p-2) (PBR) PBRの安全性

まず、核発電推進勢力はこのところ、何かにつけて「新型原子炉」と声高に叫んで
らっしゃいますが、SMRにせよPBRにせよ、実は元の発想はかなり以前にあった
ものです。

PBRの場合について、英語版Wikipediaから短く抜粋しましょう。
Pebble-bed reactor – Wikipedia)(2021年12月31日更新)

The first suggestion for this type of reactor came in 1947 from Prof. Dr. Farrington Daniels at Oak Ridge, who also created the name “pebble-bed reactor”.[16] The concept of a very simple, very safe reactor, with a commoditized nuclear fuel was developed by Professor Dr. Rudolf Schulten in the 1950s.

(私による日本語化。<>内は、私による補充説明)
PBRというタイプの原子炉のアイデアが最初に登場したのは1947年のことで、
<アメリカの>オークリッジ国立研究所の教授であったFarrington Daniels 博士が
提唱したものであった。「ぺブル ベッド型原子炉」という名称も、この博士が考えた
ものだ。[16] さらに、大量生産できる核燃料を使った大変単純で安全な原子炉という
アイデアを考案したのは Rudolf Schulten 博士という教授で、1950年代のことであった。

Actually, 5 minutes of sleepy hands' work / 眠る手による、5分の作業
なんだあ~~~ そんな昔のアイデアじゃないか~~
私の20分クロッキーより

AVRという前例も

PBRに関しては、すでに実証炉の前例がドイツにありました。これも、上と同じWikipediaのページから見てみましょう。

(私による抜粋・日本語化)
Arbeitsgemeinschaft Versuchsreaktor (AVR という略称で、「実験原子炉
コンソーシアム」と翻訳できる) という<出力が>15 MWe の実証炉<純然たる商用炉になる前の段階の原子炉> が、<当時の西ドイツの>ユィリッヒ(Jülich)という 場所にあるJülich Research Centre に建設された。その目的とは、高温ガス冷却原子炉
<HTGR>の稼働経験を積むことにあった。この原子炉が初めて臨界に達したのは、
1966年8月26日のことだった。この実証発電所は21年間無事に稼働し、1988年12月1日に閉鎖された。これは、チェルノブイリ原発の大災害を受け、また稼働上の問題も発生したためであった。燃料の構成物を取り外していた間に、ぺブル ベッド炉心の下にある
中性子反射材に、稼働中にひびが発生していたことが明らかになった。そのひびの
中には、数百もの燃料構成物が詰まっていた。<上の黒いメニューにあるページ p-1) の「シロートでもすぐに見つけられる問題点」という箇所で指摘した通りです>
さらに検査を進めている間に、このAVRは全世界でも最もひどくベータ線汚染
(ストロンチウム90) された核施設であり、しかもその汚染は最悪の形態つまり
ダスト<「ゴミ」>による汚染であることが判明した。[17]

1978年には、AVRで水・水蒸気の侵入という事故が発生している。30トンもの水分で、そのためAVR周辺の土壌や地下水がストロンチウム90とトリチウムで汚染された。 [citation needed] 発電用蒸気発生器での漏水が原因で、おそらく炉心温度が上昇しすぎたことが原因であったと思われる。 ・・・中略・・・ この事故の再調査を地方政府が発表したのは、2010年7月のことだった。 [citation needed]

このAVRは当初、ウラニウム233とトリウム232の増殖も行う設計であった。
・・・中略。トリウム サイクルについては、また後日。・・・

このAVR は冷却剤としてヘリウムを使用していた。ヘリウムは、中性子断面積が
小さい。<原子核物理学の用語で、中性子線を照射したときに核反応が起こりやすいか、起こりにくいかを示す量です。この断面積が小さいと、核反応を起こしにくい>
つまり、ヘリウムはわずかな数量の中性子しか吸収しないので、ヘリウム冷却材は
放射性が小さい。実際、<炉心を直接冷やす> 一次冷却材 <つまりヘリウム> を、
発電用タービンに直接送り込んでも実用的なのだ。このAVRでも一次冷却材を発電に
使っていたのだが、原子炉作業員の被ばく程度は、平均的な軽水炉と比べ、1/5未満で
あったとの報告がある。 [citation needed]

