原発の軍事的リスク、さらにもう1種が現実化

Russia turns Zaporizhzhia NPP’s site into military base – Energoatom
(ロシアがザポリージャ原発の敷地を軍事基地に改造と、エネルゴアトム)

UKRINFORM
(ウクライナの放送用マルチメディア プラットフォーム)

ウクライナのUKRINFORMからの下記記事によると、原発の
抱える軍事面でのリスクのうち、新たなリスクが現実化して
しまっているようです。「占拠された原発が軍事基地に ”改造“ されて
しまう恐れがあり、そうなるとその基地には下手に手が出せない」
(原発目掛けて爆弾を落とすわけにいかない)
というリスクですね。
仮に本件がフェイクであったとしても (フェイクであってほしいですが!)。
この 「原発を占拠して、下手に攻撃できない軍事基地に変えてしまう」
というリスクは、いずれ将来現実化してしまう恐れがありますよね。

、今まで 「やかんをのせたら~~」 では、原発の軍事面での
リスクとして、次の3種類を取り上げました:
・ 核兵器の proliferation risks (拡散リスク)
・ 原発が巨大な dirty bomb になってしまうリスク
・ 原発の存在が、他国からの侵入を正当化する 「言いがかり」 に
されてしまうリスク
(「A国は、そのXX原発で核兵器用Pu を製造している可能性が
ある」 ⇒ それを言いがかりに、A国に侵攻、というリスク。2003年に
アメリカや英国がイラクに攻め込んだとき、2022年にロシアが
ウクライナに侵攻したとき、このリスクは現実化してしまった)

そして今や、ザポリージャにおいて上述の 「原発が、攻めづらい
軍事基地に改変されてしまうリスク」 が現実化してしまっております。

ではそのUKRINFORMからの記事を、私の日本語化で紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

英語原文を読める方は、ぜひ原文をお読みくださいな:
Russia turns Zaporizhzhia NPP’s site into military base – Energoatom (ukrinform.net)

***********************

2022年7月8日
ザポリージャ原発の現地を、ロシアが軍事基地に改変してしまい、
同原発のスタッフはロシア軍からのプレッシャーの下で任務をこなしている。

そう述べたのはウクライナのエネルゴアトム国営核発電公社の社長、
ペトロ コーティンで、Ukrinformの記者によれば、EnergoBusinessとの
インタビューでの発言である。

「<同原発の> スタッフは、今もロシア軍からのプレッシャーの下で
作業を続けており、同原発の現場には数百名の武装部隊がおり、
重火器も弾薬の備蓄も備わっている。この原発で起こっているすべての
ことに対して、IAEAは反対すべきであった。つまり、同原発内にロシア軍
部隊が立ち入ること、同原発の周囲の物理的防壁が破壊されたこと、
ウクライナによる同原発の管理が許可されていないこと、である。
<同原発の> スタッフは重いプレッシャーの下で勤務しており、
休むことも許可されていない。安全のための規則では、スタッフの休みは
義務付けられているのだが。食料も不足している。こうした現実は
いずれも、核や放射線の安全性規定への直接的な違反であり、IAEAは
それらすべてに対応すべきだったと、コーティンは語った。

コーティンによれば、同原発は予め作成された計画に沿って稼働している。

「たいていの場合、我々は 「予定ぎりぎりで」 動くことはしない。
コンポーネントも化学物質も予備の備蓄を準備しており、“追加の供給なし
でも” しばらく稼働を続けられる。無論、これがかけてはならないという
生命線はある。それをどう確保するか、あるいはそれらなしにどう稼働
できるのか、検討しているところだ」と、コーティンは述べた。


“Run! For your life!”
私の昔の作品、部分
・・・ (後略) ・・・

*************************
いうまでもなく、原発を敵軍に占拠され、そこからミサイル攻撃や
砲撃を敵軍が行っている場合、その原発を本来保有している国家は、
下手に手出しができませんよね。原発には、下手をするとそうした
厄介な敵基地に改変されてしまうリスクがあるわけですね。

日本で原発問題というと、いまだに反原発派の多くからは 「地震や
津波 ⇒ 原発事故 ⇒ 放射能こわい!」 といった判で押したような
反応が返ってきます。
原発事故を軽視しているわけじゃ、まったくありませんよ。ただ、
当然、原発推進勢力はアレコレ反論を打ち出してくるわけですよ。
たとえば:
・ 最近喧しい 「原発を再稼働しないと、電力が不足する」 という
主張 (⇔ 付録 w-6)、w-9) 参照)
・ 「原発を使わないと、CO2を削減できない」 という
主張 (⇔ 付録 w-1)、w-3)、w-8) 参照)
・ 「新型の小型炉なら、メルトダウンしません」 という
主張 (⇔ ページ s-0) からs-3) 参照)

我々反原発派も扱う問題系を広げ、組織化して、原発に伴う
各種リスクを広く世界に訴えましょうよ。
特に、今まで4種類紹介してきた軍事関連リスクは、いずれも
深刻なものなのに、日本の反原発団体などはあまり具体的に
アピールしてきませんでした。もっと情報発信をしっかり
させましょうよ!

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付録 w-9) をアップロード

付録 w-9) をアップロードしました。

本来の本ウェブサイトのフォーカスである核発電の軍事的側面からは、
大きく離れてしまうのですが、
・ 今年6月終わりの危険な暑さのなかで電力不足リスクがあり、
案の定、「原発を再稼働しないから、熱中症で人が死んでる!」
といった訳の分からない主張を、一部の政治家などがしている
・ それに関して、反原発団体などからの「真実の説明」が、
あまり聞こえてこない

という情けない現状ですので、暑さの中で 「何で、私がこんな事
書かないといけないの??」といぶかりながら記した付録です。

上の黒いメニューでは、項目は基本的にアルファベット順に
配列していますが、「付録」 はメニューの終わりに並べてございます。
メニューの終わりあたりにある付録 w-9) をクリック!

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ザポリージャ原発から、残虐事件

yahoo! news より

The occupiers tortured the diver of the Zaporizhzhia Nuclear Power Plant to death – the mayor of Enerhodar (yahoo.com)
(ザポリージャ原発で潜水士を占拠中のロシア軍が拷問、死なせたと、<ザポリージャ州> エネルホダル市長)

すぐ下の記事で、ザポリージャ原発のスタッフの状態が憂慮
されているとのREUTERSの報道を紹介しましたが、
Ukrayinska Pravdaというウクライナ語オンライン新聞による
7月4日付の記事をyahoo! newsが紹介しているものによれば、
どうも同原発では拷問・致死といった事態も発生しているようです。
そのyahoo! news 経由のUkrayinska Pravdaの記事を日本語化
して紹介しますね。
ウクライナ語 ⇒ 英語ときたものを、さらに日本語にリレー言語
転換するような結果になりますが。

Ukrayinska Pravda

2022年7月4日

KATERYNA TYSHCHENKO 記者、オリジナルは2022年7月3日

ザポリージャ原発 [ZNPP] の水系統施設で潜水士を務めるAndrii
Honcharukさんが同地を占拠中のロシア軍部隊による拷問を受け、
その後エネルホダル市で死亡した。

情報源: エネルホダル市長Dmytro Orlov氏、<SNSのTelegramに公表>

Orlov氏の発表からの引用: 「本日7月3日、ザポリージャ原発の
水系統施設で潜水士を務めるAndrii Honcharukさんが死亡した。

数日前、原発に勤務する経験豊富な専門的潜水士が、同原発を
占拠する部隊から、極度に残虐な拷問を受けた。同潜水士は
ザポリージャ原発の<温水冷却用> 噴水池に潜水するよう
要求された。彼が拒否したところ、人の姿をしたモンスターの
ような占拠部隊はHoncharukさんを拷問にかけた。

