Bulletin of the Atomic Scientists
Why Iran may accelerate its nuclear
program, and Israel may be tempted to
attack it
(イランが核開発を加速する恐れがあり
得る理由。そしてイランの核施設を
イスラエルが)
Darya Dolzikova (ロンドンのRoyal
United Services Instituteで核拡散と
核政策を担当する研究フェロー) 記者
Matthew Savill (ロンドンのRoyal United
Services Instituteで軍事科学担当
ディレクター) 記者
2024年4月26日
もうかなり昔から言い古されてきた問題
ですが、
イランの核開発が進展 → イスラエルが
それを爆撃などで破壊 (実際に、過去の
実例アリ: 上の黒いメニューでページ
c-1) や c-2) を参照)→ そのため放射性
物質が飛び散り、仮にホルムズ海峡の
タンカー通行が不能になったら ・・・
そうでなくてもノタウチ回っている
日本経済は、おそらくもう二度と立ち
上がれなく ~~
(2024年8月12日追記
このホルムズ海峡云々のくだり、
極端なことをわめいているように
聞こえるかも。でも、たとえば
下のリンク先にある石川和男さん
の論考もご覧くださいな。
既存原発の再稼働に関しては、私とは
意見が明確に異なりますが。私は、
既存原発の再稼働ではなく再生可能
エネルギーを進めるべきだと考えます。
日本は平和ボケ、ホルムズ海峡封鎖への危機感がない!イスラエルへの報復、イランを「やるやる詐欺」とみる大問題 (msn.com) )
このイランの核を巡るイスラエルによる
攻撃の危険性、もっと真剣に憂慮すべき
問題ですが、日本語メディアにはあまり
登場していませんよね。そこで英語圏の
インターネットを探してみると、この
Bulletin of Atomic Scientistsにある記事
を見つけました。今から3か月ほど前の
ものですが、緊迫した状況そのものは、
変わってはおりません。
危険な事態にならぬよう祈りつつ、
このお二人による考察を読んで
いきましょう。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
**************************
この4月19日、イスラエル軍がイラン
国内の深部、イスファハンという都市の
近郊に攻撃を加えた。これは明らかに、
その数日前に行われたイランからの
ドローンとミサイルによるイスラエル
への大掛かりな攻撃に対する報復だ。
両国間のこの攻撃の応酬のため、この
地域で深刻な軍事衝突へのエスカレー
ションが起きてしまうのではという
憂慮が高まっている。両国はお互いの
領土への攻撃を、今までは避けてきた
のだが。
イスラエルからの攻撃は、イスファハン
核技術センターのそばにあるイラン軍の
施設に対してなされた。このセンター
には研究用の原子炉やウラニウムの転換
工場、核燃料製造工場などの各種施設が
ある。今回の攻撃はイランの核施設を
直接に狙ったものではなかったが、これ
までの報道によればイスラエルはそう
した直接攻撃をも検討に入れていた
そうだ。これに対しイラン指導層は、
もし核施設が攻撃を受けるなら核政策の
再検討を始め、核プログラムを加速する
ぞとの脅迫を始めた。
こうした出来事からは、イランの核能力
が <核兵器製造への> 閾値にまで
達してしまっており、そのためこの地域
で軍事衝突がエスカレートしてしまうと
いう脅威が浮かび上がる。そのため
ある種の抑止効果が得られているとの
認識をイランは有している。少なくて
も、アメリカが直接に報復攻撃を仕掛け
てくることはない、という認識だ。
その一方、イスラエルからの攻撃に
とっては「おいしそうな」標的になって
いることは、理解しやすい。今回の相互
直接攻撃により、これまでは代理武装
組織による衝突であったものが、相手の
領土への直接攻撃がなされたことで緊張
の在り方に変容が生じ、イランの核と
いう問題に対するタイムリーで非軍事的
