2023年10月
何を問題にするのか?
皆様もよくご存じの通り、研究用FBR
「もんじゅ」が福井県にあったのです
が、事故ばかり起こし、わずかしか
発電はできませんでした。投入された
税金は、1兆円をこえると言われます。
(たとえば、高速増殖原型炉「もんじゅ」廃炉決定 税金1兆円投入、稼働日数250日だけ。「智恵」のない政府、担当文科相らの給与一部返納で「けじめ」のつもり(東京新聞) | 一般社団法人環境金融研究機構 (rief-jp.org) )
しかも、大きな事故の裏では殺人事件
??ともうわさされる事件もあり
ました。
これなら、正常な判断をする人であれば
「高速炉開発は、やめようよ!」と
思うはずです。
でも。日本政府はこれでもあきらめず、
核燃料サイクルを推し進め、当然FBR
開発を続けるつもりですよね。これほど
執着しているのは、なぜなのか??
それを、このページでは問題にします。
ただし、確たる証拠はまだ ・・・
得られておりません。私が将来、そんな
証拠を得たら、皆様にもお知らせ
しますね。
(; – _-) > 確たる証拠もないのに、
このページを作ってるの??
このページでは確たる証拠を提示したい
のではなくて、
今後証拠を探すのですが、「何が問題
なのか、何が ”あやしい” のか」を、
予め説明しておきたいのですね。
ではまず、日本での高速炉開発の
歴史を、ごく大雑把に。
日本での高速炉ならびにPu利用原子炉
いままで(きわめて大雑把に)
「ふげん」(福井県敦賀市)
(高速炉ではありませんが、Pu利用を
本格化させた重水炉。
このPuが、後で述べるようにクセモノ
です)
1970年12月 全面着工
1978年3月 臨界
2003年3月 運転終了
2008年2月 保安院(当時)が、
廃止措置計画を認可
2022年8月 廃炉作業の完了を、
2040年に延期
まずは一目でお分かりのこととして、
原発を廃炉にするのがいかに大変で
何年も要する作業か、ということですね。
しかしこのページでは、Puというもの
がいかに厄介か、ということにご注目
くださいな。それを何とか利用
(MOXなど)するため、わざわざ
「ふげん」を建設し稼働する必要が
あったわけですね。
常陽(茨城県大洗町)
高速増殖実験炉ですね。
1971年1月 格納容器の建設開始
1977年4月 1号機(MK-1)臨界
1982年1月 1号機運転終了
1982年11月 2号機(MK-2)臨界
1997年9月 2号機運転終了
2003年7月 3号機(MK-3)臨界
2007年6月 燃料棒交換装置に事故。
復旧を目指す
2023年10月現在 休止中。同年5月に
原子力規制委員会の審査に合格した
ことはメディアで広く報じられました
が、耐震性強化などの安全対策費が
170億円に達しているそうです。
(検証:高速炉「常陽」遠い再稼働 「早くても24年度内」に先送り 停止13年、膨らむ安全対策費 | 毎日新聞 (mainichi.jp) など)
高速増殖炉となると、事故が起き
やすくて安全対策に費用が。
もんじゅ然り、フランスのSuper-
phenix然りですね。
で、問題の「もんじゅ」ですが ・・・
もんじゅ(福井県敦賀市)
高速増殖炉のプロトタイプですね。
1968年9月 FBR(高速増殖炉)の
実験炉である常陽の次
段階となるプロトタイプ
炉の設計開始
1985年 本体工事の開始
1994年4月 臨界
1995年8月 発電開始
12月 ナトリウム漏れ事故
(さっそく! さらにこの後
「西村事件」)
2007年8月 運転再開めざし確認試験
2010年5月 運転再開
8月 炉内中継装置が炉内に
落下する事故。再度運転
休止。(そして、新たな
不審死事件?
『もんじゅ』課長自殺周辺の不審な巨額費用|インターネットで読み解く! No.241 (dandoweb.com) )
2013年5月 原子力規制委員会、
安全管理体制の再構築が
できるまで、無期限の
運転禁止を命じる
2016年12月 日本国政府、廃炉を正式
に決定。税金を1兆円
以上投じた「もんじゅ」
だが、稼働日数はわずか
250日程度。
…………だが政府は「性懲りもなく」
…………新たな高速実証炉の開発を
…………始めると決定(やれやれ~)
上記は既に皆様ご存じのことばかりだと
思いますが、事故・税金をどぶに
捨てる・あまり発電しなかった・さらに
不審死 ・・・ といった大問題が現実に
発生しているのに、日本政府がFBRに
固執しているのは、いったいなんで?
という疑惑が生じますよね??
