Zaporizhzhia nuclear reactors won’t restart
until Russians leave, its operator says
(ペトロ コーティン、「ザポリージャ原発は
ロシア軍が撤退するまで再稼働しない」)
原発を敵軍が占拠した場合、結局は 「撤退して
くれるまで、稼働させられない」 ってことに
なっちゃいますよね。予想通りの事態に
なっています。
一方、ロイター報道では9月18日(JST) 付の
記事で、メインの送電線のうち1本の修復が
できたとされています。
こういう場合、やはり原子炉の基本的な仕組みが
分かっていないと、ことの深刻さを理解できなく
なってしまいますよね。
以前にも申しましたが、「原発には反対です」 と
おっしゃる方が 「でも、停止したんだから、
もう安全なんでしょ??」 と真顔でおっしゃって
いるようでは ・・・
無論、原子炉の基本を学んでいない方にも、
原発に反対する権利はありますよ。
でも、「反対する」 ってことと、「反対活動を
する」 ってことは、別物ですよね。
「何も知らないけど、とにかく反対」 という
活動では、社会への説得力がない。
では、ザポリージャ原発の現状に関する
報道記事を2つ、いつもどおり
私の抜粋・日本語化
で紹介しますね。
まず
アメリカの半官半民非営利メディア機関、
National Public Radio (npr) から、
ザポリージャ原発関連のニュースです。
“Run for Your Life!”, 中央部
私の昔の作品
Ukraine’s Zaporizhzhia nuclear reactors won’t restart until Russians leave : NPR
Kat Lansdorf記者、2022年9月15日
いつもどおり、私の抜粋・日本語化
< > 内は私からの補足説明
******************************
ウクライナ、キーフ発 ― ウクライナの
ザポリージャ原発の運営機関は、同原発を
占拠しているロシア軍が原発から撤退するまで
同原発を再稼働しないと、運営機関のヘッドで
あるペトロ コーティンがNPRに述べた。
同原発では砲撃が続き、ウクライナの作業員たちは
損傷を受けた同原発を安全のため先週停止させた。
火曜日 <9月13日> には作業員たちは3系統
あるバックアップ電源供給線の復旧を完了した。
これは、同原発周辺で戦闘が続く中、関係役人たち
やエネルギー問題の専門家たちが警告している
大破局を回避するうえでは、多少良い知らせでは
ある。
それでも、ザポリージャ原発の状況は緊張に
溢れ予測を許さない。ヨーロッパ最大の同原発は
今年3月初めにロシア軍に占拠され、稼働に
当たるのは引き続きウクライナ人のスタッフたちだ。
ウクライナ南部にあるこの原発周辺地域では今も
戦闘が激化しており、核災害のリスクが不安を
募らせている。
“A Computer Operator”、私のかなり昔の作品
同原発を最近調査したIAEAは、損傷の跡が
不安を募らせ、作業員の労働環境は過酷で疲弊を
招くものだと発表している。
同原発の運営に当たっているウクライナの核
エネルギー機関エネルゴアトムのペトロ コーティン
社長は 「とにかく、ひどい状況だ。スタッフが自由に
稼働を行えず、原発の安全性を考えて行動できない。
そうではなく、スタッフは次に自分と家族に何が
降りかかるのかを考えている。拘束されないか、
拷問を受けることにならないか、場合によっては
殺されるのじゃないか、と気が気でないのだ」
ウクライナの作業員たちが今も同原発を稼働させ
てはいるが、ロシアはロシアから別の各エンジニアや
専門家を連れてきている。だがそうした核発電
専門家たちによると、ウクライナのシステムは
ロシアのものとは異なっており、安全かつ効率よく
ザポリージャ原発を稼働できるのは <ウクライナの
原発用に> 訓練された人員だけだ。
コーティンによれば、彼自身はキーフにある自分の
オフィスにいるのだが、ザポリージャ原発のスタッフ
とは定期的に連絡を取っている。同原発は、
ウクライナの首都キーフからは南東のエネルホダル
という都市にある。だがロシア軍部隊はコーティンが
原発スタッフと音声電話で話をすることだけを許可
しており、ビデオの使用を許可していない。コーティンが
監督しているザポリージャ以外の各施設の管理者
たちとは、ビデオを用いてやり取りをしているの
だが。
痛々しい ・・・
私の20分クロッキー April 11, 2017
ウクライナ人スタッフに対する身体的な虐待が
行われているとの報告が以前からあり、NPRでは
個別の事態を独自に確認できてはいないが、
IAEAも何か月も以前からザポリージャでの極度に
ストレスの強い環境下で勤務するスタッフの健康を
憂慮している。
コーティンはウクライナのスタッフに対する暴力の
実例を認識しているとしており、それらを列挙して
いる。拘留されたものは数十名にのぼり、
何日も拷問を受けたそうだ。ロシア兵に殴打され、
死亡したスタッフも1名いる。別の1名は、自宅
アパートで家族の目前で5回も銃で撃たれた。
先週、稼働していた最後の原子炉が停止した。
いわゆる 「コールド シャットダウン」 モードに
なったのだ。再度原子炉への外部電力が失われ
ても、安全性を高めるモードだ。これはまた、原発
スタッフのストレスを軽減するためでもある。原発の
管理に必要なスタッフ人数が、このモードなら少なく
て済むからだ。またこのモードでは原子炉は
発電を行わないのだが、冷却システムの稼働の
ために外部電力供給をなお必要とする。そのため、
電力線の修復が極めて重要なのである。
国の中で最大の原発を停止させるのは、
ウクライナの発電にとっては巨大な喪失だ。
ウクライナの発電用原子炉15基のうち、6基が
