中国軍部がユーメンやハミ、ジランタイなどに建設中なのは、風力発電所なのか?
それとも、ICBM用サイロなのか??
その決め手は衛星画像の分析ですが、今までの報道記事はそうした技術的な側面を
あまり詳しく取り上げてくれていませんでした。
そこで詳細な考察のあるテキストを探したところ、ありました!
Federation of American Scientists(アメリカ科学者連盟)のウェブサイトに、
China’s Expanding Missile Training Area: More Silos, Tunnels, and Support Facilities
(中国、ミサイル用訓練エリアを拡張 ― サイロやトンネル、支援施設を増設)
という報告がありました。著者は Hans Kristensen、 2021年2月24日付のテキストです。
それを何回かに分けて、日本語化して紹介してまいりますね。
元の英語テキストは、
https://fas.org/blogs/security/2021/02/plarf-jilantai-expansion/
にございます。
(私による日本語化)
中国中部の北側に、トレーニング用地域が不規則に広がる。そこで中国は弾道ミサイルの新たなサイロを増設中とみられる。
最近入手した衛星画像からは、少なくても16か所のサイロが建設中と思われる。この地域でのサイロに対する最初の言及があったのはわずか2-3年前のことであった。それから短期間のうちに、かなりの増設をしたことになる。
同じ衛星画像からは、独特なトンネルの姿も窺える。ミサイル発射ユニットまたは搭載操作を隠ぺいするためのものとも思われる。
このトレーニング地域は内モンゴル自治区のジランタイという町の東部にあり、中華人民共和国ロケット軍(PLARF)がここでミサイル部隊の人員訓練や、道路搬送型ミサイル発射台ならびにそれらのための支援車両の操作のための精密な手順の実施を行っている。
ジランタイのPLARFトレーニング地域
ジランタイのトレーニング地域は140㎞ほどの長さで、面積はほぼ2,090平方メートルに達する砂漠と山岳の地帯である。比較的最近できたトレーニング地域で、施設の大半は2013年以降に出来たものだ。それ以来拡張を続け、ミサイルの発射練習や搭載訓練では今や140台を優に超えるミサイル発射台をミサイル部隊が使用している。また発射部隊が短期間滞在してさらに別の場所へと移るキャンプ地も24か所以上あり、発射装置や支援車両の修理などを行うハイベイ型(高い位置に設備がある)修理工場も5か所にある。加えて、必要物の大型供給基地1か所と隣接する支援施設なども揃っている。(画像を参照)
このトレーニング地域では盛んに活動が行われており、現時点でいくつかの地区へと拡張が進んでいる。特に、中央部と南北とに拡張が目立つ。この拡張工事では、発射台やミサイルを扱うハイベイ型新施設、発射装置が使用する無数の発射台、ミサイル用サイロ、発射部隊が利用するキャンプ場、発射装置を隠し保護するための地下施設などを建設している。
この地域のマッピングは大変な作業で、この2年間に行われた建設活動をカバーせねばならなかった。困ったことに、Google Earth にあるこの地域の画像は極めて限られており、しかも昔のものなのだ。比較的最近(2019)の画像があるのは、北東部だけである。今ある画像の大半は、2013年から2014年のものだ。この地域に対してはかなり世界の関心が向けられていることを考えると、これは奇妙な現象だ。そこで本記事の著者はGoogle Earthに頼るのでなく、本記事の末尾に列挙してある資金援助者の皆様からのご支援を活用して、Maxar’s Secure Watchというサービスに加入、最新の高解像度画像を入手できた。このサービスで広域の画像を集めると膨大な経費がかかり、またPlanet Labs だと、低解像度の画像でも大変な出費となってしまう。幸運にも、ヨーロッパのSentinel Hub Playground というサービスなら、低解像度ではあるが無料の画像を利用でき、それを有用なツールとして新しくできた構造物(画像は5日ごとに更新される)を検知、さらに検知した新しい構造物をMaxarの画像で詳しく精査した。
この地域をモニターすることで、PLARFがどうやってその移動式ミサイル部隊や作戦に関与する車両類を配備しているのか、潤沢な情報が得られる。さらに、中国全土にわたって、実際に吉が設けられている箇所にはどのような構造物や特徴がみられるのかも、分かってくる。そのうえ、中国の核兵器近代化の現状と今後を知るための手がかりも得られ、中国の戦争能力に関してアメリカ軍の士官たちが主張していることがどこまで真実なのかを評価するうえでも役立つ。
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まだまだ続く長い記事なので、続きは次回以降に。