で、高速炉の特徴の1つとして ・・・
政府の言い分は、
U235は埋蔵量が限られている ⇒
だからU238 –> Pu239 という核種変換
を炉心の「ブランケット」と呼ばれる
箇所で引き起こし、そのPu239を核燃料
として利用できる高速増殖炉を実用化
して、潤沢な核燃料を確保しよう
というものですよね。
しかし。
そもそもエネルギー源を確保したいと
いうのなら、いくら「増殖」しても
いつかは使い果たす地下資源に頼る
よりも、再生可能エネルギーの研究
開発に尽力したほうが賢明です。
FBRは商用化して長期的に「無事に
発電」できた試しがありません。
そして。
そのU238 –> Pu239 という「増殖」が
行われる「ブランケット」での核種
変換には、次の特徴があるのです。
ブランケットでできるPu239は、
純度が高い!
既存の軽水炉からの使用済み核燃料にも
Pu239は含まれており、PUREXという
技術で抽出できます。(まあ今のところ
こうした再処理はフランスのLa Hague
に送ってやってもらっているようです
が。それが日本の港に返ってくるとき、
港周辺で抗議の声が上がったりしてます
よね) でもこうしたPu239は、
純度がそれほど高くありません。
(Puの239以外の同位体などが混在
してます)
これに対して高速炉のブランケットで
核種変換によってできるPu239は純度
がとても高く、約98%にも達します。
ブランケットでは、出来た239をそれ
以上はあまり核反応させないので、
239のまま残る率が高いわけです。
この「239の含有比率」が、
実は大問題でして
Pu型核兵器に使うには、およそ98%
以上の純度が望ましいのです。つまり
「優れた核爆弾」を作るには、軽水炉
からのPu239だと頼りない(爆発は
させられますが)。
でも高速炉のブランケットからの
Pu239なら、implosionという技術
さえ有している国家やテロ組織で
あれば、かなり短期間でPu型原爆を
作れてしまうわけですね。
ここまでの事実をおさらいすれば、
大抵の方々はある種の疑念をお持ちに
なるでしょう
そう、高速炉にこだわるのは、
「潜在的核武装」が実は真の狙い
なんじゃ??
という疑いですよね。
それを支持する証拠ですが、状況証拠
はそろっています:
・ 上述の各事実
・ 特に、「核燃料の増殖」そのもの
が高純度Pu239を製造するので、
「高純度化」のための装置追加などが
いらない + 核兵器用Pu239に
「転用しやすい」
・ 上の黒いメニューのページ g-3)
やg-4) で紹介した、日本政府関係者
による核兵器保有や潜在的核保有を
狙った動き
・ 将来のエネルギー源を本当に
考えているのなら、所詮は地下資源
であるU238を変換したPu239など
よりも、再生可能エネルギーに注力
するべき
私一人の思い過ごしじゃ、ありません!
他にも、この疑念をお持ちの方々が
いらっしゃいます。いずれも、
学者さんです。
1) Masafumi Takubo, Frank von Hippel
“Forty years of impasse: The United
States, Japan, and the plutonium
problem, Bulletin of the Atomic
Scientists, September 3, 2017
Forty years of impasse: The United States, Japan, and the plutonium problem – Bulletin of the Atomic Scientists (thebulletin.org)
この論文は、著者のお二人が「日本政府の
FBRへの固執理由は、核兵器」だと考えて
いるというんじゃなくて、「そう考えて
いる人たちがいる」と認めているという
ことの証明です。
長い論文ですので、特にこの疑念に
関連する箇所だけ抜粋して日本語化
しますね。論文本文の終わり近くです。
英語論文を読める方々は、ぜひ上の
リンク先で論文全体をお読みになって
くださいませ。
いつもどおり、私による日本語化、
< > 内は私からの補足説明です。
文字色変更による強調も、私が
加えたものです。
************************
・・・・・ (途中から抜粋しています)
フランスの国有電力企業を見れば
明らかなことだが、選択権があるのなら
<使用済み核燃料の> 再処理からは
撤退したいのだ。英国の原発運営企業も
同様だ。今後数年で英国は再処理を
廃業にする見込みだ。あと数年でと
いうのは、既存の再処理契約が終了する
時期なのだ。 (IPFM2015) 一方、
日本は再処理に固執しているが、
その最終的な理由として時折指摘されて
いるのが、日本の国家安全保障関連
諸機関は核兵器保有という選択肢を保持
しておきたいのだ、というものだ。
だが日本は既に約10トンもの抽出済み
プルトニウムを保有しており、
