The Daily Beastという変わった名称のニュース ウェブサイトがあります。
2008年創設で、本拠はアメリカにあります。政治やメディア問題、
ポップ カルチャーにフォーカスしたウェブサイトです。
そのウェブサイトが、重要な問題点が現れた事実を指摘してくれています。
一言で言ってしまえば、
「原発などの核施設があることで、侵略者による侵略正当化の口実に
使われてしまう場合がある」
ということです。
それを見てまいりましょう。
“Argument I – Louder, louder” (論争 I – 喧しく、喧しく)
私の作品より
2022年3月6日
報告者 Barbie L. Nadeau. Correspondent-at-large (特派員)
いつもどおり、私による抜粋・日本語化で紹介しますね。
< >内は、私からの補足説明です。
ヨーロッパが核戦争の不安におびえる中、ロシアはウクライナが
「ダーティ ボム」を建築していると非難。だが、根拠が見当たらない。
証拠はどこに??
<ウクライナでの>戦争が激化を続け非戦闘員の犠牲者数が増大を続ける
という惨状の中、ロシアの国営メディアは日曜日<3月6日>、ウクライナが
以前からプルトニウム ベースの核兵器を製造してきていると警告を発したが、
その根拠が見当たらない。
日曜日、ウクライナのほぼ全土にわたり熾烈な戦闘が繰り広げられる中、
ロシアのプーティン大統領は心理戦をエスカレートさせた。
ロイターからの情報によると、ロシアの国営メディアが発している警告に
よれば、ウクライナは廃止されたチェルノブイリ原発において以前から
「プルトニウム ベースのダーティ ボム核兵器」の製造を続けてきている
とのことだが、その根拠が見当たらない。同原発は現時点で、ロシア軍が
制圧している。
戦争問題アナリストたちは直ちにこの「警告」を <侵攻を正当化する
ための> 「言い訳」であると反論している。ロシアが「偽りの情報」を
流すことで、自国の核兵器を使用するための道を備えようとしているのだ
と、逆に警鐘を鳴らしている。その一方で、<ウクライナでの> 人道的
状況は悪化の一途をたどっている。ウクライナの人々によれば、ロシア軍に
制圧されている <ウクライナ東部の都市> マリウポリでは停戦が
実施されるはずであったが、再度ロシア軍による攻撃があって停戦は破棄され、
さらにキーフ周辺だけでも侵略しているロシア軍によって最低でも
さらに3名の市民が殺害された。
<ダーティ ボム製造の> 噂を日曜日朝に流したのはロシアの通信社である
TASSやRIA、Interfax で、その噂によるとロシアの 「とある信頼すべき
機関の代表」の発言として、ウクライナがチェルノブイリ原発内部で
「ダーティ ボム」の製造に取り組んでいる、という。同原発は現在、
ロシア軍が制圧している。
この噂の根拠となる事実がまったく示されておらず、ウクライナ政府
関係者たちは核兵器の製造を検討したことはまったくないと、この噂を
否定している。しかも外国や独立系のメディアはウクライナから
退去しているか、弾圧を受けている。
英国のDominic Raab 副首相がこの噂に関して日曜日にSky Newsに述べた
ところでは、「これは単なるレトリックであり、<ロシアが> 追い詰め
られていることの表れであろう。<プーティンには> 情報操作と
プロパガンダの前歴があり、・・・ <こうした噂を広めることで>
今そこにある本当の問題から目をそらさせようとしている。つまり、
<ロシア軍による> 不当な侵略という問題だ。そしてその戦略は、
<プーティンの> 計画通りに進んでいない」
・・・(中略)・・・
ウクライナからの報道によれば、チェルノブイリ原発はシャット
ダウンされているが、2000年から人員が配備されている。その
内部のスタッフはこの2月24日にロシア軍が制圧して以来、シフト交代が
許可されていない。この原発は既に脆弱な状態にあるというのに、
これでは疲労困憊した人員が何かエラーをしてしまうのでは、
という懸念が高まっている。
チェルノブイリは、歴史上最悪の原発事故が1986年に発生した現場
である。
アメリカ下院の議員たちとの合同での呼びかけにおいて、ウクライナの
ゼレンスキー大統領はロシア軍の部隊がキーフから比較的近い
ユズヌクラインスク原発 <上の黒いメニューにあるページ u-1) の
地図では、「南ウクライナ原発」。両方の名称で知られています。> に
近づいていると述べた。この原発はザポリージャ原発に次いで、
ヨーロッパで2番目に大きな原発だ。部隊は同原発から32㎞ほどの地点まで
来ているそうだ。これを受けてアメリカの対国連大使Linda
Thomas-Greenfieldは、「差し迫った危機が続いている」と述べた。
プーティンはさらに暴言を吐いており、<西側からの> 過酷な
経済制裁でロシアの経済はマヒしており、これは「宣戦布告に近い」と
土曜日に語っている。さらに、「まだ<西側との>戦争に至っていない
ことを、神に感謝する」としている。
ゼレンスキーはNATOに対しても不満を漏らしており、ウクライナ上空に
飛行禁止区域を設けていないことを問題とした。プーティンは、これを
設けるなら戦争が拡大すると脅している。
・・・(以下略)・・・
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“Flos Commenticius I” (想像上の花 I)
私の作品より
ダーティ ボムについては、上の黒いメニューにあるページ if-3) の
「ダーティ ボムとは?」という略図で説明しています。
私も、この「ウクライナがチェルノブイリでダーティ ボムを開発して
きている」という主張は、“情報・プロパガンダ戦争” の一環としての
デマだろうと考えます。そもそもチェルノブイリ原発に「隠れて」
ダーティ ボムを作らずとも、その周辺で放射性物質は集められ
ましたからね。
ただ、噂の真偽の問題よりも重要なのは、
原発や核施設があることで、侵略者が「ダーティ ボムも含めた
核兵器をひそかに製造しているのだ」と “言いがかり” をつけ、
侵略してくる
というリスクが存在している、というよりも実際に我々の
見ているとおり起こってしまっている、ということですね。
核発電には、メルトダウンや廃棄物の長期保管の問題以外にも、
こうした軍事的リスクも伴うことが、現実に明らかになりましたよね。
Proliferation risks以外の軍事的リスクですね。
これほどの深刻なリスクを背負っても、核発電で得られるのは結局、
電力だけです。そして、電力を得るための手段は、他に
多数あるわけです。