あのツボ、毒蛇だらけや! 誰か、なんか詰めてくれ! 毒が大量にあると、ふさぐしかなくなりますよね。

あのツボ、毒蛇だらけや!
誰か、なんか詰めてくれ!
毒が大量にあると、ふさぐしかなくなりますよね。

上述の、部分による温度の不均一のため、原子炉全体がCs-137Sr-90でひどく
汚染された。そのため炉内を軽量コンクリートで充てんし、放射性のダストを
処理しようという試行がなされた。さらに2012年には、この2,100トンもある
原子炉容器を中間貯蔵施設に運び入れる予定である。<しかし> 今のところ、
このAVR容器を解体する方法はなく、今後60年間で何らかの解体手法を開発し、
21世紀終わりには解体を始める計画である。それまでの間、AVR容器を
中間貯蔵施設に運び入れたうえで、AVR原発の原子炉以外の建物を解体し、
土壌や地下水の除染を行う。AVRの解体コストは、建設費用を大幅に上回る
見込みだ。2010年8月にドイツ政府はAVR解体の新たなコスト見積もりを公表したが、
それには原子炉容器の解体コストは含まれていなかった。今のところ、6億ユーロ
<USD=115円として、862億50,00万円> (2006年時点での推定金額より、
2億ユーロほど増大) とみられている。これは、AVRが発電した電力1 kWhあたり0.4ユーロ<約52円、Euro = 130.8円として>に相当する。<通常、日本でのLNG火力
発電コストはkWhあたり13.7円程度と言われています> 原子炉容器の解体という
未解決の問題を抱えているため、解体総コストは10億ユーロを超えるものとみられる。
このAVRの建設コストは1966年の数値で1億1,500万ドイツ マルクで、これを2010年の
貨幣価値に変換すると1億8,000万ユーロに相当する。<やはりEuro = 130.8円として、235億円以上> 解体作業のために新たな格納設備が別途設けられ、これは
<このWikipediaのページにある> 写真にある。 [citation needed]
******************

なおこのAVRとは、1960年に建設されたPBRのプロトタイプで、1967年にはグリッドへの送電を開始しています。ケルンの西、Forschungszentrum Jülichという研究所に
ありました。

まず、私は確かに核兵器と核発電の廃絶を訴えておりますが、核発電推進派の努力で
改善点が認められる点については、それを認めて敬意を表します。
上の記述の中で、原子炉で働く方々の被ばく量が1/5ほどに減ったという箇所、
citation needed(典拠を示す必要)とあるので根拠が定かでないのですが
(2021年12月31日現在)、もし事実がその通りなら、これは軽水炉と比べPBRの改善点ですので、敬意を表します。原子炉で作業をされる方々の被ばくというのも、
深刻な問題ですからね。

20-min croquis / 20分クロッキー
「いいところは、いいと認めるよ。
でも、問題は ・・・」
私の20分ボールペン クロッキーより

しかし。上の黒いメニューにあるページ p-1) の最後で
************
シロートでもすぐに見つけられる問題点

でも、この模式図だけ見ても、以下の問題点はすぐに読み取れますよね。

  • 無数(たとえば、10万個以上)の“燃料ボール”を使うので、炉内の温度が均一に
    なるわけはない ⇒ こうした温度差で、原子炉壁に損傷が生じる恐れもあるハズ
  • ボールとボールの衝突や摩擦から、破片やパウダーといった「ゴミ」が発生する
    ⇒ ヘリウムの通り道がふさがれてしまう恐れがある
  • そうした問題から、炉内の壁に亀裂が走ったり、冷却ガス(ヘリウムなど)の
    循環が阻害された場合、火災や放射性物質の漏れなどが発生する
    ************

