Add-3) (追加) 核技術や放射性物質の密輸、ジョージアでの実例

本ウェブサイトのページ f-3) や f-8) で、カーン博士の闇の核ネットワークに
言及しました。
それ以外にも核技術や放射性物質の密輸は行われているようで、5年前(2016年)の
報道ですが、ジョージア(グルジア)での密輸未遂の実例を紹介します。

1991年の「旧冷戦」終結でいったんは核兵器技術者や科学者の需要が減り、そのため金銭収入を求める「失業した核技術者や核科学者たち」が、密売に絡んでいることが大きな原因の1つになっているようですね。

ここから、私も含めた反核の立場の人たちが、学ばないといけないことがありますよね。
・ 核兵器も核発電も廃止すべきですけど、その解体や処分にも科学者や技術者の皆様が必要です。そうした「後処理」に当たっていただき、充分な金銭を得てもらうように、注意しないといけない。
・ 日立や東芝の実例が示すように、原発事業は大企業を破産させる原因になりかねないので、原発廃止はビジネス上も良いことなのですが、すでに倒産したり傾いている関連企業の元従業員などが「核密輸」などに手を出さないよう(テロリスト団体などが、高額で「売ってくれ」と言ってくる可能性は、否定できません)配慮が必要。やはり、「後処理」に当たっていただき、充分な収入を得てもらうようにする必要はある。
eurasianet, Maia Edilashvili, 2016年7月8日

(記事本文)
https://eurasianet.org/georgia-nuclear-smuggling-cases-raise-concern
↑ クリックすれば、記事本文のページに移動します。

(以下は、私による日本語化)

(写真下)
4月17日、アルメニア国籍の3名とジョージア(グルジア)国籍の3名とが拘留された。ジョージアの首都トゥビリシでウラニウム238を2億ドルで密売しようとした容疑だ。そのウラニウム238の入った容器以外にも別の容器があり、それにはセシウム137が収められていた。このセシウムをさらに別の3名が10万ドルで密売しようとしていたもので、その容器にはロシア語の表記があった。このセシウムは、1月中旬に押収された。(写真提供: ジョージアの諜報機関)

(本文)
トルコ国内でイスラム系武装勢力の活動に対する懸念が高まる中、トルコの東側で国境を接するジョージアの国境警備について、疑問が投げかけられている。

この6か月間で、ウラニウム238、235、セシウム137という3種類の放射性物質の密輸未遂事件が3件も発生しており、ジョージアの(核物質管理)についての憂慮が強まっている。その密売先はトルコだったのではないかと、という専門家たちもいる。

あちらから、何かにおうわね~~ 私の20分クロッキーより

あちらから、何かにおうわね~~
私の20分クロッキーより

そうしたケースのうち最初のものに対する法廷手続きは、7月8日に開始された。密輸未遂の容疑で告訴されている者たちは、有罪が確定した場合には、最長で10年間の懲役に服することになる。

運ばれていた放射性物質は、量としてはわずかだが、悪意的な意図で利用されると深刻な結果を招く危険性がある。ウラニウム235は核分裂性の同位体で、原子炉と原爆とで使用されている。ウラニウム238は核分裂性ではないが、プルトニウムという分裂性の同位体を造るのに利用できる。プルトニウムは、核兵器の主な構成物の1つだ。セシウム137は原子炉内の反応で生成される同位体で、ダーティーボムを作るにはもってこいの物質だ。

1991年の旧ソビエト連邦の崩壊以来、ジョージアは今まで核物質の密輸と戦ってこねばならなかった。

現時点でジョージアの刑務所には、放射性物質の密輸で服役しているものが24名いる。ジョージアの更生法務支援省によれば、そのうち18名はジョージア国籍、5名はアルメニア国籍、一人はロシア国籍だ。

そうした放射性物質がどのようにジョージアに運び込まれたのか、関係役員たちは詳細を述べようとはしない。同国の核・放射線安全庁のヘッド、Vasil Gedevanishviliは、コーカサス南部にある同国の警備の在り方は万全だと主張して譲らない。同氏がEurasiaNet.orgに述べたところでは、アメリカからの長期に及ぶ技術支援のおかげで、ジョージア国境警備隊は「放射線汚染地帯を自動車が1台通過して、そのタイヤ跡に放射性物質の痕跡が残っただけでも、検知できる」そうだ。

