um-1) (U鉱山)シンコロブエ、DRC

2023年9月

核兵器用であれ、核発電用であれ、
ウラニウム燃料である以上は
定義上U鉱山から取り出したUを使って
ます。違いは、要するに濃縮度。(上の
黒いメニューでは、項目を基本的に
アルファベット順に配列しています。
そこで、ページ d-3) (説明図)と h-3)
(「濃縮」U中の・・・) を見つけて
クリック!)
なので、この固定ページ シリーズ
um-x) では、U鉱山の問題点を短く
取り上げます。

闇の中で~~

闇の中で~~

まず本ページでは、Beyond Nuclear
Bulletin 2023年9月7日号にある
The sordid history of Trinity’s uranium
fuel
(August 28, 2023)
という記事を、私の日本語化で紹介
します。
いつもどおり、< >内は私からの
補足説明です。

英語原文を読める方々は、
The sordid history of Trinity’s uranium fuel – Beyond Nuclear
をご覧ください。

*****************************************
人類史上初の核爆発は、Trinity<という
核実験。1945年7月16日、マンハッタン
計画の一環としてアメリカ陸軍が実施した
実験で、場所はアメリカのニュー
メキシコ州でした。この実験が ”成功”
してしまい、3週間ほど後にはご存じの
通りこの実験と同タイプの原爆が長崎で
炸裂する結果になりました。なお、
Trinityというコード名をつけたのは、
”例の” Oppenheimer 博士だったそう
です)であったが、これは実験場周辺の
コミュニティに災厄をもたらしただけは
なく、そのウラニウムが採掘された鉱山
のコミュニティにも被害をもたらした。
そうしたコミュニティの1つに、
アフリカのコンゴのU鉱山周辺集落も
あった。

一部の炭鉱では、児童が強制労働させられている場合も

一部の炭鉱では、児童が強制労働させられている場合も

<コンゴ、現在のDemocratic Republic
of the Congo (DRC)、アフリカ中央部
にある共和国>
Trinityで使用したUの2/3は、シンコ
ロブエと呼ばれた地下深い鉱山から来て
おり、地下24階ほどの深度にあった。
カタンガという同国南端地区にある。
<なお、「あれ?Pu型原爆だったん
でしょ?なのに、ウラニウム??」
と不思議に思う方も、いらっしゃる
かも。Puはほとんどが人造元素でし
て、U238に中世線を照射したりして
Pu239に核種変換させるのですね。
そのための装置が、本来、「原子炉」
というわけです。上の黒いメニューに
あるページ b-1) を参照>  当時、
コンゴの人々は既にベルギーの植民
支配のもとで、飢餓や疫病などの
苦汁を飲まされてきており、何百万もの
人命が失われていた。
<「植民地支配」というとすぐに英仏を
想起なさるでしょうが、19世紀終わり
ごろから1960年までは、今後はベルギー
の支配下にありました。特に、
レオポルド2世という王による、手首
切断などを利用した過酷な支配は悪名
高いですよね)

WIRED<というアメリカの雑誌> で
記事の著者Ngofeen Mputubweleは、
映画「Oppenheimer」のあるシーンを
回想している。「画面では鉱山用のボウル
に大理石が満載されていくのだが、どう
見てもあるものが欠落していた。黒い肌
の鉱山労働者たちが、地を掘り石を砕いて
いるのだが、放射性物質の功績を手作業で
より分けていたはずなのだが、そのシーン
が登場しないのだ」

Mputubweleはさらに、原爆の製造者
たちと今後の人たちとの間にある悲惨
で非人道的な関係について、その逸話
や歴史と回顧している。コンゴの人たち
は拷問を受けたうえで収容所とでも呼ぶ
べき施設に住まわせられ、鉱山での労働
に処された。そうした鉱山からの産物は
ウラニウムへと生成され、原爆に
使われた。ウラニウムのことを、炭坑の
従業員たちは「けばけばしい石」と
呼んでいたのだ。.

作業員が倒れても、代わりはいくらでも ・・・

作業員が倒れても、代わりはいくらでも ・・・

こうした鉱山では当初はラディウムを
採掘、ウラニウムは廃棄していた。
当時、ウラニウムは廃棄物と見なされて
いたのだ。<シンコロブエ鉱山の操業
開始は1921年のことで、当時すでに
ラディウムは蛍光塗料やがん治療に
利用されていました。それにともなう
被害者も出ましたが。一方、
ウラニウムについては、マンハッタン
プロジェクトが正式に始まったのは、
1942年のことでした> 掘り出され
ても地表に蓄積されていた。
カタンガ地区で掘り出された
ウラニウムは当時の世界で採掘できた
他鉱山ののウラニウム鉱石よりも
<U235の> 濃度が高く、第二次大戦
中には枢軸諸国も連合諸国もカタンガ
産のウラニウムを慕い求めた。この
鉱山からの放射性物質による汚染は、
いまだに環境を侵し続けている。
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一部だけ見ていると ・・・

一部だけ見ていると ・・・

コンゴに限らず、s是会のどこで
採掘しようがウラニウムの採掘や
精製、濃縮、再処理などによる
プルトニウム製造などには、作業員の
被害が伴います。
鉱山周辺の汚染も発生します。
こうしたライフサイクルでの
問題点もよく考える必要があるの
ですが、どうも日本語圏での
議論を見ていると
電力需要 + CO2排出削減
VS
原発事故 + 核ゴミ
という単純化されすぎた
二項対立が主流になってしまって
いるようです。
U採掘・製造、proliferation risksと
いった深刻な問題を、軽視しないよう
お願いします。

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