固定ページ p-3) をアップロードしました。
PB(M)R 用の燃料ウラニウムの濃縮率が 10% 近いことを紹介し、
それが proliferation risk を増大させてしまうことを説明しております。
上の黒いメニューで、固定ページ p-3) をクリック!
固定ページ p-3) をアップロードしました。
PB(M)R 用の燃料ウラニウムの濃縮率が 10% 近いことを紹介し、
それが proliferation risk を増大させてしまうことを説明しております。
上の黒いメニューで、固定ページ p-3) をクリック!
おまたせ、固定ページ p-2) をアップロードしました!
PBRつまりペブル ベッド型原子炉の安全面での問題を取り上げております。
確かにPBRは、メルトダウンはしにくいので、反原発勢力がメルトダウンばかりを
問題にしているなら、反対する理由は弱くなってしまいます。
でも実際には、メルトダウン以外の安全面での問題が ・・・
上の黒いメニューで、固定ページ p-2) をクリック!
お待たせしました、固定ページ p-1) をアップロードしました。
Pebble Bed Reactor (PBR) とはどういう原子炉なのか、どんな特徴があるのか、
短く説明しております。
それとあわせて、「メルトダウン リスクを軽減することで自動的に増大してしまう、
別のリスク」についても考察しております。
上の黒いメニューで、p-1) をクリック!
このところ、SMR や TWR の説明・問題指摘をする固定ページを作成するのに、
追われていました。
しばらく休みたかったのですが、社会情勢は休みを認めてくれないようです。
今度は中国の山東省栄成市(山東半島の先端あたり、黄海に面したところ)近郊に
ある Shidaowan原子炉事業で、中国核工業集団公司(CNNC)が自社開発のPBR
(ぺブルベッド型原子炉)の稼働を始めたと、Reutersが報じました。
2021年12月20日付の
中国、ペブルベッド型高温ガス原子炉が稼働 CNNCが開発 | Reuters
といった報道ですね。
そして。
例によって、日本語圏の反原発団体などからは、このPBRがどんな原子炉で、
どのような問題があるのか、聞こえてまいりません。
当然、「やかんをのせたら~~」で、以下の固定ページのシリーズ p-x) を
これから作ることになります:
(変更の可能性もあります。何卒、ご了承を。)
p-1) PBRの仕組み
p-2) PBRの安全性
p-3) PBRとproliferation risk
とりあえず、「序章」に当たるページ p-0) をアップロードしてあります。
上の黒いメニューで、p-0) をクリック!
では、p-1) をアップロードするまで、しばしお待ちくださいませ!
ずっと下の2021年9月28日と30日(ページ下の ß Older posts をクリック)でも取り上げましたが、どうもパキスタンがすでに保有している核兵器 150発に、アフガニスタンのタリバン政権が食指を伸ばしている恐れがあるそうです。
アフガニスタン国内ではご存じのように、いまもISISその他の反政府勢力があって、内戦が続いております。タリバンが核兵器を欲しがる動機は充分にありますが、もし核兵器が同国内に入った場合、国際的テロ組織の手にも渡ってしまう恐れもあります。
この重大な危険性について、少し紹介が遅くなってしまいましたが、今年(2021年)10月22日付でインドのビジネス新聞The Economic Timesが取り上げてくれていました。
ご存じのとおりインドとパキスタンは反目しあってきた歴史があるので、インドの日刊紙の報道にはバイアスがあるかもしれません。それでもThe Economic Timesは1961年の創刊以来ビジネス ピープルから愛読されてきた英語新聞であり、ビジネス日刊紙としてはThe Wall Street Journalに次いで世界第2位の発行数を誇っているそうです。
それで、何がそんなに危険なの?