なソリューションを見つけることが
焦眉の急となっている。
攻撃したくなる標的 現在の分析に
よれば、イランは今のところまだ核兵器
を保有してはいないのだが、同国は
高度な核プログラムを維持しており、
核兵器を製造するという決断さえすれ
ば、比較的短期間で核兵器を開発する
能力を有している。だがイランには
「もうすぐ核兵器」という核兵器開発に
近い能力が既にあるのだが、それでも
イスラエルによる先日の攻撃を抑止
できはしなかった。イランの核プロ
グラムは <イスラエルからの>
攻撃にとっては「食指の伸びる」標的で
あり、そうした攻撃によりこの地域の
安定が脅かされる恐れがある。イランの
核開発プログラムはかなり高度で、
短期間で核兵器を製造できるだけの
リスクが現実に存在している。しかも
現段階では、大幅に後退させることも
可能だ。もっとも、それに伴うコストは
かなりのものになろうが。
イランはその核プログラムを、アメリカ
によるイラン領土への直接の攻撃や侵略
を抑える抑止手段と捉えている。2003
年の <英米による> イラク侵攻に
見られるような西側からの誤った非難に
基づく攻撃を防ぐための保険政策と
なっていると、見なしているのだ。
つまり、もしそうした侵略をイランが
受けるなら、イランは短期間で核兵器を
製造できるというわけだ。その能力の
おかげで、イランの指導層はこの地域の
不安定化をもたらしえる活動に従事
できている。イラン領土への報復行為が
ある可能性は <核プログラムという
脅威のおかげで> 小さい (と見ら
れる) ためだ。イランはこの4月13日
にイスラエルに対し攻撃を実施したのだ
が、それに対する報復活動にアメリカは
参加しなかった。そこにはいくつもの
要因があったろうが、戦闘がエスカ
レートして核プログラムによる核兵器
製造を加速するのでは、という懸念が
そうした要因の1つであった可能性は
ある。
イスラエルはイランの核プログラムを、
イスラエルの存続を脅かすものと捉え
ており、このプログラムの廃止を長年
求めている。そのため、今回のイラン
からの攻撃への報復としてイスラエル
がイランの核施設を標的とするかも
しれない、との噂が流れたのだが、
驚く人はほぼいなかった。実際にイスラ
エルはイランの核施設に近い軍事施設を
今回攻撃しており、さらにイランが核
施設を保護するために配備している防空
システムにも攻撃を加えている。
こうした事実は、正確な計算の結果で
あるように見える。つまり、イラン国内
の深部にある厳重に防御された核施設で
あっても、イスラエルは攻撃可能だぞ、
ということを示すための計算であった、
というわけだ。一部のコメンテーター
たちの推測では、これからもイランの
核施設への攻撃を行う必要があるの
では、との見解もある。
この文脈において、両国間の衝突が
エスカレートした場合、イランの核施設
は今後もイスラエルにとっては食指の
伸びる標的であり続けることだろう。
さらに、今回のイランによる攻撃では
イスラエル領土に対し2つの主な攻撃
があったのだが、イスラエルは未申告
の核兵器製造能力を有している。その
核能力は今回、抑止力としては機能し
なかったと、イスラエルは結論付ける
可能性がある。昨年の10月7日には
ハマスによる対イスラエル攻撃があり、
今年の4月13日にはイランによる攻撃
があった。おそらくはこうした攻撃の
ため、イスラエルは戦略的な脆弱性を
さらに強く感じた恐れがある。
もっとも、イランからのドローンと
ミサイルによる攻撃のほとんどを防空
システムで撃墜できたので、この
脆弱性認識はある程度緩和されたの
ではないか。
伝統的にイスラエルは、イランの
核プログラムに攻撃を加える場合には、
その破壊程度に制限を加えてきた。
つまり、サイバー攻撃や科学者の暗殺、
各施設での爆弾攻撃といった形態だ。
この戦略によってイスラエルは幾度も
イランの核開発の時計を巻き戻し、
しかも <イスラエルの仕業という
ことを> 否定できる余地を残し
ながら、軍事衝突へのエスカレーション
を回避できた。つまり、両国が「影の
戦争」を展開するうえでのルールを、
