CNBC(アメリカのダウ ジョーンズとNBCが共同設立した
ニュース放送局)のウェブサイトより
ザポリージャ原発関連のニュースがひっきりなしなので、
しばらくJCPOAのことを取り上げられませんでした。
やはり、一人で運営するウェブサイトには、限界がありますね。
でも、JCPOAの重要性を忘れていたわけじゃ、
まったくありません。特に、2022年8月現在の対ロシア経済
制裁とヨーロッパの天然ガス不足という状況にあって、資源
輸出国イランの動向は重要性を増しています。
いうまでもなく、
イランへの制裁解除、イランから再び大量に石油や天然ガスを
輸出 ⇒ 世界の石油やガスの価格が下落 ⇒ ロシア経済への打撃
という流れが予想されますよね。
やはり、中東は現在の世界を揺るがせる地域なのですね。
そんなわけで、JCPOAの最新の動向について、CNBCの
ウェブサイトから。
いつもどおり、私の抜粋・日本語化で、< > 内は私からの
補足説明です。
JCPOA 2.0 will be different from predecessor: Virginia Tech professor (cnbc.com)
合意 ~~??
私の作品 “Argument IV”
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イランがロシア・中国に接近する中、JCPOA核合意は
まったく姿を変えるはずだと、教授
最終更新: 2022年8月24日、米国東部夏時間12:18
Lee Ying Shan記者、Natasha Turak記者
・ Joint Comprehensive Plan of Action(JCPOA)と呼ばれる
イランとの核合意の新バージョンは、以前のものとは大きく異なる
ものになるだろうと、ヴァージニア テック大学の経済学教授 Djavad
Salehi-Isfahani は述べている。
・ 「JCPOA ver. 2.0は、ver. 1.0とは大きく異なるものになろう。
1.0の実現にあたった <イラン> 政府は穏健派の政権で、全体として
西側との和解に勤めていた」と、Salehi-Isfahaniは言う。
・ だが一部のアナリストたちによれば、イランは現在ロシアや
中国など東側との結びつきを強めているが、完全に東側を向かせて
しまうのは、良いver. 2.0 (プランB)ではない。
JCPOA)と呼ばれるイランとの核合意の新バージョンは、以前のもの
とは大きく異なるものになるだろうと、ヴァージニア テック大学の
経済学教授 Djavad Salehi-Isfahani は述べている。
「JCPOA ver. 2.0は、ver. 1.0とは大きく異なるものになろう。1.0の
実現にあたった <イラン> 政府は穏健派の政権で、全体として西側との
和解に勤めていた」 と、Salehi-Isfahaniは言う。
2018年に当時のドナルド トランプ大統領の下、アメリカがJCPOAから
脱退した。この合意を再建するための加盟諸国による交渉が幾度も
ウィーンで行われてきたが、その最初の会談は昨年始まった。
オバマ政権時代に成立した2015年の最初の合意では, イランはその
核プログラムの大半を破棄し、国際監視団による査察をさらに受け
入れ、その代償に経済制裁を解除してもらうことになっていた。
この初回のJCPOAには、アメリカとイラン以外の世界主要国、
つまり英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国も加盟していた。
イランの現在の大統領であるエブラヒーム ライシ(Ebrahim Raisi)は、
2015年当時にJCPOA締結に当たったハッサン ルハーニよりも 対西側
強硬派と見られている。
Salehi-Isfahani 教授によれば、2015年の合意は 「イランの西側との
関係を正常化することを狙ったものだった。ルハーニ政権のチームや
政治的基盤は国内の現代的な中産階級で、西側志向が強くイランが
ロシア・中国寄りになることに反対していた」
「だが新たなJCPOAが成立したとすれば、その環境は大幅に異なる。
今やイランは、西側を向かず東を向いているためだ。別種の合意を
必要としているのだ」
あちらを見なさい
私の昔の作品 “Truth Gone II”
東を向くイラン