私の20分クロッキーより
ではその記事を、私の抜粋・日本語化で。
元の記事は
International community worried over Pakistani nukes falling into Taliban’s hand – The Economic Times (indiatimes.com)
にございます。
(私による抜粋・日本語化。<> は私による補足)
パキスタンの核兵器がタリバンの手に入るのでは?と、国際社会が不安視
タリバンがアフガニスタンの権力を再度掌握して以来、以前の外交官たち、また軍事専門家たちは、パキスタン政府が崩壊してしまうのでは、という懸念を表明している。それは、タリバンが独自の核兵器開発プログラムを始める意図を表明しているからだ。そう語るのは外交問題の専門家、Fabien Baussartだ。
The Times of Israel紙のブログ記事で Baussart は、アフガニスタンとパキスタンの間の国境は穴だらけで、パキスタン政府を弱体化させる諸活動がさらに悪化してしまうと述べている。
Baussart によると、事態の展開について以前の外交官や軍事専門家たちが不安を表明している。パキスタンの政府にも軍部にも、イスラム過激主義を支持する勢力が入り込んでいるためだ。
タリバンは、独自の核兵器開発プログラムを進める意図を明確に表明している。核エネルギー担当のヘッドとして、Najeebullahというエンジニアを任命している。このシナリオが進んでしまうと、タリバンがパキスタンを実質的に支配した場合、約150発の核爆弾を掌中に収めることとなる。
このThe Times of Israelのブログにはさらに、パキスタンの核技術全般がオランダから盗み出したものであるとの指摘もある。<上の黒いメニューで固定ページ f-3) と f-8) の「闇に潜む核」 の箇所とを参照> さらにパキスタンにはタリバン支持者が大勢おり、国際社会はこの人類の存続を脅かす新たな課題に真剣なまなざしを向ける必要がある。
身が切り刻まれるような~~
私の20分クロッキーを切り裂いた実験
(中略)
Baussart によれば、「米軍がアフガニスタンからの撤退を急げば、この地域の不安定性が悪化してしまうと予想していた。パキスタンの安全が脅かされ、同国の既存核兵器の行方も怪しくなってしまう」 この夏の急な撤退により、タリバンがパキスタンの核ミサイルを手に入れてしまう恐れが出てきたと、アメリカの前国家安全保障顧問であったJohn Boltonも語っている。「パキスタンもタリバンが掌握してしまうと、同国をテロリストたちが支配することになる。 ・・・ つまり、150発もの核兵器がテロ組織の手に入ることになる」
また、最近の出来事を見ていると、タリバン支持者たちは英国の各施設のそばで疑わしい行動に出ている。タリバン支持者とみられるアフガニスタン国籍の人物が1名、スコットランドに母港がある原子力潜水艦に接近していたところが発見されている。これを受け、英国当局は警戒を強めた。その後、この容疑者Waheed Totakhylはその地域から出ていくよう命じられた。この出来事から、タリバンが核技術や核兵器を欲しがっていることが、強くうかがえる。
気分が悪くなった・・・
私の20分クロッキーより
(中略)
アフガニスタンが民主政権であったころ、パキスタンの政府などがタリバンと手を結んでイスラム過激派を支援してアフガニスタンを手に入れさせようとしていると、同政権は非難していた。こうした過激派、他宗教の人々を軽蔑している。アメリカの前国家安全保障顧問であったJohn Bolton によれば、パキスタン政府はタリバンの政権再奪取に直接的に関与しており、タリバンがパキスタンの既存核兵器を手に収めることはあり得ると、Fabien Baussart は述べているそうだ。
*********************
「それは確かに大問題だけど、日本の私たちに何ができるの?」という疑問が必ず生じます。
でも、カーンが核技術を盗み出したURENCOは核発電関係(ウラニウム濃縮)の企業であり、なにも核兵器を製造するビジネスでは、ありません。その技術が、結局は上記のような核兵器のテロリストへの拡散というリスクを招いてしまっているわけですね。
こうした事実を社会に発しし続ければ、今までよりも有効な反核発電・反核兵器の動きを展開していけるのでは??
そして、確かに時間はかかりますが、そうした動きが世界で高まれば ・・・
本サイト「やかんをのせたら~~」のフォーカスはあくまで、proliferation risk
(核兵器の拡散リスク)にあります。ただ、SMRやTWRの場合のように
「核発電推進勢力が社会に(例えばSMRの安全性/TWRの革新性)をアピールして
新規原発建設を進めようとしているのに、
(SMRの問題点/TWRの危険性)についての指摘が、日本語圏の反原発団体などから
聞こえてこない
という状況では、「やかんをのせたら~~」でも、「本業外の」原子炉事故の可能性、
「新型」原子炉の仕組み・特性などについて、短く取り上げざるを得ないですよね。
(上の黒いメニューで、固定ページの s-x) や tw-x) を参照)
日本の反原発団体の皆さん、もっとしっかり情報発信をしてください!
