付録w-18) 原発はCO2を出さない?IV

付録w-18) 原発はCO2を出さない?IV

2024年10月

もう3年近く前のDWの記事なのです
が、今読んでも的確だと思います。
「原発はCO2を出さない! 気候変動
に対処するため、もっと原発を!」
という掛け声が世界的に聞かれる昨今
ですが、実際にはどうなのか??

いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です。
*******************************

「気候変動にやさしいたこやき」
なんや、それは??

DW website
Fact check: Is nuclear energy good for the climate? – DW – 11/29/2021

Fact check: Is nuclear energy
good for the climate?
(ファクト チェック: 核
エネルギーは気候変動の緩和
に役立つのか?)

Joscha Weber記者
2021年11月29日

核エネルギーの推進勢力は、核エネ
ルギーが化石燃料による汚染を乗り
越えた経済の在り方を実現するうえ
で役立つと主張している。さもありなん
である。ホットな話題であるのだから。
だが、実際にはどうなのか?核発電は
本当に、気候変動への対処になるのか?

全世界での二酸化炭素排出量の最新
数値を見ると、世界が気候変動と
いう危機に真剣に対応しているのか
否か、疑わしい。二酸化炭素排出を
追跡している科学者団体グローバル
カーボン プロジェクト(Global
Carbon Project、GCP)が今月既に
公表した調査によれば、CO2排出量は
2021年には前年比で4.9%も急上昇
する見込みだ。

そりゃまあ、みんなで引きこもりやっとったら、CO2は減りまんがな

2020年、CO2排出量は5.4%減少して
いた。これは、COVID-19 の蔓延とそれ
に伴うロックダウンによるものだ。観察
していた人たちの大半は、今年になって
排出量がリバウンドするものと予想して
いたのだが、これほどの急増は考えてい
なかった。温室効果ガスを最も大量に
排出しているのは今もエネルギー部門で、
その比率は40%に達しており、今も
シェアを拡大中だ。

では、核発電はどうなのか?この論争の
多いエネルギー源を推進する勢力は、
核発電は気候にやさしい発電方法だと
主張している。少なくても、発電の体系
を革新するような包括的代替手段を手に
入れるまでの間、核発電を代用できると
いう主張もある。この数週間、特にCOP26
気候対策会議の期間中には、推進勢力は
インターネット上で話題を巻き起こして
いた。「核エネルギーに反対する人は、
気候変動の防止にも反対しているのだ」
とか「もうすぐ、 核エネルギーは戻って
くる」などといった主張を流布していた
ためだ。だが、そうした主張には根拠は
あるのだろうか?

3) そりゃ、石炭よりは少ないけどな~~


核発電は、
CO2排出のない
エネルギー源なのか?

そうではない。核発電も、温室効果ガス
を排出する。実際、排出が全くないエネ
ルギー源というものは、存在しない。
それについては、後日論じる。

核発電に目を向ければ、ウラニウムの
採掘や輸送、加工はいずれも <温室
効果ガスを> 排出する。原発の建設も
長期にわたる複雑なプロセスで、CO2を
排出する。廃炉の決まった原発の解体も、
同様だ。核廃棄物も輸送や厳格な条件下
での保管が必要で、これも排出が問題に
なる。

それでも <原発から> 利益を得ている
諸団体は、核発電は <CO2などを>
排出しないと主張している。そうした
団体の1つとして、オーストリアのコン
サルティング企業ENCOがある。2020
年末、ENCOはオランダの経済問題と
気候変動政策担当省宛に作成した調査
結果を公表、これは将来のオランダでの
核エネルギーの役割について、肯定的に
述べている。

「核エネルギーを推奨する主な理由と
しては、電力供給の信頼性と確実性、
そしてCO2排出がないという点がある」
と、この調査結果にはある。ENCOの
設立者たちはIAEA出身の専門家たち
で、常に原子力部門の利害関係者たちと
ともに仕事をしている。そのため、利害
関係による圧力が皆無というわけでは、
ないのだ。

COP26ではScientists for Future (S4F)
という環境イニシアティブ団体が、核
エネルギーと気候に関する書類を提出
している。この団体が下した結論は
大きく異なるもので、「現存のエネ
ルギー システム全体を考えるなら、
核エネルギーは決してCO2フリーなど
ではない」としている。

ベルリン工科大学(Technical University
of Berlin)のBen Wealerはこの書類の
作者の一人だが、その彼がDWに述べた
ところでは、核エネルギーの推進勢力は
「多くの要因を無視してしまっている」
そうだ。その例として、上述のCO2
排出源もある。DWが調べたいすれの
研究結果を見ても、結論は同じだ。
つまり、核発電はCO2排出がないとは
言えない。

良く調べてみると~~


核発電は、どれだけの
CO2を
排出するのか?

