2022年3月24日
この「付録 w-5)」では、日本で近づいている選挙の結果を心配し、
主に原発反対派の読者の皆様に対し、「もっと情報発信しましょう
よ!」と呼びかけます。
正直、大した内容ではないです。
2022年3月22日の「電力ひっ迫」~~ “原発マフィア” が何か
言い出すだろうなあ ・・・ やっぱり、予想通り
皆様も、予想してらっしゃったでしょ? たとえ1日だけでも
「このままじゃ停電か!?」騒ぎがあると、“原発マフィア” や
その関係者などなどが「原発の再稼働を急げ!」と言い始めるだろうと。
まあ、少しだけ実例を挙げておくなら、
電力需給ひっ迫で経団連会長「原発を再稼働すべき」 (msn.com)
国民・玉木氏、原発のあり方「参院選のテーマに」 電力逼迫で「節電もいいが、発電の議論すべき」: J-CAST ニュース【全文表示】
それと玉木議員さんの核発電に関する姿勢は、どうも私には一貫性がない
ように見えるのですが。
国民民主・玉木氏 原発政策巡り、電力総連幹部らと会談: 日本経済新聞 (nikkei.com)
まともな議論をしたいよ!
大体、“原発マフィア” は何か電力関係の事件が発生するごとに、
「だから原発再稼働を!」と喚き始めますよね。で、たいていの場合、
その主張の根拠がさっぱり根拠不明だったりします。
この3月22日の「ひっ迫」の場合、原因は3月16日夜の福島県沖地震で
火力発電所が損傷を受けたことでしたよね。
で、地震なんてものは、いつ・どこを襲うか正確には分からないものです。
皆様もご記憶のとおり、2011年3月には、地震と津波で一部の原発が
壊滅して、「計画停電」がしばらく続きましたよね。
当たり前なことですが、大きな地震があれば、原発も火力も停止しますからね。
ですから、今回のような「ひっ迫」を防止するには、原発を再稼働すれば
よいということではなく、
・ 発電所の地震への耐久性を高める
・ 発電所をある地域に集中して配置すると、複数の発電所が地震で損害を
受けるリスクがあるので、うまく地理的に分配する
・ そもそも、巨大発電所 ⇒ グリッドで送配電という電力系ではなく、
電源そのものを分散化する
といった対策が必要になるのは、シロートにでも分かりますよね。
(* 私は送配電のことはシロートです)
ところが。
一例として、今回停止などした火力発電所の1つ「新地発電所」の
立地を調べると、福島県相馬郡新地町駒ヶ嶺字今神1番地1 でして
(新地発電所 – Wikipedia)、福島第一原発から北に60㎞ほどの場所です。
さらに皆様ご存じのとおり、福島第一から南に15㎞ほど行くと、
福島第二原発がありますよね。
地震や津波を考えての分散配置とかは、できなかったのでしょうか??
このあたり、立地選定時の事情を私は存じないのですが。
(* 私は立地選定についてはシロートです)
揚水発電って、再生可能エネルギーにも使えるじゃん
皆様も良くご存じのとおり、揚水発電ってものはもともと、原発は電気出力の
調整が難しくて・・・ 次の図のような「調整」をするために、作ったもの
ですよね。ごく簡単にいうならば。
(* 私は水力発電のことはシロートです! 送配電に詳しい方々、
情報発信をお願いします!)
熱力学の第二法則 (いわゆるエントロピー法則) からすれば、
揚水発電で水のポンプアップに要する電力と、発電できる電力と、
どちらが大きいかは言うまでもないですよね。要するに、プラス・
マイナスでは必ず電気の損失を招いています。
こんな奇妙なものを必要とするのが、原発というものの特性です。
でも。
今回の「揚水発電で助かった」件を受けて、「だから、もっと
原発再稼働を進めて、揚水発電所も増設しよう」といった
「本質を分かっていない暴論」が、マフィアの周辺から登場するんじゃ
ないでしょうかねえ?? そこまで “恥も外聞もない” ヒドイ暴論を
聞きたくはないので、どこにも登場しないことを願います!
むしろ、いずれ原発を廃止した後は、既存の揚水発電所は
再生エネルギー発電に利用すればいいじゃないですか。たとえば、
風の強い日に風力ファームで過剰発電 ⇒ 揚水発電所で水をくみ上げる ⇒
風の弱い日に、揚水発電、とか。
問題は、こうした「マフィア発言」の異常性の指摘が、・・・
今のところ、反原発勢力からあまり聞こえてこないことです!
およそ、“マフィア” 側がどんなことを言い出すかは予想できた
ことですので、反原発団体などが予め「予想される主張の問題点」を
指摘しておけば、よさそうなものなのですが ~~~
それがあまり聞こえてこないのが、ジレッタイ~~
\( > O<)/ そんなエラそーな口を叩くんだったら、お前が問題指摘しろよ!
