2022年6月
本ウェブサイト「やかんをのせたら~~」で私(ひで)は、
たとえば
「proliferation risksにフォーカスしており ・・・」 とか、
「事故危険性を無視しているわけじゃない ・・・」
といった発言をしてまいりました。
それと、たとえば
・ 福島第一の惨事に関する言及が少ない
・ 放射線による健康被害については、ほとんど触れていない
といった特徴が本ウェブサイトにはあるので、ご不満の読者諸氏も
いらっしゃるかも。
でも上記はいずれも、私が意図的に決めた方針によるものでして、
本ウェブサイトのフォーカスをはっきりさせるためですね。
あくまで、本サイトでは
・ 核発電と核兵器の不可分性を明示し、
・ その実例を具体的に紹介し、
・ そもそも「核兵器は必要だ」という主張の論拠となっている
「核抑止論」が、本当に有効なのかを今後考えていきたい
というわけです。
\(;; > O<)/ だからって、反原発のサイトで 「放射線とがんの関係」とか扱わないって、なによ~~!!
といった批判を一部から受けています。
この批判は、まず本サイトの意図・性格に関して、「すり替え」を
やっちゃってます。つまり、本ウェブサイトは 「核発電と核兵器の
不可分性」 を明示している以上、単に「反原発のサイト」では
なくて、発電にも兵器にも反対する 「反核」 のサイトです。
核兵器の廃絶を求めている以上、フォーカスは軍事面にあって
当然です。まあ、この「すり替え」は日本語特有の現象ですが。
それに、
・ 放射線とがんの関係を知りたければ、それを専門にしている
医学関係者の皆様などに教えを受けるべきです。
* この関係に関する書籍やウェブサイトは、すでに多数あります。
たとえば、
Risk Factors: Radiation – NCI (cancer.gov)
とか。
それにしても、私自身、上述の 「\(;; > O<)/ だからって、
・・・」 のような無理解な批判に、いつまでも対応して時間を
浪費したくありません!
そこで、ここでは下の 「ゴチャゴチャした」 図を紹介します。
もっとスッキリさせようとアレコレ考えたんですが、どうしても
スッキリとはしてくれません!
やはり、核という問題系そのものが、あまりにも多方面の問題に
絡んでいるので。
ざっと思いつくだけでも、どれだけの「問題グループ」が
絡んでいるのか、1つの図にしたかったのです。
実際には、例えば 「核物理学」 と 「原子炉工学」 とは不可分で、
重なる部分もあるのですが、あくまで説明のための略式化した図
なので、ご了承願います。
で、ここで考えてみて頂きたいのですが、たとえば上の図で下線を
付けた4分野、
核物理学、健康被害、原子炉工学、自治体の経済や交付金
を一人でカバーできる人なんて、現実にいるでしょうか??
その人は、一人で
医師+核物理学者+原子炉技術者+地方への電源交付金などの法令に詳しい人
ということになってしまいますよね。
そんな超人的な人物なんて、世界中探してもほとんどいない
ですよね。
つまり、
ほとんどの人間は、一人で「核発電関連諸問題のすべて」を
カバーすることなんて、できるわけない!
ってことですよね。
私自身、たとえば「放射線と健康 (医学)」にはほとんど言及
しておりません。放射線の健康被害などを専門とする方々に教えて
もらうべきですし、そうした書籍などはすでに多数出ています。
私のように生理学や遺伝学などの基礎知識に欠ける人間が、
口出しをする必要は皆無ですよね。当然、たとえば「私の息子が
2011年3月からずっと倦怠感に苦しんでいて、いまもそうなん
だけど、なにか原発事故と関係があるのかしら?」 というような
相談は、あくまで該当する専門の医師にするべきです。
ですから、本「やかんをのせたら~~」では今後も、
上の図であれば
核兵器拡散・核抑止理論、(かくれみのとしての)新型原子炉、
軍事・世界情勢、原発広報
にフォーカスしてまいります。
それら以外の問題グループを扱う場合、おそらくは「付録」扱い
です。
★ 2022年5月29日、東京にて ~~ 「こんな質問がまかり
通っているようでは ~~」と呆れた件
この日、東京で反原発の講演会がありました。講師は、
元 京都大学原子炉実験所 助教でいらっしゃった小出裕章さん
でした。(つまり、「ご本職」は原子炉関係などの研究の
ハズですよね)
講演内容そのものは、大変納得できるものでした。
「なぜ (原発マフィアは) これでも原発にしがみついて
いるのか?」、その主な理由として無論 誰にでもすぐ分かる
「巨額のカネが動く」 ことは踏まえたうえで、その根底に
ある問題 (近代国家では、国家がらみで巨額のカネが動く場合、多くは軍事がらみですよね) として核軍備を取り上げられたのですね。 これは、
「さすが!」 と思いました。本ウェブサイトのページ g-3) や
g-4) で紹介したような根拠もしっかりと紹介してらっしゃいました。
私が唖然としたのは ~~ 講演後の質疑応答の時間でして。
オーディエンスが質問を用紙に書いて質問し、その中から主催者が
2つを選択、講師に応えて頂く、という手法でした。 (こういう
手の込んだ手法を取らねばならない事実そのものが、オーディエンスの
中にはトンチンカンな質問をしてしまう人たちもいらっしゃる
という問題の現れだろうと、私は勘繰りますが。なお、その辺の
ところを観察したかったので、私自身は質問用紙を提出しません
でした)
で、その選ばれた2つの質問を要約すると:
1) いわゆる地球温暖化について、これからは自分の子供にどう
説明したらよいのか?
