まず、Plowshares movementという反核兵器の団体がアメリカにあって、そのメンバーが1980年以来、核兵器施設に抗議のため侵入するという行為に打って出ています。
英語版WikipediaのVulnerability of nuclear plants to attackという項目( https://en.wikipedia.org/wiki/Vulnerability_of_nuclear_plants_to_attack )のCivil disobedience(市民による不服従(抗議))という段落に、次の記載があります。
Various acts of civil disobedience since 1980 by the peace group Plowshares have shown how nuclear weapons facilities can be penetrated, and the group’s actions represent extraordinary breaches of security at nuclear weapons plants in the United States. On July 28, 2012, three members of Plowshares cut through fences at the Y-12 National Security Complex in Oak Ridge, Tennessee, which manufactures US nuclear weapons and stockpiles highly enriched uranium. The group spray-painted protest messages, hung banners, and splashed blood.[3]
The National Nuclear Security Administration has acknowledged the seriousness of the 2012 Plowshares action, which involved the protesters walking into a high-security zone of the plant, calling the security breach “unprecedented.” —-
Non-proliferation policy experts are concerned about the relative ease with which these unarmed, unsophisticated protesters could cut through a fence and walk into the center of the facility. This is further evidence that nuclear security—the securing of highly enriched uranium and plutonium—should be a top priority to prevent terrorist groups from acquiring nuclear bomb-making material. These experts have questioned “the use of private contractors to provide security at facilities that manufacture and store the government’s most dangerous military material”.
(私の日本語化)
1980年以来、Plowsharesという平和団体による各種の市民的不服従活動があり、核兵器施設への侵入が可能であることを立証している。それとともに、この団体の行動は、アメリカの核兵器製造工場でのセキュリティ突破の尋常ではない実例となった。2012年7月28日、Plowsharesのメンバー3名がテネシー州オークリッジにあるY-12国家セキュリティ コンプレックスのフェンスを切り裂いて侵入した。このコンプレックス(複合施設)はアメリカの核兵器を製造するとともに、高濃度ウラニウムを貯蔵している。Plowsharesの侵入者たちは、抗議メッセージをスプレーで記し、旗を据えるとともに、(Plowsharesのシンボルである)血液を振りかけて行った。
アメリカの国家核安全保障庁は、この2012年のPlowsharesによる行為の深刻性を認め、このセキュリティ侵害を「前例のないもの」と呼んでいる。何しろ、プロテスターたちはこの工場の高セキュリティ区域にまで入り込んでいたのだ。・・・・・
核不拡散政策の専門家たちは、このPlowsharesのメンバーたち、武器も持たず特別な訓練も積んでいない侵入者たちが、比較的容易にフェンスを切り裂いて工場の中心部にまで踏み込めたことを憂慮している。この問題からも、核のセキュリティ、つまり高濃縮ウラニウムとプルトニウムの安全な保管を最優先課題の1つにして、核爆弾の製造をテロリスト団体が行うことのないように努めるべきだということが分かる。不拡散政策の専門家たちは、「政府の所有する特に危険な軍事物資の製造や保管を行う施設での、民間下請け企業の採用によるセキュリティ管理」に疑問を呈している。
つまり、「プロの」テロリストなどでなくても、素人のプロテスターたちが核施設の内部深く実際に侵入して、抗議活動をしたケースがあったということですね。
核発電所(原発)は巨大な施設です。外から見ると厳めしくて人をち寄せ付けない建物に見えるのですが、実際はかなり厳格なガードをしないと侵入がありえるってことですね。
発電所内部の職員さんたちによるサボタージュとなると、さらにやっかいです。同じくWikipediaのVulnerability of nuclear plants to attackのSabotage by insidersという段落から;
A fire caused 5–10 million dollars worth of damage to New York’s Indian Point Energy Center in 1971. The arsonist turned out to be a plant maintenance worker. Sabotage by workers has been reported at many other reactors in the United States: at Zion Nuclear Power Station (1974), Quad Cities Nuclear Generating Station, Peach Bottom Nuclear Generating Station, Fort St. Vrain Generating Station, Trojan Nuclear Power Plant (1974), Browns Ferry Nuclear Power Plant (1980), and Beaver Valley Nuclear Generating Station (1981). Many reactors overseas have also reported sabotage by workers. Suspected arson has occurred in the United States and overseas.
(私の日本語化)
1971年、ニューヨーク州のインディアン ポイント エナジー センターという原発で火災が発生、500万から1,000万ドルの損害をもたらした。その放火犯は、この発電所のメンテナンス作業員だった。職員によるサボタージュは、アメリカでは他の原発多数でも報告されている。ザイオン原発(1974)、クアド シティーズ原発、ピーチ ボトム原発、フォート サン ヴレイン原発、トロ―ジャン原発(1974)、ブラウンズ フェリー原発(1980)、ビーバー ヴァリー原発(1981)などである。アメリカ国外でも多数の原発から、職員によるサボタージュが報告されている。放火の嫌疑が持たれる事態は、アメリカでも諸外国でも発生している。
「いや、日本の原発に限っては、しっかりと人選をしてるから大丈夫」などとおっしゃる方がいらっしゃれば、まあ、正直、その人は「おめでたい」です。
まずは、福島第一原発周辺の「除染」活動に駆り出された作業員の方々のことを、思い出してください。「孫請け」どころか、「ヒヒヒ孫請け」でマージンを搾り取られた後のわずかな報酬で、作業期間だけ雇われた作業員の方々の様子が報道されていましたよね。とても、「まともな雇用」の在り方ではありません。
「それは、原発事故の後始末であって、発電所内部の雇用じゃない」と仰る方は、よほど[「おめでたい」のでしょう。
事故のない状態での原発作業員の手記が、単行本で出ているハズです。
たとえば、
川上武志、「原発放浪記」が宝島社から、今でも出ていると思います。
上記の書物などお読みくだされば、いかにいい加減な管理状況か、すぐにお分かりいただけるはずです。原発作業員の方々の生命は、いわば「使い捨て」にされており、サボタージュなどがいつ起きても、不思議ではないと思います。
もっと怖いのは、こうした異常な雇用慣行の職場ですから、身元調査など厳密に実施していたら作業員を手に入れられなくなる → 過激派の回し者が原発内部で働くようになる
という可能性でして ・・・ 思い起こしてほしいのですが、秋葉原の古書店でISISの「募集」が行われていた事件が、2014年10月に報道されましたよね。「日本には、過激派などいない」と思い込むのは、大間違いです。
さらに、「寄せ場」で「シュラウド交換の作業員」の募集がなされていた実例を、私は聞いております。それについて、そして内部サボタージュによって最悪メルトダウンを起こせるはずという可能性について、次回投稿では考えます。