yards-1) (カネ) 原発に蠢く税金、パリサデスの実例
2024年3月
かなり長いですよ~
Beyond Nuclear Bulletinの
2024年3月14日号にある、アメリカは
ミシガン州のPalisades原発再稼働に
伴う巨額の公金投入に関する記事を
日本語化しました。
長い記事ですので、時間のない方は
何回かに分けてお読みくだされば。
Palisades原発の再稼働騒ぎに至った経緯
はやや複雑なもので、断片的な報道だけを
読むと訳が分からなくなります。本記事で
Beyond Nuclearさんが、全体像をまとめて
くれています。
日本でも原発再稼働が問題になっています
ので、アメリカでの再稼働目論見の実例と
して、長い記事ですが読む価値があります。
で、お読みになる際の視点としては、
「ゾンビ―原発再稼働」には公的な資金が、
つまり血税が、どれだけ注ぎ込まれるの
やら??
断っておきますが、下記の記事は「試算」なんか
じゃなくて、「実例」ですからね。
日本では目下のところ、
「原発再稼働で電気料金が下がるのなら、
早く再稼働してくれ!」
という声が大きいですよね。
でも、原発の裏で蠢く巨額の税金のことも
考えての判断でしょうか??
もし、原発の再稼働や新設が将来の増税を
誘発したら ・・・ 目先の電気料金が少し
下がっても、何の意味があるのでしょうか?
では、Palisades原発関連の長い記事を
日本語で紹介しますね。
英語の元記事を読みたい方は、
Breakdown of Bailouts at Holtec’s Palisades NPP – Beyond Nuclear
へ。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です
********************
********************
財政援助、支給金、補助金、やれやれ!
原発などを監視している反核勢力として
は、どうすれば良いのだろう?
しっかりと腹を決めて勇気を出し、
頭脳を駆使して反対活動を展開しない
といけないようだ。
Holtec International社 <という、
アメリカに本社を置くエネルギー産業
機器の企業> が、<ミシガン湖に
ある> パリサデス(Palisades)という
ゾンビ―原発を再稼働するという、前例
もなく あまりにもリスクの高い事業を
やらかそうとしているのだが、そのため
政府から巨額の補助金を申請している
のだ。なんと同社を推す高官たちが
アメリカ政府の中にいて、その補助金
申請を認めようとさえしている。しかも
再稼働に加えて、いわゆる小型
モジュール原子炉(Small Modular
Reactor、SMR)<上の黒いメニューの
真ん中あたりにある固定ページ s-1) を
参照> を新たに、ミシガン州南西部の
Covertというミシガン湖岸にある小さな
町に立つパリサデス原発の小さな敷地内
(約1.75平方km)に建設しようとも
している。
以下では、この一旦閉鎖されたはずの
パリサデス原発の再稼働に関連して既に
申請が出された公金拠出、そしてこれ
から近日中になされそうな公金拠出を、
1つ1つ紹介していこう。しかも
パリサデスだけではなく、その兄弟原発
とも言うべきビッグ ロック ポイント
(Big Rock Point) 原発との関連も含む。
ビッグ ロック ポイントもミシガン州
西部のミシガン湖岸に立ち、やはり
既に閉鎖されている。
SMR建設に対する、アメリカ
エネルギー省(DOE) からの74億ドル
のローンの保証
今となっては数年前になるが、Holtec
社はアメリカ エネルギー省に対し、
原発用ローンの保証として74億ドルを
申請した。このローンは、いわゆる
「小型モジュール原子炉(SMR)」
複数基の設計の認証、建設、稼働を
対象とするものだ。今までのところ
Holtecがこの申請の対象としている
原発は3か所で、しかも廃炉だけを
目的としているという虚偽の名目での
申請のようだ。その3か所とは、
