ザポリージャ原発についての、 IAEA事務局長からの報告

ザポリージャ原発についての、
IAEA事務局長からの報告

Update 243 — IAEA Director General
Statement on Situation in Ukraine

2024年8月12日
オーストリア、ウィ―ン発

Update 243 – IAEA Director General Statement on Situation in Ukraine | IAEA

Beyond Nuclear Bulletinの2024年
8月16日号に紹介されている、
ザポリージャ原発の現状に関するIAEA
事務局長からの報告を。
8月11日に同原発の冷却塔で火災が
発生したのですが、その現地調査に
関する報告です。

なお、原発の「冷却塔」については
上の黒いメニュー(項目は基本的に
アルファベット順)で 付録 w-12) 
を参照特に、上から5番目の
略図

たこ焼き屋さんで火事??
そんなバカでっかいもん、焼くからや~~

いつもどおり
私の日本語化
<  > 内は私からの補足説明
で紹介しますね。

*********************

ウクライナのザポリージャ原発(ZNPP)
に配置されているIAEA(International
Atomic Energy Agency) (IAEA) 職員
たちは本日、同原発の冷却塔を視察、
昨日発生した火災の影響を調べた。
<8月11日、この原発の北西部で濃く
暗い煙が発生、それに先立ち夜通し
複数の爆発音が響いていたそうです。
本日(12日)入った情報では、原発
の冷却塔の1つに対してドローンに
よる攻撃があった模様。事務局長の
ラファエル グロッシが確認した
ところでは、原発の安全に対する
影響はないそうです>

この火災の影響を直ちに調査せよとの
要請に応じ、IAEAのザポリージャ
サポートと支援ミッション(IAEA
Support and Assistance Mission to
Zaporizhzhya、ISAMZ)が今朝、
その冷却塔周辺に入った。現場の観察
の結果として、今回の火災の主な
出火元がこの冷却塔の基底部にあった
とは考えにくいそうだ。ラファエル
グロッシ事務局長の話による。

つまり、下から出火したんやなくて、
上から攻撃された??

上記チームはこの冷却塔を査察して
いた間に、火災の損害が冷却塔内部の
水ノズルの配水レベルに集中していた
可能性が高いと判断した。<地面
から> 10m ほどの高さの位置だ。
そこでチームはこの水ノズル配水
レベルを調査したいと要請した。この
レベルに該当する階の床を、
コンクリート製の土台柱から監察
できた。さらにチームは冷水槽の中も
観察したが、これは冷却塔の底部に
ある。この冷水槽の調査をも要望した
のだが、この2つの場所にチームが
入ることは、本日の現場調査では許可
されなかった。安全面での懸念のため
である。

この被害を受けた冷却塔の現場を調査
している間にチームが観察したところ
では、水ノズル配水レベルに近い高い
位置にある内部設備に、焼け焦げた
箇所を発見した。さらに冷水槽全体に
燃えたプラスティックの小滴や崩れ
落ちたコンクリートの破片が散乱して
いた。このチームの判断では、こう
した小滴の存在は、この火災によって
プラスティック製のメッシュが溶け
落ちたことによるものであろう。燃え
溶けたプラスティックも含む破片の
サンプルを収集した。この火災で発生
し長時間続いている異臭もこのチーム
が検査したが、硫黄臭が見当たらない
ことからプラスチックの燃焼によって
生じた可能性が高い。

チーズの焦げた匂いが ・・
チーズたこ焼きやったんやな

この現地調査では、タイヤやドローン
の破片などは見つかっていない。

冷却塔の底部にあった破片や灰、スス
には攪乱などを受けた充分な形跡は
見当たらなかったことを、チームは
確認している。

この冷却塔は現在のところ使用されて
いないため、この原発の核安全性には
影響はない。この原発では、冷却塔は
原子炉の冷却メカニズムの一環として
必要とされてはおらず、原子炉は
いずれもコールド シャットダウン状態
で停止している。今回の冷却塔とその
周辺では放射性物質は検知されて
いない。ZNPPでは冷却塔地区は、
原子炉のある地区から約1.5km離れて
いる。チームは冷却塔地区と原子炉
地区とで放射線モニターを行ったが、
放射線レベルの冗長は検出され
なかった。

さらに情報を集め判断の根拠の真実性を
確認するため、ISAMZチームでは、
ZNPPのチームが水ノズル配水レベルの
上部を写真撮影する際に同伴することを
要請した。

現時点までの発見事項や観察内容から
だけでは、チームは最終的な結論を下す
ことができていない。IAEA では今後の
検討や水ノズル配水レベルと冷水槽での
現場調査を踏まえ、全体的な分析を
続けていく。
***************************

何の音だ??
私の20分クロッキー
男性のモデルさん

ザポリージャ原発については、
今後も動きがあり次第、
紹介してまいります。

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久しぶりにBeyond Nuclear Bulletin より。 広島・長崎 VS 日本政府

Beyond Nuclear Bulletin

2024年8月8日号

久しぶりにBeyond Nuclear Bulletin
より。
広島・長崎では今年も平和祈念式典が
行われましたが、肝心の日本政府は
「秘かな核兵器への食指」を実は
伸ばし続けている、という記事です。

元の英語記事を読みたい方は、
Remembering Hiroshima and Nagasaki – Beyond Nuclear
をどうぞ。

私の日本語化を、この下に。
例によって、< > 内は私からの補足
説明です。

太平洋の両側からにらまれている ・・・

なお、下の論考の主張は単に「アメリカ
の反核団体の主張」ってわけじゃなくて、
たとえば日本の元官僚である古賀茂明
さんも似たような問題指摘をなさって
らっしゃいます。
広島「原爆の日」の演説でわかった岸田首相の“核兵器依存” もはや日本は「平和の使者」ではない 古賀茂明 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

***********************************
Remembering Hiroshima and Nagasaki
2024年8月7日

今週、広島と長崎では祈念式典が開催
されたが、世界では核の脅威が拡大を
続けているが、核軍縮の道を「進み
つづけねばならない」と日本の岸田
文雄首相は繰り返し述べた。この発言
があった背景として、日本は核発電の
産物として蓄積したプルトニウムを
大量に有しており、核兵器を短期間で
開発することも可能だ。これは一般に、
日本の「隠れた核兵器(bomb in the
basement)」として知られている。

Made-in-Japan nuke missile

昨年、アメリカの前国務長官ヘンリー
キッシンジャーが述べたところでは、
日本は「5年以内に核兵器保有国に
なろうとしている」そうだ。今週の
発言で岸田は、日本は「核兵器なき
世界の実現を目指して努める」と
主張してやまなかった。だがそうした
主張とは裏腹に、核兵器禁止条約
(Treaty on the Prohibition of Nuclear
Weapons)に日本はまだ署名して
いない。

その一方、世界の核兵器保有諸国は
核軍縮に努めるどころか、核兵器の
増強に努めているようだ。「1945年
8月にアメリカが落とした原爆による
広島と長崎での失われた命を我々は
偲んでいるのだが、現実の世界が
今までにはないほど核戦争の一歩手前
にあるという事実は、否定しようが
ない」 今週のBeyond Nuclear
International
にそう記しているのは、
CND <「核軍縮キャンペーン」
Campaign for Nuclear Disarmamentと
いう反核団体> の事務総長Kate
Hudsonだ。「人類にとってだけで
なく、地球上のあらゆる生命にとって、
苦渋の時代になっている。立ち
上がって核はいっぜつを叫ぶべき時代
なのだ。核のアルマゲドンに引き
込まれるのは、ごめんだ」

ワシントンDCの大都市圏では毎年、
アメリカ首都地区広島長崎平和委員会
(Hiroshima/Nagasaki Peace
Committee of the National Capitol
Region)が追悼式典を実施している。
中心街で夜通しの式典があるのに加え、
今年はオンラインのイベントも開催
され、そこでのスピーカーとしては、
チェスピーク社会的責任を有する
内科医連合(Chesapeake Physicians
for Social Responsibility)のGwen
DuBois、Beyond Nuclearの Linda
Pentz Gunter、平和と自由のための
国際女性連盟(Women’s International
League for Peace and Freedom)の
Fan Yangであった。このオンライン
イベントを主催したのはJohn
Steinbachだ。このイベントのハイ
ライトの1つとして、広島原爆の
サバイバーHideko Tamaraのお話が
あり、これはYouTubeでご覧いただ
ける。

Tulips / チューリップ
原文にはTamaraとあるのですが、
Tamuraの誤りでしょう。
私の、昔の作品。
紙にオイルパステル

その他にも協力してくれた面々
として、Melvin Hardy, Dennis Nelson,
Ellen Thomas, James Wagnerがいた。
Hardyのお話によれば、 All Souls
Church Unitarian <というキリスト教会>
の子供たちが広島の子供たちに画材などを
送り、広島の子供たちの一部が絵を
All Soulsに返したそうだ。・・・
中略 ・・・ それから何十年か後に
All Soulsの人たちがその絵画を持って
広島を訪れた。描いた人たちと会う
ためだ。この感動的なストーリーは、
Pictures from a Hiroshima Schoolyard,
いう映画でご覧になれる。

カナダのトロントでは、広島と長崎の
原爆投下を覚え写真100点を展示した
展覧会が開催された。そのうち5点は
投下当日に広島にいた唯一の日本人
写真家が撮影したものだ。展示写真は
いずれも、オンラインでも見ることが
できる。この写真店に関する記事が、
Beyond Nuclear International.にある。
************************************

国境を越えて

ご存じの通り、マンハッタン計画は
アメリカ合衆国だけのプロジェクト
ではなく、カナダや英国も加担して
いましたよね。いずれの国において
も、核兵器に反対する市民の皆さんは
多数いらっしゃいます。国境を越えて
そうした方々と協力・連動していきま
せんと。どこの国でも、政府と一般
市民の間には、かなりの隔たりがある
ものです。
日本の場合でも、市民の多くはこれ
だけ核兵器廃絶を叫んでいるのに、
政府は潜在的核兵器保有への固執を
やめようとしません。当然、核発電に
もしがみ続けていますよね。

これからの反核運動では、「アメリカ
が落とした」、「いや日本を早く降伏
させるためだった」といったタテ型
(国別)構造ではなく、横型のcross-
borderな構造・動きが必要だと私は
見ております。

そうした意味で、Beyond Nuclear
Bulletinにsubscribeすることを
お勧めします!
Remembering Hiroshima and Nagasaki – Beyond Nuclear
のページ下部に連絡フォームがあり
ますので、英語でBeyond Nuclearに
ご連絡を!

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Ramana博士、IAEAの raison d’etre に宿る自己矛盾を指摘

CounterPunch (アメリカに本拠を置く
オンライン雑誌) より
More Nuclear Reactors? Deceptive Tunes from the Pied Piper of Vienna – CounterPunch.org

IAEAのラファエル グロッシ事務局長、
ここ数年、大忙しですよね。
ザポリージャ原発、イランの「軍事
目的としか思えない」高濃縮U、北
朝鮮の核武装とそれに対抗しての
韓国内での核武装論の高まり ・・・

半分スカート、半分パンツって ・・・
要するに、自己矛盾やんか!