2018年2月、アメリカがJCPOAから脱退する以前に、イランの最高
指導者アヤトーラ アリ ハメネイ師は、「東から西へ」という転換が
イランの優先課題だと述べていた。
「トランプが合意から脱退した後に、ハメネイ最高指導者はイランは
東側にさらに注目する必要があると明言した」 とSalehi-Isfahani は
述べている。
ライシのもとでイランは、ロシアそして中国との結びつきの強化に
努めてきている。
昨年9月にライシは、イラン大統領としては初めてタジキスタンを
公式訪問し、上海協力機構 (SCO) のサミットに出席した。
SCOでのイランの立場はオブザーバーというものであり、
SCOは中国とロシアがこの地域のセキュリティのために
結成した組織である。
「ライ氏が選挙で大統領に選出されて以来、イランはSCOの
メンバーシップを求めている ・・・ ライシはさらにモスクワを
2回訪問しており、プーティンもテヘランを訪れている」 と、
Salehi-Isfahani 教授は語っている。
さらにイランとロシア両国の外務大臣は、ロシアのウクライナ
侵略に伴う国際的なロシア非難を受け、最近テヘランで
話し合いをした。
ライシは大統領に就任した際、中国とイランの25年間に及ぶ
包括的協力プログラムへの取り組みを繰り返し訴えていた。
そんな代案じゃ ・・・
私の100 分デッサン
良いver. 2.0 (プランB)ではない
どのような合意が締結されようと、西側企業はイランと商売を
する気を減じるだろうと、ジュネーヴ セキュリティ 政策センター
(Geneva Center for Security Policy)のエグゼクティブ フェローの
Ali Ahmadは言う。それは、1つにはイランに対する今までの
経済制裁の余波があること、また1つには企業としての責任
(デュー ディリジェンス) である 「取引相手のことをよく
知って」 イラン軍部との関係がないことを確認することが
困難なためである。
「ヨーロッパの企業や投資家は、イラン市場については
“様子を見よう” という態度に出るか、避けようとするかの、
いずれかになると思われる」 とAhmadiは述べている。
「実際にイラン市場に入り込もうとしているのはアジア諸国で
あり、たとえば中国、インド、トルコ、マレーシア、カタール
などだ。特に、中国である」
だが、東側の主要国への接近は顕著ではあるが、東側一辺倒に
なってしまうなら 「良いver. 2.0 (プランB)ではない」 と
Ahmedi は述べている。
「確かに中国はイランの原油を買い、必要物を売り込み、工場も
建設している。だが中国企業はアメリカからの経済9制裁に
ついては、リスクをかぶる覚悟がない。制裁リスクが軽減しない
限り、大掛かりにイラン経済にかかわろうとはしないのだ」
Ahmediによれば、ライシ政権はアジア諸国の経済とのつながり
強化を望んでいるが、同じような問題は多くのアジア諸国にも
該当する。
Ahmediはさらに、「イランのロシアとの通商は、実は極めて
小規模なものだ。今後大幅に増大する見込みではあるが、
JCPOA合意を締結できなかった場合の穴埋めとなるほどの
規模にはならない」
どうなることやら~~
私の20分クロッキー
障害
2015年に本来は締結されたJCPOA合意の新しいバージョンの
合意に到達できるはずだという希望については、イランは
ここ数年になく楽観的だ。だが、重要な障害がいくつかある。
EUは新合意の 「最終文面」 を提出したが、イランの交渉官たちは
いくつか問題点を指摘しており、それらの問題には調停が
不可能である危険性もある。一例としてイランは新合意が拘束力を
有することを望んでいる。これは、将来もアメリカ政権が
新合意に <トランプ政権のように> 違反しないようにするためだ。
Kpler社の上級商品アナリストReid I’Ansonも、この合意の再建に
ついては懐疑的だ。それは、国内に妨害要因があるためだという。
彼は先週CNBCの 「Capital Connection」 で、この合意の再建は
ありそうにないと述べている。アメリカ国内では人気のない合意で
あり、イランの内部では 「歓迎されていない」 ためだそうだ。
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今後も、何か新たな進展があれば、JCPOA交渉のことを取り上げて
まいりますね。