ディテール: Orlov市長によれば、Honcharukさんは多数の
けがを負い意識のない状態で、エネルホダルの病院に搬送された。
だが彼が受けた負傷は生命に係るもので、彼は意識を回復すること
なく日曜日に他界した。

背景:

  • Orlov市長によれば、同原発を占拠しているロシア軍部隊は
    同原発の従業員たち地下室に閉じ込め、何週間も拘束して
    いるという。
  • 占拠部隊はさらにカネのために人を拉致しており、釈放して
    ほしければ一人当たり50,000フリヴニア (およそ1,700米ドル) を
    支払えと要求している。

***************
ただならぬ内容ですね。
発電所という施設では、その発電所の現状に慣れたスタッフで
ないと実際には動かせない機械が多くあるものです。そのスタッフを
閉じ込めたり殺害しているって ・・・
ザポリージャ原発を暴走でもさせたいのでしょうか???
さらにザポリージャ原発の latest newsを追いかけ、随時日本語化
紹介してまいりますね。

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ザポリージャ原子炉のスタッフ、窮地に

REUTERS, 2022/06/24

少し遅くなりましたが、ザポリージャ原発で心配な事態が発生、IAEAも現状を確認したいと明確な懸念を表明しているそうです。
日本語のメディアでは、この報道をあまり見かけませんね。なんで??

そこで、REUTERSによる報道
IAEA voices concern for staff at Ukrainian nuclear plant, demands access (msn.com)
から、
IAEA voice concern for staff at Ukrainian nuclear plant, demands access
(IAEA、ザポリージャ原子炉のスタッフに関し懸念を表明、現場視察を要求)
という2022年6月24日付の記事を日本語化して紹介しますね。
例によって、< > 内は私からの補足説明です。

*************
ウィーン発、Reuters  – 国連の核監視機関 <であるIAEA> は、
ウクライナにありロシア軍が占拠中であるザポリージャ原発の
スタッフの状態について、懸念を増大させている。同原発は
ヨーロッパでは最大の原発。IAEAが金曜日 <6月24日> に
発表したところでは、すぐにでも現場視察が必要だとしている。


「ああ、もう ・・・・」
私のデッサン練習

ザポリージャ原発ではウクライナのスタッフがロシア軍部隊の
命令の下で原発稼働に務めているが、IAEAはこの数か月間、
これでは安全上のリスクが高く、使節団を同原発に派遣したい
としてきた。

「IAEAでは各種メディアその他による最近の報道を認識して
おり、ウクライナ最大の同原発でのスタッフの状況悪化を示す
兆候を見聞きしている」 と、ウィーンに本拠を置く国連機関
IAEAによる声明は述べている。

さらに同声明によれば、「同原発スタッフの直面している状況の
困難が激化しつつあり、IAEAでは憂慮を募らせている ・・・
できるだけ早急にIAEA施設が現地に赴き、本件も含めた各種の
緊急事態に対応する必要がある」

そうした各種緊急事態の1つとして、IAEAの査察官が検証作業を
行う必要があり、それには同原発にある 「大量の」 放射性物質の
検査も含む。

そうした放射性物質に関するデータをIAEA本部へと沿革送信する
伝送は今月回復したのだが、物理的なストック確認は査察官が
現場で行わねばならず、そのための期限も 「所定の日時を過ぎて
はならない」 とIAEAは述べたが、それ以上の詳細な説明はない。

同原発には6基の原子炉があるが、そのうち2基では最近核燃料の
交換を行った。そうした場合には、稼働再開の前に燃料の検査が
必須だと、IAEAは述べている。しかも現在、この2基の原子炉は
稼働してしまっている。

「この大型原発でのこうした現状は、擁護のしようもないものだ。
我々が得た情報によれば、同原発の現場は武装したロシア軍部隊が
制圧しており、ウクライナ側のスタッフは極度にストレスの強い
環境下で原発を稼働させている」 と、IAEAのラファエル グロッシ
事務総長は声明で述べている。

「最近見聞きしている報道は実に憂慮を深めるもので、
同原発のスタッフの状態についての心配を募らせている」

(Francois Murphy記者、Mark Heinrich編集者)
***********************

なんやら我々のほとんどが心配してきたとおりの展開に
なっちゃってます!
重大な危機が発生しないうちに、ロシア軍がこの原発から
撤退することを祈っています!
それと、原発というのは戦時に占拠された場合、いかに
厄介なものか、日本社会でも全世界でも広く認識して
もらいたいです!
なんせ、IAEAによる交換後燃料の検査すらすっ飛ばして
稼働を始めちゃってるとは ・・・
ご存じのとおり、IAEAの査察などをすっ飛ばすように
なると、兵器製造に転用されてしまうのを止めようが
なくなってしまいます。(北朝鮮も、その実例でしたよね)

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韓国の方向転換、後半

Can Nuclear Energy Power South Korea’s Future? – The Diplomat
にあるEunwoo Lee記者による記事、後半を紹介します。

2022年6月25日付の記事、私による日本語化です。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

この暑いのに、こんなもん読むのは~~ 私の20分クロッキー

この暑いのに、こんなもん読むのは~~
私の20分クロッキー

******************
後半

こうした期待が高まってはいるが、ユーンにとってもその
推し進める核発電産業にとっても、道行は険しい。直ちに
問題になるのは、使用済み核燃料の処理・処分をする場所を
見つける、という問題だ。原子炉内部ではウラニウムが
核分裂のプロセスを起こし、その核分裂のエネルギーを
電力に変換する。その際の副産物の一部や残余ウラニウムは、
高レベル放射性廃棄物となる。これは煉獄のような灼熱と
物体を透過してしまう強烈な放射線を発するので、放射性
物質による汚染を防止するため、高度な取り扱いと防御が
必要になる。

だが韓国の通商産業エネルギー省 (MOTIE) によれば、
韓国内の原発では今のところ使用済み核燃料を原発敷地内の
一時保管施設に保管しており、これは今まで処分場に適切な
場所を幾度も探してきたのだが、見つかっていないためだ。
2031年から、各原子炉にある一時保管施設は容量が満杯に
なっていく。ユーン政権がどこかの市町村の説得に成功、
核ゴミ処分場のホスト市町村になってもらえたと仮定しても、
乗り越えねばならないハードルはさらにある。同省の報告書を
さらに見ると、当局も原発敷地内の一時保管施設の経験しか
なく、核ゴミの輸送や保管、処理技術、技術者の増員といった
ニーズが焦眉の急だ。

だが政府機関が恒久処分施設をどこに設けることにしようと、
結局は失敗に終わってきた。これは、当該地区の住民からの
抗議 (しかも場合によっては、それは暴動に近づいた) 、
あるいは環境検査の結果 <不適切性が明らかになった> ためだ。
そんな事情で過去に韓国政府は19年を費やし、韓国唯一の
保管施設をギョンジュ (慶州) 近くに設けようとした。
これは <最終ではなく> 中間保管施設で、しかも低・中
レベルの核ゴミしか扱わないものだったのだが。核発電産業は
高レベル核ゴミの処分場も必要としており、高レベル処理施設
建設となれば、反対はさらに熾烈化するはずだ。MOTIE の
推定では、恒久的な高レベル核ゴミの処分施設を建設し稼働を
開始するまでには、最大で37年を要するという。それよりも
かなり前に、韓国の原発は現場保管の核ゴミの山に埋もれてしまう。

