・・・ 実に気になりますよね!
その関連で、The Week (英語圏のニュース週刊誌)
のウェブサイトから記事を紹介しましょう。
Russian referendum: Fate of Zaporizhzhia nuclear power plant uncertain – The Week
The Russian annexation of the plant could stop its
export of electricity to Europe
(ロシアによる(八百長)住民投票の影響:
ザポリージャ原発の運命や、いかに
この原発をロシアが手に入れてしまうと、
ヨーロッパへの電力輸出が止まる恐れも)
八百長住民投票をロシアが強行してしまい、
これがザポリージャ原発にどう影響するのか、
心配です。
それについて、英語圏のニュース週刊誌 The
Week のウェブサイトに関連記事を見つけました。
The Week誌のウェブ デスク
2022年9月28日更新
いつも通り、
私の抜粋・日本語化
< > 内は、私からの補足説明
******************
火曜日 <9月27日>、ウクライナの南部と
東部のロシア制圧下にある地域の役人たちは、
先週実施された住民投票での勝利を公表した。
歴史に前例のないほど圧倒的な多数の票が、
ロシアへの併合に 「イエス」 と答えた、
というのだ。
この投票プロセスを西側は 「詐欺」 と呼んで
いるが、当該地域の併合を狙うロシアの策略
実行を開始する投票だった。<4州の> 合計での
面積は、ウクライナ国土の15%を超える。
その、もうすぐロシア連邦に奪われてしまう
ウクライナ領土の1つがザポリージャ州であり、
ここにはヨーロッパで最大の原発がある。
ロシアの傀儡政権の主張では、ザポリージャ
南部の選挙管理団体の集票では投票者の93.11%
がロシアへの併合を願っているという。
投票結果としてはロシアとの併合ということに
なった今、ザポリージャ原発の今後は不透明だ。
ドゥニプロ川の東岸にあるこの原発は今回の
侵略の開始当時からロシア軍の制圧下にあるが、
今もそれを稼働しているのはウクライナの
作業員たちだ。
同原発では激しい砲撃や爆発が続いているが、
専門家たちは今のうちは災害が発生するとは
見ていない。その理由として、ロシアはこの
原発で発電する電力をロシア国内の電力市場に
使いたいのだ。国防とセキュリティの諜報企業
ジェーンのアナリストたちによれば、ロシアは
この原発をロシアのものとし、ウクライナの
国内発電容量を20%ほど削減するつもりだ。
昨年、ザポリージャ原発が発電した電力は、
ウクライナの総発電量の23%に相当していた。
この州を併合してしまえば、同原発の獲得も
容易になる。
今年の3月4日以来、この原発はロシア軍の
占領下にあり、すでにロシア政府は自国の
核エンジニアや専門家たちを同原発に連れて
きている。だがウクライナ政府の主張では、
<同じタイプの原子炉だとはいっても> 実際の
システムは異なっており、安全に稼働させるには
訓練を受けたスタッフが必要だ。
先月、ウクライナの原発運営企業エネルゴアトムは、
ザポリージャ原発を占拠中のロシア軍が発電した
電力の送電先をクリミアに変更しようとしていると
警告していた。
だが、その送電先変更のプロセスは容易なものでは
なかった。実行するにはまず同原発をウクライナの
送電グリッドから切り離し、クリミア経由でロシアの
グリッドに接続せねばならない。
「ザポリージャ原発を安全にウクライナのグリッド
から切り離し、さらにクリミアのグリッドに接続する
には、技術的に複雑な非同期化そして再度の同期化を
行い、接続の切断は1回戦ずつ順に行わないと
いけない」 と、ウクライナの送配電事業者である
ウクレネルゴの上級役員であるマリーア ツァトゥリアン
はDW <ドイツの公共放送> に述べている。
この原発を今後どうするのかについては、ロシアは
まだ公式には発表していないが、予想される併合が
行われると、ウクライナにとってはさらに問題が
発生する。ウクライナはヨーロッパ諸国と
<電力供給の> 契約をしており、ルーマニアならびに
スロヴァキア経由でヨーロッパに電力を輸出する
ことになっているのだ。つまり、ウクライナに
とってもEU諸国にとっても、この冬は厳しい
ものとなりそうだ。
さらに、産業スパイ行為の危険性もある。
キーフにある独立系シンクタンクのウクライナ
未来学研究所のアンドリアン プロキプは、この
原発奪取により産業スパイ活動や技術盗難が
行われるだろうと考えている。
「ウクライナの発電所では今ではアメリカで
設計しウェスティングハウス社が製造した
核燃料を使用している。ロシアの国営核エネルギー
企業ローザトムの代表者たちもザポリージャ原発に
いたのだが、ウェスティングハウス社の燃料の
技術特性に強い関心を示していた。こうした代表者
たちは同原発の自動制御システムにも関心を示して
いたが、これもアメリカからのものである。
ローザトムが世界でも最大級の各発電開発者の1つで
あることを考えると、ローザトムがこの原発を
掌中に収めた場合には、産業スパイ活動や技術の
盗難があり得ることは充分に考えられる」 と、
プロキプはウィルソン センター <アメリカに
本拠を置く世界的なシンクタンク> で公表されて
いるブログ投稿で述べている。
一方、同原発の安全に関する状況が今も不透明な
ただなか、IAEAの職員たちが介入を始めている。
IAEAのトップであるラファエル グロッシによれば、
彼はウクライナならびにロシアとの交渉を続け、
問題の原発周辺に安全地帯を設けるよう努めるという。
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早く、その非武装地帯がザポリージャ原発周辺に
設けられることを祈っております!
新しい 「軍事関連リスク」 ??
上の報道を読んでいて大変心配になったのは、
ロシアがザポリージャ原発を奪取 ⇒ 技術的に
よくわからないまま、送電対象を変更して稼働
⇒ 不適切な稼働によりメルトダウンなどの事故
という事態ですね。むろん、そんな事態にならない
ことを祈っておりますが。
およそ、発電所なんてものは施設ごとの特性が
あって、それに慣れた人たちでないと適切には
動かせないものです。
それを無視したどこかの国が (ロシアに
限りません) 他国に侵略し、そこの原発を
稼働させると ・・・
上の黒いメニューにある
「d-6) 各種の軍事的リスク」
で、現時点での軍事関連リスクのまとめを
述べますので、そちらもお読みくだされば。
黒いメニュー内の項目は、基本的にアルファベット
順に配列しております。