t-0) (トリチウム) トリチウムの何についての話か?

 

t-0) (トリチウム) トリチウムの何についての話か?

3H(トリチウム)といえば、日本では大抵の方が福島第一原発敷地に「積み上げられている」汚染水タンクの列を想起されることでしょう。確かに、3Hは「厄介な」核分裂生成物で、内部被ばくを考えると有害な物質です。こんなものを海に流さず、他の処理方法に切り替えて欲しいと私は願っています。(後でたぶん言及しますが、50年タンクで保管できれば、濃度云々ではなく3Hの絶対量が1/16に減ってくれるのですが ・・・) 地元で漁業を営む方々のためにも、ぜひ「海に流しちまう」なんて安直な処理はやめて欲しいです。(海水で希釈して海に流すというのですから、絶対量はまったく減っていない。それに対し、放射性物質が自然に起こす崩壊の時間をとれば、3H自体の絶対量が減ってくれます)

 

3Hの半減期は約12.3年

3Hの半減期は約12.3年

しかし。3Hには内部被ばく以上に危険な側面があるのです。そちらの側面については、日本語メディアがほとんど報じていないのが、正直言って腹立たしい! 日本語メディアの多数派は、「3H → 福島の汚染水」という一面的認識でも、日本の一般市民に植え付けたいのでしょうか??

では、その「危険な側面」とは?具体的には、たとえばアメリカ原子力規制委員会による2005年6月付のTritium Productionという文書の一部、次の段落はどう理解すればよいのでしょう??

Fact Sheet: Tritium Production. (nrc.gov) にあります。

(私が日本語化したもの)

1996年5月22日、当時のアメリカのエネルギー長官とNRC(原子力規制委員会)委員長とは、ある合意の覚書に署名した。この合意により、エネルギー省(DOE)が商業用原子炉(原発)を利用してトリチウムを製造しようという件に関する、NRCによるレビューや諮問の基盤が固まった。この覚書はDOEとNRCが1978年に交わした合意を補強するもので、トリチウム製造だけに関するものであった。

DOEは、商業用加圧水式原子炉でトリチウムを製造する新技術を開発していた。この新技術では、中性子を吸収する材料として、それまで主流であったホウ素ではなくリチウムを使用する。リチウムを特殊な棒の中に入れ、それに炉心で中性子を照射すると、棒の中のリチウムがトリチウムに核種変換する。その後その棒を燃料集合体から取り除き、DOEがトリチウムを抽出するのだ。

トリチウム製造に関するDOEの決定

1998年12月22日、DOE長官はトリチウム製造の主な手法として軽水炉(一般的な原発)を利用する技術を採用すると発表した。リチウム製造にはこれ以外にも粒子加速器を利用する技術もあるが、それはバックアップとして位置付ける。同長官はテネシー峡谷開発公社(TVA)のワッツ バー原発ならびにセコイヤ原発の1号機と2号機とを、今後のトリチウム製造のための優先的施設として選んでいる。

ヨーロッパや北米の原発には、こんな風に大きな川のそばにあるものが多く、川への温水排出を減らすため冷却塔があります。 日本の原発の場合、すべて海岸にあるので、冷却塔を省いています。でも、海岸にあると、地震が発生すると津波をまともに受けますよね。

ヨーロッパや北米の原発には、こんな風に大きな川のそばにあるものが多く、川への温水排出を減らすため冷却塔があります。
日本の原発の場合、すべて海岸にあるので、冷却塔を省いています。でも、海岸にあると、地震が発生すると津波をまともに受けますよね。

お分かりのとおり、アメリカ エネルギー省がわざわざ製造技術を新たに開発してまで、意図的に3Hを製造することにした、というわけですね。こんなやっかいな有害物質をわざわざ製造して、何に使うのでしょうか?

それを説明するため、この t-x) 固定ページでは、以下の各話題を取り上げていきます。

t-1) アメリカにある商業用原発での3H製造 ― 「核発電と核兵器の不可分性」の顕著な実例
そして、中国への2H(重水素、デューテリウム)輸出禁止

t-2) 核爆弾の種類 ― 2Hと3Hがなにをやらかすのか

t-3) そんなわけでアメリカは、商用原発で3Hを製造する一方、中国への2H輸出を禁止
さらに、インドや北朝鮮での例

t-4) そして、3H製造の凍結から始める核廃絶を ― ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の提案

では、上の t-1) から順に投稿していきますね。固定ページですので、上の黒いメニューの底部を探してくださいませ。

 

 

 

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