ただよぃ、うずもれる ・・・ 私の20分クロッキー2つ

ただよぃ、うずもれる ・・・
私の20分クロッキー2つ

 

同時に、韓国は領土面積が小さく人口密度は高いため、事故が
発生した場合に対する市民の認識が厳しいだけでなく、実際の
事故の招く結果も深刻なものになるはずだ。韓国の領土は東西
方向では平均で300㎞ほどで、技術的にはどの程度の放射性
物質を巻き込んだ災害でも、全人口に影響がある。さらに、
4つの近くプレートが重なる地点のそばにあるため、韓国では
毎年70回ほどの地震がある。

このように地理的な制約と市民の核プロジェクトへの嫌悪が
あるため、韓国政府は韓半島の南東端に原子炉を集めて
設置するしかなかった。この地域は既に面積当たりの原発密度が
世界最大になっており、原発のメルトダウンなどの発生確率も高い。
この地域ではすでに2度にわたり大規模な地震を経験しているが、
いずれも幸運にも原発のそばではなかった。

3月には発電と送電を制御するハヌルの送電開閉所のそばで
山火事が発生、送電線の一部が機能できなくなった。ブラック
アウトをかろうじて逃れられたのだが、地元の消防車の大半を
原発に向かわせたためであった。山や民間住居を犠牲にしての
ことであった。この山火事の惨状は全国にTV放映され、
核エネルギー産業の社会イメージは損なわれた。気候変動に
伴い山火事や嵐は今後増えるものと見られ、しかも既存原発の
大半は東部海岸線に迫る山がちの地域に立っているため、
次の福島第一型惨事は韓国で起きるのでは、との心配も聞こえる。

2011年の福島第一原発大惨事では、大地震のため送電線が
壊れ、それに続いた津波でバックアップ用の発電装置も洪水に
吞まれた。被災した3基の原子炉を冷やせるだけの電力が
なくなり、炉心のメルトダウンに至った。未だに、実際の損害が
どこまでひどかったのかは解明されていない。この大惨事のため、
その当時には世界中で原発反対の論調が高まり、しかも韓国では
自然災害の激化にも見舞われていた。そのため、韓国政府による
核エネルギーへの取り組みに反対する人口が増えることは、
容易にありえた。

大事故が起きる前に、叩いとかなきゃ ・・・

大事故が起きる前に、叩いとかなきゃ ・・・       私の20分クロッキー

 

国内からは、その他の問題も出てきた。核エネルギー業界では
いまだに透明性の欠如や汚職、ゆすり・たかりが横行しており、
安全性に疑念を抱かざるを得ない。一例として韓半島東部の
海岸地帯にある町ウルジンには、8基の原発がある。そこで発生した
事故件数は、1988年から今までに100件前後に達する。地元市民の
監視団体が放射線量の急増を検知して抗議したが、当局は以前には
チョルノービからの放射性物質の影響だとして真剣に取り合わ
なかった。2013年にはある技術者が構造上の欠陥をピンポイントで
指摘、この欠陥のためハヌル原発の蒸気発電機の稼働寿命が本来の
半分になってしまった。 だが稼働担当の企業はその技術者に対し、
誤った問題指摘をしたと訴訟を起こした。当の欠陥は、今もそのままだ。

また国内のサプライヤー各社は安全証明書を捏造、まがい物や
質の劣るコンポーネントを取り付けている。<原発に絡む大金には>
政府役人たちも 「たかって」 いる。現金を受け取る代わりに、
<不正行為を> 頻繁に見逃したり、場合によっては契約書に
定めてあるはずのパーツをサプライヤーが無視することを
許容したりしている。個別のパフォーマンス試験は経費が
かさむのでめったに実施されず、災害が発生するまで誰も問題を
指摘しないため、こうした癒着がまかり通ってきた。

核エネルギー業界で50年ほどの実績を有し、核安全委員会
(Nuclear Safety and Security Commission) の委員でもある
Lee Byeong-ryeong 博士の話によれば、韓国核エネルギー産業の
病巣の根底にあるのは 「核マフィア」 だ。 韓国水力原子力社
(KEPCO)、韓国核安全研究所 (Korea Institute of Nuclear Safety)、
そして最高権威である核安全委員会 の周囲に形成された少人数の
集団で、緩すぎる法規制を適用するとともに核エネルギー関連の
研究ならびに政策策定を独占してしまっている。

ユーンが韓国の核エネルギーの未来を安全なものにしたいので
あれば、「核マフィア」から廃棄物処分まで、克服せねば
ならない問題があふれている。
***************

ああこまった~~ 私の20分クロッキー

ああこまった~~
私の20分クロッキー

やれやれ、決して韓国に限った問題なんかじゃなくて、日本の現状も酷似してますよね。
「平和利用」 などとお題目を唱えたところで、しょせん核エネルギーはもともとが大量破壊兵器の技術、原子炉は原爆製造のための設備です。そして、近代社会では国防に巨額のカネが動きます。当然、カネ目当ての有象無象が集まり、法規の改悪、贈収賄、隠ぺい ・・・ろくでもない事項がリストアップされる結果になります。

韓国の軍事戦略との関連も何かあると思うのですが、それは今後
調べていきますね。
何か見つけ次第、このウェブサイトで紹介してまいりますね。

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韓国の方向転換

The Diplomat の記事より
(もとは隔月刊の印刷ニュース媒体で、オーストラリアで発行。
2009年にオンライン雑誌に移行、現在はワシントン DCに本拠)

日本語メディアでも報道されているように、韓国の新政権は
Nuclear Renaissanceないしは “Nuclear Reconquista“ とでも
呼びたくなる核発電方針に転向したようです。
すでにUAEには韓国製の原発がありますが、それを今後、
世界に広めていく所存のようですね。

そうなるとすぐに、日本の反原発派の皆様からは、「韓国の
原発で事故があったら、風向き次第で日本にも放射性物質が
飛んでくるんじゃないの!?」、「東海 (日本海) の魚は、
食べて大丈夫??」 といった反応がありそうですよね。
無論、それらも深刻な問題ではあります。
でも、私がまず気にしているのは北朝鮮の核兵器との関連ですね。
北朝鮮は既に核兵器を保有 → 韓国も、対抗できる核技術を
保持し続けねば → 当然、核発電をやめるわけにはいかない、
前任の文政権の脱原発政策は愚かだ
という因果関係が実はあるのであれば、北朝鮮の核兵器を
なくさない限り、韓国の原発もなくなることはない、
という結果になってしまいます。

しかしまずは、韓国の核発電の今後全般に関する論考を
読んでみましょう。
The Diplomatの2022年6月25日付の記事で、Eunwoo Lee
記者によるものです。
長い記事なので、2回に分けて私の抜粋・日本語化で紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

原文は、
Can Nuclear Energy Power South Korea’s Future? – The Diplomat
にありますので、読める方は元記事をお読みくださいな。
では今日は記事の前半を。

Disco People
さわげ、さわげ ・・・
“Disco People”
かなり昔の、私の作品

***********************
韓国の未来は、核エネルギーで大丈夫か?

<韓国の新大統領である> ユーン大統領は韓国の未来の
原動力として核エネルギーを活用、炭素排出の+/― ゼロを
目指すとともに、国際的に <核発電先進国としての> 地位を
固める狙いだ。だが、その行く手は険しい。