ニュージャージー州<アメリカ東岸
部の州です> のオイスター
クリーク(Oyster Creek)原発、そして
ミシガン州のパリサデス原発とビッグ
ロック ポイント原発だ。Holtec社が
パリサデスにSMRを建設しようという
「アド バルーン」を最初に、試みに
公表したのは2022年4月初旬のこと
だった。それ以来この2年近く、
パリサデスにSMR-160(1基あたり
発電容量が160MW)を4基建設しよう
と提唱している。だが2023年12月
5日、Holtecは突如として説明も
なしに計画を変更、SMR-300を2基、
パリサデスに建てようと言い出した。
確かに今回の原発ローン保証の一部は
他の原発敷地でのSMR建設にも利用
できるものではあるが(その例として、
パリサデスの「兄弟原発」であるビッグ
ロック ポイントの敷地も含まれる。
これは、ミシガン州北部のミシガン
湖畔、Charlevoix郡にある)、2基の
SMR-300 をパリサデスに建設する
だけでも、74億ドルのかなりの部分が
食いつくされてしまう。このローン保証
の根拠となっているのは、2006年の
エネルギー政策法(Energy Policy Act)
の成立、それに続いて2007年12月
23日にアメリカ議会が225億ドルの
原発ローン保証を充当したことだ。
その金額のうち「わずか」120億ドル
だけが今までに 利用されているのだが、
それはジョージア州にあるヴォートル
(Vogtle)原発の3号基と4号基の新設
にすべて充てられた。(オバマ政権時の
エネルギー省から83億ドルが承認され
さらにトランプ政権時にやはり
エネルギー省が37億ドルを承認した)
このため <上述の225億ドルの>
ファンドのうち105億ドルが残って
いるが、そこから今回の74億ドルが
Holtecに支給されるというわけだ。
ただし <この支給をめぐっては>
Holtecには他のSMRベンダーという
競合相手がおり、そのためまだ確定
しているわけではないことに、
ご注意いただきたい。
*********************
アメリカと日本では確かに補助金や
法律の制度は異なりますが、
・ 原発には巨額のカネがかかる
・ 老朽原発の延命・再稼働にも、巨額
の公金が動く
という事実に変わりはないことは、皆様
もよくご存じのとおりです。
すると当然、再稼働 ⇒ 増税へつながる
という流れも考えませんと。
仮に電気料金が一時的に下がったとして
も、その後で増税が実施されてしまえば
一般市民にとってはかえって損ですよ。
では、記事本文を続けましょう:
********************
パリサデス廃炉信託ファンド」(Palisades
Decommissioning Trust Fund)から無駄
に供与された、数千万ドル(あるいは、
数億ドル)?!
Holtecがパリサデス原発の所有権を得た
のは2022年6月28日のことであった
が、廃炉作業のためという名目で
あった。この際には所有権を手に
入れただけではなく、パリサデス廃炉
信託ファンド(DTF)の利用資格も得た
のだ。だが本記事で述べているように、
Holtec は詐欺的行為を働き一種の
おとり商法に打って出た。2022年
9月9日の発表にあったように、
パリサデス原発を再稼働すると言い
出したのだ。これは前例のない策略で、
公的資金を激しく食い尽くすため激怒
に値するものであるとともに、安全性、
安全保障、健康、環境のすべてにおいて
極度のリスクをもたらす。2023年3月
31日、Holtecの恒久的に廃炉が決まって
いるハズの諸原発すべて(ニュー
ジャージー州のオイスタークリーク、
マサチューセッツ州のピルグリム、
ニューヨーク州インディアン ポイント、
ミシガン州のパリサデスとビッグ
ロック ポイント)に対する廃炉信託
ファンド(Decommissioning Trust Fund
DTF)支出が、アメリカ原子力規制
委員会 (Nuclear Regulatory Commission
