英語記事を読める方々は、元記事をどうぞ!
Report: US discussing freeze-for-freeze approach on Iran | ערוץ 7 (israelnationalnews.com)
やはり、イスラエルはイランの核活動に対する
反応が違いますね。日本語メディアが最近
ほとんどイランの核関連ニュースを報じて
いないのに対し、イスラエルの国営報道では、
このとおりIranian Nuclear Crisisという
シリーズを展開してらっしゃいます。
ついでながら、「核発電と核兵器の不可分性」
という問題系を突っ込んでいくなら、日本語の
情報だけに頼っているとすぐに行き詰りますよ
と、私は以前に申しました。それを読んで
反感を感じた方々もいらっしゃるはず。でも、
御覧のとおり、現実を根拠にした私の発言
だったのですね。
それに、たとえば 「原発事故の放射能が
怖いから、原発に反対しているだけなのに
~」 という方々は、「核発電と核兵器の
不可分性」以外にも各種問題系があるわけ
ですし。
では、そのIsrael National Newsの記事を。
例によって私の日本語化、
< > 内は私からの補足説明
です。
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報道: イランの核活動で、アメリカは核活動
の凍結と制裁緩和の交換を検討
バイデン政権はヨーロッパのパートナー諸国
ならびにイスラエルとともに、イランとの暫定
的な合意提案についての討議を行った。
その提案の一環として、イランがその核
プログラムの一部と凍結するなら、経済制裁
の一部を解除する、という取引も含まれて
いる。
2023年4月4日
ここ何週間かバイデン政権はヨーロッパの
パートナー諸国ならびにイスラエルとともに、
イランとの暫定的な合意提案についての
討議を行った。その提案の一環として、
イランがその核プログラムの一部と凍結する
なら、経済制裁の一部を解除する、という
取引も含まれている。イスラエル高官、
西側外交官、アメリカの専門家でこの提案を
知る者たち10名が、今週月曜日に
<4月3日> Axios (アメリカのニュース
ウェブサイト) のBarak Ravidに述べた
情報である。
バイデン政権によるこの新たなアプローチ
からは、最近のイランの核プログラムを
アメリカがどれだけ憂慮しているかが分かる。
2015年の核合意を再建しようとする外交
努力をあきらめてはいないが、昨年イランが
ロシアへの軍事支援を行ったこと、また
イラン政府が反政府抗議運動を弾圧した
ことを理由に、イランとの外交で同核合意
再建を取り上げなくなっている。
今年1月にはバイデン政権はそうした
新しいアプローチに関する討議を開始、
翌月にはイスラエルならびにE3 の
3か国(フランス、ドイツ、英国) という同盟
諸国に対し、新しいアプローチに関する
ブリーフィングを行ったと、上述の10名は
述べている。
この討議での提案の一環として、イランが
ある種の核活動を凍結すれば制裁の一部を
解除する、というものもあった。主な内容と
しては、イランがウラニウム濃縮を60%で
止めるというものがあったと、上述の
イスラエル高官、西側外交官、アメリカの
専門家たちは述べた。
イスラエル高官1名と西側の外交官1名
によれば、イラン側もアメリカのそうした
討議を認識しているが、現時点までは
それを拒否している。Axiosがイラン
外務省にコメントを求めたが、同外務省は
返答していない。
この新たなアプローチは、ホワイトハウスの
国家安全保障顧問のJake Sullivan ならび
にCIAのBill Burns 長官が提唱したものに
似ている。2013年にイランと関連諸国は
「共同作業計画」 (Joint Plan of Action、
JPOA) に署名したが、その当時のアメリカ
のオバマ政権にBurnsは在籍していた。
このJPOAの一環として、イランが短期間
核プログラムを凍結する代わりに、他国は
イランへの経済制裁の一部を解除したのだ。
この当初の暫定合意は6か月間のもので、
その後幾度か更新された。最終的な合意は、
2015年7月に締結された。
ホワイトハウスの国家安全保障会議の
スポークスパーソンによれば、バイデン
大統領は 「イランが決して核兵器を手に
することがないよう全力を傾注しており、
そのためには今も外交こそがベストの手段
だと信じている」。
そのスポークスパーソンはさらに、バイデン
政権はあらゆる選択肢や偶発事態にも、
パートナー諸国や同盟諸国と完全に足並み
をそろえて対応できるよう用意を整えている、
とも述べた。だがホワイトハウスは 「外交
討議に関する派生的な流言に関しては、
コメントしない。ただ、そうした流言の大半は
誤りだと警告だけはしておく」。
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核問題というと、2023年4月現在の時点
では、どうしてもロシアの戦術核配備に目が
向かいますし、それは当然だと思います。
さらに、北朝鮮ですね。
でも核兵器は、ある日突然ヒョコっと出てくる
わけじゃなく、ウラニウム濃縮や使用済み
核燃料からのプルトニウム抽出などの
プロセスがあって初めて出来るものです
よね。
そうしたプロセスにも目を光らせておか
ないと。
出てきた核兵器だけに騒いでいると、
それが核発電というプロセスから出てくる
ものだという自明な事実を見落としがちです。
プロセスも見張っていないといけない。
ここに、核問題を扱う場合の面倒さの1つが
あります。