<spanitemprop=”name” style=”box-sizing: border-box;”>Eunwoo Lee

2022年6月25日

韓国の核エネルギーの歴史は、汚点に溢れている。ジェンダー間の
公正や住宅供給、コロナ対策などと並んで、原発推進にはデリケートな
一触即発の問題が絡んでいる。保守派の70%以上が核エネルギーの
拡大を好んでいるのに対して、進歩派の約70%は反対している。
実際、ある有名な世論調査では回答者の核エネルギー利用に対する
姿勢を、その回答者の政治的・イデオロギー的な傾向を判断する
ためのバロメーターの1つに採用しているほどだ。

保守派は核エネルギーを自国の技術的能力を世界に示す
旗印のように受け止めている。輸出増進や手早い炭素中立性の
実現手段だと見ているのだ。李明博前大統領は核技術を
「我が国の、将来の飯のたね」 であると持ち上げ、2009年には
UAEに原子炉4基を建設する契約を締結した。当時、同前大統領は
2030年までに原子炉80基を輸出しようと目論んでいた。

それに対し進歩派は、核発電の問題点に目を向ける。環境関連での
実績のまずさ、安全性に係る詐称、金に係る闇の動きなどが韓国の
核産業には長年付きまとってきている。文在寅前大統領は2017年に
選出されたリベラル派で、彼の政権の代表的政策である原発フェーズ
アウトを開始していた。

就任直後に文は進行中であったコリ原発の拡張工事を注視させた。
これは、韓国最大の各コンプレックスだが、のちに民事陪審団の
決定に則り2か所の発電所の工事再開を余儀なくされた。それでも
文は、韓国第2位の原発であるハヌル原発への原子炉2基の新設を
なしにした。文政権下ではコリ第1原発は既に40年間稼働した後に、
遅まきながら廃炉が決まった。ウォルセン第1は予定より早く閉鎖
された。文前大統領の5年間の政権下で、電力供給の原発依存率は
ほぼ30%から26.5%にまで低下した。この傾向が続けば、2050年
にはこの依存率は6%にまで低下する見込みであった。

せっかく、喜んでいたのに~~ 私の20分クロッキー

せっかく、喜んでいたのに~~
私の20分クロッキー

だが今や、5月に文を継いだユーン スク イェル新大統領の下で、
原発業界では楽観論が溢れている。ユーンは韓国を、「原子炉
超大国」 にすると公約しているのだ。ユーンが提示している
エネルギー計画では、シン ハムル原発を拡張するとともに、
18の原発の稼働期間を延長する。これらすべてが計画通りに
進めば、2030年までに核発電は韓国の総エネルギー消費の最大
35%を占めることになる。ユーンの期待では、こうした原発依存の
段階的な拡大によって、現在の韓国が総エネルギー消費の約2/3を
化石燃料に頼っているという化石燃料依存を軽減できるはずだ。
2050年までに炭素中立性を達成するという課題に役立つ以外にも、
ユーンのエネルギー政策の裏には石油価格の過激な変動や天然ガス
供給の中断、それらに伴って必要とされるエネルギー自給の実現と
いった要因がある。

ユーンは、国外市場にも狙いを付けている。韓国の通商産業
エネルギー省 (MOTIE)は近日、「核輸出財団設立プロジェクト」 を
発足する計画で、これは核エネルギー関連の会議や展示会への資金
拠出や輸出手続きの迅速化などを担当する。同省ではさらに狙いを絞り、
官民協働の 「準備タスク フォース」 を設立して韓国独自のパッケージを
まとめ、国外の原発市場を捉えるつもりだ。

今年5月終わり、アメリカのジョー バイデン大統領とユーンは、
「核エネルギーでの協力を拡大し、共同で輸出プロモーションや発電容量
拡大のためのツールを活用、先端原子炉や小型モジュール式原子炉の開発
そして世界への導入を加速していく」 旨の取り組みを確認した。ユーンは
東アジア地域のライバル諸国に対して強い姿勢を保ち、韓国を 「世界の
主要国」 に仕立てていくことを願っているが、その重要な要素の1つが
核エネルギーである。特にユーンはアメリカ主導の 「小型モジュール式
原子炉技術の責任ある使用のための基盤インフラストラクチャー」
(Foundational Infrastructure for Responsible Use of Small Modular
Reactor Technology) というプログラムならびに「インド太平洋繁栄枠組み」
(Indo-Pacific Framework for Prosperity) にも参加している。後者は、
同盟諸国の間でのサプライ チェーンの確保をさらに強化するためのものだ。
両者は基本的には、中国、ロシア、北朝鮮を封じ込めまたそれらと競い合う
ためのものだ。これら3国はいずれも、核技術にただならぬ関心を抱いている。

ああ、予想通りでがっかり~~ 私の10分クロッキーより

ああ、予想通りでがっかり~~
私の10分クロッキーより

韓国の核産業はこうした最近の動きを歓迎、伸び悩む同業界にとっての
「ルネッサンス」 を招くものだとしている。ロシアのウクライナ侵略に
伴いヨーロッパはエネルギーの希少化に悩み、ロシアからの天然ガスに
変わるエネルギー源を探している。核産業の専門家たちによれば、韓国と
アメリカの協力により韓国はヨーロッパ市場への足場を固めることになろう。
韓国水力原子力社 (Korea Hydro & Nuclear Power、KEPCO) のトップが
6月中旬にフィンランドを訪問、同国がロシアからのエネルギー源依存を
やめエネルギー総生産量のうち原発の比率を34%から60%へと押し上げる
よう努める中、韓国製原子炉を採用するよう説得に努めた。
ユーン政権はさらに、サウディ アラビアも引き付けようと努めている。
同国は、外国製の原子炉に関心を抱いてきているのだ。一方で
UAEは韓国製のバラカー原発を 「UAEをクリーン エネルギーの
主要生産国へと押し上げてくれた、必要不可欠なプロジェクト」
だと称賛している。これも、韓国核発電業界の威信を高揚させて
いる要因だ。

********************
まあ、予想通りの展開になっているようですね。
問題点については、後半で紹介されています。
お楽しみに。

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ロシア軍が核兵器を使う可能性について ・・・ The Moscow Timesより

The Moscow Timesより (5月17日の時点ですが)
ロシア軍が核兵器を使う可能性について

西側の報道では、「ロシアをあまり追い詰めると、核兵器を
使ってくる恐れがある」 といった主旨の発言が目立ちますが、
当の 「ロシア出身の」 メディアは、どう報じているのか?
ロシア国内の報道には政府による検閲やプレッシャーが
かかっているので、「ロシア出身の」 メディアがどういって
いるのか、以前から気になっていました。もっと早く見つけ
たかったのですが、MSR関連の調査などを優先したので、
今になってしまいました。

The Moscow Timesという、「モスクワ出身の」 報道機関です。
まず同社の概略を、英語版 Wikipedia より私が抜粋・日本語化します。
その後で、同紙による 「ロシアが核兵器を使う可能性」 に
関する記事を私による抜粋・日本語化で紹介します。

元記事がかなり長いので、覚悟してくださいね。

いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。

Something Wicked This Way Comes
Something wicked this way comes —
私の、かなり昔の作品より

英語版 Wikipedia より:
The Moscow Times – Wikipedia

The Moscow Times は、英語とロシア語による独立系の
オンライン新聞。1992年から2017年まではロシア国内で
印刷媒体として発行され、英語を使う観光客や元ロシア国籍で
あった読者が多いホテルやカフェ、大使館、航空機内などで
フリー ペイパーとして配布されていた。また、定期購読も
受け付けていた。モスクワ在住の外国籍の住民や英語を話す
ロシア市民の間で、同紙は人気を博した。2015年11月、同紙は
デザインを変更、日韓から週間に切り替わった。毎週木曜日
発行となり、ページ数が24ページに増えた。