NRC)のADAMS (Agency-wide
Documentation and Management
System、直訳では「庁規模の文書管理
システム」) という広報システムに
発表された。特に目に付く点として、
2023年1月1日から12月31日までの
期間中にHoltecはその各種DTFからの
資金5億6,500万ドルを消費していた。
問題は、実際の廃炉作業がどこまで実施
されたのか、ということだ。(ならびに
使用済み核燃料の管理や原発敷地の修復
などの廃炉そのものではない作業も
どこまで行われたのか、も問題になる。
極めて遺憾であるが、NRCはDTFの
資金を不適切な用途に支出することを
既に認めてしまっており、こうした
使用済み核燃料管理や敷地修復などに
対する支出も認めてしまっている)
Holtecの場合、パリサデスDTFからの
支出が最も疑惑を招いており、警戒を
要する。2022年6月28日から同年
12月31日にかけて、Holtecは
パリサデスDTFから4,400万ドルを
費やしたと発表している。つまり、
Holtecはこのファンドからの金銭を、
この6か月の期間にわたり毎月733万
ドルずつ使っていたということになる。
だが2023年3月24日に同社は
パリサデスにてNRCと会合、いったん
閉鎖された原発の再稼働という前例なき
計画のための法規制に関する道行きを
論じ合ったのだが、その際にHoltecの
上級スポークスパーソンが明かした
ところによれば、同社はその時点で、
廃炉作業はほとんど、あるいは
まったく行っていなかった。Holtecが
その時点までに実施していた廃炉作業
といえば、人工通風式の冷却塔に
小規模の修正を加えただけで、しかも
それは容易に元に戻せると、この
スポークスパーソンは語っていた。
また使用済み核燃料の管理や敷地の
復元作業もほとんど、あるいは
まったく、なされていなかった。その
ため同原発を監視している諸団体は、
上述の4,400万ドルを Holtecが
いったい何に使ったのか、首をかしげ
ている。そうでなくてもパリサデス
原発のDTFは資金が極めて不足して
いるのだが、4,400万ドルはそのほぼ
10%に相当する。いったい、その
DTFで何をしたのか?
そこで2023年4月までに
Beyond Nuclearも含む
こうした監視諸団体は、NRCの捜査室
(Office of Investigations)ならびに監察
総監室 (Office of the Inspector General)
に対し、正式な申し立てを提出した。
Holtec (DTFからの出資を流用した疑い)
とNRCの該当スタッフ(Holtecによる
流用を許容してしまった)への操作を
求めたのである。DTFからの出資に
関する放棄や規則に違反したのでは、
という疑いだ。それから何か月か
経ってNRCの捜査官たちは監視諸団体
に報告をしたのだが、53,000ドルと
いう極めて少額の流用を除けばHoltec
によるパリサデス原発DTF出資金の
流用はなかったという主旨であった。
この53,000ドルについては、Holtecは
返却を約束している模様だ、とのこと
だ。この報告を受け、関し諸団体は
困惑した。もともとの疑問はHoltecが
DTFからの4,400万ドルを一体何に
使ったのか、というものであったのに
それに対する回答が見当たらないのだ。
諸団体では今も、Holtecがこのカネを
再稼働計画に使用したのでは、との
嫌疑を抱いている。こうした使途は
非合法だ。DTF使途に関する次回の
捜査結果報告は、2024年3月31日に
通知される予定だ。その報告内容次第
では、2023年12月31日以降に
なってもHoltecがパリサデス原発DTF
からの資金をかなりのペースで消費
してきたのか否か、判明するかもしれ
ない。
監視諸団体が憂いている問題と
して、HoltecがパリサデスDTFから
の資金を買収資金として利用、
パリサデス原発再稼働計画を進めて
いるのでは、との嫌疑がある。さらに、