では、そもそも1957年の創設以来、
IAEAのミッションって?
要するに
・ 核発電を世界に広める
(その条件として、IAEAによる査察
などを受けさせる)
・ そうすることで、核発電を普及
しながら核兵器の拡散を防ぐ
ということでしたよね。

この2つが本質的に自己矛盾を孕んで
いることは、すぐにお分かりですよね?
そんなIAEAのraison d’etreそのもの
にある自己矛盾を、「やかんをのせ
たら~~」ではすでに幾度も指摘して
きました。

そして今回、アメリカに本拠を置く
オンライン雑誌CounterPunchに、
Ramana博士という専門家による
このIAEAのraison d’etreに宿る
明らかな自己矛盾の指摘を見つけ
ました。

早速見ていきましょう。
2024年7月26日付の記事で、
M. V. Ramanaならびに
Jixiang Wang
によるものです。

いつもどおり、
私による日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
*************************

核推進笛吹きの大嘘

Nuclear Reactors? Deceptive
Tunes from the Pied Piper of Vienna
(原発の増設だと?ウィーンから
聞こえる、欺瞞の笛の根)

IAEAの事務局長ラファエル グロッシ
は、ここ何年か極めて多忙だ。
メディアではグロッシの苦労を取り
上げる記事が頻繁に見受けられ、
ザポリージャ原発での「大型核事故の
リスク」が取りざたされている。
さらにグロッシはロシアのヴラディ
ミール プーティン大統領とも2度の
会談を持ち、ザポリージャ原発の状況
を話し合った。グロッシは、
「深刻な核事故が発生すれば、その
惨状に国境はない」、そうした事故を
「防止するため、あらゆる手を尽くす」
と主張した。

だがそれと同時にグロッシは、自覚せず
に核事故発生のリスクを増大させて
しまっている。同事務局長は、
<世界での> 原発の増新設を推進して
いるためだ。その推進方法には、多様な
形態がある。Foreign Affairs <という
外交問題専門雑誌、https://www.foreignaffairs.com/united-states/nuclear-must-be-part-solution >
のような名高いメディアにグロッシは
署名入り記事を発表、各国をめぐり
核発電プログラムを始めようと呼び
かけているのだ。2024.年3月には同
事務局長はバグダッドに向かい、
イラクと協力して「平和利用の」原子炉
建設を進めると約束した。さらに原子炉
建設の費用をイラクは捻出できないの
だが、そこでグロッシは世界銀行ならび
にアジア開発銀行に対し、原発建設の
ための資金提供を強く要請した。

原発建設資金、出してよ!
あんな不確かなプロジェクトに、出すカネなんかあらへん!

そうした行為はいずれも意味をなさない。
この資金提供依頼を銀行への投資アド
バイスの一種と見るならば、グロッシの
原発建設推進の理屈は、笑うにも笑え
ない。彼によれば、両銀行が核エネル
ギー用の資金を用意していないのは
「時代遅れで、世界の情勢にリズムを
合わせていない」そうだ。だが実際に
情勢からずれているのは、グロッシの
核エネルギー推進策なのだ。

全世界の発電量に対しどれだけの比率を
核エネルギーが占めているのかを調べて
みると、この25年間その比率は低下の
一途をたどっている。1996年の17.5%
から2022年には9.2%にまで低下した。
後に説明する事情のため、この低下傾向
は今後も続きそうだ。言い換えれば、
核エネルギーの重要性は減少しつつある
のだ。一部の学者たちは核エネルギーを
「衰退をたどるしかない技術」と呼んで
おり、そんなものにさらに資金を拠出
するのは無意味でしかない。.

上述の開発銀行に対するグロッシの要望
を検討する際には、この種の銀行の
在り方をよく弁えておくべきだ。世界
銀行の使命とは、「極度の貧困を撲滅
し、生きていける地球において繁栄を
謳歌する」ことにある。一方アジア開発
銀行の使命も同様だが、地域として
アジア太平洋地区に焦点を絞っている。
特に世界銀行のミッションでは現在の
世界が直面している危機は複数の危機が
複雑に絡み合ったもので、「安価な
エネルギー」の必要性と、そうした
危機への迅速な対応の必然性とを述べて
いる。「早期対応が不可欠だ」とある。
核エネルギーは <導入に期間も費用も
かかるので> いずれのニーズにも対応
できないのだ。

時間もカネも、ごっついことかかるがな!


高価で期間も要する

原子炉で発電する電力は大変高価で、
安価なエネルギーにはならない。
特に、他の炭素排出の少ない
エネルギー源つまり再生可能エネルギー
と比べるなら、これは顕著だ。上述の
1996年から2022年とほぼ同期間に、
現代式の各種再生可能エネルギーが
発電量全体に占める比率は、1996年の
わずか1%強から2023年には15.9%に
まで急増した。現在では多数の諸国に
おいて、発電所のエネルギー源として
最もコストが小さくて済むのは、多くの
場合大規模の太陽光エネルギーなのだ。
そのため2020年には国際エネルギー
機関(International Energy Agency)は
太陽光のことを「世界電力市場の、
新たな王者」と呼んだのだ。銀行が
核エネルギーに資金を投資するなら、
その分だけ再生可能エネルギーや
関連する技術、インフラストラク
チャーへの投資が減る結果になる。

さらに原子炉というものは、予定通り
に竣工できたことがほとんどない。
2020年から2022年の期間中に送電
グリッドに接続されたすべての原子炉
のうち、なんと89%は予定より遅れて
接続されたのだ。予定通りに竣工できた
のは、中国の2基だけだ。アメリカでは
最近AP1000原子炉2基がジョージア州
で稼働を始めたのだが、その建設費用
たるや350億ドル近くにのぼった。

せんせ~~、97%は遅れてくるんですよ~~

この電力会社が原子力規制委員会からの
建設許可を申請したのは2011年のこと
だったが、その時点での予想総コストは
140億ドルだった。さらに「2016年と
2017年には稼働開始できる」として
いた。ある学術調査では原発プロ
ジェクト180件を調査したが、そのうち
175件で当初の予算をオーバーしており、
その差はなんと平均で117%に達し、
工事期間も当初予定よりも64%も長く
要した。そうしたパターンが歴史的には
解明されているのだが、<2020年から
2022年にかけてのコスト超過や延期の
実例は> そうした歴史的パターンより
もさらにひどいものだ。それだけでは
ない。全世界で今までに原発プロジェ
クトがキャンセルされた、あるいは
延期された件数は92件にのぼるが
多くの場合キャンセルまたは延期が
決まるまでに数十億ドルとは行かなく
ても、数億ドルを費やしている。
アメリカでのこうしたキャンセルの
最新の実例は、NuScale社の小型
モジュール原子炉 (SMR) の絡んだ
ものだった。同社はこのSMRは
「小型で従来より安全、安価」である
と宣伝している。だが実際には、
それは誤りだ。私の推計では、その
最終的なMWあたりのコストは、
ジョージア州のヴォートル原発プロ
ジェクトでの当初のコストより
約250%も高額であった。それ以前の
キャンセルはサウス カロライナ州の
ヴァージル C サマー原発プロ
ジェクトで、AP1000原子炉2基を
採用していた。このプロジェクトでは
キャンセルが決まるまでに、90億ドル
以上を費やしていた。この不良投資の
ツケは、今後数十年間をかけて電力
消費者たちが負担することになる。

キャンセルされた炎髪プロジェクトの630億円、結局、電気利用者が負担やて~~?


原発を進めるために必要となる条件

開発銀行が、核エネルギーを検討に
入れなかったわけでは、ない。
1959年に世界銀行は実際にイタリア
での原発プロジェクトに投資をした。
その際に一定の条件を設けたのだが、
その中で最も重要な条件として、
コスト面で競合する他の選択肢がない、
というものがあった。このプロジェクト
は失敗に終わった。この論考との関連で
もっと重要な問題として、今では太陽
エネルギーと風力エネルギーのコストが
下がり、利用しやすくなっている。
核エネルギーはこうした条件を満たして
コスト効率に優れることが、もはや
できなくなっているのだ。

アジア開発銀行(Asian Development
Bank、ADB)でも各種エネルギー技術
の分析を実施、エネルギーに関する
方針という文献を2009年に発表した。
この文献では核発電が直面する障壁を
いくつか浮かび上がらせているのだが、
その例として「核兵器拡散に関わる
社会的な懸念、核廃棄物の管理、安全性
の問題、巨額の投資金額、建設期間の
長さ、商業的に意味を成す新型技術の
普及」がある。こうした懸念がある
ため、どう文献では「ADBでは、
原子力には出資しないという現在の
方針を保持する」としている。しかも、
こうした障壁は1つとして解消されては
いない。

ADBがこの文献を公表してから2年後
に、安全性確保という課題がさらに
厳格化した。福島第一原発の複数の
原子炉がメルトダウンを起こし、放射性
物質を広域にまき散らし、社会政治的
にも経済的にも困難な課題が生じた。
そのために発生した経済的負担は推定で
35兆から80兆円にも達する。福島第一
事故は、核技術というものには
「事故の不可避性」が本質的につき
まとうのだ、ということを思い起こ
させてくれる。

事故以上に危険なもの~~


ザポリージャ原発の、未習得の教訓

深刻な核事故を招くもう1つの
パターンが見られるのが、ザポリージャ
原発だ。グロッシはそうした事故が発生
するなら「全世界にその影響が及ぶ」と
声高に訴えてきている。ならば <本来
なら> ザポリージャ原発危機を警鐘と
捉えて目を覚まし、この世界での原発
建設を続けるべきか否かを考え直すべき
だが、グロッシは核エネルギーの安全と
セキュリティのための5原則なるものを
訴えだした。グロッシとしては不運な
ことに、この5原則は広くは受容され
そうにない。その証拠として、ザポ
リージャ原発には幾度も攻撃が加えられ
てきた。

わてらだけや、おまへんでえ

しかもこうした攻撃がなされたのは、
原発への軍事攻撃には前例がなかった
ためではない。ロシア軍がザポリージャ
原発を占拠するよりもかなり昔、1981
年にイスラエル軍がイラクのオシラク
原発を空爆した。<上の黒いメニューで
ページc-1) を参照> さらに2007年
にはやはりイスラエル軍が、アル
キバールという核施設でシリアが建設中
だった原子炉を爆撃している。<ページ
c-2) 参照> さらにイランとアメリカも
それぞれ、イラクの核施設に攻撃を
加えたことがある。これらのケースの
いずれにおいても、攻撃を加えた側は
何ら処罰などを受けていない。