    といった「すぐに読みとれる」欠点を指摘しましたが、上のWikipediaの記載にある
    通り、現実にPBRを稼働させてみたら、そうした問題が実際に発生した、って
    わけです。

しかも、廃炉後の原子炉の解体方法がまだ見つかっておらず、21世紀末までに
何とか開発する計画だそうです ・・・

「新型原子炉に建て替えよう」という無責任

・・・ それからもお分かりのように、原子炉の廃炉には相当な経費も技術も要し、
作業員の皆様には危険も伴います。

ですから、日本の一部政治家の皆さんが最近、「旧式化した原発を、新型炉で
建て替えよう」と仰っていますが、

  • 廃炉作業のコストは??
  • 作業員の方々の手配や安全は?(寄せ場で「手配師」の皆さんが見つけてくる、
    なんてのはだめですよ~~)
  • その新型原子炉の将来の廃炉方法やコストは?

といった問題を取り上げながら、「建て替えよう」を言うべきですよね。ところが、
日本語メディアの報道を見る限り、上記3点への言及を、こうした政治家の皆さんは
していないようです。
やれやれ~~

で、ペブル ベッドはどうなったの??

で、ペブル ベッドはどうなったの??

で、ぺブル ベッドの問題に戻って ・・・

では、ぺブル ベッド原子炉の問題点指摘を、他の資料からも見ていきましょう。

Science in SocietyのArchiveより

少し古い資料なのですが、今でも充分に有効な問題指摘が、Science in SocietyというウェブサイトのArchiveにあります。2006年2月17日付の文章で、筆者はPeter Saundersという英国・オーストラリアの社会研究者の方です。

タイトルはSafe New Generation Nuclear Power?  The Pebble Bed Modular Reactor (安全な新型核発電だって? モジュール式PBRについて) というものです。南アフリカのEskomという企業が開発・建設しようとしていたものです。
Safe New Generation Nuclear Power? The Pebble Bed Modular Reactor (i-sis.org.uk)
その土台にあったのは、上述のAVRと、アメリカのコロラド州にあった「高温ガス冷却炉」(HTGR)でした。


なんだあ、何も「新型」じゃないじゃないの~~
私の20分クロッキーより

Pebble Bed Modular Reactorとは、簡単に言えばPBRのモジュール型原子炉ですね。「モジュール型原子炉」とは何かご存じない方は、上の黒いメニューでページ s-0) から s-3) をお読みくださいませ。

やはり、私が抜粋し、日本語化しますね。

(私による抜粋・日本語化)
・・・・(冒頭を割愛) ・・・・
Peter Bunyardが <このScience in Societyの1つ前の号> (SiS 27) [3, 4] で、核発電が
現代のエネルギー危機への解消策にはなりえないのはなぜかを、説明してくれている。
安全面での重大な問題があり、それらも無視できないのだが、温暖化ガスの排出量に
ついても、ウラニウム鉱の採掘や廃棄物処理といった核発電に関与する各種プロセス
全体を見れば、実は削減などほとんどできないのだ。さらに、核発電はせいぜい
一時的な措置にすぎない。これは、ウラニウムが石油と同じく限りある資源で
あるためだ。今日現在の使用量が続くと仮定しても、判明しているウラニウム
埋蔵量のうち採掘や精錬が経済的に行えるものは、21世紀末までに枯渇してしまう。
したがって、核エネルギーへの依存を大幅に増やすならば、それよりもずっと
早く枯渇してしまう。おそらくは、今後50年以内に。

・・・中略・・・

「で、PBMRの安全性は??」

PBMR<モジュール型PBR>の安全性は?