その他の計画の推進にも流用してきた
恐れもある。そうなると、そうでなく
ても実に不適切なDTFからの資金が、
すべて他所に散逸してしまっている
危険性がある。ミシガン湖岸に佇む
パリサデス原発の放射性物質汚染は
既に深刻なものだが、そのクリー
ニングは全く、ないしはほとんど、
今後も実施される見込みがなく
なってしまう。
************************
本文中の文字色強調は、私が強調した
ものです。
上記では要するに、
・ Holtecは「廃炉しますよ~」と
言って税金からのファンドを受け取って
おいて、
・ 実際には廃炉作業はほとんど進めて
いなかった
・ それどころか、ゾンビ―原発を
再稼働したい、と言い出した
・ 再稼働を進めるため、公的ファンド
であるDTFからの資金を買収資金に
使ったのでは、との嫌疑すらある ・・
ってことですよね。
呆れかえる ~~
太平洋の東でも西でも、原発には巨額
が絡むので、こうした要捜査事態が
発生するものですなあ。
じゃ、記事本文に戻ります。
************************
ミシガン州政府からの、パリサデス
「ゾンビ―」原発再稼働のための
3億ドル
Holtecは2022年7月5日、パリサデス
原発再稼働のための補助金としてDOE
(アメリカ エネルギー省)に秘密裏の
申請を提出していたのだが、それに伴い
発覚したこととして、同社は同じ用途の
ためミシガン州政府にも3億ドルを
申請している。実際、この原発の再稼働
を最初に訴えたのはミシガン州知事の
Gretchen Whitmerで、2022年4月20
日のことであった。これはちょうど、
同年5月20日にパリサデス原発の以前
の所有者であったEntergy社が同原発を
恒久的に閉鎖した1か月前のことだ。
さらに2023年6月28日には、
ミシガン州議会はWhitmer知事の
パリサデス原発再稼働用補助金のため
の予算要求に応え、年間予算案の一環
として1億5,000万ドルを承認した。
この1億5,000万ドルが認められる
前提として、まず連邦からの資金が入っ
てくる必要があるのだが、それはまだ
入ってきてはいない。だが、すぐに
でも入金される可能性がある。さらに
わずか2~3週間前に、Whitmer知事は
第2回目の州政府からの拠出として
1億5,000万ドルを認めるよう提案
した。これが認められれば、州政府
からの支出総額はHoltecが求めた通り
の3億ドルとなる。州議会は、これに
関する答弁をまだ始めていない。昨年も
見られたことだが、パリサデス原発の
再稼働のために州政府がHoltecに
補助金を支出することに反対する
ミシガン州の環境団体が50近くあり、
その数は今も増え続けている。そう
した団体の中には、Sierra Clubの
ミシガン支部(ミシガン州民のメンバー
が150,000人)も名を連ねており、先日
は Michigan Environmental Council
<直訳すると、ミシガン環境評議会>
も参加した。このCouncilそのものが、
同州各地の70を上回る環境団体の
連合体である。
DOEからの民生用核エネルギー
クレジット(Civil Nuclear Credits)
20億ドル
2022年7月5日、Holtecは秘かに
DOE<エネルギー省>に対し、民生用
核エネルギー クレジット(Civil
Nuclear Credits、CNC)からの
”およそ20億ドル” の拠出を申請
した。CNCとは、2021年に制定された
インフラストラクチャー投資と雇用に
関する法律(Infrastructure Investment
and Jobs Act、「民主共和両党による
インフラ法」(Bipartisan Infrastructure
Law)と通常は呼ばれている)に基づき
設けられた、稼働中の原発に関する資金
拠出プログラムだ。再生可能エネルギー
など原発よりも安価な電源との価格競争
のため、稼働中の原発が「寿命が尽きる
前に」閉鎖されてしまうリスクに対処