グロッシは上述の5原則を掲げ新たな
<核施設の> 管理体制を求めている
が、それらが他の方針と対立してしまう
危険性もある。<核廃絶を求める
ジャーナルである>  The Nonpro-
liferation Review
 に先日掲載された論文
で、2名の学者が この種の軍事攻撃の
歴史を詳細に調査、その結論として
「核施設への攻撃は今後も世界の
核不拡散体制の課題の1つであり続ける
ことだろう。これは、国際コミュニティ
ないしはその徳に影響力の強いメンバー
たちの少なくても一部が、核不拡散体制
の維持のためにはこの種の攻撃も必要な
選択だと考えているからだ」としている。
言い換えれば、攻撃を受けるリスクに
晒されるン発は、なにもザポリージャで
最後とは、なりそうにない。こうした
情報は、全く新しいものではない。
だが、グロッシの核エネルギー推進の中
には、こうした問題意識は全く見られて
いない。彼が世界銀行に対して
核エネルギーへの投資を行うよう提唱
した際、世界銀行が核エネルギーに
投資する何十億ドルもの資金が
<もし軍事攻撃がその核施設に対して
実施された場合には、そのわずか数分
の攻撃のため> 攻撃の後始末プロ
ジェクトに変身してしまう危険性が
あるというリスクを、グロッシは説明
していない。しかもこの後始末プロ
ジェクトの費用といえば、何千億ドル
にものぼるのだ。さらにイタリアの
ジョルジャ メローニ首相にグロッシが
小型モジュール原子炉の建設を勧めた
際にも、そのSMRが <軍事攻撃で>
爆破され、その結果はザポリージャの
場合と同じく「ひどい被害をもたらす」
ということを、グロッシは述べて
いなかった。

20-min croquis, seated model / 20分クロッキー、床に座すモデルさん

特定事項への沈黙とは・・・
私の20分クロッキー

こうした軍事リスクについてグロッシ
が沈黙していることは、世界情勢が
この上なく良好な場合でも、困りもの
だ。しかも実際にはグロッシは同時に
ザポリージャ原発での大事故という
リスクを声高に訴えているので、
こうした沈黙は許されない。先日彼は
イラクを訪問したが、イラクの原子炉
を以前にイスラエルとアメリカが爆撃
したことがあり、原子炉への軍事攻撃
は当然の憂慮事項であるハズなのだ
が、グロッシはそれを軽視していた。
グロッシがこの問題に対して示した
解答とは単に、「いろいろ過去に
あったが、未来へと進もう」という
だけであった。果たしてグロッシは
イラクに対し、こうした軍事攻撃が
二度と発生しないという信頼に足る
保証をできるのだろうか?

より深い問題として、利害の衝突が
ある。IAEAのヘッドとしてラファエル
グロッシは、前任者たちと同様、2つ
の異なる任務を抱えている。全世界
での平和と健康、繁栄に対する
核エネルギーの貢献を推し進め、
拡大する」こと、そして「IAEAの
行う、あるいは要請する、もしくは
監督・管理する援助活動が、いか
なる軍事目的にもつながることの
ないよう、可能な限り努める」こと
である。そもそも、なぜ核エネルギー
の利用を推進せねばならないのか、
根拠薄弱である。しかも近年は
推進理由は完全になくなっている。
1つ目の任務を廃棄し、2つ目に
集中するべきであり、もっと早く
そうすべきだった。

Another 20-min croquis -- tried to treat the model and surrounding space as a unity / 20分クロッキー。モデルさんと周囲の空間とを、一体として扱おうという試行
どうやれば結びつくってわけ??
私の20分クロッキー

  1. V. Ramanaは<カナダのヴァン
    クーヴァ―にある> ブリティッシュ
    コロンビア大学で軍縮、世界と人類の
    セキュリティを担当する主任(Simons
    Chair)ならびに公共政策と世界情勢の学部
    の教授を務めている。
    著作として、
    The Power of Promise: Examining Nuclear
    Energy in India 
    (Penguin Books, 2012) や
    Nuclear is not the Solution: The Folly of
    Atomic Power in the Age of Climate Change

    (Verso books, 2024) がある。
    Jixiang Wang はブリティッシュ
    コロンビア大学の公共政策と世界情勢の
    学部に勤務するとともに、ブリティッシュ
    コロンビア国際協力評議会(BC Council for
    International Cooperation)で政策アナ
    リストも務めている。

*******************************

20-min croquis from Sept 3 / 20分クロッキー、9月3日
なぜ存在しているの??
私の20分クロッキーより

本文の最後の段落にある通り、IAEAの
raison d’etre そのものが自己矛盾を
孕んでますよね。私個人の認識など
ではなく、Ramana博士のような専門家
も、その矛盾をご指摘です。
要は、「やかんをのせたら~~」で度々
説明してきたように、原子炉もウラ
ニウム濃縮も元々核兵器製造のための
技術です。それに「やかんをのっけて」
電気を起こすことを「平和利用」と
呼び、それを普及させながら軍事利用は
制限しよう(不拡散) ・・・ そんな
目論みそのものが、自己矛盾なのですね。
現実、この50-60年間というタイム
スパンで見ると、核兵器保有国は少し
ですが増えてしまっています。インド、
パキスタン、(おそらく)イスラエル、
そして北朝鮮。さらに、近いうちに
イランも??
ソリューションはただ1つ、核兵器も
それを作るための技術も(つまり、
核発電も)廃絶することです。

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イランとイスラエル、結局衝突に??

Bulletin of the Atomic Scientists

Why Iran may accelerate its nuclear program, and Israel may be tempted to attack it – Bulletin of the Atomic Scientists (thebulletin.org)

Why Iran may accelerate its nuclear
program, and Israel may be tempted to
attack it
(イランが核開発を加速する恐れがあり
得る理由。そしてイランの核施設を
イスラエルが)

Darya Dolzikova (ロンドンのRoyal
United Services Instituteで核拡散と
核政策を担当する研究フェロー) 記者
Matthew Savill (ロンドンのRoyal United
Services Instituteで軍事科学担当
ディレクター) 記者

2024年4月26日

やられる前にたたいて ~
私の20分クロッキー

もうかなり昔から言い古されてきた問題
ですが、
イランの核開発が進展 → イスラエルが
それを爆撃などで破壊 (実際に、過去の
実例アリ: 上の黒いメニューでページ
c-1) や c-2) を参照)→ そのため放射性
物質が飛び散り、仮にホルムズ海峡の
タンカー通行が不能になったら ・・・
そうでなくてもノタウチ回っている
日本経済は、おそらくもう二度と立ち
上がれなく ~~
(2024年8月12日追記
このホルムズ海峡云々のくだり、
極端なことをわめいているように
聞こえるかも。でも、たとえば
下のリンク先にある石川和男さん
の論考もご覧くださいな。
既存原発の再稼働に関しては、私とは
意見が明確に異なりますが。私は、
既存原発の再稼働ではなく再生可能
エネルギーを進めるべきだと考えます。
日本は平和ボケ、ホルムズ海峡封鎖への危機感がない!イスラエルへの報復、イランを「やるやる詐欺」とみる大問題 (msn.com) )

このイランの核を巡るイスラエルによる
攻撃の危険性、もっと真剣に憂慮すべき
問題ですが、日本語メディアにはあまり
登場していませんよね。そこで英語圏の
インターネットを探してみると、この
Bulletin of Atomic Scientistsにある記事
を見つけました。今から3か月ほど前の
ものですが、緊迫した状況そのものは、
変わってはおりません。

危険な事態にならぬよう祈りつつ、
このお二人による考察を読んで
いきましょう。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。

PAX!

**************************

この4月19日、イスラエル軍がイラン
国内の深部、イスファハンという都市の
近郊に攻撃を加えた。これは明らかに、
その数日前に行われたイランからの
ドローンとミサイルによるイスラエル
への大掛かりな攻撃に対する報復だ。
両国間のこの攻撃の応酬のため、この
地域で深刻な軍事衝突へのエスカレー
ションが起きてしまうのではという
憂慮が高まっている。両国はお互いの
領土への攻撃を、今までは避けてきた
のだが。

イスラエルからの攻撃は、イスファハン
核技術センターのそばにあるイラン軍の
施設に対してなされた。このセンター
には研究用の原子炉やウラニウムの転換
工場、核燃料製造工場などの各種施設が
ある。今回の攻撃はイランの核施設を
直接に狙ったものではなかったが、これ
までの報道によればイスラエルはそう
した直接攻撃をも検討に入れていた
そうだ。これに対しイラン指導層は、
もし核施設が攻撃を受けるなら核政策の
再検討を始め、核プログラムを加速する
ぞとの脅迫を始めた。

こうした出来事からは、イランの核能力
が <核兵器製造への> 閾値にまで
達してしまっており、そのためこの地域
で軍事衝突がエスカレートしてしまうと
いう脅威が浮かび上がる。そのため
ある種の抑止効果が得られているとの
認識をイランは有している。少なくて
も、アメリカが直接に報復攻撃を仕掛け
てくることはない、という認識だ。
その一方、イスラエルからの攻撃に
とっては「おいしそうな」標的になって
いることは、理解しやすい。今回の相互
直接攻撃により、これまでは代理武装
組織による衝突であったものが、相手の
領土への直接攻撃がなされたことで緊張
の在り方に変容が生じ、イランの核と
いう問題に対するタイムリーで非軍事的
なソリューションを見つけることが
焦眉の急となっている。

「核兵器さえ持てば、誰も攻撃してこない」
「いや、その核施設そのものを攻撃されたら??」

攻撃したくなる標的 現在の分析に
よれば、イランは今のところまだ核兵器
を保有してはいないのだが、同国は
高度な核プログラムを維持しており、
核兵器を製造するという決断さえすれ
ば、比較的短期間で核兵器を開発する
能力を有している。だがイランには
「もうすぐ核兵器」という核兵器開発に
近い能力が既にあるのだが、それでも
イスラエルによる先日の攻撃を抑止
できはしなかった。イランの核プロ
グラムは <イスラエルからの>
攻撃にとっては「食指の伸びる」標的で
あり、そうした攻撃によりこの地域の
安定が脅かされる恐れがある。イランの
核開発プログラムはかなり高度で、
短期間で核兵器を製造できるだけの
リスクが現実に存在している。しかも
現段階では、大幅に後退させることも
可能だ。もっとも、それに伴うコストは
かなりのものになろうが。

