだ戦争が進んで
おり、世界の緊張はうなぎ上りだ。
実際の爆発を伴う核兵器実験の再開を
警戒すべき時代になっているのだ。
だが、 (包括的核実験禁止条約
(Comprehensive Test Ban Treaty
Organization、CTBTO) でのロシア
議員が今年10月8日に発表したところ
では、ウラディミール プーティン
大統領はロシア議会に対して、
いったんは2000年に批准した1996年
の核実験禁止条約を今年10月18日
までに破棄することを検討するよう指示
した。プーティンによれば、ロシアが
その老朽化した既存の核兵器の実験を
始めるということではない、とのこと
だが、西側の軍事安全保障のアナリスト
たちの見方では、ロシアは地下核実験
プログラムを再開するつもりではないか
とされている。
ロシアからの反論によると、以前は
ネヴァダ核実験サイトであったネヴァダ
の核セキュリティ サイトやもう何十年
も前に使われていた核実験場で核実験を
再開しようとしているのは、アメリカの
方だという。アメリカ政府高官たち
からの応答では、核兵器の爆発実験の
禁止を廃棄する計画などない。ただし
アメリカ政府はCTBTに署名しては
いるものの、まだ批准してはいないの
だが。実際、アメリカのエネルギー省
(Department of Energy、DOE)では
その配下の全米にある研究所を動員して
ネヴァダの実験サイトで
「非臨界テスト」なる一連の地下実験を
2027年までに実施するつもりなのだ。
この地下実験ではごく少量の核分裂性
プルトニウムを使用してimplosionが
起こるかどうかをテストする。実際に
核爆発を起こすことは、ない。
<老朽化した既存の核兵器がまだ機能
できるのか否かを確かめるため、
爆発には至らない核兵器の試験が、
この非臨界テストです。またimplosion
とは、プルトニウム型原爆の内部にある
コアの中ではプルトニウムが急激に
圧縮され、ある程度以上の量であれば
核爆発を起こすことを言います。この
実験ではimplosionが起きるかどうかを
確認したいので、ごく少量のプルト
ニウムを用い、核爆発は起こらない
ようにするのでしょう> アメリカの
核兵器研究所が核弾頭がまだ有効で
信頼できるという検証を行わなく
なってから、もう30年以上になる。
アメリカの国立研究所では実際の爆発
実験ではなく、過去の核兵器実験から
収集したコンピューター モデルの計算
に頼っている。これは、現在の
thermonuclear核弾頭 <日本語でいう
原爆ではなく水爆の弾頭> は、あまり
にも破壊力が凄まじいためだ。
国連総会でCTBT の署名が始まった
のは、1996年9月のことだ。現在まで
に187 か国が署名しており、そのうち
178か国はこの核実験禁止条約を批准
している。言い換えれば、この条約は
まだ批准段階なのだ。特に「nuclear-
capable <核兵器保有能力がある>」
とされる44か国がすべてこの条約を
批准しないと、CTBTは効力を持て
ない。そしてその44のうち8か国は
今もまだ批准していないのだ。その
8か国とは、中国、インド、
パキスタン、北朝鮮、イスラエル、
イラン、エジプト、そしてアメリカだ。
核不拡散条約(Non-Proliferation Treaty,
NPT)に署名している諸国のうち、
CTBTをまだ批准していないのは、中国
とアメリカだけだ。プーティンの今回の
議会への指示も、中国やアメリカと
同じようにNPTのみに署名した国に
なろうというものだ。そうなると、
CTBTが最終的に批准される見込みが
弱まり、国連の定めた法が「効力を
有する」望みが小さくなる。そして、
核実験が再開されてしまう恐れが。
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核兵器や、本来それを作るための技術の
変形応用である核発電とがある限り、
核の脅威は消えることはありますまい。
私たち市民が、声を上げ続けませんと。