この「やかんをのせたら~~」では、今年(2021年)の6月21日にタイシャン原発の燃料棒破損事故について、CNNの報道を日本語化して紹介しました。上の黒いメニュー内の左上、Homeをクリック ⇒ 右端の「アーカイブ」で2021年6月をクリックすると、「CNNによれば、・・・・」というタイトルが登場するはずです。それを、クリックなさってくださいませ。
で、それ以来先週まで(今日は、2021年12月6日)、ずっとこの事故の続報を待っておりました。このあたり、報道に携わる方々には、こうした重要な出来事に関しては継続的な報道をお願いしたいものです。(タイシャンで大量の放射性物質が漏れ出た場合、東北東に向かう強い風が吹いていれば、台湾も被害をこうむりますし、那覇あたりだって影響を受ける恐れはありますからね)
やっと聞こえてきたわ~~
私の20分クロッキーより
で、半年近く待っていた続報、やっと聞こえてきました。でも、その待っていた間に、フランス政府は原発の新設を再開することを決めたりしています。そのフランスの「元AREVA」つまりORANO社(持ち株会社)の関連企業が、このタイシャン原発の建設や運用に携わっているのですが。
それでは、そのタイシャン原発の燃料棒破損に関する近日の報道例から、抜粋・日本語化して紹介しますね。
Vision Timesという中国の週刊新聞のウェブサイトに、元の英語記事があります。
70-Plus Nuclear Fuel Rods at China’s Largest Reactor Taishan Damaged by Possible Design Flaws: Whistleblower – Vision Times
Arina Wangという記者の方による記事で、2021年12月2日付のものです。
(私による抜粋・日本語化、なお今後は引用文中の私からの訳注は<>で示します)
中国とフランスが合弁で所有している中国のタイシャン<Heedayより注釈: 香港から西に150㎞程度>にある原発は、この8月に核燃料の漏出事故を起こしたとの報告を受けて停止している。「放射線の脅威」が発生する恐れがある、とのことであった。
中国南部の広東省にあるこの原発の運営に当たっているのは、 中国广核集团(China General Nuclear Power Group)とフランス国営の<電力会社である>Electricite De France (フランス電力、EDF) とである。
Commission de Recherche et d’Information Indépendantes sur la Radioactivité (放射能に関する調査および情報提供の独立委員会、CRIIRAD) <というフランスの放射線関連の環境保護に努める独立系NGO> は、<1986年の> チェルノブイリ大災害を受けて結成された団体だが、そのCRIIRADがフランスの核安全当局に告げたところでは、ある内部告発者がCRIIRADに接触、今回の核燃料漏れの原因として考えられる問題を知らせてくれたそうだ。
さらに中国の核発電当局は<今年の夏に> 約5本の核燃料棒が破損していたことを認めたが、上述の内部告発者がフランスの国営放送局であるRadio France Internationale に告げたところによれば、実際に破損していた核燃料棒は70本を超えていたという。
・・・・ 中略 ・・・・
私の20分クロッキーより ~~ 下地が暗い色という「設計」だと、
モティーフを白などで描くことに必然的になります。
タイシャンの原子炉の設計上の問題
この内部告発者は、核発電業界の経験があるフランス国籍のエンジニアで、タイシャン原発については詳細な知識があると述べている。同エンジニアによれば、今回の燃料棒損傷の原因としては、原子炉容器内の圧力に関する設計上の問題がありえるとのことだ。さらにこの内部告発者によれば、この核燃料棒集合体に損傷が生じたのは「異常な振動」のためであった、という。
中略
CRIIRAD ではフランスの核安全当局と11月27日にEメールで連絡を取り、この内部告発者の通報内容を厳密に検討するよう依頼した。さらにCRIIRADでは、タイシャン原発でどのような事故が発生しても、EDFがフランス国内や<フィンランドのオルキリオトその他の>国外で建設中の原子炉にも影響があり得る、とも伝達している。*************************
最後の箇所、EDFが国内外で建設中ないしは建設しようとしている原発というのは、EPR(ヨーロッパでの名称がEuropean Pressurised Reactor)という種類の原子炉で、基本的には加圧水型軽水炉(PWR)です。その最初に商用稼働したのが、今回の事故で有名になったタイシャン1号(2018年12月に稼働開始)です。
ヨーロッパではフィンランドのオルキリオトとフランスのフラマンヴィルに建設中ですが、予定より大幅に遅れており、経費が見積もりを大きく上回っています。
そこに、今回の「設計上の問題か?」との報道があったので、政府が原発の新設を再開することを決めたフランスでは、騒ぎになっている様子です。たとえば、フランス語のnucleaire taishan chine でネットを探してみてください。フランス語の近日の記事が、アレコレすぐに出てくるはずです。
「CO2削減だ!」⇒ 「やっぱり原発を!」という短絡をやらかしてしまうと、国全体での、さらには国際的な騒ぎになりかねない、という実例ですね。
それを、日本語のメディアが少ししか取り上げていないのは、いったいなぜ~~?
「でも、原発はCO2出さないんでしょ?」とお考えの方々は、上の黒いメニューの底部、固定ページの付録 w-1) をご覧くださいな。