PBMRには、従来のPWR<加圧水型軽水炉>よりも安全性を高める特徴が、
いくつかある。重要なものとして、ペブル型燃料を使うことで、
<PWRなどよりも> 炉心の出力密度が大幅に下がり、しかもペブルの方が
燃料棒よりも表面積がずっと大きいため、熱を拡散しやすい。したがって、
冷却材喪失 <たとえば、福島第一で起きたように、冷却水(という冷却材)が
止まってしまう現象のこと> が発生しても、メルトダウンには至りにくいのだ。

PBMRの減速材 <中性子を減速させて、核燃料に衝突しやすくさせる材料。PWRや
BWRでは、軽水が冷却剤と減速材を兼ねる> は黒鉛であり、水ではない。そういうと、PBMRの安全性がPWRより劣るかのように思われる人もいるかもしれない。つまり、
冷却剤(PBMRの場合には、ヘリウム) を喪失した場合にも、減速材がなお存在
しているためだ。だが実際には、そうではない。原子炉が加熱するにつれて、
<核燃料に含まれている、非核分裂性の> ウラニウム238原子が中性子を吸収する
量が増大するのだ。このU238は核分裂せず、核燃料中にあって核分裂を起こす成分で
ある> U235に衝突する中性子が減ることになる。この特性が、水よりも黒鉛の方が
ずっと強い。(水の分子が中性子を減速するには、水分子と中性子の衝突が、黒鉛の
場合よりも多く必要になるためだ) このため、<原子炉内が高温になると> 核分裂の
連鎖反応が停止する。爆発の危険は、回避できる。

さらに、PWRはおよそ18か月ごとに停止させ、燃料を交換し、再始動せねばならない。 それに対しPBMRをメンテナンスのために停止させるのは、およそ6年に1回で良い。
<つまり、PBMRでは原子炉を止めずに核燃料を継続的に供給できる。> このため、
炉内核燃料の特性を一定に保つことができ、過剰な反応性を最小限に抑えられる。
だが、PBMRには安全性の面で未解決の問題がいくつかある。

燃料 PBMR 1基の炉心には、<ウラニウムを細かな砂粒ほどに加工した>
マイクロスフィアがおよそ50億粒ほど入っている。そのすべてを、かなり高い品質で
加工せねばならない。通常の稼働中に、こうした核燃料から核分裂生成物の放出を
防止しているのは、燃料粒を取り囲むコーティングであるからだ。以前、アメリカの
原子力規制委員会 (NRC) が、アメリカにPBMRを建設したいという申請を検討した
ことがあったが、マイクロスフィア内中心部にある核燃料を完璧に中央に配置せねば、
核燃料が粒の外部に漏れ出る恐れがあると指摘している。そうした事態に
ならないよう、きわめて精確に製造する必要がある。


結局、「実現できない安全性」ってことね~~
私の100分デッサンより

もう1つの問題として、炉内に入れるペブルのパッキングがある。炉内に入れた
ペブルが炉内でどのように降下・移動していくのか、予想も制御も困難である。
そのため、炉内各位置の温度が、中間値から大きく離れて分散する恐れがある。
ドイツのAVR原子炉の場合、燃料の最高温度が1 150 Cに達するものと予想していた
のだが、実際には1 280 Cを超えるホット スポットが多数個所発生していた。
これは、重要な問題だ。燃料ペブルのコーティングが、1 250 C で劣化を始めるからだ。現行の設計では、炉心内に装置を配備してはいないし、緊急用冷却装置も備えては
いない。

