付録 w-6) どっちも、11年間も何やってた!??

付録 w-6) どっちも、11年間も何やってた!??
(原発マフィアと反原発勢力の両方に対する疑問)

2022年5月4日

ええ~~~、ちょっとばかしエラソーな口を叩きますが ・・・

2022年5月現在、日本国内では
「ウクライナ戦争で、化石燃料供給に異変が ⇒ 原発を再稼働だ!」

「CO2削減のためにも、原発だ!」
という主張が喧しいですよね。

CO2削減云々という主張の疑わしさについては、
すでに本「やかんをのせたら~~」の「付録w-1)、w-3)」で
問題指摘しております。ついでに、水消費という深刻な
問題が無視されているようなので、「付録w-2)」もご覧くだされば。
それと、私(ひで フランシス)は核発電の軍事関連問題に
あくまでフォーカスしておりまして、電力需給やCO2問題には
焦点を合わせていないので、詳しくはそうした各問題系の
専門家のウェブサイトや著作をお読みくださいませ。


「論理の飛躍など、気にしません~~」が本音の政治家
私の作品“YouTube Politician”より   2021/10/9

そこで当然、問題にしないといけないのは

「天然ガスなどの供給が不足・不安定化 ⇒ 原発だ!」
という主張が明らかに論理飛躍を犯している、ってことですよね。
だって、間違いなく
「原発だって燃料がないと、動かない」
そして
「日本国内にウラン鉱山は、現時点で存在しない」
(大昔には、人形峠に低質のウラン鉱山がありましたが、
とっくに廃坑となっています)
のですから!!

では、その天然ウラン埋蔵量の大きな諸国と言えば、
誰でもご存じのように
オーストラリア、カザフスタン、カナダ、ロシア、ナミビア ・・・
などなど(2019年)
Uranium2020 (jaif.or.jp)
があるのですが、
同年のウラン生産量で見ると
カザフスタン、カナダ、オーストラリア、ナミビア、
ウズベキスタン、ニジェール、ロシア、中国、
ウクライナ、インド
がトップ10となっています。
(同じく Uranium2020 (jaif.or.jp)

U生産量の世界最大国はカザフスタン、ってわけです。

では、そのカザフスタンとかからUを輸入して、国内の原発を
再稼働さえすれば、電力は安泰だ~~
と安心していりゃ、いいのでしょうか??

「申し訳ございません、先に大口のお客様が買い占めていかれまして、何も残って ・・・」

「申し訳ございません、先に大口のお客様が買い占めていかれまして、何も残って ・・・」

Uを欲しがる大国

核発電と核兵器は不可分。ウラニウムは、どちらにも必要なリソース
だってこと、忘れちゃ困ります。
・ そもそも、今回のロシアによるウクライナ侵略に西側が下手に
手を出せずにいるのも、ロシアの戦術核兵器が大きな要因ですよね。
・ で、中国がジランタイ、ハミ、ユーメンなどにICBM用サイロを
大量に新設していることは、本「やかんをのせたら~~」のHomeに
ある2021年8月の記事でも取り上げました。(右端の「アーカイブ」
の下で、「2021年8月」をクリック)

当然、中国は天然ウラニウム供給源を確保したくなりますよね。
そして上述のとおり、Uの世界最大生産国は中国の西隣にある
カザフスタン。
当然予想されることが、すでに昨年、実際に発生しています。
世界の地下資源などを扱い、またそれに関する情報を発信している
KITCOという企業グループがあります。そのウェブページ
China’s CGNPC to pay $435 million for 49% stake in uranium operation in Kazakhstan | Kitco News
に、Vladimir Basovによる2021年4月23日付の以下の記事が
あります。

China’s CGNPC to pay $435 million for 49% stake in uranium
operation in Kazakhstan
(中国のCGNPC社、カザフスタンでのウラニウム事業に
4億3,500万ドルを支出、株式の49%を保有へ)

例によって、一部抜粋し、私が日本語化しますね。
< >内は、私からの補足説明です。

カザフスタンの国営核企業であるカザトムプロムは本日、
そのウラニウム採鉱事業担当子会社オルタリク社の株式の
49%を中国の中国広核集団 (CGNPC) の子会社に売却する
売買契約を締結したと発表した。この契約には、いくつかの
条件と政府による承認が必要となる。

