The New York Timesの報道より
Iran Begins to Dismantle Nuclear Program Cameras After Western Criticism – The New York Times (nytimes.com)
(西側からの批判に反応、イランが核開発プログラムの監視
カメラなどの取り外しを開始)
JCPOA再建交渉が難航してきたことについては、本ウェブサイト
でも今まで何度も取り上げてきました。今回、西側からの批判に
対応して、イラン側が困った対処に出たそうです。
それを取り上げたThe New York Timesの記事から、抜粋して
紹介しますね。
いつもどおり、< > 内は私からの補足説明です。
“Facing Off”
私の昔の作品
Isabella Kwai 記者、2022年6月9日付
西側からの批判に反応、イランが核開発プログラムの監視
カメラなどの取り外しを開始
イランが間もなく核爆弾製造に充分な量の核分裂性物質を
手に入れると専門家たちが主張する只中、国連が設置した
監視カメラを <イラン側が> 取り外し始めた。これは、
2015年 <に締結されたJCPOA合意> の再建交渉 がさらに
難航する兆候だ。
イランの核開発プログラムへの国連による監視システムを
イラン側が撤去し始めたのは、今週のことだ。そのため、
検査官たちはプログラムの一部を見ることができなくなった。
この撤去は明らかに、国際検査官たちにイラン政府が協力的で
ないという非難決議が採択されたことに対する抗議だ。しかも
この時点で、イランは核爆弾の製造に充分なだけの核分裂
物質を再度保有する手前にいる。
今回のイラン政府による撤去の決定は、核燃料の製造量を
劇的に増大しうる新設備を設置するぞという脅しと相まって、
2015年締結の <JCPOA> 核合意からトランプ前大統領の下で
アメリカが脱退して以来、イランと西側の間の対立が最も
深まっている現れだ。バイデン政権の高官たちによれば、
同政権の外交面での主要イニシアティブとしてこの核合意の
再建があるのだが、再建できる見通しは極めて少ない。
バイデン政権は今回のイランの動きを糾弾しており、フランスや
ドイツ、英国も同調した。その生命によれば、「2022年3月から
有効な提案を提示しているのだが」 イランがそれを拒絶した、
という。
専門家数名によれば、今回の緊張の高まりは憂慮を招くもので、
イラン政府の態度の硬化を示しているという。国連の核兵器
拡散監視機関であるIAEAがこの水曜日に、あと何週間かで
イランは核兵器製造に充分な濃縮ウラニウムを生産できるという
警告を発しており、イランはそれに反応したようだ。その
生産能力には、イランは既に達していると見るアナリストも
いるが、大半の専門家はイランがそうした核分裂性物質を
ミサイルの弾頭に収められる兵器にするまでには、
まだ1-2年を要するとしている。
この木曜日 <9日> にイランが取った行動は重大なもので、
7年前にオバマ政権がイランと締結した合意を破棄するという
サインであり、しかも最終的な意思表明である可能性もある。
同合意では、イランは保有する核燃料の97%を国外に出し、
国内の核物質濃縮用遠心分離機の大半を解体することに
なっていた。この遠心分離機は超音速で回転してウラニウムを
濃縮、へ津電溶の燃料にするのだが、その純度を高めれば
核兵器の爆薬に出来る。
後にトランプ氏がこの合意を一方的に破棄したのだが、
それでもまだ1年間ほどイランはこの合意の規定を順守していた。
だが <IAEAの> 検査官たちが一部領域に立ち入ることを拒否した。
そうした領域では、過去の疑わしい核開発活動の形跡が見られるの
では、という嫌疑があった。徐々にイランは検査官たちが一部の
監視機器を利用することも拒否するようになり、本日、監視カメラを
オフにし取り外した。
全米イラン系アメリカ人評議会 (National Iranian American Council) の
前会長でアナリストでもあるTrita Parsi によれば、まだこれで合意
再建の 「弔いの鐘」 となったわけでは、ない。
だがParsiによれば、「弔いが極めて近づいている。ここ何か月か、
交渉は休眠状態にあった。実質的な進捗も動きも見られなかった」
******************
実態は、どれだ?
私の20分クロッキー
たびたび私が参照先として、上の黒いメニュー底部にある
付録 w-4) の後半に引用したアル ゴア元副大統領のインタビューが
あります。ゴアさんと言えば、An Inconvenient Truth で
知られるように、気候変動への対策を焦眉の急として訴えた方
ですよね。ですから、単細胞に考えてしまうと、「原発も
推進しているのか?」 と見なしてしまいやすいのですが、
この引用したインタビューにある通り、核発電には期待して
らっしゃいません。その理由は、核兵器開発の隠れ蓑になって
きた、という単純明快なものです。
この認識が如何に正しいか、それを例示する実例の1つが、
上記のJCPOA問題ですよね。
何も私は、イランを敵視しているわけじゃありません。
核発電がまかり通っている限り、日本も含めた他の諸国だって、
いつ 「ひそかな核開発」 を始めるか分かりません。それに、
アメリカやロシアがいまだに大量の核兵器を保有していること自体、
重大な問題です。
大国による核兵器保有を正当化してきた理論が、核抑止理論です。
現在、それについてアレコレ調査中です。