フランスと英国 <の再処理工場> に
さらに37トンのプルトニウムを日本の
ものとして有している。加えて、六ケ所
再処理工場は設計上は8トンの
プルトニウムを抽出できるので、1年で
およそ核弾頭1,000個を製造できる
ことになる。これだけのプルトニウム
製造キャパシティは、将来のために
核兵器保有という選択肢を温存しておく
としても、必要量を大きく上回っている。
さらに日本にはすでにウラニウム濃縮
工場があり <六ケ所村に日本原燃の
濃縮工場があり、1992年に操業開始
しています>、それはイランの計画
している濃縮工場よりずっと大型の
施設だ。そのイラン程度のプログラム
でも、proliferationの懸念から、
世界的な騒動を招いた。イランも
そうだが、日本の濃縮工場も確かに
発電用の低濃縮ウラニウムを製造する
ための設計になっている。だがそれ
でも、<遠心分離機を多数連結
した> カスケードは、組み合わせ
方を変えれば容易に核兵器
グレードのウラニウムを天然
ウラニウムから製造できる。年間、
核弾頭10個を作り出せる。
日本は濃縮能力を10倍以上増強する
計画だ。そのため、国防関連の役人たち
が秘かに圧力をかけているため六ケ所の
再処理プロジェクトが巨額を投じて
継続されているとは、考えにくい。
しかも日本は核兵器保有という選択肢を
捨てていないという認識が世界にあると
日本の国家安全保障にとっては
悪影響だ。近隣諸国に日本への不信が
高まり、韓国にみられる韓国も自国の
核兵器を持つべきだという主張にも
正当性ができてしまう。同時に、
核軍縮も阻害されてしまう。New York
Times紙の報道によると、オバマ
前大統領が任期終了の前に核兵器の
先制不使用という方針を採択しようか
と検討していた時、当時の国務長官
John Kerryが、それに反対した。
アメリカの核の傘を縮小してしまうと、
日本の神経を逆なでする、という
わけだ。そうなると、日本が自分で
核兵器の保有をしたがる恐れがある、
という懸念である。(Sanger and
Broad2016) 今や、国防関係の役人
たちも反核運動の人々も、こうした
懸念を真剣に検討すべき時代に入って
いる。再処理は経済的に破綻しやすい
ものなので、日本でもフランスでも
再処理が終わりを迎えるのは時間の
問題だ。
だがこうした日本の
核プログラムについてはもう
40年間も行き詰まりが続いており、
その現実が実証しているように、
いずれ必然的に起きることであっても
現実化するまでには長い時間を要する
場合がある。その間に、出費も危険も
うずたかく積み上がっていってしまう。
日本とフランスはそれぞれの惨めな
再処理プログラムをまだ諦めていない
が、今のところそのためにプルトニウム
の拡散やテロ集団によるプルトニウム
盗難・使用には至っていない。これは、
世界にとってはラッキーなことだ。
韓国では <2017年の大統領選挙で>
文 在寅が大統領に選出されたが、
彼は反原発派だ。これは、韓国政府が
再処理を行う「権利」を要求する
プレッシャーを軽減するかもしれない。
つまり経済とアメリカの政策という
「見えざる手」の複合作用によって
今までのところは、日本以外の核兵器
非保有国への再処理の拡散を防いで
これたのだ。これは、驚くべき成功と
いうべきである。しかし世界の
核エネルギー産業界では中国が
影響力を強めており、自国内での
再処理プログラムも計画している。
その一環として、フランスで設計
された大型再処理工場の建設も
行われる。これが近いうちに、
こうした拡散防止のサクセス
ストーリーを脅かす恐れがある。
フランスと日本の再処理は完全に
失敗しているのだが、それを政府が
巨額を払って延命してきている。
それを見て中国も、政策を考え
直してほしいものだ。
***************************
The Union of Concerned Scientists
などからは、日本はとっくに「核兵器
を企んでいるかも」と見られている
ことがお分かりと思います。
それにしても、文字色を変えて強調
した個所とその直後にあるように、
核兵器用Puが「日本政府がFBRに
固執している真の理由」であったと
しても、Pu239の量が多すぎます。
そんなに大量にPu239を保有して、
いったい何に使うつもりなのでしょう
かねえ??ウラニウム濃縮についても
同様です。核弾頭とか核燃料の
両方??それでも、多すぎるように
・・・
(誰でもすぐに思いつく経緯として:
当初、実は「将来のエネルギー源を
隠れ蓑にした核兵器用Pu開発」 ⇒
巨額が動くので、多様な「核利益
集団」が出来てしまった ⇒
その集団の利益のため、Puの処理に
困っていても、なおFBR開発を
進めるしかないという状態に陥った、
というプロセスを推察できますよね。
でも、証拠がない)
この問題、私はまだ解明できて
いません。
ご存じの方、下のEメール アドレス
で是非ご教示くださいませ!