2017 年7月に同紙はオンラインのみでの発行となり、2020年には
ロシア語での発行も始めた。さらに2022年、ロシアのウクライナ
侵略に次いで同国でメディアを誓約する法律が成立したことを受け、
本社をオランダのアムステルダムに移した。その後、ロシア国内では
同社のウェブサイトは非合法とされた。

・・・ (以下略) ・・・

***********************

Light Gazing
Light Gazing
闇の中で、見通しがきかない ・・・
私の昔の作品

では、そのThe Moscow Timesの記事を紹介しますね。

Pyotr Topychkanov記者 (SIPRIのシニア フェロー) による、
2022年5月17日付の記事です。
原文は
McDonald’s to Sell Russian Business, Ending 32-Year Presence – The Moscow Times
にありますので、ぜひ原文を読める方は原文をお読みください。

***********************
ロシア、核という選択肢を使うのか?
核兵器使用の可能性は小さいが、ありえないわけではない

ウクライナへの核攻撃という脅威については、各種メディアや
SNSで議論が喧しい。この脅威については、懐疑的に見るべき
理由もあれば、大いに心配すべき理由もある。

だが初めに、注意を促しておきたい2月24日に始まった戦闘は
今もウクライナで続いているが、核戦争へとエスカレートして
しまうとの思弁は建設的でなく、無責任である。

まず、国営の公式メディアであれ、その従業員であれ、専門家で
あれ、誰が公言したのかに関わらず、武装闘争にあっては核戦争
へのエスカレートという脅威を持ち出すと、防衛側やそのパートナー
諸国が思い切った手を植えてなくなってしまうので、攻撃国に
とって好都合な言説である。

核の脅威を口に出すと、防御側が戦意を失ってしまう危険性が、
常に存在する。

第2に、ロシアが核攻撃を仕掛ける可能性があるとの思弁は、
現実のデータに基づいたものではない。現実には、ロシアが
ウクライナ侵略で何を目指しているのか、公にされている
検証済みの情報はわずかしかない。さらに視野を広げると、
ロシアが西側と対立している意図や、ロシアがその目的を
実現する方法についても、そうした情報はわずかなのだ。

ウクライナへの侵略について、ロシア側からは正当化の口実が
アレコレと提示されている。そうした口実は多数あるので、
ロシアが軍事侵攻に踏み切った本当の理由がどれなのか、
それともまだ公表されていない理由が何かあるのか、見極める
のは難しい。

Dead End
Dead End
誰が決めてるの??
かなり昔の、私の作品

さらにロシア ウォッチャーたちがすぐに気づいたことだが、
ロシアでの意思決定のあり方が分からないのだ。最高司令官
一人の意志だけで、1国が核攻撃を始められるのか? それとも、
あくまで関係者たちの同意が必要なのか?大統領以外の誰かが
核という選択に対し断固として 「ノー」 と言えば、核攻撃
という選択肢は消えるのか?

現実をほとんど、あるいはまったく知らない政府高官たちが
さまざまなことを言っているが、それらは互いに食い違っている。
ロシアが核攻撃を始めるとも、始めないとも、どうやって
判断できるのか?

そうした疑問にいずれに関しても、公にされている情報では
明確な回答が得られないのだ。

そのため、現実を無視した判断ではいずれかの陣営を有利に
してしまうので、そうした判断は抜きにして、核の脅威論には
懐疑と警戒の両方をもって対応すべきであることを、本記事
では述べる。

ロシアは今も、ウクライナでの戦闘のことを <「戦争」とは
呼ばす> 「特別軍事作戦」 と呼んでいる。こういう扱いである
以上、国家総動員は除外されており、ロシア側の視点に立てば
核兵器を使用する法的根拠はない。ロシアにとってこれが特殊
作戦である限り、局地的な紛争でありその目的も限られたもので、
リスクも大きなものではない。

ウラディミール プーティン大統領もその大臣たちも、いわゆる
ドネツク人民共和国やルハンスク人民共和国、ならびに
ウクライナ国内のロシアが一時的に占拠している領土の併合に
ついては何も語っていない。したがってロシア軍やドネツク、
ルハンスクの部隊がウクライナ軍による反攻に対抗するとき、
ロシアのものではない領土を守っていることになる。
確かに、ロシアの与党である統一ロシア党の党首は最近
ケルソンで、「ロシアはいつまでも、ここを収める」 と述べた。
またウクライナ国内のロシア軍が占拠している地域では、
ロシアの通貨が流通している。ウラディミール プーティンが
考えを変え、占拠した地域やドネツク、ルハンスクを併合する
可能性はある。またウクライナそうした地域やクリミアの奪還に
努めれば、ロシアには自国領土の防衛のためという、核兵器使用の
正式な正当化ができる。だが現在までのところ、そうした発言も
行動も、政治面でも法的にも正式なものとはなっていない。

現状では、ロシアのマスメディアのレトリックに反し、ロシア軍が
NATO加盟諸国に核攻撃を行う可能性は、さらに小さい。今回の
軍事侵攻の開始時点で、ウラディミール プーティンは第3国による
介入があれば未曽有の結末を招くぞ、と脅していた。この脅迫は
効果的で、直接的な軍事介入を避けようとする西側指令層の立場を
固めた。その一方、部隊を派遣はしないものの相当な兵器や経済的な
支援を行うこととした諸国は、同盟諸国にも非同盟諸国にもある。

その一方で、NATOの部隊はまったくウクライナには入って
いない以上、ロシア側は納得すべきである。だがその反面、
ロシア軍の作戦の先行きは曇りつつある。ウクライナには諸外国
からの援助が大量に流れ込んでおり、その軍隊の力を維持さらに
向上することを可能にしているからだ。NATOによる直接の軍事
介入を抑止する以外に、ロシアの核兵器にどのような役割がある
のか、不明である。


Flower of the Sunset
実像はどちら??
私の昔の作品

核兵器が抑止という役割を演じている限り、西側諸国が核戦争への
エスカレートを警戒することは明らかだ。一部のロシア メディアに
ある無責任な呼びかけにロシアが万一応答してしまい、NATO加盟国に
対する核攻撃を実行してしまった場合には、その核兵器は抑止のため
ではなく、積極的な戦闘の手段になってしまう。さらに今回の
「特殊作戦」 という扱いでは、第3国への攻撃を行う根拠がない。
核攻撃なら、さらにそうだ。

核攻撃は、一種のレッド ラインである。万一ロシアがそれを
超えてしまった場合には、西側諸国もがウクライナ側について
直接の戦闘に加わる要因は、何もなくなってしまう。

そうなれば、全世界が核戦争の危機にさらされることになる。
さらにロシアの将来も、長年プーティンが構築してきた政治構造も、
機器に曝されてしまう。

ロシアがウクライナに核攻撃を行うのも、レッド ラインとなるの
だろうか?これは、よく分からない。アメリカでは、ホワイト
ハウスに陣取る政権がウクライナ側について戦闘に参加すべしとの
強力なプレッシャーを受けることになろう、との見方が広まっている。

だが、アメリカとその同盟国とがそのような場合に結局どうした
対応に出るのか、予想するのは難しい。ロシアへの制裁が強烈になり、
ロシアの孤立が深まることだけは確かだが。

ウクライナでの特殊作戦の一環として、ロシアが核兵器を使う理由が
あるだろうか?想像力を覆いに働かせるなら、核攻撃が軍事的に意味を
持ち得るシナリオが少なくても2つある。