するためのものだ。HoltecがCNCへの
申請を出したのは、パリサデス原発を
Entergy社から買い取って1週間後の
ことであった。本来、廃炉することに
なっていた。 ところがこれは詐欺行為
であったことが判明、おとり商法の一種
であった。Holtec はこの20億ドルで
パリサデス原発を再稼働しようと言い
出したのだ。こんなことは前例がない
だけでなく、安全、安全保障、健康、
環境にとって極めて深刻なリスクと
なる。
Holtecはこの申請の事実を
2022年9月9日まで完全に秘密と
しており、同日になって Whitmer知事
とともに廃炉計画の全面破棄と再稼働
計画とを発表した。HoltecもDOE も、
この申請の事実と詳細については社会
に公表せず、自己勘定売買の秘密と
していた。だが2022年11月18日に
なってHoltecが発表したところに
よれば、DOEがこの申請を却下した。
その要因の一部として、エネルギー
長官Jennifer Granholm(以前には
州知事を務め、ミシガン州の司法長官
でもあった)やWhitmer知事宛の環境
団体連合からの書簡があったのかも
しれない。そうした書簡は再稼働計画
への強い反対を表明するとともに、
パリサデス原発は既に恒久的な閉鎖が
決まっている以上CNCの出資を適用
できないと警告を発した。Holtec は
2022年11月18日の公表で、DOEが
同社からのCNC申請を却下したため、
今後はCNCの申請を行わず本来の
計画通りパリサデス原発を廃炉する
ことにすると述べていた。ところが
同年12月20日になるとHoltecは
またもや前言を覆し、あくまで
パリサデス原発の再稼働を求めると
言い出した。そのため、再度CNCを
申請するとした。実は DOE もその
CNC申請のガイドラインを改定して
おり、パリサデス原発にも申請が
できるよう曲芸的な細工を施してし
まった。
拡大を続けている環境団体
連合は引き続きGranholmエネルギー
長官に書簡を送り続け、この改定
ガイドラインはそれ自体が非合法な
ものだと警告した。E&E <という
アメリカに本部を置くエネルギー問題
や環境問題を専門とする報道機関>
のBrian Dabbsが2024年1月8日に
報じたところでは、HoltecはCNC
申請を今後は行わないとしていたの
だが、Beyond Nuclearも含めた監視
諸団体はHoltecへの不信をぬぐえない。
今までの経緯を見るなら、2022年11月
18日にはHoltecはパリサデス原発の
再稼働を目指さず本来の廃炉計画を実施
するとしていたのだが、そのわずか
1か月ほど後になると、同社は再度前言
を撤回、再稼働計画を復活させたのだ。
そのため監視諸団体ではHoltecは用意
が整いタイミングが来れば、再度CNC
申請を行うだろうと見ている。その
ため、CNC申請を実現できるよう裏
でのロビー活動を弛まず進めてきたの
では、との嫌疑がもたれる。
***********************
原発の背後で各種の不法なカネが蠢く
実例は、皆様もよくご存じでしょう。
アメリカでも同じ問題があるわけ
ですね。
じゃ、記事本文に戻りますね。
***********************
パリサデス原発再稼働に向けた15億
ドルの「つなぎ」ローン(保証)
2023年初頭までには、業界の報道に
よれば、パリサデス原発の再稼働で
Holtecが最優先としている補助金は、
「つなぎローン」と呼んでいる10億
ドルのDOEからのローン保証だ。
だが2024年1月30日付のBloomberg
の記事によると、このローン保証の
金額はさらに50%膨張、15億ドルに
なった。さらにBloombergの報道に
よると、Biden 政権は近いうちにこの
ローン保証を認めそうな様子だ。この
保証の出所は、2022年制定の
インフレーション軽減法(Inflation
Reduction Act)で設けられたファンド
である。金額が突如、説明もなく10億
ドルから15億ドルへと膨れ上がった
