2022年10月
まず、名称からすぐに言えること
High-Temperature Gas-Cooled Reactorという
名称から、強調点はガス （He） を冷却材に
使う点かと聞こえますよね。
確かに、そのためLWRの炉心から出てくる
冷却材 （軽水） よりも、HTGRの炉心から
出てくる Heはかなり高温です。その結果、
・ 原子炉の熱効率がLWRよりも良くなる
・ 高熱を利用して、発電と同時に水素の製造
（水の電気分解） も可能になる
という長所を実現できます。
ただし、この高温での稼働という特徴そのもの
が、安全性という面での問題点にもなりえる
ことは、常識的にお分かりだと思います。
それについては、次回 h-2) で短く取り
上げます。（常識的な問題
だから、短くてよいと思いますのでね）
雪道をプラットフォームで歩いたら危ないって、「じょうしき」でんがな～～！
もう1つの大きな特徴
これが、安全性との関連では実に問題に
なる点です。
燃料は確かに濃縮した 235 U なのですが、
これをLＷＲのようなペレットにはしません。
すでにPBRのページ （p-1））で示した
ように、一種の 「ボール」 のような燃料なの
ですね。
しかも、その中核にある235 U は、たとえば
TRISOと呼ばれる核燃料でして、大変小さな
ものです。説明をわかりやすくするために極めて
簡略化していってしまうと、極小の 「ウラニウム
粒」 の周囲を炭素 （グラファイト、減速材と
しても機能） の層で包んだボールです。
この特殊な核燃料のおかげで、核分裂
生成物が炭素のレイヤー内部に閉じ込められ、
たとえ事故があっても放射性物質が外に出ない
・・・ と、HTGR推薦勢力は主張しています。
（真偽のほどは、次回 h-2） で）
おまけに、炭素は溶けたりしにくいので、
核燃料のメルトダウンは難しい ・・・ という
売り文句なのですね。
新型マスクでっせ！
感染してても、ウイルスを外にまき散らしまへん！
「メルトダウンしにくく、熱効率もLWRより良く、
自動車などの新燃料になる水素も製造でき
ちゃう、新型炉だよ！」 ・・・
・・・ という宣伝文句で提唱されているわけ
ですね。
そのきわめて簡略化した構造を、前回にも紹介
しましたが、同じ略図で紹介しておきますね。
H2工場なし、発電のみの例
あくまで極端に簡略化した模式図ですよ。
H2工場がある場合の例
やはり、極端に簡略化した説明用略図です。
Prism型というのは、HTGRには燃料の形状に
よって２種類あって、
・ 「ウラニウム ボール」 を多数、炉心に順に
入れていき核分裂させるもの （これが、PBR。
ページ p-0） – p-3) で取り上げています）
・ 「ウラニウム ボール」 を従来のLWRの核燃料
と似た、プリズム型の6角形に固めるもの
（PMRと呼ぶ場合があります）
説明のための あほバカ漫画：
「たこ焼き飴」のガチャとスティック
「たこ焼き飴」という架空のキャンディーをネタに
ガチャ ・・ 多数の「粒」を容器（炉心）内で
核分裂させる場合。どの粒がどういう behavior
をするのかは、神のみぞ知りたもう。
スティック ・・ 多数の「粒」を集めて、
六角形の棒に固める。
実際、PBRの炉心を jokyにたとえ説明すれば、こんな感じ。無数の「粒」を上から入れていき、核分裂した粒を下から排出していきます。
PMR （Prism型）をたとえ説明すれば、こんな感じ。多数の「粒」を集めて固め、六角形（Prism）のスティックにします。
以上で、HTGRの大まかな構造と特徴は、
ご理解いただけたのでは？？
では次回 h-2) では、HTGRの 「売り文句」 が
謡う安全性が、どこまで本当なのか？を、UCS
(Union of Concerned Scientists) が公表している
“Advanced Isn’t Always Better” (Edwin Lyman,
2021年3月) から見てまいりましょう。
「h-2) がアップロードされるまで、待て
ない！！」 とおっしゃる方々は、ご自分で
ucs-rpt-AR-3.21-web_Mayrev.pdf (ucsusa.org)
をお読みくださいませ。
HTGRに関するページは、p.74からです。
そんなの読むの、やだ～～
私の点描練習