c-5) (その他の「前科」) 北朝鮮では ~ IAEAは何のため??

c-5) 北朝鮮の事例から ~ IAEAは何のためにあるの??

2020年10月

誰かによる「査察」があっても、核兵器が製造されてしまった
(とされる)実例として、イスラエルのDimona の実例を紹介しました。
他の例の1つとして、北朝鮮のヨンビョン(ニョンピョン)核施設が
あります。

ここじゃ、なにをやってるの?

ここじゃ、なにをやってるの?

私の20分クロッキーより

 

北朝鮮のヨンビョン核施設での、IAEAによる査察の場合

これはIAEA が査察に入っていたので、当のIAEA のウェブページを
見てみましょう。
https://www.iaea.org/newscenter/focus/dprk/chronology-of-key-events
に、北朝鮮とIAEA に関連した年表があります。

まず、2008の箇所をご覧ください。
13 October 2008, DPRK grants IAEA access to Yongbyon
facilities.
とありますから、2008年10月に北朝鮮政府はいったん、IAEA が
ヨンビョン核施設を査察することを認めたわけですね。

ところが。その翌年、2009の箇所を見ると、
14 April 2009, IAEA Inspectors Asked to Leave DPRK.
The Democratic People’s Republic of Korea (DPRK) has informed IAEA
inspectors in the Yongbyon facility that it is immediately ceasing all
cooperation with the IAEA.
とありますので、2009年4月には北朝鮮政府がIAEAの査察団に、
一切の協力をやめるから出ていけと命じたわけですね。

実際、
16 April 2009, IAEA Inspectors Depart DPRK.
その翌々日には、査察団は出国したわけです。

そして核兵器

結局、北朝鮮が核ミサイルを保有していることは、今では広く報道済みの
事実となっています。これじゃ、「IAEA は何のためにあるのだ~~」と
いったつぶやきも世界中で ・・・

しかし大まかに言ってしまえば、IAEA (核発電は進めるが、同時に
核兵器の拡散は食い止めようとする)や「核の平和利用」つまり
“Atoms for Peace” といったスローガンそのものが、ある無理な
「取引」を狙ったものです。

やっぱり、出てってよ!

やっぱり、出てってよ!

私のコラージュ作品より


簡単に言ってしまえば、その「取引」とは ・・・

「核兵器をあきらめたら、核発電やらせてあげるよ」ってことです。
”核発電やりたいかい? やりたいなら、「核兵器は、あきらめます」と
約束しな。約束を守っているか確認するため、IAEA が監視する
からね” ってことです。
(あくまで、すごく簡略化した表現ですよ)

“Atoms for Peace” 演説をアメリカのアイゼンハワー大統領が
国連でしたのは、1953年12月のことでした。それから、
「核の平和利用」というスローガンが世界に蔓延ったわけですが~~

もともとこれは、上記のような「取引」で核兵器の拡散を抑えようと
したものでした。
しかも、アメリカ自体は核兵器の優位性を維持したまま。
(この問題については、すでに各種の研究の書物が出ております)

要するに「ピストルをあきらめたら、オモチャあげるよ」みたいな~~

ところが、その「オモチャ」たるや、改造すると核兵器開発に使える
オモチャであることは、ここまでに紹介した通りです。

つまり、この「取引」では、結果として核兵器の拡散を防止することは、
できなかったわけです。

やはり、「核兵器も核発電も」廃絶するしか ・・・

・・・ 現実には核による破局を回避するための方策は、ないようですね。

どうも日本では、核兵器への反対と核発電への反対と、2つの勢力に
分かれてきたのが実情だと見受けます。
もう、両勢力が力を合わせるべき時なのでは?

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