そうやって守ってきたのだ。だが今や、
両国はお互いの領土内を直接に攻撃して
しまった。そうなった今、イスラエルは
イランの核施設を直接に攻撃できる機会
ができたと見ている可能性もあり、
さらにはそうすべきだと考えて
いる恐れもある。
誤った選択肢の連続 イランがそ
の核施設で核兵器を製造し、イスラ
エルがそれを叩くという危険性が
現実化した場合、対立は劇的に悪化し、
この地域全体を巻き込んだ戦闘へと
発展してしまう危険すらある。
イランの核施設に対する攻撃をイスラ
エルが準備しているとイランが予想
した場合、イスラエルによる大きな攻撃
や妨害を受ける前に核兵器を早く製造
しようとイランが踏み切る可能性が
ある。イランが核兵器製造を急ぐことに
した場合、それに対しイスラエルは
イランの核兵器保有を防止するため
イスラエルはイランの核施設を攻撃する
ことになる恐れがある。このタイム
ラインはイスラエルに有利なもので、
イランにとってはリスクがある。
イスラエルは数日ないしは2-3週間と
いう短期間で攻撃を開始できるのに
対し、イランが核兵器製造を決断しても、
使える核兵器を手にできるまでには
数か月から1年をおそらくは要するで
あろう。もっとも、推定であり
不確かさはつきまとうが。とはいえ
イランの核開発プログラムは既にかなり
進んでおり、IAEAあるいはイスラエル
の諜報機関がイランによる核兵器開発を
認識する前に、実使用可能な核兵器の
製造に向けて大きく歩を進める恐れも
ある。その場合、イスラエルは短期間で
<核施設に対する> 先制攻撃を行う
準備をせねばならなくなる。
またイスラエルがイランの核施設を
部分的に攻撃した場合でも、それへの
対応としてイラン政府が核兵器の製造を
決断するという可能性もある。イランの
核施設コンプレックスは分散されて配置
されているうえに主要施設は堅牢に防御
されていて、しかも核関連知識も
しっかりと出来過ぎていて、限定的な
軍事攻撃では破壊しつくすことができ
ない。ナタンズとフォルドウにある同国
のウラニウム濃縮施設では核兵器に必要
となる核分裂性物質を製造しているの
だが、フォルドウの施設は全体が地下に
あり、ナタンズも一部が地下にある。
しかも両者とも、防御が極めて堅牢だ。
遠心分離機の製造であれ、ウラニウムの
転換、さらにはまだ稼働に至っていない
ホナブ重水型原子炉ですら、イスラエル
からの攻撃を受けて損害を被るならば、
確かにイランの核開発プログラムは
後退することにはなろうが、結局は
イランはウラニウム濃縮能力を伸ばして
しまうだろう。当然、兵器グレードの
ウラニウム(U-235の濃度が90%以上)
の製造にも近づいてしまう。核技術を
核兵器に転用しようとイランが目下作業
を進めているかというなら、アメリカの
諜報機関コミュニティも現時点では
まだだと推定している。だがイランが
そうした作業を進めているとすれば、
非公開の各地に分散されている施設で
行われているはずで、それらを軍事
標的として特定するのは極めて困難だ。
イランの核プログラムに対し今までに
イスラエルが行った破壊活動を見ると、
破壊活動の後でイランは損傷を受けた
施設を再建し、その堅牢性を高め、
核関連活動をさらに加速化して、
加速化してきているのだ。これが
核施設への直接攻撃ということになっ
ても要は攻撃が激しくなるだけのこと
であろう。イラン対イスラエルの闘争が
代理組織による紛争から直接の衝突へ
と変質するなら、イランはその核開発を
一層大切にすることになろう。自国領土
に対する直接的なさらなる攻撃や
アメリカの軍事介入を予防する抑止と
して核が機能できる、というわけだ。
イランの見方としては、各地の代理組織
やミサイルとドローンだけでは、戦略的
に重要な核開発プログラムにイスラエル
が直接の攻撃を実施することを抑止でき
なかったことになる。イラン政権の安全
を確保するために残されている唯一の
選択肢は実際に核兵器を作ることだと、
イラン政府が認識する恐れもある。
悩ましい問題なのだが、イランの核以外
の資産に対するイスラエルからの攻撃が
あっても、イランの指導層が同じような
