韓国の核への渇望、今後5年で鎮静化 するのか?

The Center for Strategic & Inter-
national Studies

Will South Korea’s Nuclear Ambitions
Subside in the Next Five Years?
(韓国の核への渇望、今後5年で鎮静化
するのか?)
Will South Korea’s Nuclear Ambitions Subside in the Next Five Years?

Lami Kim 教授(Daniel K. Inouye Asia-
Pacific Center for Security Studies)
2025年4月7日

いろんなところに波及しちゃう・・・

このHOMEに先日投稿した記事でも、韓国
で自国の核武装を望む世論が高まって
いました。それが、2024年のもの。
じゃ、今年になって、少しは沈静化した
のでしょうか??
今年4月付の、Kim教授の論考を一部
抜粋で紹介しますね。
英語の元記事を読みたい方は、上の
リンクからどうぞ。

背景説明として、
覚えてらっしゃると思いますが、2024年
12月3日、韓国のYoon Suk Yeol大統領
(当時)が戒厳令を発しましたよね。
「いったい、なんで??」と不思議
がった方も、多いはず。
無論、わけのわからない戒厳令でした
から、Yoon大統領も4日後には謝罪を
しましたよね。
でも、謝罪だけで済むわけはなく、
今年4月には大統領の座を追われ、
大統領選挙がありました。ご存じの通り、
Lee Jae Myung氏が新大統領に選出され
ました。

こうした政界の激動の中で、保守派にも
進歩派にも共通に見受けられた現象と
して、自国での核武装あるいは
「核ヘッジング」(下記参照)を訴える
候補者が多くいました。
「おいおい、38度線をはさんで韓国と
北朝鮮が核兵器の睨み合いなんて ~~
やめてくれよ!」と叫びたくなりますが、
いったいどんな事情があるのか?
それを、Kim教授が分かりやすく説明
してくださっています。

くどいけど再掲
それだけ、重要なチャートです。
「核燃料」と「核兵器」とは、単なる「程度違い」であることをお忘れなく!

一部だけ抜粋・日本語化で紹介するしか
ないのですが、元の英語記事を読める
方々は、ぜひ上のリンクをクリックして
お読みくださいな。
いつもどおり、<  > 内は私からの
補足説明です。
日本語化抜粋鵜の中で、———- は
本文を割愛した個所。
文字色の変更による強調は、私が
設定。
*******************************

———-
歴史的には、韓国で公に核武装を支持して
きているのは保守派だ。進歩派は伝統的
には北朝鮮との和解を強調しており、
これは「共に民主党」(Democratic Party
of Korea (DPK)、今日現在での政権与党)
の立場だ。そのため <現在の> Lee
大統領の任期である5年間のうちには韓国
の核武装熱も冷めるだろうと期待する向き
もあろう。だが韓国の進歩派は、一見
反核的に見えても実はそうではない。
従来、進歩派のリーダーたちは「核ヘッ
ジング」を唱えてきた。つまり、核武装
できる態勢は整えておき、必要が発生
すれば短期間で核を保有できるようにして
おく、というものだ。ただ、実際の核兵器
保有へと直結するわけではない。一方、
保守派の大統領候補は全員、核武装その
ものあるいは核ヘッジングを支持して
いる。そんな現状であるため、韓国では
核武装熱はしばらく収まらず、アメリカは
注視を続ける必要がある。

近隣諸国も、ただじゃすまない!