イランはその核プログラムを、アメリカ
によるイラン領土への直接の攻撃や侵略
を抑える抑止手段と捉えている。2003
年の <英米による> イラク侵攻に
見られるような西側からの誤った非難に
基づく攻撃を防ぐための保険政策と
なっていると、見なしているのだ。
つまり、もしそうした侵略をイランが
受けるなら、イランは短期間で核兵器を
製造できるというわけだ。その能力の
おかげで、イランの指導層はこの地域の
不安定化をもたらしえる活動に従事
できている。イラン領土への報復行為が
ある可能性は <核プログラムという
脅威のおかげで> 小さい (と見ら
れる) ためだ。イランはこの4月13日
にイスラエルに対し攻撃を実施したのだ
が、それに対する報復活動にアメリカは
参加しなかった。そこにはいくつもの
要因があったろうが、戦闘がエスカ
レートして核プログラムによる核兵器
製造を加速するのでは、という懸念が
そうした要因の1つであった可能性は
ある。

超ロング リーチ
そこまで届くぞ

イスラエルはイランの核プログラムを、
イスラエルの存続を脅かすものと捉え
ており、このプログラムの廃止を長年
求めている。そのため、今回のイラン
からの攻撃への報復としてイスラエル
がイランの核施設を標的とするかも
しれない、との噂が流れたのだが、
驚く人はほぼいなかった。実際にイスラ
エルはイランの核施設に近い軍事施設を
今回攻撃しており、さらにイランが核
施設を保護するために配備している防空
システムにも攻撃を加えている。
こうした事実は、正確な計算の結果で
あるように見える。つまり、イラン国内
の深部にある厳重に防御された核施設で
あっても、イスラエルは攻撃可能だぞ、
ということを示すための計算であった、
というわけだ。一部のコメンテーター
たちの推測では、これからもイランの
核施設への攻撃を行う必要があるの
では、との見解もある。

イスラエル「実はウチ、核兵器持ってんだけど
攻撃された==」

この文脈において、両国間の衝突が
エスカレートした場合、イランの核施設
は今後もイスラエルにとっては食指の
伸びる標的であり続けることだろう。
さらに、今回のイランによる攻撃では
イスラエル領土に対し2つの主な攻撃
があったのだが、イスラエルは未申告
の核兵器製造能力を有している。その
核能力は今回、抑止力としては機能し
なかったと、イスラエルは結論付ける
可能性がある。昨年の10月7日には
ハマスによる対イスラエル攻撃があり、
今年の4月13日にはイランによる攻撃
があった。おそらくはこうした攻撃の
ため、イスラエルは戦略的な脆弱性を
さらに強く感じた恐れがある。
もっとも、イランからのドローンと
ミサイルによる攻撃のほとんどを防空
システムで撃墜できたので、この
脆弱性認識はある程度緩和されたの
ではないか。

伝統的にイスラエルは、イランの
核プログラムに攻撃を加える場合には、
その破壊程度に制限を加えてきた。
つまり、サイバー攻撃や科学者の暗殺、
各施設での爆弾攻撃といった形態だ。
この戦略によってイスラエルは幾度も
イランの核開発の時計を巻き戻し、
しかも <イスラエルの仕業という
ことを> 否定できる余地を残し
ながら、軍事衝突へのエスカレーション
を回避できた。つまり、両国が「影の
戦争」を展開するうえでのルールを、
そうやって守ってきたのだ。だが今や、
両国はお互いの領土内を直接に攻撃して
しまった。そうなった今、イスラエルは
イランの核施設を直接に攻撃できる機会
ができたと見ている可能性もあり、
さらにはそうすべきだと考えて
いる恐れもある。

周囲を巻き込んだ争いへ


誤った選択肢の連続
  イランがそ
の核施設で核兵器を製造し、イスラ
エルがそれを叩くという危険性が
現実化した場合、対立は劇的に悪化し、
この地域全体を巻き込んだ戦闘へと
発展してしまう危険すらある。

イランの核施設に対する攻撃をイスラ
エルが準備しているとイランが予想
した場合、イスラエルによる大きな攻撃
や妨害を受ける前に核兵器を早く製造
しようとイランが踏み切る可能性が
ある。イランが核兵器製造を急ぐことに
した場合、それに対しイスラエルは
イランの核兵器保有を防止するため
イスラエルはイランの核施設を攻撃する
ことになる恐れがある。このタイム
ラインはイスラエルに有利なもので、
イランにとってはリスクがある。
イスラエルは数日ないしは2-3週間と
いう短期間で攻撃を開始できるのに
対し、イランが核兵器製造を決断しても、
使える核兵器を手にできるまでには
数か月から1年をおそらくは要するで
あろう。もっとも、推定であり
不確かさはつきまとうが。とはいえ
イランの核開発プログラムは既にかなり
進んでおり、IAEAあるいはイスラエル
の諜報機関がイランによる核兵器開発を
認識する前に、実使用可能な核兵器の
製造に向けて大きく歩を進める恐れも
ある。その場合、イスラエルは短期間で
<核施設に対する> 先制攻撃を行う
準備をせねばならなくなる。

地下にあるんだよ~~

またイスラエルがイランの核施設を
部分的に攻撃した場合でも、それへの
対応としてイラン政府が核兵器の製造を
決断するという可能性もある。イランの
核施設コンプレックスは分散されて配置
されているうえに主要施設は堅牢に防御
されていて、しかも核関連知識も
しっかりと出来過ぎていて、限定的な
軍事攻撃では破壊しつくすことができ
ない。ナタンズとフォルドウにある同国
のウラニウム濃縮施設では核兵器に必要
となる核分裂性物質を製造しているの
だが、フォルドウの施設は全体が地下に
あり、ナタンズも一部が地下にある。
しかも両者とも、防御が極めて堅牢だ。
遠心分離機の製造であれ、ウラニウムの
転換、さらにはまだ稼働に至っていない
ホナブ重水型原子炉ですら、イスラエル
からの攻撃を受けて損害を被るならば、
確かにイランの核開発プログラムは
後退することにはなろうが、結局は
イランはウラニウム濃縮能力を伸ばして
しまうだろう。当然、兵器グレードの
ウラニウム(U-235の濃度が90%以上)
の製造にも近づいてしまう。核技術を
核兵器に転用しようとイランが目下作業
を進めているかというなら、アメリカの
諜報機関コミュニティも現時点では
まだだと推定している。だがイランが
そうした作業を進めているとすれば、
非公開の各地に分散されている施設で
行われているはずで、それらを軍事
標的として特定するのは極めて困難だ。

イランの核プログラムに対し今までに
イスラエルが行った破壊活動を見ると、
破壊活動の後でイランは損傷を受けた
施設を再建し、その堅牢性を高め、
核関連活動をさらに加速化して、
加速化してきているのだ。これが
核施設への直接攻撃ということになっ
ても要は攻撃が激しくなるだけのこと
であろう。イラン対イスラエルの闘争が
代理組織による紛争から直接の衝突へ
と変質するなら、イランはその核開発を
一層大切にすることになろう。自国領土
に対する直接的なさらなる攻撃や
アメリカの軍事介入を予防する抑止と
して核が機能できる、というわけだ。
イランの見方としては、各地の代理組織
やミサイルとドローンだけでは、戦略的
に重要な核開発プログラムにイスラエル
が直接の攻撃を実施することを抑止でき
なかったことになる。イラン政権の安全
を確保するために残されている唯一の
選択肢は実際に核兵器を作ることだと、
イラン政府が認識する恐れもある。

「5分で完成 核兵器キット」
「ウチに攻撃したら、これ作るぞ!」

悩ましい問題なのだが、イランの核以外
の資産に対するイスラエルからの攻撃が
あっても、イランの指導層が同じような
結論を下してしまう危険性がある。
これについては他の論考で他の著者たち
も論じていたが、<2023年の> 10月
7日にハマスがイスラエルを攻撃したの
だが、その際にこの地域でイランが自ら
の資産に対する攻撃を抑止するという
点、また <同地域では> 不安定性が
続いていることを利用してイランに
とっての安全保障上の優先課題を推し
進めるという点において、イランには
弱点があることが明らかになった。
そうした弱点のゆえに、イラン指導層は
核開発プログラムの戦略的価値をさらに
大きく認識している可能性もある。

ウラニウム濃縮とリスク、再掲

イランにはまだ核兵器をフルに備える
能力はないので、まずウラニウムを
核兵器グレードにまで濃縮することで
<上述のような脅威に> 対抗しようと
するかもしれない。 もちろん、兵器
グレードのウラニウムがあるだけでは
核兵器を製造できるわけではないが、
核兵器保有に向けた歩みの中での重大な
ステップであることには違いない。
さらに今後もイスラエルからの攻撃が
あった場合には、核不拡散条約
(Nuclear Non-Proliferation Treaty、
NPT) から脱退することで報復行動
とする危険性もある。この脱退に
続いて、イランはIAEAの査察官たちを
国外追放することだろう。イランはここ
数年、査察官の入国にかなりの制限を
加えてきているのだが、それでもIAEA
はイランの核開発プログラムの主要部分
のモニターと報告を続けている。NPT
からイランが脱退するという事態に
なれば、国際世界が核開発プログラム
の進捗を知る手段は、各国の諜報活動
や衛星画像のみとなってしまう。

そうした不確実性と、NPTの下での
核兵器製造能力を放棄するという約束
をイランが公式に撤回する危険性に
より、この地域の安定が深刻に脅か
される危険性もある。さらにイランが
NPTから脱退した場合には、この地域
での核兵器の拡散を推進してしまう
恐れもある。以前にサウディ アラビア
は、イランが核兵器を手に入れた場合
には、サウディも保有するとの脅しを
述べていた。
<上の黒いメニューでページ f-4) の
終わりの方を参照>

何もしないか、徹底してやるか 
イスラエルがイランの核施設に対し
限定的な攻撃を実施したのでは、
かえって良くない結果を招きかねない
という懸念から、イスラエルは核プロ
グラムを可能な限り昔の段階へと戻す
ための大規模軍事作戦を検討する恐れ
がある。だがこの選択肢を実行した
場合、イラン対イスラエルという極め
て破壊的な全面戦戦争に至ることが、
ほぼ確実だ。しかも周辺諸国や
アメリカ、さらには他国までもがこの
紛争に巻き込まれる危険性さえある。

♪ 別れさせようにも、別れられるはずもない ~~♪

イランの核開発プログラムを軍事作戦
によって意味があるほど逆戻しさせ
たければ、
イラン領土内に広く分散されている
諸施設の多数を攻撃し、しかもイラン
(と場合によってはシリア)の防空
システムをも抑える必要が生じる。
そうした作戦を実施するにはさらに、
弾道ミサイルやその他の軍事施設
への攻撃も行う必要がある。
<イスラエルからの攻撃開始後>
すぐに使用する可能性があるからだ。
フォルドウやナタンズの地下施設への
攻撃では、岩床や強化コンクリートを
数十メートル突破してから施設内部で
爆発するような特殊な兵器が必要に
なる。既存の通常兵器の中で、こんな
ことを成し遂げられそうなのは
アメリカのGBU-57A/B Massive
Ordnance Penetrator(強力攻撃用
貫通爆弾)だけで、これは重量が
12トン以上、全長が6mを超える
代物で、B-2 Spiritのようなアメリカ
の爆撃機でなければ輸送できない)

