付録 w-16) 原発は激化した気候に 耐えられるのか?

付録 w-16) 原発は激化した気候に
耐えられるのか?

2024年4月

エール大学の
Can Aging U.S. Nuclear Power Plants Withstand More Extreme Weather? – Yale E360
より、一部抜粋要約

基本、読みたい方は上のリンク先をご自分
でお読みいただきたいのですが、アメリカ
のYale大学のE360というウェブ
マガジンですから、一人で全部読める方
は日本には決して多くはいないでしょう。

しかもこのウェブページの内容は日本
にも関わるものです ― 老朽原発を再稼働
・延命して2050年までに脱炭素化の目標
を達成しようと国家政府は考えているの
ですが、そもそも既に狂暴化している
嵐や夏の異常な暑さ、あるいは日本列島
周辺では最近頻繁化している地震などに
老朽化原発が耐えられるのか??

そもそも「原発はCO2を出さない」など
と単純に信じては困るってことは、上の
黒いメニュー(項目は基本、アルファ
ベット順)の終わりの方にあるページ
付録 w-1) w-3) w-8) でも申しました。

しゃーない、あれの使用期間伸ばそ

だからといって2050年までの脱炭素化
目標の達成には、今から新型原発を建設
してたんじゃ、間に合いません。30年は
要するでしょうからね。
なら、既存原発の延命を ・・・ という
発想なのですが、そうしたゾンビ―原発
は既に過激化しているハリケーンなどに
耐えられるのか??
するともう、脱炭素化のためには原発は
大した役に立たない ・・・

そんなわけで、日本にも relevantな
内容のE360ですよね。
そこで、一部だけ抜粋・要約して内容の
一部を紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの
補足説明です。

******************************
E360 DIGEST
2024年4月23日

Can Aging U.S. Nuclear Power Plants
Withstand More Extreme Weather?
(アメリカの老朽原発は、さらに過
激化する気候変動に耐えられる
のか?)

By James Dinneen
(アメリカのニューヨークをベースに
する、科学・環境問題のジャーナリスト)

洪水が襲ってきたらメルトダウンしますけど~~

<フロリダ州にあるTurkey Point原発の
写真があって、そのキャプション>
洪水に関する懸念のため、寿命延長の
許可が遅延されている

バイデン政権は気候変動への対応策での
目標を達成するため、アメリカの既存
原発の寿命延長に取り組んでいる。
だが、ある新しい報告によれば、激化を
続けている気候のなかで1970年代から
80年代にかけて建設されたものが多い
既存原発の安全性や稼働可能性を維持
できるのかという問題を、関連する
規制当局は検討していないのだ。

2020年8月10日、「デレチョ」と
いう強烈な嵐がアイオワ州を襲い、
同州のデュエイン アーノルド原発も
被害を受けた。最大風速が毎時130
マイル <約時速208㎞> に達し、
電力供給が途絶え、築50年になる
同原発の木製冷却塔 <冷却塔に
ついては、上の黒いメニューの終わり
近くにある 付録 w-12) を参照> が
倒壊した。そのため原子炉は自動的に
停止、冷却系の作動を続けるため
バックアップ用の発電装置への切り
替えが行われた。アメリカの原子力
規制委員会(NRC) の結論によれば、
同原発にも放射性物質漏出を防止する
ための複数の防御策があるので放射性
物質の漏出は防げたものの、この
原子炉はそれ以降、二度と稼働しては
いない。この原発は閉鎖される見込み
で、所有者もこの嵐による被害を修理
しないことを決定している。

こんなん、修理してられへんし

(中略)

アメリカにある今も稼働中の54か所の
原発は、外部からの各種の脅威に耐え
られるよう設計されてはいる。そうした
脅威としては、記録にある歴史上の事実
から考えられる最も熾烈な気候関連の
イベント、あるいはそれを凌ぐほどの
過酷なイベントも想定してはいる。
だがほとんどの原発は40年以上も昔に
建設されたもので、最近の調査によれば
そうした原発は、気候変動の結果発生
する未曽有の災害に対しては脆弱である
恐れがある。だが一方で、化石燃料から
の排出を抑えるためには核発電が必要だ
と主張する専門家も多数いるのだ。

中略

デュエイン アーノルド原発の実例が
示すように、嵐のため原発に損傷が生じ
たり電源供給が途絶えたりして、原子炉
の冷却に必要な安全関連システムを作動
させるためバックアップ用電源装置に
切り替えねばならなくなる可能性が
ある。火災が発生した場合にも損害が
生じたり、作業員が現場に入れなく
なったりする場合がある。また極端な
暑さが来れば、原発内の冷却系で使用
している冷却水の温度が上昇して
しまい、発電の出力を低下させざるを
得なくなる場合もある。<実際に、
ヨーロッパで発生した問題です。実例は
付録 w-10) 参照>  あるいは干ばつ
が発生すれば、冷却水そのものの供給
が不足してしまう。さらに原発の多くは
冷却水を得るために水路や海岸近くに
立地しているのだが、洪水被害に
見舞われやすいことになる。