この問題についての調査結果は、発電
プロセスだけを対象とするのか、それ
とも炎髪のライフ サイクル全体を考え
るのかで、大きく異なる。一例として、
2014年に国連の気候変動に関する国際
パネル(IPCC) が公表した報告書に
よれば、発電 1 kW時(kWh)あたりの
排出CO2換算で、推定排出量が3.7g
から110g と大きな幅があった。

原発のkWhあたりのCO2排出量は、
平均で66gとする推定が長く続いて
いる。だがWealerによると、実際の
排出量はずっと大きい。その例として
新型の原発は以前の時代に建設された
ものよりも 建設によるCO2排出が多
い。これは、安全基準が厳格化して
いるためだ。

ウラニウム採鉱から核ゴミの保管まで
原発のライフ サイクル全体をカヴァー
した研究は極めて少数で、一部の研究者
たちはデータが今も欠落していると問題
指摘している。そうしたライフ
サイクル研究の1つに、オランダに本拠
を置くWorld Information Service on
Energy (WISE) によるものがある。その
研究の試算によれば、1 kWhの発電
あたりで原発が排出するCO2は117 g
となっている。ただし、WISEは反核
団体なので、偏向がないわけではない
ことにご注意願いたい。

それでも、その他の研究結果も公表され
てきており、ライフ サイクル全体を
検討対象にするとWISEの結果と類似
したものになっている。カリフォルニア
のスタンフォード大学で気候・エネ
ルギー プログラムを担当するディレク
ターのMark Z. Jacobsonの試算によれ
ば、CO2/kWhは68 gから180 g と
されている。試算の前提として、ウラ
ニウムの採掘や加工に消費する電力
ミックスならびに、その他の変数を
採用している。

この犬は、やさしいよ~


他のエネルギー源と比べ、

核エネルギーはどれだけ気候に
「やさしい」のか?

原発のライフ サイクル全体を計算に
入れても、核エネルギーは石炭や天然
ガスなどの化石燃料よりは「気候に
やさしい」のは間違いない。だが再生
可能エネルギーと比べると、様子が
全く異なってしまう。

ドイツ国家が運営するドイツ環境局
(German Environment Agency、UBA)
がまとめたデータがあり、最新のもの
なのだが未だに公表されていない。その
データでもWISEによる数値と同様、
核発電はソーラーパネルの場合と比べて
kWhあたりのCO2排出量が3.5倍に
なる。オンショア<陸上> 風力発電
との比較では、核発電のCO2排出は
13倍に達する。水力発電と比べるなら、
核発電の炭素排出は29倍になる。


信用できるの?? 不安
私の100分デッサン

地球温暖化を止めるために、
核エネルギーに依存できる
のか?

全世界で、核エネルギーの推進者たちや
一部の政治家たちが、核エネルギー利用
の拡大を求めてきている。一例として
ドイツでも、右派ポピュリスト政党の
AfDが原発を推進しようとしており、
核発電は「現代的でクリーンだ」と主張
している。AfDは核発電の復興を求めて
いるのだが、ドイツ政府は2022年末
までに段階的に、すべての原発を
フェースアウトすることを宣言して
いる。

他の一部諸国も、原発の新設を支持して
いる。原発なしでは、エネルギー部門
からの炭素排出が悪化してしまう、
との主張だ。だが<前述の> ベルリン
工科大学のWealer やその他多数のエネ
ルギー問題の専門家たちは、見解が
異なる。

「核エネルギーによる削減効果は、過大
評価されている。現実には [原発の]
建設には期間がかかり過ぎ、経費も
かさみ過ぎるので、気候変動への効果が
目に見えるようにはならない。核エネ
ルギーからの電力を利用できるように
なるまでには、時間がかかり過ぎる
のだ」とWealerは述べている。


やってられない~
私の20分クロッキー

World Nuclear Industry Status Report
(世界原子力産業現況報告)の著者で
あるMycle Schneiderも同意見だ。

「風力や太陽と比べ、原発には費用が
4倍ほどかかる。建設期間も5倍ほど
長い。あらゆる要因を計算に入れると、
原発を新設する場合、リード タイム
は15から20年ほど要する」と、
彼は記している。

