e-8) (運動のあり方) 「敵」の出方も、考えよう

2023年8月

「敵」という言葉を採用したくは、
ありません。
核廃絶は、平和を求める運動ですからね。

ですが、現実の社会でのプロパガンダ
活動となると ・・・
核推進勢力からの主張や戯言などと
対立する羽目に、必ずなってしまい
ます。

先日も、日本の某政治家が「このところ
夏の危険な暑さが続いている ⇒ 直ちに
火力発電をやめて原発を多用し、気候
変動の緩和に努めるべきだ」といった
主旨の主張をしましたよね。この主張
のアホらしさについては、上の黒い
メニュー (項目は基本的にアルファ
ベット順)にあるページ
付録 w-1)、w-3)、w-8)、w-9)、w-10)、
w-11) をご覧くださいませ。

CO2を温気で問題にするのなら ・・・

CO2を温気で問題にするのなら ・・・

無根拠な主張であっても、この某政治家
のような主張がある程度「世にはび
こってしまう」場合もあるのが、
現実のプロパガンダってものです。

で、こうした社会的現実の中、
反核運動の側に問題はなかったので
しょうか?

こういった視点で2011-12年ごろの
反原発マーチ(デモ)などを見ていて、
私としては疑問点がかなりありました。

核問題関連の私の経歴

核問題関連の私の経歴

そうした疑問点を要約すると:

?-1:
そうした団体の関心は
メルトダウン と
核ゴミ
にほぼ集中し(確かにこの2つも
それぞれ重大な問題ですが)、もっと
怖いリスクつまりproliferationを認識
していないか、あまりアピールして
いなかった。

核推進のPR、主なもの

核推進のPR、主なもの

すると当然のように、核推進勢力は
・ 「核発電はCO2を出さない ⇒
気候変動の緩和に効果的だ」
(その真偽については、繰り返しに
なりますが、上の黒いメニュー
(項目は基本的にアルファベット順)に
あるページ 付録 w-1)、w-3)、w-8)、
w-9)、w-10)、w-11) をご覧ください)
2000年代のNuclear Renaissanceの
ころから、よく見られたプロパガンダ
ですよね。
・ 「SMRや高速炉といった新型
原子炉なら、メルトダウンの危険は
ない」
(ページ s-0) — s-8)、mr-0) — mr-3)、
e-6) など参照。
なお、高速炉では軽水炉のように炉内を
高圧に保つ必要がないため、格納容器まで
破損しても高い内部圧力のために放射性
物質が吹き飛ばされる危険は小さいのは、
本当ですが。英語版Wikipediaの
”Fast-neutron reactor”というページ
[Fast-neutron reactor – Wikipedia] にある
Drawbacks of light water —-という段落
を参照。
でもproliferation risksが悪化してしまう
ことについては、ページ if-3) を参照 )
・ 「高速炉なら、核ゴミも減らせる」
⇒ もんじゅの惨めな失敗にもめげず、
政府は高速炉に固執、高速炉PRを
続ける

といったプロパガンダを展開してくる
だろなあ ・・・ と予想できます。
で、2023年現在、実際にそうなって
ますよね。

Proliferationの認識があれば・・・

proliferationも視野に入れた場合の反核PR

proliferationも視野に入れた場合の反核PR

そもそも、proliferation risksの認識・
アピールなしには、反原発運動なんて
ありえません。

「不都合な真実」で有名なAl Gore
元副大統領が”原子力”を当てに
しなかったのは、なぜなのか?よく
認識しておく必要がございます。
ページ 付録 w-4) の後半を参照

したがって、「やかんをのせたら~~」
をproliferation risksにフォーカスした
ウェブサイトにしたのも、当然と
いえば当然のことです。

誤解しないでいただきたいのは、なにも
「メルトダウン問題を軽視せよ」とか
言ってるんじゃ、ありません。
そちらに集中したい人材も、必要です。
ただ、下のゴチャゴチャの図を再掲
しますが、このように問題系は多数・
多岐に及ぶので、それぞれに詳しい
人材を組織化しないと ・・・
ってことです