さらに、日本が核の潜在的保有に固執し
核兵器開発をしているのでは?という
際悪を近隣諸国からもたれると、
そうした近隣諸国も核兵器保有を検討、
核兵器の拡散につながりかねない
という問題も、上の論文は指摘して
いますね。
では他にも、少なくても下記の2名の
方々が私と同様の疑念を:
2) 小出裕章さん
U PLANによるヴィデオで、
「核=原子力の歴史」というもの。
YouTubeでご覧になれます:
20181104 UPLAN【前半】小出裕章「核=原子力の歴史」差別の世界を超える道 – YouTube
2018年11月の講演で、小出さんが
はっきり仰っています。
タイムスタンプは、45:48 – 51:25
あたり。
3) 槌田敦さん
「宝島30」1996年3月号に掲載
されたインタビューです。
かなり昔の雑誌なのですが、
日本の高速増殖炉は軍事用だ!by槌田敦 『宝島30』1996年3月号 (asyura2.com)
に掲載されてました。
あと、直接的な証拠さえあれば ・・・
私の昔の20分クロッキー
上記のように状況証拠は揃ってますし、
関連分野の学者の皆さんも、私と同様の
疑惑を抱いてらっしゃいます。
ただ、たとえば
政府の関連文書に「FBRからの高純度
Pu239は核兵器にも使用しやすい」と
いった主旨の記載があった
といった具体的な証拠を、私が現時点で
まだ見つけておりません。
これから、それを探してまいります。
年月を要するでしょうけど。
もし、読者の皆様がそうした証拠を
ご存じなら、差し支えなければ是非
私にもご教示くださいませ!
おそらくアレコレ秘密事項が伴うで
しょうから、ソーシャル メディアなど
でお知らせいただくよりも、eメール
のほうが良いかと思います:
yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp
まで、お願いいたしますね。
++++++++++++++++++
後日追記
2024年3月14日記載
核燃料サイクルと潜在的核保有の
不可分性
指摘しているのは、私だけじゃ
ありません
「一月万冊」さんのYouTubeヴィデオで
元朝日新聞記者がこの「不可分性」を
指摘
約58分の日本語ヴィデオなので、
ご自分で是非ご覧くださいな:
特ダネ解説!恐怖の現実。原発反対派も賛成派も知らない人類滅亡の恐怖。無知な岸田首相すすめる原発政策。青森・六ケ所村の核燃料再処理工場、ナント27回目の完成延期!元朝日新聞・記者佐藤章さんと一月万冊 (youtube.com)
上記で私は、日本政府がFBRつまり
「核燃料サイクル」に固執している
裏には、潜在的核兵器保有への執着が
あるのでは?と指摘しました。
知人の一部からは、「考えすぎだ」との
反論も受けました。
しかし、私が一人で主張しているなら
ともかく、元朝日新聞記者で核燃料
サイクル政策を長年取材してこられた
方が、同様の問題を指摘して
らっしゃったら??
偶然、そんなYouTubeヴィデオを
見つけました。
お話をしてらっしゃるのは、ジャーナ
リストの佐藤章さんです。
お話の過半数は六ケ所村の再処理工場に
関するものですが、言うまでもなく
再処理工場で Pu-239抽出 ⇒ MOX
核燃料などに加工、原発で使う
というフローがあるわけですから、
要は「核燃料サイクル」の問題ですよね。
そしてFBR (「もんじゅ」で大失敗)
も、無論、このサイクルの一環です。
U-238からPu-239を「増殖」するわけ
ですから。
つまり、日本政府は核燃料サイクルに
今も固執しているわけで、兆円単位の
税金を今後もこのサイクルにつぎ込む
計画でしょう。
このヴィデオで佐藤さんが潜在的核武装
問題に突っ込んでらっしゃるのは、
タイムスタンプで 43:35あたりから
です。FBRのブランケットで生成
されるPu-239の濃度の問題などに
ついても、このヴィデオで短く触れて
らっしゃいます。
さらに佐藤さんは、以下のお話もして
らっしゃいます:
★ 1969年9月25日付の外務省の秘密
文書「我が国の外交政策大綱」を見ると
日本国は当面、核兵器そのものは保有
しないものの、核兵器を製造できる
だけの経済力や材料、技術などは
保持する
という主旨の明確な記載がある。
★ 当時の佐藤栄作首相は時のアメリカ
大統領 Lyndon Johnsonに、日本が
核兵器を製造することを認めるよう
求めた。大統領はこれを拒否したが、
代わりに再処理をすることを認めた。
★ 佐藤章さんはある時、外務省の役人
に「核兵器は、外交において重要なの
か?」という主旨の質問をした。役人の
返答は、「残念ながら、現実には大変
有効だ」という内容の返答。
他のページでたびたび述べましたが、
1980年代後半に私が東京・新宿に当時
あったクリエイティブ エージェンシー
でChief Creative Officerを務めていた時
原発広報の仕事にも携わっていました。
当然、エネルギー庁とその周辺にも
出入りしてました。
そこで私が知ったことと、上記の
佐藤章さんによる3点とは、良く合致
しています。