こうした戦術的な問題に加え、これ
ほど多数の標的を攻撃するだけの
大規模な軍が必要であることから、
ほぼ自動的にイランの核施設への攻撃
を成功させるにはアメリカ軍による
大規模な協力が必要になると分かる
はずだ。たとえ、直接の関与ではなく
とも。こうした攻撃はイランの領土に
深刻な被害をもたらすのだが、それ
でもイランの核プログラムを全面的に
破壊できるとは限らない。

偽装たんこぶ
お互い、殴り合ったってことで ~~

現在の動向をより楽観的に捉える
なら、イランとイスラエル両国は
イランの核施設に対する限定的ないし
は広範な攻撃のリスクと問題点とを
認識、対立のエスカレーションを防止
しようと努める可能性もある。両国の
指導層報復合戦を終わらせながらも
自国の勝利を主張できるような対応を
求めていくかもしれない。現実、今回
のイランによる領土内への攻撃に対し
ても、イスラエルの反応は限定的かつ
計算済みのもので、しかもイランも
イスラエルからの報復攻撃は大した
被害をもたらさなかったと主張して
いた。エスカレートさせないという
思惑が働いているように見受けられる。
そうした、エスカレーションを回避し
たいという願望は、イランに対する
いかなる攻撃にもあまり関与したがっ
ていないというアメリカの声明にも
明らかだ。

だが、アメリカの政治力学はあく
まで背後の要因だ。今年後半に
ドナルド トランプが大統領に再選
されるようであれば、イスラエルも
態度を硬化させる恐れがある。共和党
政権になれば、イランの核プログラム
に対するイスラエルの攻撃を支持する
傾向が強いうえに、トランプの周辺は
既に以前から、こうした攻撃を要請
してきているのだ。アメリカからの
支援があれば、イランの核プログラム
に決定的な損害をもたらすだけの
攻撃を加えるために必要な軍事的・
政治的な支援を得られた、イランが
核兵器開発を始める前に阻止できる、
とイスラエルが認識する可能性が
生じる。

エスカレートしてしまうリスクへの
対処  この春には <相互に相手の
領土内を攻撃するという> 出来事が
あり、それに対する報復活動がどの
ようなものとなれ、イランの核プロ
グラムの転換点となりそうだ。未完の、
あるいは失った抑止効果を維持あるい
は再構築しようとイランは目論むはず
だからだ。その一方で、核プログラムは
今後もイスラエルにとっては食指の
伸びる攻撃対象であり、エスカレー
ションを招きかねない要因である。

アメリカはイスラエルに対しある種の
圧力を維持しており、イスラエルによる
報復攻撃を適切な程度に留め核以外の
資産に対する攻撃に限定せよと、イスラ
エルに圧力をかけ続けることで、上述の
ようなリスクの大幅な軽減に貢献で
きる。またアメリカ政府は、イスラエル
から軍事攻撃を始めた場合、直接に
関与することはない、またイランとの
将来の衝突でイスラエルを支持するには
条件がある、という意志の明示を続ける
べきである。

核=抑止力? いえ、実は不安定化要因
私の、かなり昔の作品

だが、こうした計算ずくのアプローチと
いえど、イランの核プログラムという
長く続く問題に対しては、痛み止め程度
のものでしかないであろう。現在の状況
を冷静に見れば、抑止力というものと
不安定化を招く核の影響力とのあいだの
バランスがいかに微妙なものか分かる
はずだ。<まだ核兵器にまでは至って
いなくても> 兵器グレードのウラ
ニウムに近いレベルまでの濃縮を行った
だけで、ここまでの騒ぎになっている
のだ。こうした現実を見れば、イランの
核という問題に対する非軍事的な
ソリューションを交渉で見つけ出すこと
の不可避性そして緊急性がさらに明らか
になろう。確かに、核問題に関する交渉
を再開できそうな状況かといえば
<難交渉を経て2015年にはいったん
核合意が成立したわけですが、2018年
にトランプ政権が一方的に合意から離脱。
それ以降、再建交渉は続いているが
難航>、過去10年間と変わらず困難な
状況だ。そうであっても、再建交渉に
代わる各種選択肢と比べれば、はるかに
ましなのが交渉という選択肢なのだ。
つまり、現時点でイランが保有している
高度な核能力が、さらに新たなものに
代わってしまうというリスクを抱えた
まま、一種のギャンブルをする。
それが、交渉以外の選択肢なのだ。
つまり、実際に配備可能な核兵器を
イランが保有してしまえば、不安定性は
さらに強くなってしまうのだ。
***************************

リスクだらけ ・・・
私の20分クロッキーより

「敵がヤバい兵器を作る前に、製造工場
をツブシてしまえ!」は確かに、
軍事面だけを考えるなら、あり得る選択
です。しかし、イラン全土に散らばる
核施設 ・・・ なんて場合には、全体を
破壊するのは困難です。やはり、何でも
かんでも武力でぶっ壊すというのは ~~

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「メルトダウンしない原子力発電所」 だそうですよ~~

確かに、実験したらメルトダウンは
しなかったですね~~
でも、メルトダウンさえしなけりゃ、
「安全」なの~~??

たとえば、次の記事を参照(7月
29日):
“メルトダウンしない”原子力発電所、実験で成功 商用規模で自然冷却は世界初 中国の研究者らが発表(ITmedia NEWS) – Yahoo!ニュース

ええ!?
私の昔の20分クロッキー

やれやれ、一部メディアはこういう
報道がお好きですなあ!
そして、日本語圏の反核勢力からは
これに対して何らかの問題指摘など
があって欲しかったのですが ・・・
今のところ(2024年8月1日)
そうした問題指摘は、全く聞こえて
きませんよね。こうしたプロパガンダ
合戦では、黙っているってことは負け
を認めるに等しい場合も多いのに ・・・
私(ひで)は、黙っておりません!

要するに今回話題の「メルトダウン
しない原子炉」、HTGRの一形式と
してのPBRのことなのですが、
・ PBRにつきもののTRISO燃料の
問題点
・ 「・・・このエネルギー密度の低さ
により、・・・自然冷却プロセスで
除去する」とあるが、その熱はどこに
排出するのか??
といった当然の疑問点については、
上の記事には言及もありません。
逆に反原発勢力としては、これらの
問題点を突っつくべきですが、そう
した問題指摘が聞こえてこない。

まあ、そんな状況になるんだろう
なあと、PBRとの関連では私は予想
していました。既に2021年12月から
翌年1月にかけてアップロードした、
固定ページ p-0) から p-3) をご覧くだ
さいな。上の黒いメニューにあります。
(メニュー内の項目は、基本的に
アルファベット順)

さらに今年(2024年)3月には、日本
の茨城県でも類似した原子炉の「無理に
メルトダウンさせてみる」実験が実施
されましたよね。結果、メルトダウン
はしませんでした。
上の黒いメニューで h-4) もご覧
くださいな。

予想通りね ・・・
私の点描練習

PBRに限らず、新型原子炉の問題点の
研究・指摘
proliferation risksの解明や、核関連の
軍事情勢のフォロー
「原発はCO2を出さず、気候変動の
緩和に効果的」といった「マヤカシ」の
問題指摘

上記3点を「やかんをのせたら~~」
では主に取り上げてきましたが、私も
自分の仕事を持つ人間ですので、これ
以上扱う問題系を広げることはでき
ません。(無理に広げてしまうと、
執筆内容の質に悪影響が出るでしょう)

福島第一の現状(放水も含む)、敦賀
原発再稼働の最新情報、核ゴミの保管所
選定の状況、電力とそのコスト、など
など各種問題系が絡み合っているのが、
核発電問題です。
反核勢力の中で、効果的かつ効率的な
「分業」が現実には必須でしょう。
多くの方々は、自分の仕事をしながら
ボランティアとして活動して
らっしゃるのですし。

あんなに自明だった「根拠」が ・・・
私のオイルパステル練習

特に本件ではご注意いただきたいの
ですが、
・ 日本の反原発勢力は、今でも主に
原子炉のメルトダウンないしは
その結果を問題にしていますよね
(それ自体が誤りだとは、言って
いませんよ!ただ、もっとコワい
問題が軽視されてしまっては ・・・)
・ 核推進勢力はそれに対抗、ある種の
新型原子炉ならメルトダウンを起こさ
ない、と主張しているわけです。で、
実際、実験してみてもメルトダウンは
しなかった
・ つまり、日本の反原発勢力が原発
反対の根拠としているメルトダウン
そのものが、なくなるかもしれない
です。下手をすると、日本の反原発
勢力は「反原発の根拠」を大きく
失うかも。

実際には、核兵器のproliferationという
メルトダウン以上に恐ろしい問題が
あり、「メルトダウンさえなくなれば、
核発電大いにケッコー」なんてわけ
には、いかないのです。
Beyond NuclearとかWISEとかいった
世界的な反核団体は、proliferationを
はっきりと主要問題の1つに掲げて
らっしゃいます。問題系に応じた分業
も、団体内で実施してらっしゃいます。
ところが目を日本の反原発勢力に
転じると、~~~

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Daily Express(英国の日刊紙)の
ウェブサイトより

World ‘on the brink’ as explosions rip through huge nuclear plant in Ukraine (msn.com)

World “on the brink” as explosions rip
through huge nuclear plant in Ukraine
(ウクライナの巨大原発で爆発が轟き、
世界は「破滅へと近づく」)

John Varga記者、7月12日

他の問題を扱っている間に、事態は~~

しばらくザポリージャ原発の記事の紹介
をしてなかったですね。
その間に、事態は極めて悪化している
ようです。

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。

*******************************

ウクライナのドローンがロシアが占拠中
の核施設に衝突寸前まで接近、深刻な
事故の一歩手前であったとの報道がある。

ザポリージャ原発(ZPP) はヨーロッパ
最大の原発で、今回の戦争の初期段階で
ヴラディミール プーティンの軍隊に
占拠された。

同原発には幾度も軍事攻撃が加えられて
きているとの報告があり、破局的な
核災害の寸前だという憂慮が募っている。

ウクライナ軍の主張によれば、ロシア軍
は同原発からドローンの発射や砲撃を
実施、ドニプロ川の対岸に配備されて
いるウクライナ軍に対し攻撃を仕掛けて
いるという。

原発を基地化されると~~

 

水曜日 <7月11日> のIAEAによる
報告によれば、同原発の近くにドローン
が激突したとのことで、同原発を占拠
している運用管理部門からの報告をも
引用している。

そのドローン攻撃により近辺の森林で
火災が発生、作業員8名が負傷した
という。

IAEAのヘッドであるラファエル
グロッシは再度、ウクライナとロシア
の両方に対しこの地域で砲撃を継続
するなら悲惨な結末を招きかねないと、
ロシアとウクライナの両者に対して
警告を発している。