第1に、核攻撃によって主要都市を攻略し、ウクライナ政府にロシア側に
好都合な和戦協定を呑ませることができる。(先例として、
アメリカ軍が広島と長崎に原爆を投下して太平洋での第二次大戦を
終結させた例がある <← 下線部は原文記者の見解でして、私 (ひで) の
見解では、ありません>

2番目のシナリオとして、ロシア、そしてドネツク人民共和国や
ルハンスク人民共和国の通常兵器軍では、ウクライナ軍による強烈な
反攻を抑止できない場合がある。

つまり、ロシア軍は1つ目のシナリオでは一般市民への攻撃として、
2つ目の場合にはウクライナ軍への攻撃として、核兵器を
使用することになる。

ウクライナの一部都市をロシア軍が完全に破壊するようなら、
第1のシナリオの現実性が窺えよう。こうした都市の完全破壊が
現場の司令官の判断による孤立したケースではなく、ロシア側が
こうした完全破壊を容認しており、非戦闘員の殺戮も戦いを
優位に進めるために認めているのであれば、ロシア軍をはじめ
ドネツク、ルハンスクの軍人たちの,死亡数を減らすためロシアが
さらに強力な兵器に訴えてくると見るのも、あながち非現実的とは
言えなくなる。

あれは50年も昔のこと ・・・ 私の10分クロッキーより

あれは50年も昔のこと ・・・
私の10分クロッキーより

2つ目のシナリオは、戦場の状況とは切り離されたもののように
見受けられる。一番最近にこの種の核戦争シナリオが考慮されたのは、
冷戦時代にNATO軍とワルシャワ条約機構軍が対立していた時代の
ことであった。だが現時点でウクライナで起きていることは、
規模においても形態においても実質においても、冷戦時代の状況
とはまった似ていない。

いずれのシナリオに対してもあり得る反論として、ロシア軍は
今もウクライナ市民に対するロケット弾や爆撃攻撃を実施して
いないと主張しており、ウクライナ軍がしでかしたことにしている、
という事実がある。ロシア軍は、クラスター爆弾のような国際
条約で禁じられている武器を使用したことを否認している。
この否認方針は、ウクライナでの戦闘が停戦に至った場合に、
ロシアが諸国との関係を正常化、あるいは最低でも改善できる
ようにすることが狙いだ。

ウクライナでロシアが核兵器を使用した場合、核兵器の使用は
否認することは不可能であるし、ウクライナ軍のせいにする
こともできない。<つまり、一度でも核兵器を使用してしまうと>
ロシアが西側との関係の改善をどれだけ臨んだとしても、
その望みは完全に崩壊してしまう。

現在の状況では、ロシアがウクライナに対して核兵器を使用する
軍事的あるいは政治的根拠はないし、ましてや
NATO諸国に
対して使用する理由は見当たらない。

だが、今回の戦争でロシアが苦しみ、クリミアなどロシアが
自国領と認識している地域に敵の勢力が入り込む可能性が高くなり、
しかもロシアが政治的にも経済的にもまったくの孤立に陥った場合
には、ロシア政府が核という脅迫に訴える理由が強まってしまう。

すると、いったいなぜ、プーティンは核兵器という選択肢に言及するの
だろうか?我々の思弁では、ロシア当局が 「核という盾」 で自らを
守り、最悪の事態を防止しようとしているのだ、という理解に至る
かもしれない。だが、この 「盾」 は、ロシアが核兵器を使用
しない場合にのみ機能できるのだ。

**************

Long Lake, MN
常に理性的でいられるのか?
私の昔のスケッチ、ミネソタ州 Long Lake

現実的に考えれば、実際に核兵器を使用するケースは考えにくい
のかもしれません ・・・ その決断を下す人たちが合理的な判断を
する限り。
ただ、
そうした人たちが 「正気」 を失った場合は?
核兵器以外に局面を打開できそうな選択肢がなくなった場合は?
といった心配が残るわけですね。
つまり核兵器とは、心理的に他国を行動しにくくさせる効果が
大きい兵器ですよね。
極論すれば、仮にある国が実は核兵器を保有していなくても、
「持っていると他国に信じさせて」 おけば、「核の脅迫」 が
できてしまうという、厄介な代物です。

それが巡り巡って、たとえば食糧危機を招き、餓死者が出る
・・・ そんな危険性も笑えなくなってきております。
いうまでもなく、最も賢明な対応は、世界から核兵器や大量破壊
兵器をなくすことですよね。
そして核発電は、核兵器開発の 「隠れ蓑」 に幾度も悪用されて
きたのです。(付録 w-4) のゴア元副大統領のインタビュー参照)

「やかんをのせたら~~」では今後も、proliferation risksを
中心に核発電と核兵器の不可分性を問題にしてまいります。
当然、今回のような核兵器問題に関する報道・論考などの
紹介も時折していくことになります。

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付録 w-8) 原発は CO2 を出さない? III をアップロード

付録 w-8) 原発は CO2 を出さない? III を
アップロードしました。

「原発はCO2 を出さない」という主張が聞こえて
くる場合、その大半は発電稼働中のことを言ってますよね。
でも原発からほぼ必然的に出てくる使用済み核燃料など
「放射性ゴミ」 を、例えば10万年間も保管しないと
いけません。
地下深くに保管するとしても、気体の放射性物質が地表に
まで出てこないという保証が、どこにあるのでしょうか??
それを、C-14 という気体ならびにその化合物である
C-14の二酸化炭素の場合で見てまいります。
C-14 は炭素の同位体の1つで、年代測定によく使われることで
有名ですよね。

この問題を日本語で指摘している記事や文献を、私はまだ
見たことがないのです! でも現実の問題ですから、
日本語で見つからないなら、英語の文献から紹介しておこう
・・・そんなページです。

 

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2020年の殺害事件の真相??

The Express Tribune (2010年設立の、カラチに本拠を置く
パキスタンの報道機関。The International New York Timesと提携)
による報道

Soleimani killed to stop plot against 500 Americans: Pompeo (tribune.com.pk)
(2020年1月のソレイマーニ司令官暗殺は、アメリカ人500人に
対する謀略をやめさせるためであったと、アメリカのポンペオ元国務長官)

「その謀略を阻止する機会があったので、そうしたのだ」 と、
アメリカの元国務長官

Anadolu Agency 発  2022年6月18日

さて、そんなことあったかしら ・・・ 私の練習作から

さて、そんなことあったかしら ・・・
私の練習作から

2020年1月3日、イラクのバグダッド国際空港そばで
イランのソレイマーニ司令官が殺害されたのは、覚えてらっしゃる
でしょうか?アメリカ軍のドローン攻撃によるものでしたよね。
1979年のイランのイスラム革命以降の展開を背景に、
ウラニウムの過剰濃縮にそもそもの端を発した憎悪と敵対の流れは、
ここまで発展してしまったのでした。
そしていまや、イスラエル VS イランの「影の戦争」です。

ソレイマーニ司令官暗殺に関する、ポンペオ元国務長官の発言が
以下の記事で取り上げられているので、紹介しておきますね。
ただ、情報源がAnadolu Agencyというトルコ政府の 「プロパガンダ機関」
なので、偏向があるかもしれない可能性は、予め承知しておいて
くださいな。ご存じのとおり、トルコとイランは中東での覇権を
めぐり、代理戦争のようなことを展開してきておりますからね。

いつも通り私による抜粋・日本語化で紹介します。< >内は、
私からの補足説明です。

アンカラ発

イラン軍のカシーム ソレイマーニ元司令官が殺害されたのは、
500名のアメリカ国民を標的にした陰謀をやめさせるためで
あったと、アメリカの元国務長官マイク
ポンペオ氏は述べた。