首都トゥビリシにあるアメリカ大使館では、国境警備とジョージア国内への放射性物質密輸の防止とを「最優先課題」としている。2006年以降、アメリカ国務省の輸出管理ならびに関連国境警備(Export Control and Related Border Security、EXBS)プログラムでは1,800万ドルを費やして「ジョージアが武器と平和利用の両方に使用できる資材や装置、技術で非合法な兵器のプログラムに転用されうるものの密輸や輸送を規制する能力を発展させ、またそれに関連した国境警備強化策を実施できるよう努めてきている」と、アメリカ大使館はEurasiaNet.orgに述べている。アメリカの国家核安全保障長と防衛威嚇緩和機関も、ジョージアの核密輸対策能力の強化に役割を演じている。

だがGedevanishviliをはじめその他のジョージア政府高官たちは、核物質や放射性物質の輸送容疑による逮捕がこのところ急増していることについては、質問にまともに応えていない。 トルコ南部やシリアやイラクの情勢不安も、そうした急増に影響している要因の1つに見受けられる。だが、密輸人たちの最終的な宛先がトルコであることには、ほとんど疑いはない。

「密輸人たちはイスタンブールという巨大市場で買い手を容易に見つけられると踏んでいるが、トルコ警察の目は節穴ではない」と、トゥビリシ州立大学で政治科学を研究するAleksandre Kukhianidzeは語る。彼の専攻は安全保障だ。

EurasiaNet.orgへの書式によるコメントで、在トゥビリシのトルコ大使Zeki Levent Gümrükçü は、トルコがジョージアと「密接に協力して」「大量破壊兵器の密輸」防止に取り組んでおり、「核物質や放射性物質の移送を防止するために「適切な措置を国境で配備」していると語っている。

「実施している対処策を常に再検討しており、継続的に必要な改善を実施している」と、Gümrükçü は記している。

今後5年間、アメリカのEXBSイニシアティブではジョージアとトルコ間ならびにジョージアとアゼルバイジャン間の陸上国境の警備に焦点を絞る。このプログラムではすでに、ジョージアの黒海沿岸で「輸送されている」大量破壊兵器ならびに関連資材を発見しやめさせるためのジョージア政府の能力強化に取り組んできていると、アメリカ大使館は書式で述べた。

4月28日のトゥビリシでの(この時点では)最新の逮捕の件には、ジョージア国籍の男性5名が関与しており、彼らは1.6グラムを超えるウラニウム238同位体と1/4グラム未満のウラニウム235同位体とを、黒海沿岸のリゾート地コブレティにあるアパートへと運び込もうとしていた。トルコ国境から遠くない場所だ。政府の主張によれば、この男たちはこうした同位体を、秘密のエージェントたちに300万ドルで密売しようと目論んでいた。

その逮捕劇のちょうど11日前には、アルメニア国籍の3名とジョージア国籍の3名とが拘留され、ジョージアの首都トゥビリシでウラニウム238を2億ドルで密売しようとしていたと、告訴された。この1月には、トゥビリシの法執行局は別の3名のジョージア国籍の者たちを逮捕、これはセシウム137を10万ドルで密売しようとした容疑だが、おとり捜査の警官たちに捉えられた。

この両眼は見通していると言っているけど~~

この両眼は見通していると言っているけど~~  私の彫刻デッサンより

ウラニウム238とセシウム137の容器にはロシア語の印刷があったが、ジョージアの国家安全保障サービスは、これら核物質の出どころについては回答していない。

従来、ジョージア政府は概して核資材の出どころとしてはロシアを挙げていた。南部オセティアならびにアブカジアという反政府的地方が密輸物資のジョージアへの輸送経路になっている、との主張だ。ジョージア当局は、アルメニアにあるメツァモル原発が核物資の出どころだとは、あまり考えていないようだ。