水が遠いと冷却しにくい
水が近いと洪水が

中略

多くの原発がその設計寿命の終わりに
近づいているのだが、それらを今後
どうするかという議論が再燃している。
Beyond Nuclearという反核団体のPaul
Gunterの主張によれば、気候関連の
災害での脆弱性が改善されていない
以上、NRCは一部の原発の稼働期間
延長許可を拒否すべきだ。そうした原発
の例としてヴァージニア州のノース
アナ原発があり、この原発に関しGunter
は洪水に伴う危険に関するGAO
<アメリカの政府説明責任オフィス、
Government Accountability Office> の
報告書の指摘問題を根拠とするつもり
だ。その報告書によれば、アメリカの
原発のおよそ2/3は洪水の危険性の
高い地域にある。

Beyond Nuclearならびにシエラ クラブ
の支部はさらに、サウス カロライナ州
にあるオコニー原発を閉鎖すべきだと
いう主張の根拠としても、気候変動を
挙げている。過去何十年か、NRCの
内部告発者たちはこの原発の冷却系は
大型の洪水波に対して脆弱だと指摘して
きている。もっとも、そうした洪水が
発生するとすれば、川の上流にある
ダムが決壊するという極めてまれな
事態が発生した場合のことだが。この
指摘をした内部告発者たちの一部は、
NRCから報復行為を受けたと言って
いる。同原発の稼働事業者であるDuke
Energy 社は冷却系の洪水からの防御を
改善させてはいるのだが、オコニー原発
の閉鎖を求めている団体などによれば、
Dukeは気候変動のためダムに障害が
発生するリスクが増大しているという
問題を検討に入れていない。さらに、
今までに施した改善措置も不適切なもの
であるそうだ。Duke Energyの
スポークスパーソンが言うには、
「新たな情報が入ってきているが、
それによれば現存の規制や枠組み、
プロセスはこの原発のメインテナンスに
有効だと弊社では考えている」と
述べている。

たとえば、気候変動の影響でクマさんが核施設に侵入したら??
(ジョーダンではなく、1962年10月にアメリカのミネソタ中にあった空軍施設で実際に起きた事件です)

フロリダ州の南東部海岸にあるターキー
ポイント原発でも、類似した問題指摘が
あり延長許可が先送りになった。2019
年にNRCは この原発の稼働を20年間
延長して良いとの許可を、いったんは
出した。だが環境保護団体が異議を
提出、この原発の稼働業者たちが気候
変動による問題を適正に検討していない
と主張した。Union of Concerned
Scientists <憂慮する科学者同盟>
で以前核の安全性を担当していたDavid
Lochbaumもこの動きに関与していたの
だが、稼働業者による海の水位上昇の
予測では、2033年に水位上昇が終わる
ものと想定していた。この年、同原発の
既存の洪水壁よりもわずか5㎝下にまで
海面が上昇することになっている。
「NRCはこのまやかし予測を受け入れ、
20年間の延長を認めたのだ」と、
Lochbaumは語っている。結局、2022年
にNRCはこの延長許可を一旦保留にし、
さらに検討を行うことに決めた。

「新世代の小型原子炉」といのは、おそらくSMRのことでしょうね。

今後何年かのうちにアメリカの原発施設
数十か所に対して、シャットダウンする
のか/稼働許可を延長するのか、という
審判が下される。あるいは、新世代の
小型原子炉に建て替える可能性もある。
この2月にアメリカの下院は、この種の
原子炉の建設要件を緩める法案を民主・
共和両党の賛成多数で通過させた。
建設された場合、この種の原子炉の多く
は温暖化した世界でこれから数十年に
わたって稼働することになる。だが
どのようなシナリオの場合でも、
アメリカの既存の原発は気候変動関連
の目標達成において重要な役割を
演じる。原発をそのために利用すること
になると考えられるだけの充分な理由が
あるのだ。

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もちろん、最後の個所は私の意見ではなくて、
著者であるDinneenさんの主張ですよ。
こうした主張にも耳を傾けて、そのうえで誤りを
指摘する反核勢力でありたいものです。
原発と聞いただけでその推進主張の根拠を
聞くこともなく、とにかく反対を叫んでいたのでは
「発作的反原発派」と呼ばれても、仕方が
ないですよね。

で、そうした冷静な姿勢で考えるなら、
proliferation risksというものがいかにdeadlyか
分かるはずなのですが。(たびたび参照をお願い
しておりますが、上の黒いメニューの終わり近く
にある 付録 w-4) の後半で、Al Goreさんの
インタビューを参照)

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