c-1) その他の「前科」~ 爆撃オペラ

c-1) その他の「前科」・・オペラはオペラでも(イラクの場合)

爆撃オペラ

私はアマチュアですが、ソプラノ カウンターテナー(男声ソプラノ)
でして、依頼を受けると人前でオペラのアリアなど歌う場合も
あります。
だから、軍事作戦の名称に opera などと付けてほしくありません。
しかし、今日取り上げるイスラエルによる空爆作戦の名称は、
Operation Opera というものでした。
(イラストの下に続きます)

やられる前に、叩いとかなきゃ ・・・

やられる前に、叩いとかなきゃ ・・・


その「オペラ」のあらまし

詳しくは、英語版 Wikipedia の “Operation Opera” という
ページに、詳細があります。
1981年6月7日のことでした。イスラエル空軍が、イラクの
バグダット近郊にあったOsirak (フランスでの名称、
イラク側はTammuz 1、2 と呼んでいたそうです) という工事中の
原子炉を爆撃し、使用不能にしたのでした。
軽水炉で、1979年に建設工事が始まったものでした。

イスラエル側の主張によれば、この原子炉が稼働を始めると、
兵器グレードのプルトニウムの製造が可能になるため、
そうなる前にぶっ壊さないとイスラエルの安全を守れなかった
そうです。

プルトニウムには「兵器グレード」のものと「原子炉グレード」の
ものがあって、Pu の同位体のうち239が原子炉などで
製造されると、同位体240なども生じて混在するのですが、
240は核分裂性ではないので、239の純度が高くないと
(多くは、93%) 原爆に使いにくいのですね。
そうした高純度のPu を「兵器グレード」と呼んでいます。
「原子炉グレード」のものは、239の純度がずっと低いのです
なお、使用済み核燃料の再処理でのウラニウムから兵器
グレードのPu を製造でき、そのためIAEAなどでは再処理
には目を光らせてきているわけですね。
(「じゃあ、なんで、日本の六ヶ所村には再処理工場が?」と
いう疑問が生じますが、日本だけ例外扱いになっているのです。
詳しくは、また後日)

「正体」がよく分からない

しかし、このOsirakはフランスから購入したものだったのですが、
そのフランスはそれが科学研究用の平和利用に限定されたもので
あったと主張しています。しかも、フランスの技術者が現場で
指導を努めていました。(そのうち一人が、爆撃で死亡されました)

ですが、IAEAの検査官であったRoger Richterという方の
1981年10月の証言によれば、Osirak施設の一部しか、
IAEAの査察を受けてはいなかったそうです。しかしIAEAの
当時の事務総長Eklundさんはそれを批判、Richterは
Osirakの現場を検査していないと述べていました。

しかも、上記のWikipediaのページの”Iraq’s nuclear
program” という個所には、
— The purchase also included —the sale of 72 kilograms
of 93% enriched uranium and the training of personnel.
とあります。通常の原子炉で使うには93%濃縮ウランなんて
不要で、核分裂性のU235の純度は数%のものが、発電には
使用されるのですが。90%を超えるのは、基本的には原爆用の
ウラニウムです。なんでこんな高濃縮ウラニウムが必要だった
のか、何を調べても分かりません。
どなたか、ご存知でしたらご教示くださいませ。
(hidecius*jcom.zaq.ne.jp <– * を @ に置き換えてくださいませ)

あなたの正体は??

あなたの正体は??

 

この爆撃はもちろん、国際的に非難を浴びました。
ただ、それから10年後、1991年にアメリカ率いる連合軍がイラクを
攻撃しました。(Operation Desert Storm) その際、
「この81年のOperation Operaがイラクの核施設を
ぶっ壊してくれたおかげで、連合軍はイラクが核兵器を隠し持って
いるんじゃ?という心配なしに攻撃ができた」という意見もありました。

やれやれ~~ いったいこのOsirakが本当に平和目的だったのか、
軍事用途も兼ねていたのか、それはいまだ確認できていない
わけです。

ただし:

原子炉を悪用すると、原爆開発につながりえる
という危険性は、明らかですよね。だからこそ、イスラエルはわざわざ
Osirakを爆撃したのですから。国際的非難を浴びることも覚悟の上で。

そうした「原爆を作らせないための、予防的爆撃」の例は
もう1つありました。
c-2) では、それを。

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