ことについては、疑問が生じる。同じ
ように、Holtecがパリサデス原発で
求めている他の補助金請求も50%
急膨張するのではないか、という
疑念だ。
電力購入契約(Power Purchase
Agreement): 市場相場よりも最大で
57%以上高い料金での電力販売。年間
の粗収益は4億1,250万ドル。26年間
この異常な高値で販売を続けた場合の
総収益は、100億ドルを超える。
2023年9月13日、Holtecは再稼働後
のパリサデス原発からの電力を買う
顧客を発表した。それはWolverine村
(ミシガン州) とHoosier (インディアナ
州) の農村電力組合である。だがこの
電力購入契約の内容は秘密とされた。
しかしその秘密の内容も、後に明るみ
にだされた。Beyond Nuclear がプレス
リリースを公表、Holtecが2022年7月
5日にDOEに対し秘密裏に提出して
いたCNC申請の内容を詳細に公表した
のだ。Beyond Nuclear はこの申請内容
を、情報公開法 (Freedom of Information
Act)に基づく要請によりミシガン州政府
から入手した。(この2022年7月5日
付の CNC 申請からは、上述のその他
各種の連邦政府ならびに州政府からの
補助金申請に関しても多くの事実が
明るみに出た。ドル紙幣の図がある文書
<どの文書のことか、私には不明> に
それらを記載してある) このCNC
申請においてHoltecは、2007年から
2022年にかけてEntergy社と
Consumers Energy 社 <という
ミシガン州に本社を置く天然ガスと電力
企業> の間で締結されていた電力購入
契約(Power Purchase Agreement、
PPA)をベースに、新たな電力購入
契約を作成中だと述べていた。
Consumers Energy社のスポークス
パーソンが2022年5月22日にBridge
Michigan <というミシガン州の非営利
報道機関> に述べていたように、2022
年までのPPAにおいてもConsumers
Energy社の電力を使う消費者は市場
相場より57%も高い電気料金を請求
されていた。HoltecがDOEに2022年
7月5日付で提出したCNC申請に
おいては、可能ならばHoltecが市場
相場よりも57%を超えて高い料金を
請求すると定められていた。Holtecが
さらに明かしたところによると、この
提唱されていたPPAでは、電力販売に
よる粗収益は年間4億1,250万ドル
以上に達するとのことだ。
2023年10月、Holtecは2051年まで
<この原発の稼働開始が1971年だった
ので> 80年間の稼働認可を求める申請
プロセスを開始した。同社の計画では
2025年8月にパリサデス原発の再稼働
を始める。つまり、Wolverine と
HoosierへのPPAに基づく電力販売は
26年間行われることになる。その26
年間にわたり(核燃料交換のための
停止期間や、故障や安全に関わる事故
などによる一時的なシャットダウン
などを除いて)、市場相場よりも57%
高額の電気料金が常時適用された場合
には、Holtec は以上に高い電気料金の
おかげで107億2,500万ドルを手に
入れることになるが、その高い電気
料金を負担するのはミシガン州と
インディアナ州の農村電力組合の電気
料金を払う消費者なのだ。市場相場
よりも57%も高い、ないしはそれ
以上の料金を請求することで、Holtec
が電気使用者から市場相場の場合より
も35億ドルを余分に獲得できること
に、注意。しかも、それが25年以上
もの期間、続くのだ。
****************************
日本では原子炉の稼働寿命を60年に
まで延長しようとの動きが問題に
なっていますが、このパリサデス原発
では80年 ・・・・ 呆れてものが言え
ませんなあ!
それにしても、このパリサデスの件、
日本の原発に関わる現状によく類似して
いると思いませんか?