結論を下してしまう危険性がある。
これについては他の論考で他の著者たち
も論じていたが、<2023年の> 10月
7日にハマスがイスラエルを攻撃したの
だが、その際にこの地域でイランが自ら
の資産に対する攻撃を抑止するという
点、また <同地域では> 不安定性が
続いていることを利用してイランに
とっての安全保障上の優先課題を推し
進めるという点において、イランには
弱点があることが明らかになった。
そうした弱点のゆえに、イラン指導層は
核開発プログラムの戦略的価値をさらに
大きく認識している可能性もある。
イランにはまだ核兵器をフルに備える
能力はないので、まずウラニウムを
核兵器グレードにまで濃縮することで
<上述のような脅威に> 対抗しようと
するかもしれない。 もちろん、兵器
グレードのウラニウムがあるだけでは
核兵器を製造できるわけではないが、
核兵器保有に向けた歩みの中での重大な
ステップであることには違いない。
さらに今後もイスラエルからの攻撃が
あった場合には、核不拡散条約
(Nuclear Non-Proliferation Treaty、
NPT) から脱退することで報復行動
とする危険性もある。この脱退に
続いて、イランはIAEAの査察官たちを
国外追放することだろう。イランはここ
数年、査察官の入国にかなりの制限を
加えてきているのだが、それでもIAEA
はイランの核開発プログラムの主要部分
のモニターと報告を続けている。NPT
からイランが脱退するという事態に
なれば、国際世界が核開発プログラム
の進捗を知る手段は、各国の諜報活動
や衛星画像のみとなってしまう。
そうした不確実性と、NPTの下での
核兵器製造能力を放棄するという約束
をイランが公式に撤回する危険性に
より、この地域の安定が深刻に脅か
される危険性もある。さらにイランが
NPTから脱退した場合には、この地域
での核兵器の拡散を推進してしまう
恐れもある。以前にサウディ アラビア
は、イランが核兵器を手に入れた場合
には、サウディも保有するとの脅しを
述べていた。
<上の黒いメニューでページ f-4) の
終わりの方を参照>
何もしないか、徹底してやるか
イスラエルがイランの核施設に対し
限定的な攻撃を実施したのでは、
かえって良くない結果を招きかねない
という懸念から、イスラエルは核プロ
グラムを可能な限り昔の段階へと戻す
ための大規模軍事作戦を検討する恐れ
がある。だがこの選択肢を実行した
場合、イラン対イスラエルという極め
て破壊的な全面戦戦争に至ることが、
ほぼ確実だ。しかも周辺諸国や
アメリカ、さらには他国までもがこの
紛争に巻き込まれる危険性さえある。
イランの核開発プログラムを軍事作戦
によって意味があるほど逆戻しさせ
たければ、
イラン領土内に広く分散されている
諸施設の多数を攻撃し、しかもイラン
(と場合によってはシリア)の防空
システムをも抑える必要が生じる。
そうした作戦を実施するにはさらに、
弾道ミサイルやその他の軍事施設
への攻撃も行う必要がある。
<イスラエルからの攻撃開始後>
すぐに使用する可能性があるからだ。
フォルドウやナタンズの地下施設への
攻撃では、岩床や強化コンクリートを
数十メートル突破してから施設内部で
爆発するような特殊な兵器が必要に
なる。既存の通常兵器の中で、こんな
ことを成し遂げられそうなのは
アメリカのGBU-57A/B Massive
Ordnance Penetrator(強力攻撃用
貫通爆弾)だけで、これは重量が
12トン以上、全長が6mを超える
代物で、B-2 Spiritのようなアメリカ
の爆撃機でなければ輸送できない)
こうした戦術的な問題に加え、これ
ほど多数の標的を攻撃するだけの
大規模な軍が必要であることから、
ほぼ自動的にイランの核施設への攻撃
を成功させるにはアメリカ軍による
大規模な協力が必要になると分かる
はずだ。たとえ、直接の関与ではなく
とも。こうした攻撃はイランの領土に
深刻な被害をもたらすのだが、それ
でもイランの核プログラムを全面的に
破壊できるとは限らない。
現在の動向をより楽観的に捉える
なら、イランとイスラエル両国は