同社が以前に述べたところでは、カザトムプロムとCGNPCは
カザフスタンにあるウルバ冶金工場に核燃料工場を共同で
建設することで合意したそうだ。CGNPC は、カザトムプロムが
その完全子会社であるオルタリク(Ortalyk LLP) の株式49%を
CGNPCあるいはその系列企業に売却することに合意するならば、
ウルバで製造する核燃料をCGNPCが必ず購入するという保証を
している。

2021年4月22日、この売買契約への署名が行われ、世界に4社ある
国際的な主要顧問・専門サービス企業のうちの1社によるこの
契約内容の審査に同意した。この審査によれば、本契約が該当する
核燃料製造事業にはおよそ4億3,500万ドルの価値があるものと
判断されている。

・・・(中略)・・・

カザトムプロムは世界最大のウラニウム生産企業で、同社によるもの
とできる生産量は2020年の世界の一次ウラニウム生産のおよそ23%
を占めている。
*********************

なお、本「やかんをのせたら~~」のページ s-0) で、「人力発電所」の
漫画の下にある
With Kazatomprom Deal, China Secures Nuclear Fuel Supply and Enhances Ties With Kazakhstan – The Diplomat
もご覧ください。


離れられない ・・・
私の作品 “Imaginary Flower of Flames”

核兵器と核発電が「区別はできても、不可分」である以上、

どっかの大国が核兵器を増産 ⇒ ウラニウム需要が急増
という危険があることは、当然のリスクとしてわきまえて
おくべきですね。
それなのに、
・ 「天然ガスなどの供給が不足・不安定化 ⇒ 原発だ!」と
短絡してしまう原発推進勢力って ・・・
・ 一方、反原発勢力は、このリスクを指摘すべきですが、
2011年3月から今までの11年間、私自身による指摘を除き、
日本の反原発団体からこのリスク指摘を私は聞いたことが
ありません。

さらに、ソモソモ核兵器の存在が今回のウクライナ危機での
西側の手の出しづらさという問題を招いた ⇒ 天然ガスなども
供給不足も解消しづらい
というパターンが確かにあるわけですから、
・ 反原発団体は核発電のproliferation riskをもっと政府や
社会全般に訴えるべきですし、
・ 一方の日本政府は、2011年3月以降、こうした供給不足事態に
備えて、再生可能エネルギーによる発電の蓄電技術の開発などに
もっと力を注ぐべきでした。いったい、11年間も何をやって
いたのか??

CO2問題にしても ・・・

例として、
【脱炭素最前線(下)】東芝、CO2分離回収で世界へ バイオマス発電CCS、国内普及に課題も – SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
をご覧ください。
日立や三菱重工と並び「原発メーカー」の1つとして反原発勢力
からは叩かれやすい東芝ですが、「何かの燃焼による発電」で
発生するCO2の分離技術にも取り組んでらっしゃるわけです。
せっかくこんな優れた技術開発にいそしんで らっしゃるのですから、
アメリカの原発メーカーを法外な値段で買収したりせず (それが
もとで、東芝グループ全体が傾く結果になったのは、広く報道
されている通りです)、原発ビジネスというもはや損失しか
招かない事業を切り捨て、CO2分離技術などに傾注して
くれていたならば・・・ 実に残念です!

つまり、「核発電への未練」が新たな技術開発の足を引っ張った
実例ですね。そして、
「核発電未練・依存」 ⇒ 他のエネルギー技術開発の足を引っ張る ⇒
天然ガス供給不足などの事態が発生すると、「やっぱり原発だ!」と
主張する
という「自己実現パターン」が見られますよね。この11年間、
この自己実現パターンから離れなかった ・・・

いつも同じような人が、同じような話を ・・・ これじゃ、発展性に乏しく、すたれていきますよね

いつも同じような人が、同じような話を ・・・
これじゃ、発展性に乏しく、すたれていきますよね

一方、反原発勢力は ・・・

すでに2012年ごろに反原発集会などで見られた現象ですが、
・ 出席している人たちの顔ぶれが同じ
・ 議題・講演内容なども変化に乏しい
といった傾向が見られました。
「proliferation riskの情報発信も始めよう」とか、
「天然ウラニウムの供給は、核軍事情勢の影響を受ける」
といった話題は、聞こえてこなかったですね。

「このままじゃ、反原発運動もすたれていくよな~~」と
予想したのは、私だけではなかったはずです。
そして11年後の今、いかんせんその予想通りになってしまって
おります。

こうした状況の中、新たな視点での反核(発電も兵器も)勢力が
必要だと考え、本「やかんをのせたら~~」を2020年に始めた
次第です。

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