では、記事本文に戻ります。
***************************
PPAでの電力販売のコストのうち25%
を賄うための、アメリカ農務省からの
9億7,000万ドル
2023年10月19日、再稼働のための
補助金もう1種、9億7,000万ドルの
ものが報告された。これはアメリカ
農務省からのもので、電力購入契約
(PPA) での電力販売コストのうち
25%をWolverineの農村電力組合に
対して払戻すものだ。このPPAの
25%が9億7,000万ドルであるの
なら、PPA全額はその4倍、つまり
38億8,000万ドルとなる。これを、
先ほど取り上げた数値つまり107億
2,500万ドルと比べてみよう。こちらの
数値は、Holtecが26年間連続で年間
4億1,250万ドルを売り上げた場合だ。
このPPAの詳細には魔物が潜んでい
そうで、さらに光を当てる必要がある。
そうした魔物の一匹として、パリサデス
原発からの電気料金の市場増場超過分
が農村電力組合で料金を支払う消費者
にとって、どれほどの負担増となるの
か、という問題もある。だが Holtecも
WolverineもHoosierもミシガン公共
サービス委員会(Michigan Public
Service Commission)も、このPPA
の内容の大半あるいは全体を曖昧に
しか明かしていない。 これだけの問題
である以上、全面的な透明性が欠かせ
ないはずなのだが。忘れていただき
たくないのだが、パリサデス原発から
の値段を引き上げ過ぎた電気料金の
25%を政府が払い戻すという補助が
実施された場合、それを負担するの
は(アメリカ農務省経由で)
アメリカの納税者たちなのだ。残る
75%は、農村電力組合のメンバー
たちが電気料金として負担すること
になる。
****************************
日本でも、原発は「国策」とされて
おり、原発がらみでは巨額の税金が
蠢きます。
原発再稼働で短期的に電気料金を
いくらか下げられると仮定しても、
いずれ増税を招くリスクがあるわけ
ですよね。
そうした「落とし穴」を忘れない
ようにしましょうよ。
記事本文は、まだ続きます。
****************************
DOEの水素ハブ (Hydrogen Hub)
からの補助金10億ドルからは、
どれだけが?
2023年10月20日付の報告では、
DOEが水素ハブ補助金として10億
ドルを、ミシガン州のコンソーシアム
に供与するそうだ。このコンソーシ
アムのメンバーは70団体だが、その
うちどれだけの金額を、やはりその
メンバーであるHoltecはパリサデス
用に受け取るのだろうか?
上述の総計は、いくらになるのか?
SMR建設用のDOEからの原発ローン
保証が74億ドルであるが、その全額が
パリサデス原発敷地に建設計画がある
2基のSMR-300用に費やされる可能
性もある。あるいは、全額をパリサデス
とビッグ ロック ポイントに費やす
可能性もある。その前提として、
ミシガン州北部にSMRを1基以上
建設するという計画を想定している。
パリサデスのようなゾンビ―原発を
再稼働するというのは前例のない
事態で、極めてリスクの高いことだ
が、そのために納税者が背負う負担は
どれほどのものなのか?Holtec は
ミシガン州政府には3億ドル、DOE
には35億ドル(ローン保証で15億
ドル、民生用核エネルギー クレジット
で20億ドル)をそれぞれ申請して
いる。これだけでも合計は38億ドル
となり、その大半を連邦、一部を
ミシガン州の納税者たちが負担する
ことになる。
しかもさらに、9億7,000万ドルが
アメリカ農務省から拠出されるが、
電力購入契約による電気料金の25%
を払戻すためだ。これも含むと、
税金からの補助金支出は47億7,000
万ドル前後に達する。
だが、DOEの10億ドルの水素ハブ
補助金は、どうなのか?再稼働後の
パリサデス原発で、Holtecはこの
補助金をどれだけ手に入れるのか?
数千万ドルなのか?数億ドルか?
いずれにせよその金額が、パリサデス
原発再稼働のための税金からの補助金
47億7,000万ドルに加わるのだ。
電気料金を支払う利用者たちのことは?
