Nuclear regulator to become promoter with passage of Advanced Act

Nuclear regulator to become promoter
with passage of Advanced Act
(核発電の規制当局のはずが、今回の
Advanced Actなる法案の通過により
核発電の推進当局に化けてしまう)

Beyond Nuclear Bulletin
June 20, 2024

核発電推進法がアメリカ議会で成立して
しまい、反核運動にとっては苦難の時代
が訪れている、というニュースです。

まずは、Bulletinそのものにある
テキストを。
いつもどおり、
私による日本語化(と抜粋・要約)
< > 内は私からの補足説明
です。

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advance <– Latin “abante” (ab (離れる) + ante (前へ) )
本当に「前へと離れて」行きたいのなら、まずは核から離れましょうよ。

”ADVANCE ACT”
(「核発電推進法」と、とりあえず
呼んでおきます)
反核勢力にとって、暗い時代へ

6月18日、アメリカ上院でADVANCE
Actが88対2で採択されてしまった。
反対の2票を投じたのは、Markey上院
議員 (マサチューセッツ州選出、民主党)
とSanders上院議員 (ヴァーモント州
選出、独立) だった。下院は既に5月8日
に同様の法案を成立させており、 その際
は393票対13票であった。民主党で
反対票を投じたのは、テキサス州選出の
Doggett議員のみであった。おそらく
バイデン大統領が今回の法案に署名し、
この法案は法律となってしまう見込みだ。

今回の法案によりNRC <アメリカの
原子力規制委員会> の任務が変更され、
原子力の安全性のための規制というより
も、原子力産業の推進へと変わって
しまう。半世紀ほど、時計を巻き戻して
しまう法律だ。さらに同法案により、
いわゆるadvanced原子炉 <新型原子
炉、「やかんをのせたら~~」で既に
取り上げているSMRやHTGR、PBR
などなど> の新設、さらにHALEU
<high-assay, low-enriched uranium、
上の黒いメニューにある hal-1) など
参照>も推進してしまうので、安全面や
健康関連、環境、核兵器の拡散、そして
納税者の負担といったリスクが増大する。
こうした各種関連当局が癒着してしまう
ことで、福島第一のような放射性物質
放出の伴う破局が発生するリスクも増大
する。

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監視当局が業界と癒着してしまうと~~
食品業者と保健機関 → 食中毒が増える
(あくまで、分かりやすくするためのたとえですよ)

では、BulletinにあるRead Moreを
クリックしたジャンプ先も紹介しま
しょう。

U.S. Senate passes pro-nuclear ADVANCE Act, 88 to 2 – Beyond Nuclear

U.S. Senate passes pro-nuclear
ADVANCE Act, 88 to 2
(アメリカ上院、核発電推進の
ADVANCE法案を88対2で可決)

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2024年6月19日

調査報道記者のGreg Palastの発言を
言い換えるなら、アメリカ下院は
「カネで代える最高のもの」になり
下がったようだ。今回の法案通過に伴う
核産業からのキャンペーンとしての献金
やロビー活動の影響力を評しての言葉だ。

このトンデモナイ結果を防止すべく立ち
上がってくださったすべての方々に、
厚くお礼を申し上げる。それにも関わら
ず、今回は我々 <反核勢力> は敗北を
味わった。それも、手痛い敗北だ。

2024年6月18日、アメリカ上院は
核推進のADVANCE Actを88対2の
投票で可決した。反対票を投じた上院
議員は、Ed Markey(マサチューセッツ
州選出、民主党)とBernie Sanders
(ヴァーモント州選出、独立系)の
2名だけであった。なお、ADVANCEと
いうのはAccelerating Deployment of
Versatile, Advanced Nuclear for Clean
Energy <「クリーン エネルギー普及
のための多様な新型原子力実現の
加速化」法案> の略称である。
<核発電が本当にCO2などの削減に
なるのか否かについては、上の黒い
メニューの終わり近くにある ページ
付録 w-1)、w-3)、w-8) などを参照>

「燃料製造用の発電で煙だらけ、表向きはきれい」
再掲  原発用の燃料製造に要する電力

<原文ではここにアメリカ上院議員
たちによる投票の一覧へのリンク。
日本の反核勢力も、こうした情報を
発信できるようになりたいですよね>

<原文では、ここに法案本文への
リンク>

<原文ではここに、Markey上院議員と
Sanders上院議員のオフィスの電話
番号。反対票を投じてくれたことへの
お礼を申し上げるよう、奨励。私たち
日本の反核勢力も、支持できる議員
さんたちとの良い関係は構築したい
ですね>  今回の法案通過は確かに、
核廃絶や環境保全、環境に関する公正と
いった活動にとっては暗黒の一撃で
あったが、それでも真実を述べて希望の
光を照らしてくれた両上院議員で
あった。<原文ではここに、両上院議員
のオフィスへのEメールアドレスへの
リンク>

ご自分の選挙区選出の上院議員がこの
法案に賛成票を投じた場合には、議員の
オフィスに連絡を取り、反論や不快感を
表明されたい。
<原文ではここに、上院議員たちの
連絡先リストへのリンク>