グロッシによれば、「こうしたドローン
攻撃が今も続いているのは、実に憂慮を
招く。<近隣の町である> エネル
ホダルの人々にとって多大な危険である
とともに、ザポリージャ原発の安全性に
とっても深刻な脅威なのだが。
こうした攻撃は、即時停止せねば」

IAEAでは観測官を同核施設に2022年
9月以来配備しているが、ロシア当局
が同原発内に自由に観測官たちが入り
込むことを許可していない。

「通せんぼ~~」→ 当然、あやしい

観測チームの報告によると、今回の
攻撃についての知らせを受けた後で
この原発近辺で濃い煙が立ち上り、
爆発が聞こえたそうだ。

ウクライナ政府高官たちは、この最新
のロシアによる主張に関してはコメント
を控えており、それ以前の主張に
ついてもクレムリンのプロパガンダだと
している。

今回の攻撃により変圧所に損傷が生じ、
稼働が停止した。だがエネルホダルの
町は停電にはなっていない。

ロシア軍による占拠が始まって以来
現在に至るまで、ザポリージャ原発は
たびたびウクライナの送電グリッド
から切り離されてきた。これは、ロシア
がウクライナのエネルギー インフラ
ストラクチャーに、度々攻撃を加えた
ためだ。

また最近、ロシア軍が占拠中の
ザポリージャ原発近くで砲撃と火災が
発生、外部の放射線モニター局が破壊
されたと、6月27日にIAEAは
報じている。

IAEAの査察官たちによれば、その報告
にある損傷を確認しようと当該の外部
放射線モニター施設の現地調査を
試みたのだが、同地では戦闘が続いて
いたため、 現地に到着できなかった。

ウクライナの国営核エネルギー公社で
あるエネルゴアトムがこの5月に発表
したところでは、核災害を避けるため
ロシア軍同原発を同社に返還すべきだ。

**************************

慣れちゃった~~??
かなり昔の、私の人体デッサン

原発を巻き込んだ戦闘であっても、
長期間続くと人は慣れてしまい、
危機感を喪失しやすいものです。
でも、実際には「今、そこにある
リスク」であることに変わりはない
ですよね。
ですから「やかんをのせたら~~」
では、今後もザポリージャ情勢を
追っかけてまいります。

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結局は、誰と誰の核交渉??

New York Times

Hopes for a Diplomatic Opening Rise Under Iran’s New President – The New York Times (nytimes.com)

Hopes for a Diplomatic Opening
Rise Under Iran’s New President
(イランの新大統領選出で
外交交渉再開の望みが高まる)

反核を唱える人であれば、イランの
新大統領が核開発プログラムをどう
するのか、当然気になりますよね。
ベゼシュキアン新大統領の方向性を
考察する記事を、The New York Times
の無料箇所より。

あそこ、CEOは変わったけど、ウチとの関係は~~?

いつもどおり、
私の日本語化
<> 内は私からの補足説明
です。
***************************
改革派のマスード ペゼシュキアン
(Masoud Pezeshkian)は西側との
改善の改善を願っており、それに
より経済制裁の解除を目指して
いる。だが彼の権力には限界がある。

Lara Jakes記者
ワシントンより報告

2024年7月7日

イランの大統領選挙では改革派のマスード
ペゼシュキアン候補が当選、同国のこれ
までの絶対主義的な外交政策がどうなる
か、さらには新たな外交のありかたも
観られるか、といった希望を現職
ならびに前職の高官たちや専門家たちが
言明している。

ペゼシュキアン氏は本職が心臓専門医で
イラン議会の委員であるとともに以前
には保健大臣も務めていた。だが外交
問題に関しては、イランでも最高級の
エリートでグローバリストの外交官たち
に権限をゆだねると誓約しており、
西側との関係の軟化が期待されている。

ペゼシュキアン氏は「国内に対しても
国外に向いても、従来よりも現実路線
であり、対立を好まない」 そう述べる
のは、バラク オバマ大統領の特任
アシスタントを務め中東問題での交渉
担当として長年のキャリアを誇る
Dennis B. Rossだ。

CEOは代わったけど、会長がそのまんまやがな~~

ただしRoss氏は次のような注意も
怠っていない。つまりイランの最高
指導者であるアヤトーラ アリ
ハメネイ師はペゼシュキアン氏の
外交面での活動に「かなりの制限を
課すことであろう」

イランの大統領の権限は、その大半が
国内問題に限定されたものだ。同国の
政治と宗教の両面で最高指導者である
ハメネイ師が、主要な政策決定をすべて
下している。特に外交問題やイランの
核開発プログラムに関しては、同師の
権限が強い。

イランの統治システムでは強力な権限を
有しているものがもう1つあり、それは
イスラム革命防衛隊であり、これが
イランの軍事関係すべてを監視している。
この革命防衛隊と最高指導者とが密接に
連携して軍事力をいつ・どのように行使
するのかを決定する。軍事力の行使と
いう場合、イラクやシリア、レバノン、
イエメンでのイラン代行勢力による
軍事活動の開始や、イスラエルに対する
脅威の実現も含むのだ。

外交官やアナリストたちによると
ここ数年でイランの外交政策は強硬化を
続けており、その傾向はペゼシュキアン
氏の下でもその傾向は続きそうだ。その
一環としてイランは他の専制国家との絆
を強める可能性がある。現にイランが
提供したドローンやミサイルにより
ロシアはウクライナを攻撃しており、
しかもイランは自らを中東においても
西側に対しても一大勢力であると提示
している。その内実、イラン国内では
反政府運動が盛り上がり、経済も深刻な
打撃を被っているのだが。

「手下」がぎょーさんおりましてなあ~~


「イランは国外に
 <反政府勢力などの
武装代理組織の> ネットワークを展開
しており、それが実に大きな成果を収め
てきている。そのおかげでテヘランは
ある程度はやりたい放題に影響力を行使
できている。それだけの影響力と効果の
ある政策を廃止したいとは、誰も思う
まい」 そう述べるのはCouncil on
Foreign Relations<というシンク
タンク> でイラン問題の専門家を
務めるRay Takeyhだ。今回の大統領
選が近づいた際に、ある分析文書で上述
の通り記していた。

世界とのかかわり

アナリストたちによれば新大統領が
国際的に実際の成果を上げやすい領域と
して、イランの制作に対する世界の
受け止め方を左右できるという点がある。
大統領が選任する外交官たちによる
影響力が大だ。この点では、
ペゼシュキアン氏と今回の選挙で彼の
最大の対立候補であった反西側の姿勢を
あからさまに示す超保守派のサイード
ジャリリとの間のコントラストは明白だ。

強硬派のマフムード アフマディネ
ジャド前大統領の時代にジャリリ氏は、
経済制裁による被害をなくすために
イランの核開発プログラムに制約を
設けるような交渉には、すべて反対して
いた。それどころかジャリリ氏は
ウラニウムの核兵器グレードへの濃縮を
推進していたと、この6月の分析で
Stimson Center <という研究所> の
専門家たちは記している。


危険な孤立主義者 ・・・
私の作品 “Behind the Masked Smile”

「そうしたやり方のため、イランは
国際的に孤立してしまった」と語るの
は、<独立系平和研究団体である>
International Crisis Groupでイラン担当
のディレクターを務めるAli Vaezだ。
「西側と交渉するという行為そのもの
に、ジャリリは価値を認めていない」

Vaezによれば、ペゼシュキアン氏の下
でなら、「外交的な成果がみられる
可能性は大きくなりそうだ」

西側との関係の改善

ペゼシュキアン氏はまた、国際的な関与
のための方針を打ち出し、西側との関係
も改善して経済制裁の解除を目指す方針
であると述べている。同氏は、イランは
イスラエル以外のすべての諸国との
やり取りを推進したいとも語っている。
ただし、ロシアならびに中国との提携を
重視しすぎる鵜ことに関しては、Vaez
氏は述べている。

「この方針で動いていきたいのであれば、
あらゆる諸国と有効を保ち、国家の威厳
と利益とに基づきつつあらゆる諸国と
良好な関係を構築せねばならない」と、
ペゼシュキアン氏はこの5月に語って
いた。「諸外国との関係を改善していく
につれ、先述の方針に近づくことになる。
逆に緊張を高めてしまうなら、先述の
方針から離れイランの状況は悪化する
ことになる」

わて、たこやきは経験おまへんねん~~

Vaez によればペゼシュキアン氏は今の
ところまだ外交政策については何も
具体的なことを述べておらず、自分には
外交政策の実務経験がないことを極めて
正直に認めている。だが新大統領の
キャンペーンにおける外交政策のチーフ
アドバイザーはMohammad Javad Zarif
で、彼は前外務大臣として2015年に世界
の主要勢力を相手に核合意を締結した
人物だ。彼はアメリカで暮らした経験も
あり、巧みに英語を操るZarif氏は、
イラン国内では強硬派たちからアメリカ
かぶれとして馬鹿にされてきている。

トランプという不確定
要因

イランが西側との外交関係にどこまで
本気なのか、それを試す大切な試金石
の1つが、2015年の核合意の再建努力
に応じるか否かだ。この問題は <現在
のアメリカ大統領選挙で> ドナルド
トランプ前大統領が出馬しているという
事実のため、さらに複雑なものとなる。

この核合意はイランによる核兵器の製造
を禁ずるための合意で、規約上は2025
年で失効する。だが2018年にトランプ
前大統領がアメリカをこの核合意から
脱退させて以来、この合意はおぼ有名
無実なものとなってしまっている。
そしてトランプのアメリカはイランへの
経済制裁を再開したのだ。それに対抗
してイランはそのウラニウム濃縮作業を
加速させ、今では専門家たちによれば、
3個あるいはそれ以上の核爆弾に相当
する濃縮ウラニウムなどを数日あるいは
数週間で製造できるそうだ。

「核はダメ」
どこまで守られるんやあ??