さらにSchneiderの指摘によれば、
世界はこれから10年以内に温室効果
ガスの排出をコントロールする必要が
ある。「さらにこれからの10年間で
核発電が大きく貢献できるとは思え
ない」とも、Schneiderは述べている。

「地球規模での気候変動対策に対し、
現時点では核発電はの主要ソリュー
ションの1つと見なされてはいない」と
語るのは、Antony Froggattだ。彼は 、
ロンドンにある国際問題シンク タンク
Chatham Houseで環境問題や社会プロ
グラム担当のディレクター代理を務め
ている。

Froggattによれば、<原発の> 費用
超過、環境への影響、世論の支持の
なさなどが、核発電への逆風になって
いる。


憂鬱 ・・・
私の20分クロッキー

核への投資を再生可能エネ
ルギーへの投資に向けた
ほうが賢明

核エネルギーには巨額の資金が必要で、
再生可能エネルギーの開発に充当でき
るはずの資金を喰いつくしてしまう。
そう述べるJan Haverkampは、オラ
ンダの環境NGO Greenpeaceの核問題
専門家にして活動家だ。再生可能エネ
ルギーを開発・活用すれば、核発電より
も多くのエネルギーを生産できるだけで
なく、より短期間で安価に生産できるの
だと、彼は語っている。

「だから、核エネルギーに使う金銭は
すべて、切羽詰まっている気候変動対策
から転用されてしまっているのだ。その
意味で、核発電は決して機構にやさしく
などないのだ」と、Haverkampは述べ
ている。

さらに核エネルギーそのものも気候
変動に左右されてしまう。世界的に夏の
暑さが危険性を増大させているのだが、
そのために一時的な停止や送電グリッド
との接続を切らねばならなくなった原発
が既に数か所ある。原発には、その原子
炉を冷却するため、近くに水源が必要だ。
<危険な暑さのため> 少なからぬ河川が
干上がってしまうと、そうした水源が
確保できなくなってしまう。


何や、これは??
私のある作品のための地塗り、
ペーパーボードにテンペラ

「原子力ルネッサンス」が高らかに叫ば
れているが、関連するあらゆる事実と
照らし合わせるなら、これは <原発
業界のプロパガンダ? 元のウェブ
サイトで、何か欠落しています> に
過ぎないと、Mycle SchneideはDWに
語っている。彼によれば、原発産業は
もう何年も縮小を続けている。

「この20年間で、新たに送電を開始
した原発は95か所であったのに対し、
シャットダウンした原発は98か所に
上った。ただしこうした数値から
中国の原発を排除するなら、この20
年間で世界では原子炉は50基減った。
「原発産業は、繁栄などしてはいない」
とSchneiderは語っている。

Jo Harperと Gero Rueterによる追加報告

この記事の原文はドイツ語で、Martin
Kübler がそれを英語に翻訳。
<つまり、上の日本語翻訳は、ドイツ語
→英語→日本語というリレー翻訳の結果
になります。当然、決して正確な翻訳に
は、なりません。
その点は、心してお読みくださいませ>

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"Argument I -- Louder, Louder"
プロパガンダ戦では、黙っていると・・・
私の昔の作品 “Argument I – Louder, Louder”

反核勢力の皆さん、
「CO2削減のため、気候変動の緩和の
ため、もっと原発を!」というプロパ
ガンダは今も世界的に聞こえてますよね。
それに対し、このプロパガンダの誤りを
指摘する案核勢力からの指摘は、日本語
ではあまり聞こえてきません。沈黙する
なら、核推進勢力のプロパガンダを
認めるようなものです。
ですから、「やかんをのせたら~~」は
あくまで原発の軍事的側面にフォーカス
しているにもかかわらず、「付録」と
して原発によるCO2排出という問題も
指摘してきました。
上の黒いメニューの底のほうにある
付録 w-1) , w-3) , w-8) を参照。

本来なら、「原発はCO2を出さないっ
て、ホント??」とかいった案核勢力
からの情報が日本語でもしっかり響き
渡り、私は軍事的側面に専念 ~~ て
いうのが、望ましいのですが。
「原発はCO2を出さない」という
核推進勢力のプロパガンダを信じ込ん
でいる「一般市民」の皆さんは、
決して少なくありません。

「原発にともなうCO2の真実」を
知っていて、日本語で説明できる方々は、
どんどん情報発信してくださいな。

Light My Fire!!
私のクイック スケッチ

 

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