火災  PBMRの炉心には大量の黒鉛が入ることになる。だが黒鉛は400 Cで酸化を
始める恐れがあるので、この危険性は明らかだ。しかもこの酸化反応は550 Cで
自動的に継続する。どちらも、この種の原子炉の稼働温度よりもずっと低い。
さらに、水蒸気が炉内に侵入すると、危険な反応が発生する可能性がある。
炉内では高圧のヘリウムを使用しているので、空気や水分が黒鉛に接触する可能性を
削減してくれるのは、明らかだ。だが、その防止効果がどの程度なのかは、
今後の現実を見てみないと判らない。一例として、パイプが破損してヘリウム系の
圧力が低下した場合、空気が炉内へと侵入する可能性があることは判明している。
PBMRで火災が発生すると大変深刻な状況となる。PBMRでは <従来の軽水炉に
あるような> 格納構造物を想定しておらず、しかもPBMRの原子炉は送電対象となる
自治体の近隣に建設されるからだ。
メルトダウンが起こりにくいということで、軽水炉のような冗長な格納構造物が
不要とされ、しかも人が居住する地域の近くに建てられるはずだ、とPBMR推進
勢力は考えているわけですね。メルトダウンしにくい ⇒ こうした安全策の
“割愛” がなされる、というコスト削減のための安全軽視がまかり通ってしまう
危険性があるのですよ! 我々反原発勢力も、メルトダウンだけに関心を向けて
しまわず、多角的に安全面の問題を考えるよう注意したいものです

主要コンポーネントの信頼性 PBMRでは、従来の原子炉にはなかった新型の
コンポーネントをいくつか使用する。そうした新型コンポーネントが現実に
どのように機能するのかによって、安全性とコストの両方に大きな影響が生じる。

外部からの脅威  どれだけ完璧に設計し建設しても、原子炉は地震や航空機の衝突、
洪水、テロといった脅威にも直面しうる。PWRに関する論考では、その格納構造物が
頑丈で、こうした脅威に対抗できるという指摘が良く見られる。PBMRではそうした
格納構造物を想定していないが、PBMRに関する論考を見ると、こうした外部からの
脅威に言及していない。そうした脅威を感が手も誤解を招くだけだと、無頓着に
言い放ってしまっている。 ・・・ あと、省略 ・・・

「は逸出物」という問題も・・・

「排出物」という問題も・・・

廃棄物の管理

PWRであれ、PBMRであれ、その他どのような原子炉であれ、極めて危険な放射性
廃棄物を処理せねばならないことに変わりはない。地下の処分場に放射性廃棄物を
安全に保管しておくことは可能なはずだという、原則的な合意は広く存在している
ようだ。だがそうした処分場を実際に見つけるとなると、大変困難だ。アメリカは
ある1か所に着目しており、それはネヴァダ州のユッカ マウンテンという場所だ。
だがユッカが選ばれてから15年たった今も、使用は始まっていない。<この報告の
日付である2006年の時点での話です。すでに2009年にオバマ政権がユッカの廃棄場
計画を廃案にしています> さらにある推計によれば、仮に全世界に出力が1GWの
軽水炉が1000基稼働しているとすれば、ユッカ マウンテンの廃棄場計画に相当する
規模の廃棄場を、3年から4年ごとに1か所、新設していかねばならない。

PBMRのサポーターたちによれば、PBMRのペブル型核燃料であれば、燃料の
コーティングが使用済み放射性核種をかなり長期間燃料内に保ってくれるので、
使用済み燃料を扱いやすくなるはずだ。だが使用済みペブル燃料に何ら処理を
施さずともペブルが数千年にわたって崩壊などしないと仮定しても、<その
コーティングなども含んだ> 使用済み核ごみの総量は、PWRの場合よりもかなり
多くなってしまう。<PBMRを開発していた企業である> Eskomの主張によれば、
PWRでの使用済み核燃料はさらにパッキングをして処分場に送らねばならないが、PBMRではそれが必要ないので、各ごみの総量はあまり変わらないはずだ、という。
だがこれは実際にどうなるか、不明である。
*******************

「やっぱりね~~」(放射性廃棄物の捨て場がないことに、変りはない)

「やっぱりね~~」(放射性廃棄物の捨て場がないことに、変りはない)

さらに、Institute for Energy and Environment Researchより

Institute for Energy and Environment Research (IEER) という科学研究団体があり、
科学の民主化を目指して活動してらっしゃいます。本部は、アメリカのメリーランドに
あるそうです。

