VOA News より(アメリカの国営放送VOAは
有名だから、皆様もご存じですよね?)
British Lawmaker: Nuclear Accident Could Draw
NATO Allies into War
(英国の議員、<ザポリージャで> 原発事故が
あれば、)NATO諸国が戦闘に?)
なんとも物騒な発言ですが、現状ではまんざら
「ありえない」 では済ませられないので、余計に
怖いですよね。
「やかんをのせたら~~」 では、「原発が巨大
ダーティ ボムになってしまう」 軍事リスクを幾度も
指摘してきました (上の黒いメニューにある
g-5), g-6), u-1) など) が、さらにそこから世界
大戦がはじまってしまう危険性すら、笑って済ませる
ことはできなくなってる ・・・ ということです。
従来の日本の反原発団体の多くが、なんでこうした
深刻な軍事面のリスクを声高に指摘してこなかった
のか?? ショージキ、私は理解に苦しんでおります。
では、この英国議員の発言を取り上げている VOA
Newsの記事を紹介しますね。
British Lawmaker: Nuclear Accident Could Draw NATO Allies into War (voanews.com)
2022年8月20日
いつもどおり、私の抜粋・日本語化で。
< > 内は、私からの補足説明。
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英国保守党の議員Tobias Ellwoodは、同下院の国防
特別委員会の委員長でもある。そのEllwoodが、
ザポリージャ原発で何らかの核事故が発生した場合には、
ロシア対ウクライナの現在の戦争に、NATOが参戦する
可能性が生じると警告した。
「もうはっきりさせておかないといけないが、ウクライナに
あるいずれかの原子炉に対して意図的に損傷を加え、
放射性物質漏出の危険性をもたらすなら、NATOの規約
第5条への違反となりかねない」 と、同議員は金曜日
<8月19日> に Twitterで述べた。
NATOの条約規約第5条によれば、ヨーロッパか北米かを
問わず、NATO加盟の同盟国のいずれかに対する武装攻撃が
あれば、NATOの全加盟国に対する攻撃とみなされ、
加盟国はすべてその攻撃を受けた当該国を支援するために
必要と判断する措置を講じる義務を負う。
はっきりさせておこう:
ウクライナにあるいずれかの原子炉に対して意図的に
損傷を加え、放射性物質漏出の危険性をもたらすなら、
NATOの規約第5条への違反となりかねない
@ thetimes pic.twitter.com/FFv6KR1xdq
— Tobias Ellwood MP (@Tobias_Ellwood) 2022年8月19日 ]]
フランスのエマニュエル マクロン大統領との金曜日の電話会談で、
ロシアのヴラディミール プーティン大統領は、ロシアは
国際査察官たちが、ロシア軍が占拠しているウクライナの
ザポリージャ原発に入るのを許可すると述べた。同原発は、
ヨーロッパでは最大の核施設だ。
その階段から数時間後、二次大戦後半にナチスが占拠して
いたフランス南部に <英米などの>連合軍が上陸した作戦
<1944年夏のドラグーン作戦のことでしょう> の第78周年の
記念日に合わせた演説をしていたマクロンは、プーティン
大統領がウクライナに 「野蛮な攻撃」 を仕掛けたのは、
帝国主義的かつ報復主義的なこういであり国際法に違反して
いると非難した。
マクロンはフランスの市民に対し、この <ロシアによる>
攻撃が招いたヨーロッパを直撃しているエネルギーおよび
経済の危機はまだ続いており、「われらの価値観、われらの
自由の代価である」 とした。
「ヴラディミール プーティンがウクライナへの野蛮な攻撃を
開始して以来、フランスからもわずか数時間の場所、
ヨーロッパの中で戦争が再び始まってしまった」 とマクロンは
語り、さらにプーティンはその 「帝国主義的な意図」 を
ヨーロッパに押し付け、「諸国の主権や権利を暴虐的に無視」 し