一方、ロシア政府は自国の核関連の在庫の警備は万全であるとして、譲らない。だが2016年の核セキュリティ インデックスでは、核兵器に利用できる核物資を有している24か国中、リスク環境という問題に関してロシアは最下位に位置付けられていた。このインデックスは、各セキュリティの専門家たちとEconomist のインテリジェンス ユニットとが行う評価である。

核物資密輸にお対抗するセキュリティという点では、非核保有国152か国中、ジョージアは35位につけている。トルコは、27位だった。

ジョージア内務省の分析情報部門のヘッドを以前務めていたShota Utiashviliが断言するところでは、核物資をジョージアの国境内外へ運ぶのは、容易なことではない。2006年にロシア国籍のOleg Khintsagovが高濃縮ウラニウムを100グラム、ジョージア国内に運び入れることに成功したが、これはジョージアの国境警備隊がおとり捜査のためモニターをオフにしたために他ならなかったと、Utiashviliは回想している。Khintsagovがジョージア国内に侵入したのは、北東部のロシアとの国境であるカズベギ ゼモ ラルシ地域を経由してのことであった。

さらにジョージアでは、2003年と2010年にも、兵器グレードのウラニウムの密売が発生している。

今年も国境警備隊が故意にモニターをオフにして密輸経路を探るのか否かは、判明していない。

アメリカ大使館では、ジョージア政府が今年これまでに核物資密輸の実行を3回にわたり防止できたのは、同政府が「核物資の密輸を検知し防止する能力が、アメリカとジョージアのパートナーシップのおかげで大幅に強化できたためだ ・・・」と考えている。

だがUtiashviliの認識では、ジョージアのモニター装置にも欠点がないわけではない。「放射性物質であっても、大きな鉛の箱の中に入れてしまえば、言うまでもないことだが、検出モニターは放射線を検出できなくなってしまう。そんな箱を自動車の中に隠すことは不可能だが、列車なら可能だ。理論上は、これは起こりえる」と彼は言う。

こうした密輸事件の要因の1つとして、貧困があるようだ。ジョージアでは公式発表の失業率が2桁に達しており、平均月収も122ドル(284ラリ)に留まっている。こうした状況では、多くのジョージア市民にとって、運び屋は経済的に魅力ある仕事なのだ。

4月28日に拘留された男たちの一人、Amiran Chaduneli の弁護を担当するTamila KutateladzeがEurasiaNet.orgに述べたところでは、 Chaduneli は社会的に弱い立場の家庭出身であり、ウラニウム密輸であろうと「何であれ、収入になる仕事ならするだろう」という。

同弁護士の主張では、Chaduneli はこの密輸計画にそれとは知らずに加担したのであり、彼の知り合いが携帯電話で撮影したパッケージの写真をChaduneli に送信し、それをある人物にまで運んでほしいと依頼してきた。Chaduneli は、その容器の中身がウラニウムだとは知らなかったと、同弁護士は主張している。報酬については、まったく言及がなかったとKutateladze は述べている。

国境警備隊内部での汚職発生リスクに対処するため、国境警備隊員の月給は2010年の350ラリ(165ドル)から、平均で1,000ラリ(472ドル)へと引き上げられた。国境警備隊の予算は、2006年から今までに2倍以上引き上げられ、約7,730万ラリ(3,646万ドル)にまで増額されている。
— 本記事は、在トゥビリシのアメリカ大使館の見解を収録するため、2016年7月15日に更新されたものだ。修正も、施した。修正以前のテキストでは、Amiran Chaduneli が受け取った携帯電話撮影の写真は、回収するパッケージの写真であったとしていた。だが実際には、その写真に写っていたパッケージを別の人物へと運ぶよう、彼は依頼されたのであった。
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上記に「・・・アルメニアにあるメツァモル原発が核物資の出どころだとは、あまり考えていないようだ」という箇所があります。確かにジョージアでの放射性物質密輸未遂事件では、主にロシアからの放射性物質が問題にされる場合が多いです。
でも、他の地域で今後、たとえばテロ組織がセシウム137など密輸で入手したら?
原爆とは言わなくても、ダーティボムなら作れてしまうはずですよね。

放射性物質、そして特に使用済み核燃料再処理やウラニウム濃縮は、厳格な
国際管理下に置く必要があるという動きがあるのも、頷けますよね。

 

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