2011 -12 年ごろの反原発デモでは、
「全員がメルトダウン問題に集中
しろ!」という圧力を感じました。
その結果、上述のような「当然
予想できる、核推進勢力からの
カウンター プロパガンダ」に対して
対抗策を考えているところを、
私は見たこともありませんでした。

予想できる反動的な動きには、
対応を用意しておきませんと。
それをしなかったため、2023年現在
での巷の論調がどうなっているか、
「御覧の」とおりですよね。

add-4) の図、再掲。 ゴチャゴチャで申し訳ない~~ でも、多数の問題グループが絡み合った問題体系だってことは、お判りいただけるでしょ?

add-4) の図、再掲。
ゴチャゴチャで申し訳ない~~
でも、多数の問題グループが絡み合った問題体系だってことは、お判りいただけるでしょ?

上のごちゃごちゃの図をしつこく再掲
しますが、これだけ多くの問題系が
絡み合うので、それに対応できるだけの
多様な人材が必要です。

?-2:
2011-12年ごろの反原発マーチなどを
見ていると、上述のproliferation risks
という世界的な規模の問題(そして、
核発電の本質でもあります)を隅に
追いやり、関心が福島第一周辺に
向かっていました。(さらにいうと、
そこで発電した電力は、主に首都圏で
消費していたはずですが)

結果、「福島第一周辺の問題」という
ふうに問題が局地化・矮小化されて
いたと、私は見ております。

こうなると、核推進勢力はアレコレと
「福島は元気になりました」という
プロパガンダを広めるのだろうなあと、
私は予測していました。で、2023年現在
までに、実際にそうなったのはご存じの
とおりです。

振り返ってみると~~ 私の20分クロッキー

振り返ってみると~~
私の20分クロッキー

かくして、原発事故の「風化」は進み ・・・

こうしたカウンター プロパガンダが働く
以外に、そもそも
・ ヒトの脳とは、NEWを求めるものです
・ ある大事件があってから10年、20年と
経過すると、その大事件を同時代体験して
いない次世代が台頭してくるので、「風化
圧力」は自然に生じます。
それらに対抗するには、その大事件の根底に
あった政策や業界体質、そしてそもそもの
問題の本質であるproliferationなどに
ついても情報発信していきませんと。

proliferationにフォーカスするなら、
当然の帰結として、世界で新たに発生して
いる核の危険についても取り上げることに
なります。(「やかんをのせたら~~」
でも、取り上げておりますよね)

「やかんをのせたら~~」を始める以前から
現実の世界では、そうした「新たな核の危険」
は発生していました:

思い出してみれば~~ 私の点描練習

思い出してみれば~~
私の点描練習

・ 2015年にはイランと西側諸国の間で
JCPOAいったん締結 ⇒ のちに、当時の
トランプ大統領が破棄
・ 2017年ごろから、北朝鮮による
核ミサイルの脅威

さらに物事をよく考えるなら、
・ 福島第一からの電力を主に消費していた
首都圏の責任
・ 日本の原発の核燃料Uはすべて輸入です
が、世界のU鉱山での被ばくという問題
などもアピールすべきでしたね。

2017年に北朝鮮のミサイル発射で日本中が
騒いでいた時、反原発団体から「核発電と
核兵器の不可分性」に関する情報発信がある
ものと私は期待していたのですが、私が
知る限り、皆無でした。
そのため、

では、どうすば・・・??

では、どうすば・・・??

・・・「これじゃ、だめだ!」
と呆れ、しばらく自分はどうするか考えた
結果が、本「やかんをのせたら~~」です。
「核発電と核兵器の不可分性」にフォーカス
した、新たな核廃絶の動きを起こしたい
わけですね。

「やかんをのせたら~~」でのパターンの
1つとして、
核推進勢力からのカウンター プロパガンダ
を予想して、予めそのカウンターPRの
問題点を
指摘する、というものがあります。
各種新型原子炉の問題指摘のページが
いくつもありますが、そのへんに顕著です
よね。

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