イランは以前から、その核開発プログラム
はあくまで平和利用に限定されたもので
あると主張して譲らず、核兵器の製造や
使用は2003年の「ファトゥワ」で禁じ
られているとしている。ファトゥワとは
宗教上の勅令のようなもので、この
ファトゥワはハメネイ師が発したものだ。
アメリカの高官たちによると、現時点で
核兵器グレードに近いウラニウム濃縮を
行っているという証拠はないのだが、
イスラエルの主張によると大学での
<核関連の> 研究を隠れ蓑にイランは
既に核兵器開発を進めている。

英国の外交官で、2013年に暫定合意が
締結された際にEUの外交政策担当
チーフとして核合意のための交渉を指揮
したCatherine Ashtonは、その交渉の
テーブルでジャリリ氏ならびにザリフ氏
の両者と密接に行動していた。Ashton
によれば、ジャリリ氏の関心は「交渉
そのものは続けさせながらも、実質的な
進展や成果は出ないようにすること」
にあった模様だ。

それとは対照的にザリフ氏は「アメリカ
やヨーロッパのことをはるかによく理解
しており、中東でのイランの将来の立場
を確保したいという決意に溢れていた」
と、Ashtonは語っている。

「アイツらには気をつけろ」

ハメネイ師はイラン国民に対し、西側
特にアメリカに対してオープンすぎる
大統領を選出しないよう警告を発して
いた。また外交官たちの見方では、
イランとロシアは何年間も不信と食い
違いの関係を続けたうえでこの
10年間は通商関係を温めてきているが、
そのおかげでイランは国際的な孤立を
耐えやすくなっている。

ガザでの戦闘のため、アメリカと
レバノン、シリア、イラク、イエメン
でイランからの支援を受けている武装
勢力との間の緊張が高まっており、
ワシントンとテヘランの間で新たな
可能性が形成される可能性は乏しいと、
Stimson Centerの専門家たちは記して
いる。

この4月にシリアにあったイラン
大使館をイスラエルが攻撃、イラン軍の
司令官数名を殺害した。イランはそれに
対する報復として、ミサイルやドローン
数百機をイスラエル目掛けて発射した。
そのほとんどは迎撃された。これは
イラン対イスラエルの対立の激化を表す
事態で、イランはそれまで以上の
抑止力があると確信するに至った
模様だ。

アメリカとの対立の回避

それでも、中東での紛争の拡大を防止
したいとアメリカは腹を決めていると、
イランの人たちも認識している。
<今回の軍事衝突による> 危険性に
ついては、両国間に裏のメッセージが
やり取りされていた。


交渉解体屋さん
私の作品 “Argument IV – Conclusion”

昨年、イランとアメリカの間では捕虜の
交換がなされた。それに伴い外交での
協力が強まるかとの希望が沸き上がっ
た。核開発プログラムに関する間接
交渉も、何らかの希望を匂わせていた。
だが現在、イランの関心の焦点は、
トランプ氏が今年11月の大統領選挙で
選出された場合、果たしてトランプを
交渉相手にするのか、するのなら
どのように、といった問題にある。
イランの政治関係者たちの多くは、
トランプの当選を予想している。

交渉担当者であるRoss氏によれば、
イランの新大統領には「現実主義と
最高指導者のイデオロギー基準の
順守との間の」バランスを保ちつつ
政府決定を下していくうえで、
いくらかの余裕がある模様だ。

だがそうした余裕はペゼシュキアン氏
による外交問題への取り組みに限定
されることになろう。特にアメリカ
との関係では、ハメネイ師が明確な
境界線を引いている。Ross氏による
と2015年の核合意に際しても、最高
指導者 <であるハメネイ師> は
「この合意から距離を置き、トランプ
が一方的に脱退した時に ”ほら、
言わんこっちゃない” と語れる
ような立場を保っていた」


長い記事で、眠くなった~~
私の人物デッサンより
実際、このモデルさんはウトウトして
らっしゃいました


Lara Jakes ローマを本拠に、
ロシアに対抗するウクライナの戦いを
支援する西側の外交・軍事的努力に
関する報道を行っている。ジャーナ
リストとしての経歴は、30年近く
に及ぶ。

*****************************

「やかんをのせたら~~」では今後も
イランの核開発に関する報道記事の紹介を
してまいります。
皆様から特報などあれば、私にもぜひ
お知らせくださいませ!

yadokari_ermite[at]yahoo.co.jp

まで!

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あつい!!

関東の皆様なら言うまでもない問題ですが、
とにかく危険なThe New York Timesの記事の日本語化
(無料箇所)に取り組んでおります。

イランの新大統領誕生によって、核交渉がどう変わっていくのか??
そうした問題を取り上げている記事です。
私たち反核勢力にとっては、緊急の問題ですからね。

出来次第アップロードしますので、しばしお待ちくださいませ。

英語の元記事を読める方は、
https://www.nytimes.com/2024/07/07/world/middleeast/iran-pezeshkian-khamenei-nuclear.html
をどうぞ!

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Nuclear regulator to become promoter with passage of Advanced Act

Nuclear regulator to become promoter
with passage of Advanced Act
(核発電の規制当局のはずが、今回の
Advanced Actなる法案の通過により
核発電の推進当局に化けてしまう)

Beyond Nuclear Bulletin
June 20, 2024

核発電推進法がアメリカ議会で成立して
しまい、反核運動にとっては苦難の時代
が訪れている、というニュースです。

まずは、Bulletinそのものにある
テキストを。
いつもどおり、
私による日本語化(と抜粋・要約)
< > 内は私からの補足説明
です。

*****************************

advance <– Latin “abante” (ab (離れる) + ante (前へ) )
本当に「前へと離れて」行きたいのなら、まずは核から離れましょうよ。

”ADVANCE ACT”
(「核発電推進法」と、とりあえず
呼んでおきます)
反核勢力にとって、暗い時代へ

6月18日、アメリカ上院でADVANCE
Actが88対2で採択されてしまった。
反対の2票を投じたのは、Markey上院
議員 (マサチューセッツ州選出、民主党)
とSanders上院議員 (ヴァーモント州
選出、独立) だった。下院は既に5月8日
に同様の法案を成立させており、 その際
は393票対13票であった。民主党で
反対票を投じたのは、テキサス州選出の
Doggett議員のみであった。おそらく
バイデン大統領が今回の法案に署名し、
この法案は法律となってしまう見込みだ。

今回の法案によりNRC <アメリカの
原子力規制委員会> の任務が変更され、
原子力の安全性のための規制というより
も、原子力産業の推進へと変わって
しまう。半世紀ほど、時計を巻き戻して
しまう法律だ。さらに同法案により、
いわゆるadvanced原子炉 <新型原子
炉、「やかんをのせたら~~」で既に
取り上げているSMRやHTGR、PBR
などなど> の新設、さらにHALEU
<high-assay, low-enriched uranium、
上の黒いメニューにある hal-1) など
参照>も推進してしまうので、安全面や
健康関連、環境、核兵器の拡散、そして
納税者の負担といったリスクが増大する。
こうした各種関連当局が癒着してしまう
ことで、福島第一のような放射性物質
放出の伴う破局が発生するリスクも増大
する。

******************************

監視当局が業界と癒着してしまうと~~
食品業者と保健機関 → 食中毒が増える
(あくまで、分かりやすくするためのたとえですよ)

では、BulletinにあるRead Moreを
クリックしたジャンプ先も紹介しま
しょう。

U.S. Senate passes pro-nuclear ADVANCE Act, 88 to 2 – Beyond Nuclear

U.S. Senate passes pro-nuclear
ADVANCE Act, 88 to 2
(アメリカ上院、核発電推進の
ADVANCE法案を88対2で可決)

********************************

2024年6月19日

調査報道記者のGreg Palastの発言を
言い換えるなら、アメリカ下院は
「カネで代える最高のもの」になり
下がったようだ。今回の法案通過に伴う
核産業からのキャンペーンとしての献金
やロビー活動の影響力を評しての言葉だ。

このトンデモナイ結果を防止すべく立ち
上がってくださったすべての方々に、
厚くお礼を申し上げる。それにも関わら
ず、今回は我々 <反核勢力> は敗北を
味わった。それも、手痛い敗北だ。

2024年6月18日、アメリカ上院は
核推進のADVANCE Actを88対2の
投票で可決した。反対票を投じた上院
議員は、Ed Markey(マサチューセッツ
州選出、民主党)とBernie Sanders
(ヴァーモント州選出、独立系)の
2名だけであった。なお、ADVANCEと
いうのはAccelerating Deployment of
Versatile, Advanced Nuclear for Clean
Energy <「クリーン エネルギー普及
のための多様な新型原子力実現の
加速化」法案> の略称である。
<核発電が本当にCO2などの削減に
なるのか否かについては、上の黒い
メニューの終わり近くにある ページ
付録 w-1)、w-3)、w-8) などを参照>

「燃料製造用の発電で煙だらけ、表向きはきれい」
再掲  原発用の燃料製造に要する電力

<原文ではここにアメリカ上院議員
たちによる投票の一覧へのリンク。
日本の反核勢力も、こうした情報を
発信できるようになりたいですよね>

<原文では、ここに法案本文への
リンク>

<原文ではここに、Markey上院議員と
Sanders上院議員のオフィスの電話
番号。反対票を投じてくれたことへの
お礼を申し上げるよう、奨励。私たち
日本の反核勢力も、支持できる議員
さんたちとの良い関係は構築したい
ですね>  今回の法案通過は確かに、
核廃絶や環境保全、環境に関する公正と
いった活動にとっては暗黒の一撃で
あったが、それでも真実を述べて希望の
光を照らしてくれた両上院議員で
あった。<原文ではここに、両上院議員
のオフィスへのEメールアドレスへの
リンク>

ご自分の選挙区選出の上院議員がこの
法案に賛成票を投じた場合には、議員の
オフィスに連絡を取り、反論や不快感を
表明されたい。
<原文ではここに、上院議員たちの
連絡先リストへのリンク>

<原文ではここに、上院議員への連絡
テキストのサンプル>

NIRS <Nuclear Information and
Research Service、アメリカのメリー
ランドに本部を置く環境団体> では、
このADVANCE法案を上院が否決
すべきであったという多数の根拠を
挙げている。それを、下記に紹介する。

  1. 環境と健康へのリスク
    1. <本法案は>新型の
      原発を推進するものだ
      が、そうした新型原発は
      環境に良い影響を及ぼ
      さず、そのウラニウム
      採鉱から放射性廃棄物の
      管理にまで至るライフ
      サイクルを考えるなら、
      炭素排出が多い。
    2. 長寿命の放射性廃棄物を
      生み出し、安全に隔離
      できない。
    3. 「新型の」核燃料の使用
      を増やす新型原子炉が
      多いのだが、そうした
      新型の核燃料は現行の
      ものよりも危険性が高い
      もので、ウラニウム235
      の濃縮度が高く核兵器用
      の濃縮度に近づく。その
      ため、大気中でも水系
      でも日常的な放射性物質
      の排出や核廃棄物がより
      危険性の高いものとなる。

      HEU(High Enriched Uranium)、LEU (Low)、 HALEU ・・・ややこしい! 再掲です

      具体的にはHALEUのこと。
      hal-1) の図を再掲

  2. 経済的問題:
    1. 原子力は長い期間を要し
      <他のエネルギー源より
      も> はるかに費用が
      かさむ。そのため、再生
      可能エネルギーなどの
      真に気候変動対策になり
      えるエネルギー源に
      充てるべきリソースを
      横取りしてしまう。
    2. 原子力プロジェクトに
      伴う費用と期間とは
      大掛かりなもので、
      風力や太陽エネルギーと
      いった代替エネルギー源
      と比べ非効率なソリュー
      ションでしかない。
  3. 国家の安全保障にとっての脅威:
    1. 危険な核物質や技術の
      輸出につながり、核兵器
      の拡散を加速させて
      しまう。

