タイシャン原発事故、続報(7月23日付、CNN)
ではタイシャン原発事故の件、中国当局が否定したCNNによる報道を紹介しますね。
断っておきますが、私は、いわゆる「嫌中国」でもなんでもありません。
その証拠に、ユーメン近郊の「ICBM用サイロ??」発見の報道に関して、
中国側の「あれは、風力発電所だ」という主張も、本ウェブサイトでは
取り上げました。
しかし!主張を支える証拠を中国政府がもっと世界に提示しないと、
という不満は抱いています。この惑星に暮らす一市民として。
それでは、2021年7月23日付のCNNによる報道を、私の日本語化で。
記事そのものは、次のリンク先に。
https://edition.cnn.com/2021/07/22/china/edf-taishan-nuclear-plant-china-intl-hnk/index.html
中国のタイシャン原発の状況、シャットダウンの必要があり得るほど深刻だと、共同所有者のフランス企業が警告
記者: Barbara Wojazer, Zachary Cohen, Michael Callahan and Jessie Yeung, CNN
(私による日本語化)
(写真下)
中国南部のグアンドン省(広東省)にあるタイシャン原発のそばに置かれている建設用機器、2021年6月17日
(記事本文)
(CNN) 中国にある原発を共同所有しているフランス企業は、可能なら同原発をシャットダウンしたいとしていると、スポークスパーソンが述べた。燃料棒の損傷に対応するためだ。だがその決定はあくまで、同原発の中国側運営企業が下す。
(その共同所有企業である)Electricite de France (EDF) 社の同スポークスパーソンがこの木曜日に述べたところによれば、中国南部のグアンドン省にあるタイシャン原発は「まだ緊急事態と呼ぶほどではないものの、深刻な事態が進展している」とのことだ。
この原子炉がフランスにあれば、同社はすでに原子炉をシャットダウンしているはずだ。それは、「フランスで稼働している原発の慣行や手順に従うなら、シャットダウンしている」ためだと、同スポークスパーソンは語っている。
このスポークスパーソンは、中国当局に対して直接には、同原発の稼働停止を求めはしなかった。それはあくまで、同原発の稼働を担当しているパートナー企業ならびに過半数株主である中国広核集団(China General Nuclear Power Group (CGN))が決定することであるからだ。
CNNは当初、この6月に、タイシャン原発の稼働をサポートしているフランスEDF子会社のFramatomeが、同原発での「放射線に関わる差し迫った脅威」を警告し、放射線漏洩の可能性について検査するようアメリカ政府に求めたことを報道した。
中国の原発安全を担当する当局は、これに応じてタイシャン原発外部での検出放射線の許容上限を引き上げ、同原発のシャットダウンを回避したと、Framatome社は当局を非難した。これは、Fr4amatome社がアメリカ政府のエネルギー省にあてた書簡に基づくことで、CNNはその書簡を入手している。
CNNによる上述のスクープ報道があって直ちに、中国当局は同原発にはどのような危険も存在していないと主張した。「環境の放射線にはいかなる異常も見られず」、同原発の安全性は「保証される」としていた。だがFramatome社がアメリカ政府に発した警告に関する質問については、中国当局は回答していない。
6月に中国の核安全保証当局は、同原発の2基ある原子炉のうち1つで燃料棒に損傷が発生し、その一次冷却系で放射線レベルの上昇がみられたことを認めた。だがそれは「放射線漏れ事故とはまったく別の出来事」で、「物理的障壁は安全な状態にある」と主張していた。
同当局はさらに、原発外部での放射線許容上限を引き上げたことを否定、放射線レベルは「安定した稼働に伴う許容範囲内にある」としていた。
同安全保証当局はさらに以前、問題の原子炉の6万本を超える燃料棒のうち、損傷があったのは5本だけであると発表、さらに「環境への放射線漏れ」のリスクは皆無であると述べていた。
この木曜日、Electricite de France (EDF) 社の同スポークスパーソンは、原子炉内部での希ガスの増加を検出していること、同社はこの中国原発の所有者にして運営事業者である台山原子力合弁事業(Taishan Nuclear Power Joint Venture Co., Ltd (TNPJVC))に対して自らの立場を公表してきたことを、繰り返し述べた。
TNPJVCの株式のうちEDFの持ち分は30%である。TNPJVCは、 EDFと中国国営の中国広核集団(China General Nuclear Power Group)による合弁事業である。
「当社EDFでは合弁相手に対し、当社の分析のすべての要素を開示しており、フランスでならこれは原子炉稼働停止になるはずだという理由も示している。だから、責任ある運用会社として、広核集団は必要な判断を下せるはずだ」と、同スポークスパーソンは語っている。
このスポークスパーソンによれば、EDFが単独で判断を下してよいのであれば、「燃料棒へのさらなる損傷を回避するためにこの原子炉の運転を停止し、調査を実施し、発電施設にさらに損傷が発生しないように努めていた」はずだという。
だが実際には最終的な決定権があるのはTNPJVCで、この集団は独自の分析を行うつもりだと、同スポークスパーソンは述べた。EDFによれば、この原発の運営業者が決定を下すまでのスケジュールも、EDFは知らされていないそうだ。
そのEDFの発表に関してFramatomeはさらにコメントを求められたが、コメントを拒否した。
CNNの Nectar Ganが、香港から報告。