ザポリージャのものだ。同原発の戦闘で発電が
支障をきたす以前には、ウクライナの原発
依存率は50%を少し上回っていた。
現時点では、原発での発電量喪失を埋め合わせ
るために石炭火力を利用しているが、石炭火力
発電所の多くはウクライナ東部にあり、周辺では
熾烈な戦闘が行われているか、あるいはすでに
破壊されている。国内のその他の地域ではある
程度の安定が戻りつつあるため、市民は自宅に
戻り冬が近づきつつある。そのため、電力需要は
間違いなく増大する。ウクライナでは、電力不足が
生じる恐れがあるのだ。
IAEAやその他の国際機関がザポリージャ原発
周辺に非武装地帯を設けるよう要請しているの
だが、現実化はあまり進んでいない。
だがコーティンはウクライナが同原発を近く再び
掌中に取り返すとの希望を捨てていない。
「ロシア軍部隊は、いてはいけない所にいると
いうことに、今更ながら気がついてほしい。
彼らができるベストの行動とは、出て行って
ロシアに帰ることなのだ」 とコーティンは言う。
先日、ウクライナ軍が東部での反撃構成で
大きな成功を収めた。そのため、こうした楽観論
が浮かび出ているのだ。ロシア軍撤退という
望みが、新たに強まりつつある。
*******************
では次に、
メインの電力供給船が1本修復できたという、
ロイターの報道を。
やはり、
私の抜粋・日本語化
< > 内は私からの補足説明です。
Main power line back up at Zaporizhzhia nuclear plant, IAEA says (msn.com)
********************
Main power line back up at Zaporizhzhia nuclear plant, IAEA says
(IAEA: ザポリージャ原発でメインの電力供給戦修復)
2022年9月18日 (JST)
Francois Murphy記者
ウィーン発 (ロイター) – ロシア軍が占拠している
ザポリージャ原発に4本あるメインの電力線のうち、
1本の修理が完了し、ウクライナの送電グリッド
からの電力を再び同原発に供給していると、
国連の核監視機関 <であるIAEA> が土曜日
<17日> に発表した。このグリッドからの電力
供給は、2週間前にいったん途絶えていた。
ヨーロッパ最大の原発であるザポリージャ原発の
6基の原子炉はすべてシャットダウンしているが、
その中にある核燃料はなお冷却を必要とする。
冷却ができないと、破局的なメルトダウンを起こす
危険性がある。つまり、シャットダウン後も原子炉
炉心に冷却水を通すためのポンプを稼働させる
ための電力は、今も必要なのだ。
電力線は平和たれ
“Dragonfly Heaven”, 私の昔の作品
メインの電力線のうちの最後の1本がいったん遮断
されて以来、ザポリージャ原発に電力を送ることが
できなくなったため、強い懸念の種となっていた。
その他の3本の電力線は近隣の石炭火力
発電所に接続されていたのだが、それらも切断
された。
そのためザポリージャ原発は、いわゆる 「island
mode」 に移行した。つまり、最後に稼働していた
原子炉から、他の停止中原子炉へと電力を供給して
いた。だが、このモードは長くは持続できない。そこで
1週間前にバックアップ用電力線を再度接続、最後の
原子炉もシャットダウンすることが可能になった。
「メインの電力線の1つを昨日午後に再度接続でき、
残る3本の電力線は再度、予備として保持されている」
と、IAEAは声明で発表している。
「残る3本の外部電力線は750 kVで、今回の戦闘の
ため以前から切断されていた。これらは、まだダウン
したままだ」 ともIAEAは述べている。
ロシアとウクライナは、ザポリージャ原発 (ZNPP) に
砲撃を行い建築に損害を招くとともに電力線の切断を
招いたとして、お互いを非難しあっている。
「ZNPPの電力状況は、この9月はじめと比べれば、
先週には大きく改善した。一時は、同原発の電力線
すべてがダウンし、最後に稼働していた原子炉からの
電力を供給していた。とはいっても、同原発は今も
戦闘地域のただなかにあり、状況は予断を許さない」
とIAEA は述べている。
(Francois Murphy記者の報告、
Louise Heavens と Helen Popperの編集)
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本気で言ってるの??
私の20分クロッキー 2019 04 01
核発電には、「原発を敵軍が占拠 → 基地化されて
しまうと、下手に攻撃もできない」 というリスクが
あり、これだけ世界的な不安を招いているわけ
ですよね。
原発のリスクにはその他アレコレありますが、
このリスクだけでも深刻です。そんなリスクを
抱える原発の新設には、巨大な費用がかかり
ます。その費用を、消費者が広く負担したらどうか
という倒錯しているとしか思えない提案を、現在の
経産省は検討しているそうです。
原発新設に消費者が費用負担の案 経産省、発電所建設の促進策 (msn.com)
原発 ⇒ 事故が怖い ⇒ 運営電力会社
(TEPCOとか) が反省せよ
というパターンの反応が反原発派の一部に、
いまだに見られます。
もちろん、原発運営会社の責任は問われない
といけませんが、
そもそも原発推進が国策であり続けている
ことに、根本問題がありますよね。
とにかく、
早くプーティンが正気を取り戻してロシア軍を
撤退させ、
日本政府も正気を取り戻して適切なエネルギー
ミックスの実現に取り組むよう、
(上述のようにウクライナは各発電への
依存度が高かったのが、「人の嫌がることを
する天才」 であるロシア軍が原発を占拠した
理由の1つでしょう)
祈っております!