<原文ではここに、上院議員への連絡
テキストのサンプル>

NIRS <Nuclear Information and
Research Service、アメリカのメリー
ランドに本部を置く環境団体> では、
このADVANCE法案を上院が否決
すべきであったという多数の根拠を
挙げている。それを、下記に紹介する。

  1. 環境と健康へのリスク
    1. <本法案は>新型の
      原発を推進するものだ
      が、そうした新型原発は
      環境に良い影響を及ぼ
      さず、そのウラニウム
      採鉱から放射性廃棄物の
      管理にまで至るライフ
      サイクルを考えるなら、
      炭素排出が多い。
    2. 長寿命の放射性廃棄物を
      生み出し、安全に隔離
      できない。
    3. 「新型の」核燃料の使用
      を増やす新型原子炉が
      多いのだが、そうした
      新型の核燃料は現行の
      ものよりも危険性が高い
      もので、ウラニウム235
      の濃縮度が高く核兵器用
      の濃縮度に近づく。その
      ため、大気中でも水系
      でも日常的な放射性物質
      の排出や核廃棄物がより
      危険性の高いものとなる。

      HEU(High Enriched Uranium)、LEU (Low)、 HALEU ・・・ややこしい! 再掲です

      具体的にはHALEUのこと。
      hal-1) の図を再掲

  2. 経済的問題:
    1. 原子力は長い期間を要し
      <他のエネルギー源より
      も> はるかに費用が
      かさむ。そのため、再生
      可能エネルギーなどの
      真に気候変動対策になり
      えるエネルギー源に
      充てるべきリソースを
      横取りしてしまう。
    2. 原子力プロジェクトに
      伴う費用と期間とは
      大掛かりなもので、
      風力や太陽エネルギーと
      いった代替エネルギー源
      と比べ非効率なソリュー
      ションでしかない。
  3. 国家の安全保障にとっての脅威:
    1. 危険な核物質や技術の
      輸出につながり、核兵器
      の拡散を加速させて
      しまう。

      そもそも、核技術や核物質のproliferation risksは、本「やかんをのせたら~~」が今まで延々と説明してきた問題系です。

    2. アメリカの核施設を外国
      <の団体など> が所有
      する可能性をもたらし、
      アメリカの国家安全保障
      上のリスクになりえる。
    3. 原子力規制委員会
      (Nuclear Regulatory
      Commission、NRC)の
      役割を、規制ではなく
      核発電の推進に切り替え
      てしまう。<規制当局の
      はずである機関が実は
      推進機関であると>
      法規制がおざなりになり
      安全上の欠点が生じて
      しまうことは、福島第一
      の事故でも証明済みだ。
      そうなってしまうリスク
      を、今回の法案は増大
      させてしまう。
  4. 放射線被害者に対する不当な
    扱い:

    1. アメリカ下院は、
      放射線被ばく賠償法
      (Radiation Exposure
      Compensation Act、
      3853)の改正を行っ
      ておらず、放射線被害に
      対する補償を拒否して
      いる。

      アメリカは過去に幾度も核実験を実施、当然そこからの放射線に捕縛した方々も多数いらっしゃったわけです。そうした被害者への補償が ・・・

    2. ADVANCE 法案が成立
      すれば、放射線の放出と
      被ばくが増大、上述の
      不公正がさらに悪化する
      恐れがある。しかも、
      その不公正の増大には
      税金が投入されるのだ。

今回の法案は持続可能なエネルギーの
ソリューションに投下すべきリソースを
核発電に向かわせてしまうだけでなく、
環境・経済・安全保障の各面でのリスク
を深刻に悪化させてしまいかねない。

NIRS がも述べているように、この
ような危険で誤った方針を法律と
して成立させてはならない。だが、
昨日 <6月19日> の法案通過を
受け、おそらく法律となってしまう
ことであろう。.

<原文ではここに、ホワイトハウス
への連絡の取り方>

<原文では最後に、下記の各種関連
文献へのリンクもあります。英語の
文献を読みたい方は、どうぞ>

Dr. Edwin Lyman, Nuclear Power Safety
Director at Union of Concerned Scientists,
issued a strong statement opposing the
ADVANCE Act
, prior to its U.S. Senate
passage. Dr. Lyman won an Alliance for
Nuclear Accountability (ANA)
 award,
during ANA’s annual “D.C. Days,” on
May 21, 2024.

Dave Kraft, executive director of Nuclear
Energy Information Service of Chicago
,
also issued a strong statement opposing
the ADVANCE Act
, after its passage.
Dave won Beyond Nuclear’s Dr. Judith H
Johnsrud “Unsung Hero” Award
, also
during ANA’s “D.C. Days,” in 2017.
*******************************

こんな法律は廃止しましょう!

アメリカのこの悪しき新法を撤廃
させるためには、アメリカ国内の
Beyond NuclearやNIRSなどの反核団体
の努力は無論ですが、アメリカ以外の
反核諸団体も彼らと協力する必要があり
ましょう。
その結果、この悪しき新法が廃止になれ
ば、世界的にも影響を及ぼすはずですの
で、アメリカ以外の反核運動にも好影響
が出るはずです。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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