2) 甲状腺がんと放射線の関係について、教えて (数名の方々
からの質問)
というものでした。
これを聞いて、私は唖然としたのですね。
本来、
1) は気象学者や地球物理学者などにでも尋ねるべき内容ですよね。
2) は、放射線の健康への影響を専門にしている医学者にでも
持っていくべきですよね。
さすがは小出さんで、こうした 「人違いの質問」 にも丁寧に答えて
らっしゃいましたが ~~ 「人違い」 つまり 「分野違いの」 質問に
答えていると、その該当分野の専門家から見ると誤った答えをして
しまうリスクが常にありますよね。すると、その分野の専門家たち
からは叩かれてしまう。
そして。この講師の方の専門を考えるなら、原子炉の問題、
たとえば自民党の元幹事長が昨年10月に言ってた 「小型原子炉なら
メルトダウンしない」 だけど、本当にそんなに安全なの??
(本サイトのページ シリーズ s-0) 参照)
といった質問が、本来はあるべきでしたが ~~ 嗚呼!
「分野違いの質問がきっかけで、その該当分野の専門家たちから
叩かれてしまう」 リスクを講師にもたらさないよう、質問をする
オーディエンス側も気を付けましょうよ!
上のゴチャゴチャの図をあえて紹介したのは、それをアピール
したいためでもあります。
自分の質問は、どの分野の専門家に尋ねるべきか?それを考える
反核論者でありたいものです。
イタリア料理店に入って、「大トロの握り」を注文する ・・・
脳外科手術が必要かもしれないときに、産婦人科に行く ・・・
自分の子供が学校の算数についていけない ⇒ 塾の英語のクラスに
入れる ・・・
そうしたバカげたことは、もういい加減にしませんか。
2011年、反原発講演会の類が華やかなりし頃、元日立の原発部門で
エンジニアをしておられた田中さんという方が、原子炉に関する
講演をなさいました。お話の後で質疑応答を始める際、彼は
「放射線に関するご質問は、ご容赦願います。私の専門外なので」
という主旨のお断りをなさいました。おそらく、当時は放射線の
健康への影響に関心が集まっていたので、質問の来ることが予想
されたのでしょう。それを予め「専門外です」と断っていたのは、
実に賢明です。健康被害のことは、医学に詳しい方に尋ねるべき
ですから。この「あらかじめお断り」を聞いて、「うん、この
田中さんは信頼できる方のようだ」と私は実感しました。
同じころ、フィンランドで反原発運動を指導してらっしゃった方が、
東京で講演なさいました。やはり質疑応答のとき、地元の聴衆の
一人から、 「東京に住んでて、大丈夫なのでしょうか?」 !!!
いうまでもなく、これは東京の放射線測定をしている方々と、
放射線の健康影響に詳しい方々とに尋ねるべきですよね。
講師の方も明白に苦笑を浮かべ、私も呆れて苦笑してました。
本来なら、集会の主催者が介入すべき 「人違い質問」 ですが、
主催者は何もせず ・・・・
★ 反核団体や個人のネットワークを
原発問題の初歩を学びたい~~
放射線の健康影響を知りたい~~
原発立地自治体への交付金制度について知りたい~~
ウランを使わない新型原発があると聞いたけど、ほんと??
いずれも、教わる相手、相談すべき相手が異なりますよね、
でも、日本の反原発団体などの現状では、「どこに尋ねたら
よいのか?」 が分かりにくい!
そこでまず、この種の団体や個人がネットワーキングして、
「~~~といった問題を主に扱っている団体・個人は、次のとおり:
~~~、~~~、~~~」
というようなポータルでも、作りませんか??