「ソレイマーニ司令官は、アメリカ人を新たに500名殺害しよう
という策略に加担していた。我々はその策略をやめさせる機会を
得たので、そうしたのだ」 と、ポンペオはAl Arabiya<という放送機関>
とのインタビューで述べた。これは、金曜日 <6月17日> に
報じられた。

<イランから> 警告があったにも関わらずソレイマーニ司令官を
殺害した背景状況についての質問があったが、ポンペオは「その
警告というのは言ってしまえば、アメリカがJCPOA (イラン核合意)
から脱退するなら戦争になるぞ、アメリカが在イスラエル大使館をテル
アヴィヴからエルサレムに移すなら戦争になるぞ、そしてソレイマーニ
司令官を攻撃するなら戦争になるぞ、といったものだった」

「さて、アメリカはその3つの1つや2つではなく、いずれも実行した
のだが、戦争にはならなかった」 とポンペオは語った。


Watching you —-
私の、かなり昔の作品

<ソレイマーニ司令官殺害という> 決定はアメリカ政府が急速に
下したものであったのかという質問に対して、ポンペオは
「アメリカ政府は以前から、イラクにあるアメリカ資産やシリアに
いるアメリカ市民、さらに実のところ全世界のアメリカ市民を
守ろうと、相当以前から務めてきている」 と述べた。

「アメリカ政府は、<イランの革命防衛隊の中でも諜報活動などを
専門にする> クズ部隊の動きを監視していた。その意味で、この
<殺害> はアメリカ政府が継続的に行ってきた活動の1つであり、
アメリカのリソースや資産、市民などに対する差し迫った攻撃を
やめさせる機会を得た。そして大統領が、それを実行するという
決断を下したのだ」
ソレイマーニは2020年1月3日に、アメリカのドローン攻撃で
殺害された。
・・・・(以下略)・・・・

********************

このポンペオ発言の真偽に関わらず、ウラニウムの過剰濃縮が
ここまでの事態のエスカレートに拍車をかけた、という事実を
我々はすでに2年半ほど前に体験したわけですね。

「原発問題」 というものを単に 「環境・エネルギー分野」 だけに
矮小化して捉えていては、大変なリスクを見逃す結果になってしまう
・・・ それを、ご理解いただきたいのです。

当時のイランは既にHEUの濃縮はやらかしていましたが、
まだ核兵器は保有していなかった模様ですよね。
もし2020年1月の時点で核兵器を保有していたら、
どうなっていたか ・・・?

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The New York Times 報道 ・・ イラン、イスラエルが2名の科学者を毒殺したと嫌疑

The New York Times の報道より

Iran Suspects Israel Poisoned Two Scientists to Death – The New York Times (nytimes.com)
(イラン、イスラエルが2名の科学者を毒殺したと嫌疑)

Farnaz Fassihi 記者、 Ronen Bergman 記者

2022年6月13日

下でJCPOA再建交渉の難航 (ひょっとしたら、破談??) に
関連する Tasnim の記事を日本語化して紹介したところですが、
そんな折、今度はイスラエルがイランの科学者2名を毒殺したと
イランが嫌疑を抱いている、との報道が The New York Times に
ありました。

私のような一個人の立場では、この建議の真偽については何も
申し上げられない (真偽を判断できるだけの充分な情報がない)
のですが、世界の各事情を考える上では重大な嫌疑ですから、
The New York Timesの該当記事を抜粋・日本語化して紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。
文字色を変えた個所は、私の強調です。(あまりにも物騒な報道
内容なので、そうした強調も入れました)

日本語メディアでの本件の扱いは極めて簡略化したものなのですが、
下記をお読みくださればお分かりのように、極めて深刻な問題が
絡んでおります。さすがは The New York Times、問題の深部に
入り込もうとした記事になっています。

核発電に反対するのなら、ぜひ知っておいていただきたい記事です。
「原発問題」を 「電力供給 + CO2問題 VS 事故被害 + 核ゴミ処分場がない」
という疑似二項対立に矮小化して捉えてしまうと、この「影の戦争」の
ようなさらにdeadly な本質を見逃すことになってしまいます。

嘆き ・・・ 私の点描練習より

嘆き ・・・
私の点描練習より

では、その記事を:

*****************
イラン、イスラエルが2名の科学者を毒殺したと嫌疑

この毒殺か?という疑念が正しいことが確認された場合には、
イランが核兵器製造能力を手に入れつつある現在、新たに
し烈さを高めつつある「陰の戦争」での最新の殺害事例となる

<今回死亡した> 2名の科学者はともにイランのトップ
レベルの大学を卒業した若く健康な人物で、運動にも優れて
いた。その両名がともに、この5月末に病気に倒れた。
両科学者の病状は悪化の一途をたどり、640㎞ほど離れた
2か所の病院の集中治療室にそれぞれ運び込まれた。

そして、両名とも息を引き取ったのだが、両者の死亡した
日付は、お互いから数日しか離れていなかった。

イランの認識では、イスラエルが両名の食事に毒を持って
殺害した。この認識を表明したのはイラン政府の高官であり、
さらにイラン政府とつながりのある2名の人物だ。この2名は
匿名を前提に話をした。これは、話題そのもののデリケートさの
ためだ。<今回殺害されたとされている> 2名のうち一人
Ayoub Entezari は航空エンジニアで、軍部の研究センターに勤務
していた。もう1名は地質学者のKamran Aghamolaei だ。

両名の死亡は謎に満ちているが、それをさらに複雑化させている
要因として、イスラエルのメディアもイラン国外のペルシャ語
ニュース チャネルも、Aghamolaei氏がイランのナタンズ核施設で
勤務していたと報じている。だが友人たちはそれを否定しており、
同氏が民間の地質学研究企業に勤務していたと主張している。
The New York Timesも、同氏がイラン政府や何らかの武器
プログラムに関連していたという裏付けを入手できなかった。

Entezari 氏は航空工学の博士号を取得しており、イランの
ヤズドという都市にあるイラン政府の航空センターでミサイルや
航空機タービンに関するプロジェクトに携わっていた。
この都市は、首都テヘランの南東約620㎞にある。

あるイラン上級高官のスタッフ メンバーによれば、同氏は
ヤズドである夕食会に招かれ、それに出席した後で食中毒の症状を
呈した。その夕食会のホストは姿を消しており、当局がこの人物を
捜索したと、このスタッフ メンバーは語っている。なおこのスタッフ
メンバーは公に発言すること許可を受けていなかったため、人物名を
挙げることができない。

Aghamolaei 氏の方はイラン北西部にあるタブリズに仕事の出張で
出かけ、テヘランに戻ってきた直後であった。そのタイミングで、
激しい嘔吐と下痢に襲われ、それが日増しに悪化し、内臓が機能
不全に陥り死亡したと、彼の知人は述べている。

行く先は不透明 ・・・ かなり昔の私のスケッチ

行く先は不透明 ・・・
かなり昔の私のスケッチ

イランが主張しているように、この両名の謎に満ちる類似した
死亡事件が暗殺であるのなら、イランとイスラエルの間での
「影の戦争」で見られるパターンに良く合致している。
両国は真相を探りにくい方法で互いを攻撃しあっており、
全面戦争を回避してきているのだ。
今や、この影の戦争は激化しつつあるようだ。この2週間だけ
でも、イスラエルの関連した一連の死亡事件が発生、イランを
揺るがせている。どうもイスラエルはその標的を、イランの
核開発プログラムに関与している指導層から、それより下の
階級の科学者たちや軍部の人員へと拡大したようにも思われる。