———-  <トランプが2期目の就任を
果たして> 直後に韓国で実施された世論
調査では、回答者の74%が、国際社会が
北朝鮮を核兵器保有国として認めた場合
には、韓国は核兵器を手に入れるべきだ
と答えていた。大統領候補の中にも、
そうした核保有熱を共有している候補が
何人かいる。保守系の候補の過半数、
つまりKim Moon-sooOh Se-hoon
Hong Joon-pyo などは、核武装を主張
している。PPP <「人民の力党」、
People Power Party> の党首を経験して
いるHan Dong-hoonは、核ヘッジングを
主張している。.
———-
Roh Moo-hyun とMoon Jae-inという
前大統領はともに進歩派ではあったの
だが、原子力潜水艦を欲しがっていた。
この願望は、核ヘッジングを求めたこと
に起因したようだ。この願望が生じた
のは2003年6月のことで、その頃Roh
大統領は原潜建造計画を実施した。原潜
の推進力の元となる燃料を得るには、
ウラニウム濃縮の能力が必須となる。
だがこの建造計画はおそらく、二重の
目的を有していた。ウラニウム濃縮能力
がある国家なら、大した苦労なく核兵器
グレードまでの濃縮も可能なのだ。Roh
がこの計画を発足したのが北朝鮮が
核不拡散条約(NPT)から脱退して
5か月と経過しない時点であったという
事実からも、Rohの本当の狙いがウラニ
ウム濃縮能力を手に入れて将来の核兵器
開発を可能にすることにあったのでは、
という疑いを抱かせる。結局2004年、
Roh はこの計画をあきらめざるを得なく
なった。その頃IAEAが、韓国の科学者
たちが以前に未承認のウラニウム濃縮
実験を行っていたことを発見、韓国が
核武装したがっているのではとの疑惑が
高まったためだ

Chill off, please!

———-
進歩系は韓国が作戦統制権(OPCON)を
取り戻すべきだと主張しており、ここ
からは韓国が自律的に自国防衛ができる
ようにすべきだと進歩系が力説している
ことの表れだ。OPCONとは作戦の立案と
実行において軍を指揮する権限のことを
指すが、韓国は <1950年に始まった>
朝鮮戦争でこれをアメリカに移譲した。
冷戦の終結 <1991年でした>後に平和
時のOPCONを韓国が取り戻したものの、
戦時のOPCONは今もアメリカの掌中に
ある。Roh Moo-hyunは韓国が軍隊を
完全にはコントロールできないという
現状を嘆き、軍部の指導層の中にOPCON
の返還に反対している者たちがいるの
だが、そうした指導者たちを非難した。
そうした軍指導者たちは韓国軍の態勢と
能力とを憂慮してOPCONの返還に反対
しているのだが、Rohはそうした指導者
たちを「恥を知れ!」と避難した。2007
にはRoh と<当時のアメリカの>
ジョージ W. ブッシュ大統領とが、
OPCONを2012年4月までに韓国に戻す
ことで合意していた。だが、Rohの次の
大統領Lee Myung-bakが保守派で、この
期限を2014年までに延長した。さらに
Park Geun-hye大統領の任期中に無期延期
となった。こうした流れに逆らいMoon
Jae-in 元大統領は 自分の任期中に
OPCONを取り戻すと宣言していたのだが
実行できなかった。

———–(後略)
****************************

「潜在的」核武装と、どこが違うの??
私の10分クロッキーに着色したもの

nuclear hedgingという主張には、韓国
独自の歴史的背景があるわけですね。
ただし、「核武装の可能性をシャット
アウトはせず、必要が生じれば短期間で
核武装できるようにしておく」というの
は、日本政府の伝統的な姿勢にも類似して
ますよね。(上の黒いメニューにある
ページ g-3) 参照)

でも、そもそも核抑止とは決して万能薬
などではないわけでして ~~
上の黒いメニュー(膨張しすぎて使い
にくくて、スイマセン。基本的に、
アルファベット順です)にある
ページ nd-1) で紹介している論考も、
まだの方はお読みくださいな。

それと、強調箇所にあるように
U濃縮で核燃料を作るのか、「核兵器用
爆薬」を作るのかは、「単なる程度問題」
なのです。核発電という「平和利用」が
この世にある限り、そこから「程度逸脱」
して核兵器製造を目指す国家なり
テロ組織なりが消えることは
ありますまい。
IAEAによる監査やNPT体制にも
限界があることは、今までの核兵器
拡散の事実を見れば明らかですし。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
This entry was posted in Uncategorized. Bookmark the permalink.

Comments are closed.