そして、SMRやTWR以外にも、日本語圏で反原発団体からの問題指摘があまり
聞こえてこない事項がございます。
desalination (海水の淡水化)ですね。
世界人口はまだ増加を続けており、同時に安全な淡水の量は
過剰消費や汚染などのため減少を続けております。
もはや水不足は中東やアフリカだけの問題ではなく、
日本も含めた全世界の問題ですよね。
そういう機を見るに敏感なのが核推進勢力でして、原子炉の
熱/電力を利用した「淡水化」を、既に原発のセールス ポイントの1つ
として売り込んでいます。
付録 w-2) では、この「核による淡水化」について、短く問題を指摘して
おります。「付録」なのは、あくまで淡水化や水問題は私の専門外、
つまり「やかんをのせたら~~」のフォーカスから外れるためです。
上の黒いメニューの底の方にある 付録 w-2) をクリックして、
お読みくださいな。
固定ページ g-7) (ジャパン) をアップロードしました。
日本企業が非合法に輸出した精密測定機器が、なんと
カーンの闇の各ネットワークに渡ってしまっていた、という
「やらかし」の実例紹介です。
上の黒いメニューにある固定ページ f-8) を2020年に記した時点では、
具体的な日本企業の名称を私が忘れてしまっており、何を見ても
見つけられませんでした。
先日、NTI の2007年の報告書をインターネットで見つけ、
やっと思い出した次第です。
別に、そうした日本企業に対して私は何の悪意もないのですが、
発覚当時には広く日本語メディアでも報道された事件であり、
実際に裁判所で有罪判決も出ていますので、そのNTIの
報告書を抜粋・日本語化して紹介するべきだと考えました。
その意図は、何も特定企業を叩くことなんかじゃなくて、
核発電 ⇒ 核兵器の拡散 (proliferation) というものがある限り、
どこの国の企業であれ、こうした「闇の貿易」に関わってしまう
可能性がある、という事実を訴えたいのですね。
では、上の黒いメニューの中央よりやや下の方にある g-7) を
クリック!
広東省のタイシャン原発事故についても、長らく続報を待ち、ようやく続報があったので先日取り上げました。(上の黒いメニューでHome ⇒ 2021年12月6日)
もう1つ続報を待っていたもの、それがウィーンでのJCPOA再建交渉ですよね。
「JCPOAって、なに???」とおっしゃる方々は、上の黒いメニューで固定ページ f-4) の「JCPOA合意、しかし ・・・」という箇所をご覧くださいませ。
で、その核合意を再建しようとする交渉・会談がウィーンで続けられていて、今年(2021年)の5月から夏にかけては、本ウェブサイトでもそれに関する報道を紹介しておりました。
ところが。イランで大統領選挙があり、政権交代があったため、しばし会談が中断していたのですね。それがこのほど再開したので、交渉がまとまってイランの無謀なウラニウム濃縮が止まり、アメリカやロシアも核廃絶に向けて進んでいくことを願っていたのですが~~~
なんとまあ、交渉は決裂しそうです。どこの国であれ、いったんウラニウムの過剰濃縮など始めてしまうと、それを止めるのがいかに困難か。
私たちは、
他人を見るとウィルスに警戒し、
空を見上げては核ミサイルが飛んでこないことを願い、
その空の大気中のCO2などを憂いて、
生きていくしかないのでしょうか??
ずっと待っていたのに~~ああ・・・
私の20分クロッキーより
しかも現在、「原発はCO2を出さない」という短絡した誤認識(上の黒いメニューの下部で、固定ページの付録 w-1)を参照)から、あるいはヒョッとして “原発産業の世論操作” によるものか、SMRを世界に普及させようという動きすらあります。核兵器のproliferationはもう止められないのでしょうか?(上の黒いメニューの下部で、固定ページの s-0)から s-3)を参照)
なんだか泣き言を言っちゃってますが、とにかくまずは、ウィーンで何があったのかを知りましょう。
The New York Timesの今年12月3日付の記事から、私の抜粋と日本語化で紹介しますね。
紹介文中の<>の中は、私による説明です。
元の英語記事は、下記にございます。
https://www.nytimes.com/2021/12/03/world/middleeast/iran-nuclear-negotiations-europeans.html
Dec. 3, 2021
空虚だわ ・・・
私の20分クロッキーより
(私による抜粋・日本語化)
<イランとの核合意の再建を目指した>ウィーン会談で、イランの強硬派新政権が主張している姿勢は2015年の<本来の>合意内容と食い違うものだと、ヨーロッパ諸国の交渉担当代表者たちが語る。