Holtec は既に、本来ならパリサデス
原発廃炉信託ファンド(DTF) から
の数千万ドル、ことによると1億ドル
以上を、再稼働計画に費やしてきた
可能性もある。この廃炉信託ファンド
そのものも、不適切なものであるの
だが。DTFの資金源となったのは、
1971年から2007年にかけて
Consumers Energyの電気利用者たちが
支払った電気料金なのだ。この資金は
もともと、パリサデス原発敷地の放射性
物質をクリーニングするためのもので
あった。だがどうも、そうしたクリー
ニング作業は全くなされないまま、これ
だけの金額すべてが使い尽くされて
しまった恐れがある。パリサデス原発
DTFの約5億ドルという金額すべてを、
Holtecは実は再稼働計画に費やして
しまうのであろうか?あるいは、その他
の計画に?NRCはそれを、そのままに
しておくのだろうか?さらに、
Consumers Energyに電気料金を払う
消費者たちは、納税者(州税と連邦税)
でもあることを、言うを待たない。
パリサデス原発のため、彼らは電気
料金と税金の両方で搾取されている
のである。.
Wolverine (ミシガン州) と Hoosier
(インディアナ州) との農村電力
組合のメンバーたちもほとんど、
あるいは全員が、やはり言うまでも
なく納税者でもある。(そこから、
次の疑問が生じる。つまり、ミシガン
州税の納税者たちがHoltecに対して
3億ドル以上もの金額を納めれば、
インディアナ州の電気利用者たちの
利益につながるということになるの
だが、いったい何ゆえ、そんなこと
をするのだろうか?)
Holtecの見積もりでは、同社は
最長26年間にわたり毎年電力販売の
粗収益で4億1,250万ドルを得られると
している。これは、その電力購入契約
(PPA) では市場相場の57%、あるいは
それ以上高い電気料金を徴収するため
だ。そのため、26年間にわたり粗収益
が107億2,500万ドルも膨張する。
26年間すべてにわたってすべての電気
料金に市場相場より57%以上もの
上乗せを適用するなら、パリサデス
原発からの電力に対する料金追加に
よる収益35億ドル以上がHoltecの
懐に入っていくのだ。
だが上述のアメリカ農務省からの
補助金の規定では、パリサデス原発
再稼働による電力の売り上げはわずか
38億8,000万ドルに過ぎないとされて
いる。すぐ上で言及した107億2,500
万ドルではないのだ。これだけの差額
があるのだが、はたして <農務省から
の補助金計算は> 26年間を想定して
いるのだろうか、それともパリサデス
原発の <再稼働後の> 稼働期間を
それよりも短く仮定しているのだろう
か?
連邦税と州税からあの47億7,000万
ドルの補助金、そして電気使用者たち
からの徴収料金が35億ドルも市場相場
より高くなる。それに加え、利用者たち
から集めたパリサデスDTFからの数億
ドルも <再稼働計画に> 流用されて
しまった恐れもある。これらすべてを
合わせると、パリサデス原発再稼働だけ
で、公的資金から83億ドルがHoltecに
流れ込む結果となってしまう。
それに加え、DOEからのローン保証74
億ドルの全額がパリサデス原発敷地に
建設計画がある2基のHoltecの
SMR-300 (ならびにパリサデスの兄弟
原発であるビッグ ロック ポイント原発
の敷地に計画ざれている2基以上の
SMR)に充当される場合、Holtecに
よるミシガン州のミシガン湖畔の再核化
計画によって同社に注ぎ込まれる税金
総額は、157億ドルに達すること
になる。
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再稼働、原子炉の稼働寿命の延長、
そして新規建設 ・・・
日本にとっても、他人事じゃあり
ませんよね。
「原発増税」の未来がやってこない
ことを願っております!!
なお、たとえば柏崎刈羽原発を再稼働した
場合に、TEPCOの電気料金がどれだけ
安くなるのか?
その試算が、yahooニュースで報じられ
てました。
yahooニュースの解説より
【解説】“世界最大級”の原発…再稼働どうなる? 相次いだ“不祥事” 信頼回復への取り組みと近隣住民の不安(日テレNEWS) – Yahoo!ニュース
平均世帯で毎月600円の値下げのために、
将来の増税リスクを招く ・・・
そんな愚行は、避けたいですよね。