という怒りの声もあるでしょうけど、
・ 私は現実に、このページを作成することで問題指摘しております。
・ もっと重要な問題として、「やかんをのせたら~~」は核発電の
「核兵器との不可分性と、軍事関係リスク」に特化したウェブサイトでして、
電力問題や送配電問題は本来、他の詳しい方々に任せています。
ですが、今回の電力ひっ迫問題との関連では、“マフィア” 周辺からの
暴論ばかりが聞こえてきており、反原発勢力からの問題指摘があまり
聞こえてこないので、業を煮やして本ページを書いているわけですね。
はやく、「本業」の一環である「トリウム サイクルの proliferation risk」の
調査に戻りたいんです、ほんとのところ。
反原発団体や個人の皆さん、必要なときにはもっと charivari (抗議の騒ぎ)
しましょうよ!
charivari といっても、特定個人をつるし上げたりするんじゃなくて、
要は核兵器・核発電というものを「つるし上げる」charivariを!
今後も、私は自分の分野である「軍事関連リスク」でこのcharivariを
続けますから、皆様もそれぞれの専門分野で、ご自分のcharivariを!
具体的なやり方は、インターネット上での情報発信とか、
”No Nuke Tシャツ” を普段から着て歩くとか、いろいろです。
今、私たちがcharivariしないと、次の選挙結果が心配です。
(* なお、このページでここまで取り上げた「電力問題」は、
私の分野外です)
軍事関連の報道からのサイド エフェクト
ロシア軍部隊がチョルノーブイリ原発(の棺桶)を制圧した報道は、
日本でも広く視聴されましたよね。
で、軍事問題だけじゃなくて、電力面での原発の問題点を広くアピール
できる事実でもありますよね。
ええ、いまだに放射性物質の冷却が必須だという事実ですね。
☆ チョルノーブイリ ・・・ 「吹っ飛んだ」のは1986年4月。それから
ほぼ36年が経過しましたが、いまだに放射性物質を保管設備で冷却しないと、
危険な事態に。(だからこそ、これほどの世界的騒ぎになったわけでして)
☆ 福島第一 ・・・ ご存じのとおりメルトダウン開始から11年以上が過ぎ
ましたが、いまだにデブリなどの冷却が必要 + 地下の汚染水が流出するのを
食い止めるための「氷の壁」なんてものまで、ありましたよね。
こうした、すでに現時点で36年間とか11年間とか言った長期間にわたり、
冷却を続けないといけなかったのは、厳然たる事実ですよね。しかも、
その冷却の必要は、今後も続きます。この「何十年も冷やし続ける」ための
消費電力がいかほどか、どこかに数値が公表されているでしょうか??
私は探したけど見つけられませんでしたので、ご存じの方は教えてください!
yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp
まで、よろしく!
とにかく、どちらでも膨大な電力を「原発がぶっ壊れて以降の冷却」に
費やしてきていることは、間違いありません。せっかくの機会ですから、
反原発団体の皆様など、この事実をもっとアピールしては??
上の黒いメニューの中、下の方にある 付録 w-3) などで、ライフサイクルでの
CO2換算での温暖化ガス放出量を、核発電方式に関して紹介しております。
で、この「ライフサイクル」はあくまで大きな異常など発生しない場合を
想定しての数値です。
実際には、核発電ではすでにいくつも大きな異常が発生しており、
その「ぶっつぶれてからの冷却」に膨大な電力を消費してきました。
そしてこれは、核発電に特有の必要性です。
「気候変動対策のため、原発の見直しを」といった議論では、この
「事故後の大量電力消費」も検討に入れないと、議論が現実に即さない
もので終わってしまいますよね。
(* なお、私はあくまで核発電の軍事リスクを扱っており、気候変動ガス
排出を専門にしていないので、詳しくは是非、気候変動を専門にして
らっしゃる方々のテキストなどをお読みくださいな)
それと、ブラックアウトしそうな状態でも、原発は冷却しないと
加えて、原発の冷却系は稼働させておかないと大変な事態になりかねない
ことは、皆様も福島第一の大惨事などから良くご存じのハズ。
ということは、ある地域で電力不足が発生している場合でさえ、その地域に
ある原発の冷却のためには電力を原発に供給し続けないといけない、
ということですよね。
「制御棒さえ突っ込めば、原子炉はすぐに核分裂をやめて冷める」わけじゃ、
ないですので。
使用済み核燃料プールもありますし。
こうした場合、原発は「発電所」どころか、「外部からの電力供給を止めると
“暴れ出す” 恐れのある巨大な電気食い虫」になってしまう危険が
あるわけですね。
それと、たとえば原発事故後の電力の50%を原発に、残る50%を石炭に
依存している国の場合なら、こうした「事故後の冷却」のための電力の半分は、
石炭火力からのものになりますよね。こうした場合の当該原発による「実際の
ライフサイクルでの温暖化ガス排出量」も、どこかの研究機関で推定して
いないのでしょうかね??(事故後の実際のCO2換算排出量の試算を、
私は探しましたが見つけられません。なお、上の黒いメニューで付録 w-3)
も参照 ・・・ こうした試算では、「事故後の冷却用消費電力」は無視
されてますよね)
「専門バカ」になれと言ってるんじゃなくて、反原発運動の組織化が必要だと
言いたいのです
このページでは、(* 私は水力発電のことはシロートです)や、(* 本来、
このページでここまで取り上げた「電力問題」は、私の分野外です)、
(* なお、私はあくまで核発電の軍事リスクを扱っており、気候変動ガス排出を
専門にしていないので、詳しくは是非、気候変動を専門にしてらっしゃる方々の
テキストなどをお読みくださいな) といった お断りをやたらに入れて
きましたよね。読みづらくなることを、覚悟の上です。
目障りなほどのお断りで、何が言いたかったのかというと、
原発問題という1つの分野があるわけでは、ない!