「復讐の悪霊を」 呼び覚まそうとしている、とも述べた。
ヨーロッパでは、ザポリージャと周辺の砲撃のため1986年の
チョルノービ原発災害を上回るほどの破局が起きてしまうのでは、
という憂慮が拡大している。
IAEAのヘッド Rafael Grossi は、「最近ロシアとウクライナの
両国がIAEAによるザポリージャ原発への調査団派遣を支持する
との意志を表明したことを、歓迎する」 と語っている。
ウクライナのヴォロディミール ゼレンスキー大統領は、
金曜日に毎日の演説において、「ウクライナの外交官たち、
また国連ならびにIAEAへのウクライナ代表者たちは、
ザポリージャ原発への調査団派遣の具体的な詳細を詰めている。
・・・ この作業と計画に協力してくださっているすべての
方々に、私からお礼を申し上げたい」 と語った。
ゼレンスキーはさらに同演説の中で、「放射性物質を
利用したロシアの脅迫が続くようなら、今年の夏は多くの
ヨーロッパ諸国の歴史の中に、最も悲劇的な夏の1つとして
記録される恐れもある。なにしろ、テロリスト国家が原発を
攻撃目標にしてしまった場合のことを想定した対応
指示などというものは、世界のどの原発にもないからだ」
と警告を発していた。
*******************
被害当事国の大統領による最後の言葉、重いですよね。
VOAの英語原文では、
— not a single instruction at any nuclear power plant
in the world envisages a procedure in case a terrorist
state turns a nuclear power plant into a target.
です。
こうした、「既存原発が一種の “核兵器” として悪用されて
しまう」 リスクを、日本でももっと広く論じる必要が
ありますよね。
実際、日本の自衛隊で各種リスクを分析してらっしゃる方々の
見解では、某 一党独裁国家が日本本土に攻め込んできた場合、
最初に上陸・占拠するのは若狭湾にある敦賀原発と見られて
いるそうですし。
なお、言うまでもなく 「英語のニュースの読み・聞きなんて、
大変だ」 とおっしゃる皆様のために、「やかんをのせたら~~」
では各種の核関連英語ニュースの日本語化紹介をしております。
でも、皆さんがご自分で英語圏のニュースを聞き・読みして
充分に理解し、比較検討できるようになれば、それに
越したことはありません。
そんなことを言うと、
「なんだよ、英語ができなきゃ、原発に反対しちゃ
いけないのかよ!」
といった誤解をなさる方がいらっしゃるものです。
「英語ができなきゃ、原発に反対しちゃいけない」など
とは、私は一言も申しておりません。
ただ、反原発派の中の何十%かが充分に英語での
情報収集や分析、英語圏の反核団体とのやり取り、
英語での世界への情報発信などもできる程度にならないと、
日本の反核運動は 「2011年から今までの、“敗北の11年間”」 を
繰り返すでしょうからね。
上の黒いメニューにある add-4) をクリックして、
ごちゃごちゃの図もご覧ください。
日本の原発関連法規、ホスト自治体の経済、原発作業員の
雇用とよせば問題、原発事故避難者で日本語を話せる方々への
支援といった問題を専門にしたい方々の場合、別に日本語さえ
充分に使えればそれで良いですよね。
でも、たとえば世界での核兵器拡散問題、地球規模の気候変動、
原発が絡んだ軍事問題 (ザポリージャもその1つです)、
新型原子炉、世界的な情報発信などに携わりたければ、現実上、
英語がかなりできないと (1つの目安として、最低でもTOEIC
スコアが750前後以上)、お話になりません。
さらに、原子炉工学を詳しく扱う場合なら、関連論文類
(英語のものが多い) を読めるだけでなく、その中にある
数式も充分に理解できませんと。
「原発問題」 という1つの分野があるわけじゃないので、
一人一人が 「自分は、どの関連問題系に取り組んでいくのか、
何をやるのか」 を明確にすることが必要ですね。