記者 Steven Erlanger
ブリュッセル発 — 2015年の核合意を再建しようと願う西側諸国の交渉官たちがこの金曜日<12月3日>に述べたところによれば、イランの強硬派新政権が既存の合意草案に対する容認できない変更を主張しており、しかもその一方でイラン国内の核開発プログラムは予定通り進めている。
ウィーンでの5日間にわたる会談の後、参加していた英国、フランス、ドイツの交渉担当官たちが厳しく語ったところでは、イラン新政権が急速に姿勢を変えない限り、交渉が成功を収める可能性はほとんどない。今回の階段は一旦停止され、参加各国は母国政府との相談に当たっている。来週、会談が再開する可能性もある。
それら3か国の交渉官たちの共同声明によると、「5か月以上間に、イランはこの交渉を中断した。そしてそれ以降、核開発プログラムの方を加速している」 「今週、イランはこれまでの外交の進展を逆戻りさせた。何か月もかけて困難な合意点を練りだしたのに、そのほとんどすべてをイランは無視している。草案への根本的な変更を求めているのだ」 それら交渉官たちによれば、そうした変更を加えるなら、この草案は無駄なものと化してしまう。すでに70から80%完成していたのに、である。
イランが言うには、JCPOAつまり「包括的共同作業計画という正式名称の2015年の合意に復帰したいと、同国も願っているそうだ。だがヨーロッパ諸国代表によると、イランからの提案の一部はこの合意と食い違うだけでなく、同合意の規定を「踏み越える」ものだという。
それら3か国の交渉官たちによると、「イラン側の提出した草案で、そうしたギャップを、現実的な時間の枠組みの中でどのように埋められるのか、それがはっきりしない」 欧州諸国の政府は「外交交渉を進めることに努めているのだが、時間がもうなくなりつつある」
“Argument I” (口論 I)
私のオイルパステル作品より
<中略>
イランは既にウラニウム60%濃縮を開始しており、この濃度のウラニウムには民生用用途はないと専門家たちは述べている。あと1か月程度もあれば、イランは原爆レベルの核燃料を製造できるのだ。
イランは、核兵器を製造する意図はないと主張している。だが同時に、国連の核査察機関であるIAEAがイラン国内の重要な核施設で2015年の合意で認められている施設に入ることは、拒否している。IAEAが査察できるイランの核施設は限られているが、地下深くにあるフォルドウ核複合施設には最先端の遠心分離機が導入されているものとIAEAは判断している。そこで、2015年の合意では禁じられているウラニウム濃縮を行っているようだ。
<2018年に>トランプ前大統領のアメリカがこの核合意から脱退したのだが、その後しばらくはイランも制約を順守していた。他の加盟諸国が何とか解決策を見つけてくれると期待していたのだ。だがアメリカの脱退から1年が過ぎると、イランの堪忍袋の緒が切れ、2015年合意の制約を破り始めた。現在では同国は濃縮ウラニウム2.3トン以上を保有、これは合意の下で認められている量の約11倍に当たる。今やイランは気化ウラニウムを金属に転換しており、これは原爆製造のための重要なステップである。
“Argument V – Logophobia”(口論V ・・ 言語恐怖症)
私のオイルパステル作品より
<中略>
イランの交渉担当官たちによれば、ウィーンで合意を締結したいと望んではいるのだが、先に脱退したアメリカが最初に行動を示すべきだという。イラン側は経済制裁のすべてを解除するよう求めており、しかもそれは核開発プログラムに対応した制裁だけではなく、中東地区での紛争へのイランの関与に関する懲罰的制裁も含む。イランが近隣諸国に攻撃を加えたことに対する制裁も、解除せよというのだ。そうした解除が実現して初めて、イランは核開発プログラムを中止するという。
<中略>
<アメリカの国務長官>ブリンケン氏は、イスラエルのナフタリ ベネット首相からの「イランが脅迫行為に出ている以上、ウィーンでの交渉も打ち切るべきだ」という呼びかけを却下している。
「極めて近い将来、おそらく明日あたりには、イランにこの交渉をまじめに進めるつもりがあるのかないのかを判断できるだろう。正直に言って、ここ数日のイランの動きや言葉遣いを見ていると、あまり楽観的に眺めることはできない」と、ブリンケン氏は語った。
************
別に私は、イランもアメリカも、特定国や特定集団を嫌ってはおりません。
核兵器や放射線は、人種や民族、国家の境界を無視してすべての生命を痛めつけ、
あるいは破壊してしまうからですね。
とにかく、イランとイスラエルが核兵器をお互いに向けて睨み合い、そこにサウディ アラビアも加わる ・・・ なんてことだけは、回避できることを祈っています!