ってことなんです。
時系列で振り返ってみてくださいな:
1) アメリカのマンハッタン プロジェクトで、原子炉を開発・使用して
原爆用Puを製造
2) 広島と長崎で、核兵器が世界史にデビュー。上述のPuは、長崎で
何万人かを焼き殺す。
3) 1951年、EBR-1で初の「核発電」成功。(ページ if-0) 参照。
まだ、商用化ではない) 1957年、アメリカのペンシルヴァニア州で
史上初の商用原発シッピンポート原発が臨界。
4) 並行して、核兵器が世界中に蔓延してしまうのを心配したアメリカ大統領
アイゼンハワー、国連でAtoms for Peace演説(1953年)。「核兵器
あきらめたら、飴あげるよ(核発電やらしたげるよ)。ただし、核兵器開発を
こっそりやってないか、IAEAが監視するからね」の始まり。
5) 結局、発電を隠れ蓑にした核兵器の拡散を招いた。(付録 w-4) に
あるGore元副大統領のインタビューを参照)
6) 並行して、TMI、チョルノービル、福島第一などなどの諸原発で、事故発生。
初めから核兵器とそれに関連した軍事という問題が、中心にありますよね。
当然、軍事や世界情勢などが絡みます。
それと無論、核反応を使うものである以上、核物理も不可避的に関係します。
そして具体的には、各種原子炉のメカニズムやウラニウム濃縮などの問題も。
さらに、放射線の健康影響も重大な問題ですし、原発ホスト自治体への
経済的影響などの問題もあります。
さらに事故となれば、被害を受けた方々へのケアという問題も。
反原発訴訟をするなら、関連法令という分野もありますよね。
はたまた、原発作業員の雇用では「寄せ場問題」まで絡んでいます。
その他、アレもコレも。
これだけの多様な問題系が絡み合って一種の複雑系を形成しているのが、
「原発問題」だというべきでしょう。
誰も、一人でこれだけの各種問題系をすべてカバーできるものでは
ございません!
「自分は何をしたいのか」を明確にして、自分の分野を掘り下げていく
べきでしょう。
あとは、そうした各分野にフォーカスした反核の動きを、どう組織化するのか?
それが大きな課題ではないかと考えます。こうした「運動のあり方」を考える
必要は、明らかでしょ?2011年春~夏に国内各地で反原発グループがいわば
「自然発生的に」多数出来ましたが、11年たった今、1つの原発も廃炉に
追い込めてはいないのですから。
私が「軍事関連リスク」にフォーカスしているというのは、核発電の本質は
そこにあるからでして、決して事故対策や気候変動問題を軽視しているんじゃ、
ありません。ただ、これだけの複雑系ですから、自分のできる領域をはっきり
させて、それ以外の分野は各分野の専門の方々に任せたいのですね。
それと、たびたび指摘してきたように、日本の反原発運動では、どうも軍事面を
具体的に取り上げていない団体が多いです。単に「核兵器と同様の技術だ」と
いった抽象的な命題を唱えてらっしゃるだけのグループが多いです。
具体例を紹介していかないと、社会への説得力に欠けます!
「∂y/∂xじゃ、わかんない~~ 具体的に数値淹れて説明してよ~~」
私の20分クロッキーより
では、このページはあくまで「付録」なので、これで終わります。
では、「本業」に戻ってトリウム サイクルの軍事面の調査を続けます。