それと、特に焦眉の急の課題として、
核問題の全体的な初歩学習コースのようなものが、
日本語で見つからないという現状があります。
初歩を学んでいない方の場合、たとえば
「福島第一から汚染水を海に捨てられたら、海流に乗って私が
住む地域の沖にまでくる恐れはないの?」という問題を尋ねたい
のだが、誰に聞いて良いのか分からない ・・・
といった事態があり得ますよね。
誰に尋ねるべきか分かるようなポータルとか、あって然るべき
だろうと考えます。
そうした組織化をしないと、
「どの分野で、どこに尋ねればよいのか分からない ⇒ 原発のことなら、
なんでも XXX先生に聞けばいい」
という「特定個人に依存」体質が温存されてしまう危険が。
そのXXX先生がご高齢になり、講演ができなくなった
XXX先生が急病
XXX先生が暗殺された
・・・ そんな場合、日本の反核運動全体が揺るいでしまう危険が。
ご賛同、ご反論のある方は、私 (ひで) まで!
yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp (<– [at] を@に置き換え願います)
です。
では、次回のアップロードでは、
付録 w-7) 短寿命化を「無害化」とか呼ぶな!
を紹介する予定です。
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2023年2月追記
分野ごとに、必要となる能力や経験も異なる
当たり前ですが、上記の各分野で、必要となる
能力や経験も異なります。
たとえば、
放射線の健康被害 であれば、
医学や生理学などなどの知識は必須となり
ますよね。
あるいは、
新型原子炉の事故危険性やproliferation risks
であれば、核物理学の基本、原子炉工学、
proliferation実例の歴史などなどが、不可欠です。
日本での原発労働問題であれば、実際には
寄せ場問題の経験も必要です。
「ああ、道路で酔っ払って寝てる連中の
問題だろ?」 などと蔑まれやすいのですが、
実は日本社会の暗部であり、しかも書物だけで
学べる問題系じゃありません。実際に寄せ場
でのボランティアなど経験しないと、
分かりえない問題もあります。
しかし、核物理学の基本やproliferationの
歴史などは、必要ございません。
いうまでもないことですが、各自がその能力、
経験、関心などに応じて自分の専門分野を
選べばよいのですね。
ただ、こういうと ・・・
\” (;; > O<)”’/ なにが、各自の能力だ!
何もとりえのない奴は、反原発活動が
できないっていうのか!
誰でも参加できるデモをやってるじゃないか!
しかし、実際にはマーチ (デモ) に参加するには、
・ ストリートを人と一緒に歩いて、
・ 声を上げるなりプラカードを持つなりする
という 「能力」 が必要ですよね。
つまり、
・ 入院中の方々 や、
・ 刑務所で服役中の方々
などなどは、マーチには参加できないのです。
もっと言ってしまえば、厳密な意味で
「誰にでも参加できる」 活動なんて、ないのです。
自分は~~~と~~~ができる、XXXに関心がある
⇒ だから、自分は○○〇という分野を選ぶ
という選択をするしかないのですね。
では、核発電の軍事関連リスクを選んだ場合の、
必要な知識や能力とは?
a) 言うまでもなく、1930年代あたりから
今までの核軍事や核拡散の歴史の基本を
知らないと、どうにもなりません。
「冷戦」とか、キューバ ミサイル危機とか。
b) 核発電がどのように核兵器につながるのか、
原子炉や核燃料サイクルの基本も学ぶ必要が
あります。
c) 現在行われているロシア軍によるウクライナ
侵略での核兵器使用の危険性や、JCPOA再建
交渉の座礁など、核関連の最新情報の収集が
できること。
d) 上のa) – c) を進めるうえで、語学能力も
実は必要になります。特に、proliferation
risksにあたる日本語が見つけにくく、
「核発電が核兵器拡散につながってしまう
リスク」 といった説明ぽい日本語に
なってしまいます。これが物語るように、
日本語ではproliferation risksを扱う文献が
少ないのですね。
中国の核を専門に扱いたい人なら中国語、
ロシアならロシア語が使えませんと。
私 (ひで) 自身は、世界各地を広く浅く
扱っておりますので、英語を頻繁に使って
おります。
なら、どの程度の英語能力が必要?
まず、「やかんをのせたら~~」では、
読者の皆様が日本の平均的高校卒業
程度の英語読解能力、TOEICスコアなら
500前後を有してらっしゃることを、
想定しております。
TOEIC受験者の平均スコアが610程度だ
そうなので、厳しい想定ではないでしょう。
(;; – _-) おれ、500もないんだけど??
とおっしゃる方は、
・ さらに英語を学ばれる
・ 「軍事関連」 以外で、語学が必要で
ない分野に進まれる
のいずれかを選ばれると良いでしょう。
上記は「やかんをのせたら~~」の
読者に関する想定です。ご自分で
各種関連文献を読み、核関連ニュースなど
収集したい方で、英語で広く浅くやっていく
選択をされた場合には、もっと高度な英語の
読解や聴解能力が必要ですね。
「やかんをのせたら~~」 をここまで
やってきた私の経験からは、そうした方々の
場合にはTOEICスコア800前後はどうしても
必要になると思います。
(なお、私自身は940でした)
どの分野を選ぼうと、それぞれの必要能力も
苦労もあるものです。ご自分が楽しめる分野で、
核廃絶というゴールを目指して共に歩んで
いければ、と願います!