続きの続き

Business Insiderの記事、長いので区切り区切り紹介しておりますが、
今回で全部です。

元の記事本文は
https://www.businessinsider.com/what-building-missile-silos-may-mean-for-china-nuclear-force-2021-7
にございます。

(私による日本語化)

ミサイルの向上

中国が建設中とみられる新型サイロの位置は、従来よりへき地で防御しやすい場所にある。同コックの以前のサイロと比べると改善が施されており、おそらくはさらに強化したICBMを配備するものとみられる。

Kristensenの説明によれば、中国がこのように新設活動を続けているのは、単純に「より堅固なサイロにより高性能のミサイルを配備して、攻撃を受けた場合の報復能力の存続性を高める」という狙いであるのかもしれない。

アメリカ戦略軍のヘッド、Charles Richard司令官がこの4月に議会で行った説明によれば、中国軍は「サイロ発射型の固形燃料式大陸間弾道弾へと移行している」そうで、「液体燃料が他のミサイルよりも、敵からの攻撃に対応しやすい」とのことである。

目下建設中のサイロは、すべてでなくとも、少なくてもその一部は、中国の固形燃料式新型ICBMであるDF-41のためのサイロだと見られている。従来の液体燃料式サイロ発射型ミサイルDF-5と比べると、この新型ミサイルはあらかじめ燃料を充填しておくことが可能で、作業員にとっての危険が少なく、発射までの準備時間が短くて済む。

DF-41が最初に公に公開されたのは軍事パレードでのことであったが、そこでは輸送発射台に装備されていた。つまり、中国の他の核兵器と同様、道路を走行する車両に搭載するミサイルとして公開されていた。

その場合に問題となるのが、ミサイルのサイズと重量のために輸送に制限が生じることだ。

「確かに輸送式ではあるが、この輸送をすれば道路が断裂してしまう」と、Lewisは述べている。「橋を渡るのに困難があり、回転半径もひどく大きい。実際には、道路の外に出るのは難しい」  しかも、発生する可能性がある問題は、それらだけではない。

動けない ・・・ 私の20分クロッキーより

動けない ・・・
私の20分クロッキーより

Open Nuclear Networkという反核団体のアナリストであるズ ティアンラン(Xu Tianran) によれば、「DF-41 TELはあまりに大型で、現在そして今後の偵察技術をもってすれば、輸送手段も発見され使用不能にされてしまうリスクが増大する」

Lewisによれば、「陸上を輸送できれば地上の潜水艦でもあるかのように思えるので、どうも道路での移動能力に注意が向かいがちだ。だが、この種のシステムには現実には制約があることを見逃しやすい。大型ミサイルを運ぶ場合には、特にそうだ」  それと比べれば、サイロの方が賢明な判断であるのかもしれない。

アメリカも以前、道路輸送式のミサイル導入を検討したのだが、結局は今もおよそ450か所のサイロにICBMを配備している。

さらに固形燃料式のDF-41をICBMとしてサイロに配備しておくことで、中国は既存のサイロをベースにした部隊を警告即発射型(Launch-on-Warning、LOW)部隊へと移行させ、核報復能力の存続性を高めることができる。

Lewisによると、「中国にはレーダーがある。すぐに発射できるミサイルもある。ミサイルをサイロに配備して警戒態勢を保つというのは、実に容易なことのはずだ」

アメリカ国防省がその中国の軍事力に関する最新報告で述べたところによれば、「サイロ型核兵器に対する投資の増強」も含めた証拠を見れば、「中国が少なくてもその軍の一部をLOW体制に置こうとしていることが」窺える。

だが、核兵器の近代化や軍の体制の変更には、必ず困難が伴う。ある国が安全保障を向上させようとすると、他国から不安の目で見られるからだ。

「その一方で、敵国による核攻撃は抑止せねばならない。だが抑止や脅しが強すぎると、敵国が武力増強に訴え、以前よりも危険性の増した敵国に対応する羽目になってしまう。そうした事態は、避けたい」と、Kristensenは語る。

今回発見されたサイロについては、不確定の問題が多数付きまとっている。軍縮を求めつつ、Kristensenは「アメリカと中国は、これからどう進むのかを実に慎重に決めていかねばならない。下手をすると、コントロールできない事態を極めて短期間で招きかねないからだ」と語った。

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この中国のサイロ新設問題、あまりに重要な世界的問題(ICBMですから、
北米大陸も射程内です。日本列島など、言うまでもありません)なのに、
日本語メディアではほとんど報道を見かけません ・・ オリンピックのメダルが
どーのこーのという報道ばかりが目立っています。

そこで次回も、またこの問題に関する別の機関からの報道を紹介しますね。
一般の通信社などではなく、Federation of American Scientistsによる
かなり詳細な調査結果です。

About FrancisH

A freelance painter, copywriter, and beading artist
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