イランの核施設に対する限定的ないし
は広範な攻撃のリスクと問題点とを
認識、対立のエスカレーションを防止
しようと努める可能性もある。両国の
指導層報復合戦を終わらせながらも
自国の勝利を主張できるような対応を
求めていくかもしれない。現実、今回
のイランによる領土内への攻撃に対し
ても、イスラエルの反応は限定的かつ
計算済みのもので、しかもイランも
イスラエルからの報復攻撃は大した
被害をもたらさなかったと主張して
いた。エスカレートさせないという
思惑が働いているように見受けられる。
そうした、エスカレーションを回避し
たいという願望は、イランに対する
いかなる攻撃にもあまり関与したがっ
ていないというアメリカの声明にも
明らかだ。
だが、アメリカの政治力学はあく
まで背後の要因だ。今年後半に
ドナルド トランプが大統領に再選
されるようであれば、イスラエルも
態度を硬化させる恐れがある。共和党
政権になれば、イランの核プログラム
に対するイスラエルの攻撃を支持する
傾向が強いうえに、トランプの周辺は
既に以前から、こうした攻撃を要請
してきているのだ。アメリカからの
支援があれば、イランの核プログラム
に決定的な損害をもたらすだけの
攻撃を加えるために必要な軍事的・
政治的な支援を得られた、イランが
核兵器開発を始める前に阻止できる、
とイスラエルが認識する可能性が
生じる。
エスカレートしてしまうリスクへの
対処 この春には <相互に相手の
領土内を攻撃するという> 出来事が
あり、それに対する報復活動がどの
ようなものとなれ、イランの核プロ
グラムの転換点となりそうだ。未完の、
あるいは失った抑止効果を維持あるい
は再構築しようとイランは目論むはず
だからだ。その一方で、核プログラムは
今後もイスラエルにとっては食指の
伸びる攻撃対象であり、エスカレー
ションを招きかねない要因である。
アメリカはイスラエルに対しある種の
圧力を維持しており、イスラエルによる
報復攻撃を適切な程度に留め核以外の
資産に対する攻撃に限定せよと、イスラ
エルに圧力をかけ続けることで、上述の
ようなリスクの大幅な軽減に貢献で
きる。またアメリカ政府は、イスラエル
から軍事攻撃を始めた場合、直接に
関与することはない、またイランとの
将来の衝突でイスラエルを支持するには
条件がある、という意志の明示を続ける
べきである。
だが、こうした計算ずくのアプローチと
いえど、イランの核プログラムという
長く続く問題に対しては、痛み止め程度
のものでしかないであろう。現在の状況
を冷静に見れば、抑止力というものと
不安定化を招く核の影響力とのあいだの
バランスがいかに微妙なものか分かる
はずだ。<まだ核兵器にまでは至って
いなくても> 兵器グレードのウラ
ニウムに近いレベルまでの濃縮を行った
だけで、ここまでの騒ぎになっている
のだ。こうした現実を見れば、イランの
核という問題に対する非軍事的な
ソリューションを交渉で見つけ出すこと
の不可避性そして緊急性がさらに明らか
になろう。確かに、核問題に関する交渉
を再開できそうな状況かといえば
<難交渉を経て2015年にはいったん
核合意が成立したわけですが、2018年
にトランプ政権が一方的に合意から離脱。
それ以降、再建交渉は続いているが
難航>、過去10年間と変わらず困難な
状況だ。そうであっても、再建交渉に
代わる各種選択肢と比べれば、はるかに
ましなのが交渉という選択肢なのだ。
つまり、現時点でイランが保有している
高度な核能力が、さらに新たなものに
代わってしまうというリスクを抱えた
まま、一種のギャンブルをする。
それが、交渉以外の選択肢なのだ。
つまり、実際に配備可能な核兵器を
イランが保有してしまえば、不安定性は
さらに強くなってしまうのだ。
***************************
「敵がヤバい兵器を作る前に、製造工場
をツブシてしまえ!」は確かに、
軍事面だけを考えるなら、あり得る選択
です。しかし、イラン全土に散らばる
核施設 ・・・ なんて場合には、全体を
破壊するのは困難です。やはり、何でも
かんでも武力でぶっ壊すというのは ~~