ウクライナ危機と核兵器

なにも、不安をあおる意図はまったくありませんよ!

しばらく固定ページでのIFR関連の内容作成に追われていたので、
核に関する世界情勢の紹介などをお休みしておりました。
IFR関連のページ シリーズ if-x) が出来たので、世界情勢の話題に戻りますね。

2022年2月19日JST現在、ウクライナ情勢が全世界の心配と注目を集めて
いますよね。
ウクライナと言えば旧チェルノブイリ原発の立地ですし、旧ソヴィエト時代には
核兵器も配備されていた場所です。今も、ウクライナ国内には核発電所があります。
軍事衝突は世界のどこでも起きて欲しくありませんが、特にこんなところでは、
軍事衝突は何としても回避してほしいものです。
「核兵器・発電」の存在が深刻な事態をさらに危険で複雑なものにしてしまって
いる実例を、私たちはたった今、目撃しているのですね。

そうはいっても、私自身は軍事や国際情勢の専門家ではないので、専門家の見解を
見てまいりましょう。
Forbes誌に掲載されているMichael Krespanという方の論評から、私の抜粋・
日本語化で紹介します。Krespanさんは、アメリカのワシントンにあるStimson
Centerというシンクタンクの設立者です。

The Ukraine Crisis Could Have Serious Nuclear Repercussions (forbes.com)
にあります。2022年2月9日付のテキストです。

Wanna Get Nuked?
”Wanna get nuked?”
私の昔の作品より

(私による抜粋・日本語化、< >内は私の補足説明)
The Ukraine Crisis Could Have Serious Nuclear Repercussions
(ウクライナ危機、核を伴う深刻な反応を招く恐れも)

ヴラディミール プーティンは、以前には狡猾で警戒心にも優れていた。
今や、警戒心をかなぐり捨てさろうとしており、それで全世界の中止を
集めている。
・・・・・・・・(中略)・・・・・・・

だが今回の危機は発展してしまっており、核拡散と軍縮という点で悪い知らせだ。
最悪の場合、核兵器が使用される戦争もあり得る。ただ、今のところ、
そうした最悪のシナリオに近づいているわけでは、まったくない。だが、
そこまででなくても、核が絡めば深刻な事態を招く。しかも、現実にそうなる
兆候がある。

今のところ、核戦争の危機ではない。その理由は、次の3つだ。まず、ロシアは
(ウクライナに対して)圧倒的な通常兵力での優位さを有しており、核兵器を使う
理由がない。2番目に、戦時には核兵器は自国防衛のための手段として適切では
ない。さらに、ウクライナは核兵器をまったく保有していない。3つ目に、
アメリカはウクライナ領土で戦闘をすることはない。アメリカをはじめ
NATO諸国の一部はウクライナの戦闘を支援はするだろう。だが、ウクライナの
ために戦闘に参加することはない。戦闘以外の支援をする、ということだ。

<今では> ウクライナは核兵器を保有していない。これは、旧ソヴィエト連邦が
解体した後、<アメリカの1990年代の>クリントン政権からの支援の下、
ロシアがウクライナに残していた核兵器の回収をおこなったからだ。
その代償として、ウクライナは独立国としてやっていくために必要な援助を
手にした。このウクライナの非核化はベラルーシやカザフスタンの比較とも
相まって、
「核兵器の漏出」や核テロリズムの予防に貢献したのだ。<上の黒いメニューで、
ページ Add-3) も参照> さらにこの非核化によって、核兵器使用を防止する
ための基本的な防波堤の1つである核不拡散条約を無制限に拡大していく
ための道も出来たのである。

ウクライナ国内・国外を問わず、ウクライナの領土から核兵器を撤去したのは
誤りであったと考える人たちが、<今となって> いる。だが、忘れてはいけない。
当時、ウクライナに残されていた核兵器のコントロール権をめぐり、ウクライナ
政府とロシア政府の間で争いがあったのだ。もし、兵力で劣るウクライナが
核兵器を掌中に収めようとしていたら、大変危険な結果を招いていた恐れがある。
さらに、ウクライナには核兵器を保持し安全に保管するための専門技術も資金も
なかったのだ。

Something Wicked This Way Comes
Something wicked this way comes —
私の昔の作品より

出来たばかりのウクライナ政府には、西側からの経済と外交両面での援助が
必要であった。その支援の前提として、非核化があったのだ。核兵器を手放す
ことの見返りに、ウクライナはロシア、アメリカ、英国から安全保障の約束を得た。
ただし、鉄壁の確約とまでは、行かなかったが。

それが、1994年のことだった。さらに5年後、ボリス イェリチンは核兵器という
城郭に入るためのカギをプーティンに手渡した。さらに2008年、<当時のアメリカの>
ジョージ W. ブッシュ大統領はNATOに圧力をかけ、ウクライナのNATO加盟を認める
よう迫った。そして2014年、ウクライナの市民たちは、当時のロシア寄りの汚職に
まみれた指導者を追放した。そこでプーティンは、ウクライナの安全保障の約束が
記された書類に火をつけてしまった。つまり、ウクライナ東部の領土を併合し、
さらにクリミア半島も併合してしまったのだ。そして今、彼はウクライナの東部1/3
ほどに進攻しようとしている。

プーティンが大掛かりな進撃を許可した場合には、ウクライナが非核化したことが
世界的な関心を集めることになろう。特に、自らは核兵器を保有せず、アメリカの
カバーを頼りにしている諸国の間では。国によっては、核兵器を手に入れるという
正式な決定は下さずに、核兵器入手の可能性も探るという「両面作戦」にうって
出ることもあろう。今の時点で、そうした実例の最も顕著なものがイランであり、
核開発をかなり進めている。それよりは軽度の「両面作戦」諸国の大半は、
アメリカと関係を結んでいる。その実例として、サウディアラビア、UAE、
トルコがある。それらに加えて、韓国、台湾、日本もウクライナ危機の今後の
進展をつぶさに見つめているのだ。


「やだ、落ちていく~~」
私の20分クロッキーより

・・・・・・・・(中略)・・・・・・・
冷戦の終結時には、軍縮が目を見張るほど成功した。核戦争防止のための
主要要素すべてが揃った。ジョージ W. ブッシュ、プーティン、ドナルド
トランプの誤った判断のため、そうした核戦争防止のための構築物の多くが崩壊して
しまった。ウクライナでロシア軍が大掛かりな攻勢に出ることになれば、その
構築物の再建は、さらに難しくなってしまう。さらに中国のXi Jinping(習近平)
首相は台湾を視野に入れており、<2022年の>北京オリンピックでの聖火ランナー
たちの行方も、まだ判明してはいないのだ。そうした中には、ウイグルの人たちも
含まれ、ウイグルの民族主義者たちは「再教育キャンプ」に収容されている。
また、国境紛争を抱えているインドとの国境地帯での戦闘で負傷した士官の行方も、
まだ知られていないのだ。

*********************
日本では1990年代以降、経済の崩壊ばかりが社会の関心を集めてきましたが、
そうしている間に世界は新たな冷戦に突入してしまったようにも思えます。
この新たな冷戦の世界で、核兵器の存在はこの惑星の生命の存亡を左右する
大問題ですよね。
つまりは、核兵器と不可分な宿命を背負う核発電も、全廃を目指していくのが
賢明ということになります。

それと、韓国、台湾、日本と併記されている箇所にもご注意ください。
日本も、潜在的核兵器保有国と「外からは」見なされているわけですよ。
その日本の反原発団体がproliferation risksに疎いようでは ・・・

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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