イスラエルの総理大臣オフィスのスポークスウーマンは、
今回イラン国内で発生した2件の死亡事故については、コメントを
拒否している。

だがイスラエルは既に何年も、イランの核開発と兵器プログラムを
とん挫させようと密かに努めてきており、その実例としてこうした
プログラムに関与していた専門家たちを暗殺している。例として、
先端型のドローンやミサイルを開発していたイランの軍事施設を
攻撃した。

これに対しイランは、全世界でイスラエル市民を標的としており、
またレバノンのヒズボラのような反イスラエルの地域民兵組織に
資金や武器を供与している。

だが争いの多くは、イランの核開発プログラムに関するものだ。

イスラエルはこのプログラムに強硬に反対しており、イランと
世界主要国が2015年に締結した核合意の再建に取り組んできたが、
成果は芳しくない。2018年、アメリカのドナルド トランプ大統領
(当時) が、この核合意から脱退したのだ。この合意下では、
イランの核開発活動に制約を設ける代わりに、イランに対する
経済制裁が緩和されていた。

イランは核兵器製造に充分なだけの濃縮ウラニウムをもうすぐ
製造できるとイスラエルは深く憂慮しており、この核合意だけ
ではイランの核開発活動を十分には制限できないとイスラエルは
感じている。

だが同核合意の支持者たちによれば、この核合意によってイランの
ウラニウム濃縮に制限を設け、国連の核拡散監視機関 <IAEA> が
イランの核開発プログラムを監視することを可能にし、イランが
核兵器を開発する脅威を軽減できると主張している。

イランは以前から、その核開発プログラムは平和目的だけのために
行われているものだと主張してきた。だが数年前のアメリカ諜報機関に
よる評価では、イランは以前に核兵器開発プログラムを進めていたの
だが、2003年にそれを停止させたと結論づけている。

本当かしら・・・? かなり昔の、私のスケッチ

本当かしら・・・?
かなり昔の、私のスケッチ

2015年の核合意を再建しようとする交渉が決裂し、イランが
その核開発活動を加速、あるいは国連による監視への協力を
縮小した場合には、水面下で展開されているイスラエルとの
戦争が公の紛争に開花してしまうリスクもある。

「核合意があろうがなかろうが、この種の活動は激化しやすい。
つまり、イランはイスラエル包囲網を広げようとし、イスラエルは
イラン内部にさらに深く入り込もうとすることだろう」 と、
政治リスク コンサルタント集団であるユーレイジア グループの
イラン アナリスト、Henry Rome は語っている。

このところイランへの攻撃のペースが高まっており、イスラエルの
指導者たちによる昨今の発言も考え合わせると、イスラエルの
戦略の変更が窺える。

<6月7日の> 火曜日に開催された、イスラエル議会の外交問題
ならびに国防・外交問題の委員会の会議で、イスラエルのナフタリ
ベネット首相は 「2021年、イスラエルは対イラン戦略を変更した」
と 述べた。「ギアを上げた。常時、あらゆる場所で活動を展開して
おり、今後もそうする」

イランではこの2週間、強力な組織である革命防衛隊の上級
メンバーであるSayad Khodayee が標的とされ、テヘランで近づいて
きた車両から射殺された。さらに国防省の若いエンジニアがドローン
攻撃で暗殺された。さらに革命防衛隊の別の上級メンバーがバルコニー
から落下して死亡したが、これにも暗殺の疑いがもたれている。

そして、今回の2名の科学者の死亡事件である。

Entezari氏(35歳)が死亡したのは、5月31日のことだった。同氏が
勤務していた軍部の研究施設の同僚がSNSで公表したところでは、
事件の前夜まで同氏には異常がなかったが、翌日に突如、体調が
急変した。しかもイランのメディア報道によれば、家族も
その夜には一緒に食事をしており同じものを食べたのだが、
同氏以外には体調が変わった者はいなかった とのことである。

同氏が暮らしていたヤズド州の知事は故人の家族に額入りの
追悼の辞を手渡し、同氏を 「殉教者」 と称えるとともに、
家族に国家のための犠牲をささげてくれたと謝辞を呈した。
敵軍の攻撃に倒れたイラン国民や国家のための任務に就いていて
死亡した国民に対し、イラン政府は 「殉教者」 という名誉ある
称号を授与している。ヤズド市議会のある議員は、同氏の死亡の
ことを 「生物学テロ」 と呼んでいた。

だがイスラエルはイランの安全保障を幾度も侵害しており、
関連する政府役人たちは突如Entezari氏を 「殉教者」 と呼ぶことを
撤回、イスラエルからの攻撃である可能性を示すその他詳細に
ついても発言を控えるようになった。こうした詳細が明るみに
出ると、当局が面目をつぶす恐れがある。

闇の中 ・・・ 昔の私の作品

闇の中 ・・・
昔の私の作品

同知事の広報オフィスは 「殉教者」 という呼称を2日後に撤回、
これは誤りであったとした。ヤズドの検察当局はEntezari氏が
航空エンジニアであることを否定、工業系企業の平均的な従業員で
あったとしている。

イランのメディアで2019年に公表された写真や動画では、
Entezari氏がガディール産業タービンという会社 (Ghadir
Industrial Turbines Company) で当時のハサン ルハーニ大統領に
対して、プレゼンテーションをしている様子が見られる。同社で
Entezari 氏は勤務していた。こうした画像は同氏が政府の施設に
勤務していたという情報と合致しており、さらに同氏が実は
航空工学のエンジニアだったという出身大学の同窓会による主張とも
一致している。

ヤズドでツアー ガイドをしているEntezari氏の親戚Mahmoud
Entezariが自分のInstagramに公表したところによれば、
エンジニアのEntezari氏は <死亡する前に> 地域メディアで
自分がルハーニ元大統領とともに撮影された写真が拡散して以来、
生命の危険にさらされていると憂いていた。同氏が親せきに語った
ところでは、これらの写真は秘密扱いにされるはずであった。

Mahmoud Entezariにコメントを求めたが、拒否された。

一方、6月2日に死亡したAghamolaei氏に関しては、イラン政府
高官たちは口が堅い。

The only official mention of Mr. Aghamolaei氏の死亡に関しての
公式の言及は、テヘランのタルビアト モダレス (Tarbiat Modares)
大学の学長からの追悼の辞のみだ。この追悼の辞によれば、同氏は
地質学の博士課程に学ぶ学生とされている。さらにこの追悼辞に
よれば同氏は故郷のイゼーで心臓発作により他界した、とされている。
イゼーは、イラン南部のクゼスタン州にある労働者階級の小さな町だ。

遺族は、政府の検死局による検視結果の発表を待っており、同氏の
死の様子を述べた友人によると同氏は食事の後で突然体調を崩した
そうだ。だがこの事件にまつわるデリケートな状況のため、この検死
結果が自分たちに通知されないのではと、遺族は心配している。
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闇の中で ・・・ 私の、昔の作品

闇の中で ・・・
私の、昔の作品

「表向きは」 “発電用のウラニウム濃縮” の裏で、どうも核兵器開発
・・・ そのため、どうも暗殺者まで暗躍か??? という事件ですよね。
核発電に係る闇と残虐のひどさが、典型的に表れた事件です。

「反原発」 を唱えるなら、ここまでの闇が実在することを弁えたうえで ・・・

では、その 「闇」 の基底にある 「核抑止」 理論に関する調査を続けますね。

Posted in Uncategorized | The New York Times 報道 ・・ イラン、イスラエルが2名の科学者を毒殺したと嫌疑 はコメントを受け付けていません