次回のアップロードは、また固定ページです
上の黒いメニューの中央あたり、固定ページ -8) で
「このカーンの「闇のネットワーク」は世界的に広がっており、実際に機器類などの製造や配送に関わった国々は13にのぼっていたそうです。Geleskulさんはその13の諸国を名前で列挙してくれています。ドイツ、スペイン、イタリア、リヒテンスタイン、マレーシア、UAE、パキスタン、韓国、シンガポール、トルコ、スイス、南アフリカ、そして日本。」
と記しました。
この「日本」でだれが関与していたのか、固定ページ f-8) を記した2020年の時点では、私が忘れてしまっていたのですが、昨日(2021年12月7日)NTIの2007年の報告書で
この問題を取り上げたものを見つけました! 忘れていた記憶が、よみがえりました!
その報告書を紹介しますが、例によって準備が必要なので、しばしお待ちくださいな。
この「やかんをのせたら~~」では、今年(2021年)の6月21日にタイシャン原発の燃料棒破損事故について、CNNの報道を日本語化して紹介しました。上の黒いメニュー内の左上、Homeをクリック ⇒ 右端の「アーカイブ」で2021年6月をクリックすると、「CNNによれば、・・・・」というタイトルが登場するはずです。それを、クリックなさってくださいませ。
で、それ以来先週まで(今日は、2021年12月6日)、ずっとこの事故の続報を待っておりました。このあたり、報道に携わる方々には、こうした重要な出来事に関しては継続的な報道をお願いしたいものです。(タイシャンで大量の放射性物質が漏れ出た場合、東北東に向かう強い風が吹いていれば、台湾も被害をこうむりますし、那覇あたりだって影響を受ける恐れはありますからね)
やっと聞こえてきたわ~~
私の20分クロッキーより
で、半年近く待っていた続報、やっと聞こえてきました。でも、その待っていた間に、フランス政府は原発の新設を再開することを決めたりしています。そのフランスの「元AREVA」つまりORANO社(持ち株会社)の関連企業が、このタイシャン原発の建設や運用に携わっているのですが。
それでは、そのタイシャン原発の燃料棒破損に関する近日の報道例から、抜粋・日本語化して紹介しますね。
Vision Timesという中国の週刊新聞のウェブサイトに、元の英語記事があります。
70-Plus Nuclear Fuel Rods at China’s Largest Reactor Taishan Damaged by Possible Design Flaws: Whistleblower – Vision Times
Arina Wangという記者の方による記事で、2021年12月2日付のものです。
(私による抜粋・日本語化、なお今後は引用文中の私からの訳注は<>で示します)
中国とフランスが合弁で所有している中国のタイシャン<Heedayより注釈: 香港から西に150㎞程度>にある原発は、この8月に核燃料の漏出事故を起こしたとの報告を受けて停止している。「放射線の脅威」が発生する恐れがある、とのことであった。
中国南部の広東省にあるこの原発の運営に当たっているのは、 中国广核集团(China General Nuclear Power Group)とフランス国営の<電力会社である>Electricite De France (フランス電力、EDF) とである。
Commission de Recherche et d’Information Indépendantes sur la Radioactivité (放射能に関する調査および情報提供の独立委員会、CRIIRAD) <というフランスの放射線関連の環境保護に努める独立系NGO> は、<1986年の> チェルノブイリ大災害を受けて結成された団体だが、そのCRIIRADがフランスの核安全当局に告げたところでは、ある内部告発者がCRIIRADに接触、今回の核燃料漏れの原因として考えられる問題を知らせてくれたそうだ。
さらに中国の核発電当局は<今年の夏に> 約5本の核燃料棒が破損していたことを認めたが、上述の内部告発者がフランスの国営放送局であるRadio France Internationale に告げたところによれば、実際に破損していた核燃料棒は70本を超えていたという。
・・・・ 中略 ・・・・
私の20分クロッキーより ~~ 下地が暗い色という「設計」だと、
モティーフを白などで描くことに必然的になります。
タイシャンの原子炉の設計上の問題
この内部告発者は、核発電業界の経験があるフランス国籍のエンジニアで、タイシャン原発については詳細な知識があると述べている。同エンジニアによれば、今回の燃料棒損傷の原因としては、原子炉容器内の圧力に関する設計上の問題がありえるとのことだ。さらにこの内部告発者によれば、この核燃料棒集合体に損傷が生じたのは「異常な振動」のためであった、という。
中略
CRIIRAD ではフランスの核安全当局と11月27日にEメールで連絡を取り、この内部告発者の通報内容を厳密に検討するよう依頼した。さらにCRIIRADでは、タイシャン原発でどのような事故が発生しても、EDFがフランス国内や<フィンランドのオルキリオトその他の>国外で建設中の原子炉にも影響があり得る、とも伝達している。*************************
最後の箇所、EDFが国内外で建設中ないしは建設しようとしている原発というのは、EPR(ヨーロッパでの名称がEuropean Pressurised Reactor)という種類の原子炉で、基本的には加圧水型軽水炉(PWR)です。その最初に商用稼働したのが、今回の事故で有名になったタイシャン1号(2018年12月に稼働開始)です。
ヨーロッパではフィンランドのオルキリオトとフランスのフラマンヴィルに建設中ですが、予定より大幅に遅れており、経費が見積もりを大きく上回っています。
そこに、今回の「設計上の問題か?」との報道があったので、政府が原発の新設を再開することを決めたフランスでは、騒ぎになっている様子です。たとえば、フランス語のnucleaire taishan chine でネットを探してみてください。フランス語の近日の記事が、アレコレすぐに出てくるはずです。
「CO2削減だ!」⇒ 「やっぱり原発を!」という短絡をやらかしてしまうと、国全体での、さらには国際的な騒ぎになりかねない、という実例ですね。
それを、日本語のメディアが少ししか取り上げていないのは、いったいなぜ~~?