      そもそも、核技術や核物質のproliferation risksは、本「やかんをのせたら~~」が今まで延々と説明してきた問題系です。

    2. アメリカの核施設を外国
      <の団体など> が所有
      する可能性をもたらし、
      アメリカの国家安全保障
      上のリスクになりえる。
    3. 原子力規制委員会
      (Nuclear Regulatory
      Commission、NRC)の
      役割を、規制ではなく
      核発電の推進に切り替え
      てしまう。<規制当局の
      はずである機関が実は
      推進機関であると>
      法規制がおざなりになり
      安全上の欠点が生じて
      しまうことは、福島第一
      の事故でも証明済みだ。
      そうなってしまうリスク
      を、今回の法案は増大
      させてしまう。
  4. 放射線被害者に対する不当な
    扱い:

    1. アメリカ下院は、
      放射線被ばく賠償法
      (Radiation Exposure
      Compensation Act、
      3853)の改正を行っ
      ておらず、放射線被害に
      対する補償を拒否して
      いる。

      アメリカは過去に幾度も核実験を実施、当然そこからの放射線に捕縛した方々も多数いらっしゃったわけです。そうした被害者への補償が ・・・

    2. ADVANCE 法案が成立
      すれば、放射線の放出と
      被ばくが増大、上述の
      不公正がさらに悪化する
      恐れがある。しかも、
      その不公正の増大には
      税金が投入されるのだ。

今回の法案は持続可能なエネルギーの
ソリューションに投下すべきリソースを
核発電に向かわせてしまうだけでなく、
環境・経済・安全保障の各面でのリスク
を深刻に悪化させてしまいかねない。

NIRS がも述べているように、この
ような危険で誤った方針を法律と
して成立させてはならない。だが、
昨日 <6月19日> の法案通過を
受け、おそらく法律となってしまう
ことであろう。.

<原文ではここに、ホワイトハウス
への連絡の取り方>

<原文では最後に、下記の各種関連
文献へのリンクもあります。英語の
文献を読みたい方は、どうぞ>

Dr. Edwin Lyman, Nuclear Power Safety
Director at Union of Concerned Scientists,
issued a strong statement opposing the
ADVANCE Act
, prior to its U.S. Senate
passage. Dr. Lyman won an Alliance for
Nuclear Accountability (ANA)
 award,
during ANA’s annual “D.C. Days,” on
May 21, 2024.

Dave Kraft, executive director of Nuclear
Energy Information Service of Chicago
,
also issued a strong statement opposing
the ADVANCE Act
, after its passage.
Dave won Beyond Nuclear’s Dr. Judith H
Johnsrud “Unsung Hero” Award
, also
during ANA’s “D.C. Days,” in 2017.
*******************************

こんな法律は廃止しましょう!

アメリカのこの悪しき新法を撤廃
させるためには、アメリカ国内の
Beyond NuclearやNIRSなどの反核団体
の努力は無論ですが、アメリカ以外の
反核諸団体も彼らと協力する必要があり
ましょう。
その結果、この悪しき新法が廃止になれ
ば、世界的にも影響を及ぼすはずですの
で、アメリカ以外の反核運動にも好影響
が出るはずです。

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FLiRTから回復したので、再開

私(ひで)がどうもCOVID FLiRTに
感染してしまっていた様子で、数日
間にわたり寝込んでおりました。
6月20日 JST 現在、70%ほど回復
しておりますので、本ウェブサイト
を再開しますね。

イランの60%濃縮 U 地区石器問題
です。

APのウェブサイトより
Iran further increases its stockpile of uranium enriched to near weapons-grade levels, watchdog says | AP News

イラン、高濃度ウラニウムのストックを
増大

ライシ前大統領がチョッパーの事故で
他界されたことについては、ご冥福を
祈っております。
しかし、それとウラニウム過剰濃縮とは
まったく別問題ですよね。

では、いつもどおり
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
************************************

Iran further increases stockpile of
uranium enriched to near weapons-
grade levels, watchdog says
(核兵器グレード近くまで濃縮した
ウラニウムの備蓄をイランが増大と、
IAEA)

Stephanie Liechtenstein記者
2024年5月28日

ウラニウム濃縮とリスク、再掲

ウィーン発(AP)  — 以前から核兵器
レベル近くにまで濃縮したウラニウム
を備蓄していたイランだが、その備蓄
をさらに増やしていると、この月曜日
<5月27日> に国連の核監視機関
<であるIAEA> が作成した機密
報告書に記されている。これは、国際
社会に圧力を絶えずかけようとする
イラン政府の動きの中で、最新のもの
だ。

イランの核開発プログラムは <国際
的に> 議論を呼んでいるが、それを
減速することへの見返りに、この核
プログラムに対するイランへの経済
制裁を解除してもらえないかと同国は
目論んでいる。イランでは国家の絡む
問題はすべてそうだが、この核開発
プログラムも指揮しているのはイラン
の最高指導者アヤトーラ アリ ハメネイ
師だ。先週ヘリコプター事故があり同国
の大統領と外務大臣とが死亡したの
だが、それほどの事態があってもイラン
の核開発に変化はなさそうだ。

今回IAEAが報告書を作成した背景と
して、イスラエル対ハマスの戦争が続く
中、中東全体での緊張が高まっている。
さらにこの4月には史上初めて、
イスラエルとイランがそれぞれ相手の
領土への軍事攻撃を行った。

0.7% U-235 (他はu-238など、ウラニウム鉱石)
→ 60%にまで濃縮するのは大変
→ そこから90%は、比較的簡単

その報告書をAPは閲覧したのだが、
5月11日の時点でイランは60%濃縮の
ウラニウムを142.1キログラム保有して
いた。これは今年2月にIAEAが前回の
報告を出した時点以来、20.6kgの増加
である。核兵器グレードのウラニウム
濃度とは90%以上だが、60%まで濃縮
してしまえば、技術的には90%に到達
するのはたやすい。

IAEAの定義によれば、60%まで濃縮
されたウラニウムが約42㎏あれば、
理論上は核兵器1つを製造できる。
そのウラニウムをさらに90%まで濃縮
すればよいのだ。

この報告によればさらに5月11日の
時点で、イランが保有する濃縮ウラニ
ウムの総量は 6,201.3 kgに達しており
これはIAEAが前回の報告を作成した
時点から675.8 kgの増大だ。

イランはその核開発プログラムは
平和利用のみを目的としていると
以前から主張してきているが、
IAEAのチーフであるラファエル
マリアーノ グロッシは以前、イラン
は既に核爆弾数個を製造できるだけの
核兵器グレードに近い濃縮ウラニウム
を保有しているとの警告を発していた。
イランにある遠心分離機の一部が秘密の
ウラニウム濃縮用に転用された疑い
は、IAEAとしては払しょくできない
とグロッシは認めている。

2018年以降イランとIAEAとの間では
緊張が高まっているが、2018年に当時
のアメリカ大統領ドナルド トランプ
が、イランと世界主要国との間で成立
していた核合意から一方的に脱退した。
それを受けイランは、この核合意の下で
核プログラムに設けられていた制限を
すべて撤廃、急速にウラニウム濃縮を
加速した。

U → いったん気体のU化合物に →
遠心分離器でU-235の比率を
高める(濃縮) → Uに戻す(還元)

本来、2015年に一旦締結されたその
核合意の下では、イランに認められて
いたウラニウム濃縮は3.67%までで、
許可されているウラニウム備蓄量は
約300㎏まで、また使用が認められて
いた遠心分離機は極めて基本的な
IR-1とされていた。遠心分離機は
ウラニウムを気化させたガスを高速で
回転させ、濃縮を行う。

この2015年の合意でイランは、
ウラニウム濃縮の濃度を発電に必要な
レベルにまで落とす代わりに、経済
制裁を解除してもらうことに合意して
いた。また当時、国連の査察官たちが
核プログラムの査察を任務としていた。

月曜日 <5月27日>の報告によれば、
イランは昨年9月にIAEAの査察官が
同国の核プログラムをそれ以上査察
することを禁ずる決定を下したのだ
が、その決定をいまだに考え直して
はいない。IAEAとしては「IAEAと
イランの間の継続する話し合いの
なかで、考え直してくれる」ことを
望んでいる。

この報告によると、グロッシはイラン
が査察官による検査を制限するとの
決定を下したことをグロッシは
「ひどく遺憾としており」、この決定
を撤回することが「IAEAがイラン
での検証活動を効果的かつ充分に行う
ためには、今も必要不可欠だ」と
している。

イランのエブラヒーム ライシ大統領と
ホセイン アミラビドラヒアン外相が
<先日の事故で> 死亡したことを受け、
IAEAとイラン政府の間の協力のための
対話も一時停止となっていると、
この報告には記されている。

しばしお流れかよ~~

その5月19日のヘリコプター墜落
以前には5月前半のグロッシによる
イラン訪問を受け、5月20日にイラン
政府とIAEAとが技術的交渉を行う
予定であった。だがヘリコプター事故
のため、この交渉もお流れになった。
そこでイランは5月21日に書簡を
送付、イランの各担当チームは今も
「双方にとって都合の良い日に」
テヘランで話し合いを続けたいと
願っていると告げたと、この報告書
にはある。

さらに同報告書によれば、数年前に
イランの2か所で検出された人工の
ウラニウム粒子について、IAEAは当時
からそれがどこで出来たものか、今は
どこにあるのか、尋ねているのだが、
いまだにイラン政府は回答していない。
その2か所とはVaramin とTurquzabad
という場所にある各施設なのだが、
それらをイラン政府は <IAEAに>
申請していない。 .

報告書によるなら、イラン政府はIAEA
からのこの質問に回答すべきである。
さもなくばIAEAはイラン政府と締結
した核拡散防止策 (safeguards) に
従い「イランが提出した申告内容の
正しさや充分性を確認できなくなって
しまう」

やはり同報告によれば、2022年6月に
<イラン側が> カメラも含めた
モニター機器類を取り外したのだが、
その再設置にも全く進展がない。
その時以来、記録されているデータと
いえばイスファハンという都市にある
遠心分離機施設に設置されている
IAEAのカメラによるデータだけだ。
2023年5月のものだ。だがイランは
このデータすら、IAEAがアクセス
することを許可しなかった。

5月21日にIAEAが発表したところに
よれば、遅れていた査察だったがこの
4月に査察官たちが「イスファハンの
施設にカメラを無事に設置、2023年
12月下旬以降に収集したデータも
各地でIAEAとイランとで別々の
保管下に入った」
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"Argument I -- Louder, Louder"

”Argument I – Louder, Louder”
私の昔の作品

イランの核開発に関しては、今後も
新たな報道を見つけ次第、紹介して
まいります。
それにしても、日本語の報道が
あまり聞こえてこないのは、
なんで??

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