その理事長でいらっしゃるArjun Makhijaniという方が、有名なUnion of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟)との協力のもと、すでに2001年8月に、
The Pebble Bed Reactorという報告書を著し、PBMRの問題点を指摘してらっしゃい
ます。

The Pebble Bed Modular Reactor – Institute for Energy and Environmental Research (ieer.org)

そこから、やはり私が抜粋して日本語化しますね。

(私による抜粋・日本語化)
……(冒頭部省略)‥‥
アメリカは以前に、330MWの大型HTGR <PBRと同様にヘリウムガスなどを冷却剤と
して使うタイプの原子炉で、高温ガス炉という> を国内に建設した。コロラド州の
フォート サン・ヴレインという場所にある。この原発は商業的な失敗に終わり、
1989年に閉鎖された。稼働上の問題が頻発し、稼働できていたはずの期間のうち、
故障期間が60%を超えた。操業していたはずの期間での設備利用率は、わずか14.5%に
過ぎなかった。原発のようなベースロード電力を担う発電所は通常、設備利用率が
75%を超えるよう設計してある。PBMR推進者たちによるコスト推定では、
利用率90%を想定していた。

‥‥(中略)‥‥

PBMRの設計なら、確かに核燃料のメルトダウンは防止できるのだが、それでも
冷却材喪失に陥ると、深刻な放射性物質の事故を招く可能性がある。PBMRは黒鉛を
使用するのだが、ヘリウムという冷却剤が失われ、代わりに外気が侵入した場合には、
黒煙が火災を起こす恐れがある。さらに、ヘリウム系と <蒸気タービン用の>
水蒸気系の間の隔壁が破損する冷却材喪失の場合には、水蒸気と黒煙とが反応して
しまう危険がある。これが発生すると1酸化炭素と水素が発生、深刻な火災被害を
招く恐れがある。

‥‥(中略)‥‥

「この宅地、温泉が出るちゅう話やったがな!?」 「いえ、鉱泉が少し ・・・ 暖めたら、温泉は入れまんがな~~」 過剰な期待は、禁物ですね。

「この宅地、温泉が出るちゅう話やったがな!?」 「いえ、鉱泉が少し ・・・ 暖めたら、温泉は入れまんがな~~」
何事も、過剰な期待は禁物ですね。

<発電を変革してCO2排出を大きく減らすには、今後40年間で全世界に約20,000基のPBMRを新設することが必要になる、という試算を受けて> 20,000基ものPBMR原発のための燃料製造となると、年間およそ25兆粒ものマイクロスフィアを作らねばならない。どちらかと言えば新型の燃料であるこうしたマイクロスフィアを供給するうえで、
どれほどの品質管理をおこなえばよいのか、それがPBMRでの重大な問題となる。
それとの関連で、PBMR推進を指揮している企業の1つがBNFL<この報告書が発表
された2001年にはまだ存在していた、英国核燃料公社。2009年に解体> である
ことは、注目してよい。同社はMOXというPuとUの混合燃料を製造して日本に
送ったのだが、その一部についての品質管理データを改ざんしていた <ことが、
1999年に発覚した>。

最後に、PBMRからの廃棄物に関連して、いくつかの疑問がある。PBMRでは発電量
当たりの廃棄物の量は削減されようが、それでもなお かなりの量の放射性廃棄物が
発生することに変わりはない。当然、半減期の長い放射性ゴミをどうするのか、
という昔からの問題はそのままだ。さらに、PBMRで使用する燃料はカーボンならびに
シリコン カーバイドでコーティングされているのだが、それらが核ゴミ廃棄場の
環境とどう反応しうるのかについては、詳細な研究がまったくなされていない。

‥‥(以下、省略)‥‥

***************

事故との関連における安全面での問題ついては、もうこれで充分でしょ?

では次回は、「やかんをのせたら~~」の本来のフォーカスであるproliferation risk(核兵器につながるリスク)を、ようやく取り上げます。

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