「でも、原発はCO2出さないんでしょ?」とお考えの方々は、上の黒いメニューの底部、固定ページの付録 w-1) をご覧くださいな。
日本語でも報道されているように、GE Hitachi がカナダ最大の都市トロントの
近郊に SMR を新設することになったそうです。
新設予定の原子炉は同社が開発を進めてきた BWX-300 という SMR で、
同社の関連ウェブページなどを見ると、思った通りパッシヴ セーフティー
(人間が介入しなくても、自然に安全性を保てるとされている仕組み)などを
売り物にしています。
ですが、
・ どうも、そのパッシヴ セーフティーの仕組みについて、
BWRX の場合での具体的な説明が見つからない。
・ 上の黒いメニュー内部の下の方にある固定ページ s-2) で Union of Concerned Scientists が公表している SMR の安全性に関する問題指摘を抜粋紹介しましたが、
そこで指摘されている問題点に関する対応策なり反論なりが、インターネットでは
見つけられない。
・ パッシヴ セーフティーはメルトダウンなどの防止に関する安全策ですが、
proliferation risk (核兵器につながってしまう危険性)についての言及は、
やはりネットでは見当たらない。
といった現状です。(2021年12月4日 JST 現在)
GEがYouTubeで公表しているBWRX-300紹介ビデオ
GE Hitachi’s Small Modular Nuclear Reactor The BWRX-300 Can Help Countries Meet Their Climate Goals – YouTube
も見ましたがが、上記の問題点はまったく解消しません。
そのビデオ中で Dahlgren さんとおっしゃるPrincipal Engineer (主任エンジニア)の
方が、
BWRXには、— like a LEGO Kit (LEGOのキットを組み立てるように)— 既存の
実証済みのテクノロジーを採用し、組み合わせている
という主旨の発言をしてらっしゃいます。
確かに、既存のものを組み合わせるなら、原子力規制当局による承認などは早く進む
はずですよね。ただ、逆に言うと、passive safety とはいっても、従来のテクノロジー
より本質的に安全性が向上するわけではないのでは?と、常識的に疑問が
生じますよね。
それとこのビデオを見ていてやはり気になるのは、後半でエストニアやポーランドでの
SMR導入も「ほのめかして」いることです。その主な動機はやはりCO2削減でして、
「核発電(原発)は、稼働中には炭素を排出しません」と、このビデオの8:15あたり
でも明確にうたっています。原文は Nuclear power does not emit carbon during operation
というもので、それはその通りなのですが、during operation つまり「発電中は」って
ことです。ウラニウム濃縮作業で消費する電力や、原発の外部電源などを無視するならば、ってことです。
核発電が本当にCO2を出さないのか、さらに希少資源である水を大量消費しないのか、
という問題については、すでに上の黒いメニューで一番下にある 付録 w-1) で短く
問題指摘しております。
日本の反原発団体の皆様へ、
CO2削減が全世界の課題 ⇒ 日本に限らずSMR導入が世界に広まりつつある、という
世界的潮流が見られるようです。
反核団体が世界的に連帯し、SMRの問題点を指摘するような動きを起こす必要が
あると私は考えているのですが、いかがでしょうか??