ウクライナ危機で、ロシア軍が原発を攻撃したことが世界的に問題とされて
いますし、こうした危険極まりない攻撃はあってはならないと、私も思います。
で、軍隊が動くには、何らかの意図や目的があり、それに応じた作戦が練られる
はずですよね。いったい、何をどう考えて、こんな無謀な攻撃をしたのか??
「比較的、中立」に近いインドの通信社による報道を見つけましたので、
いつもどおり私が抜粋・日本語化してみますね。
しかし、内容を見るとどうもロシア側の主張を説明しているように思えます。
事実かどうか、疑わしい報道のように私には見えるのですが。皆様は、どう
お考えになりますか?
ご注意いただきたいのは、あくまで情報として私は抜粋・日本語化して紹介して
いるのでして、私は下記記事の内容をまったくendorse (是認) しては
おりません。
インドの金融日刊紙mintによる記事
2022年3月6日
元の英語記事は、
Ukraine stored nuclear weapon documents at Zaporizhzhia plant: Report (livemint.com)
にございます。
「見え透いたでっち上げを・・・」
私の作品より
いつもどおり、< >内は私からの補足説明です
Ukraine stored nuclear weapon documents at Zaporizhzhia plant: Report
(報道: ウクライナ、ザポリージャ原発に核兵器関連文書を保管)
ANI (Asian News International、インドの通信社)
ロシアの情報筋が通信社Sputnikに知らせた情報によれば、ウクライナは核兵器
プログラムを隠ぺいしており、ウクライナ当局はチェルノブイリ原発を「ダーティー
ボム」にし、さらにプルトニウム分離 <使用済み核燃料などから、Puを取り出す
こと> を目論んでいた、という。
<よくも、こんなことを! そもそもチェルノブイリ原発の原子炉つまりRBMKと
呼ばれるタイプの原子炉は西側にはない黒鉛炉で、旧ソヴィエト連邦独自の
設計です。そして1986年4月の事故発生時点で、まだこれは「ソヴィエトの原発」
でした。さらにウクライナは1990年代初頭に独立後、核兵器をロシアに返還した
のは良く知られています。また今回のロシア軍によるウクライナ侵攻が始まった
時点で、同原発はとっくに「石棺」の下にありました>
先日、ザポリージャ原発の管理棟で軍事衝突があったが、これはウクライナが
そこに核兵器の開発用文書を隠ぺいしていたためであった可能性があるとの、
ロシア側の情報筋を引用した報道がある。
<いつ頃の発想なのでしょう?もはや、重要な文書というものはコンピューター
ファイルになって何重ものプロテクションをかけ、㊙データベースに保管されて
いるのが普通だと私は考えるのですが>
「ザポリージャ原発では、他にもある種の <核兵器開発に関連した> 文書が
入手できる。同原発に隣接している管理棟でのウクライナの破壊活動や偵察
集団は明らかに、この事実に関連したものだ」と、この情報筋はSputnikに
述べている。
さらにこの情報筋は、ウクライナ当局が核兵器開発に関連した文書の過半数を
部分的に破損して、キーフやカーキフから <ウクライナ西部のポーランド
国境に近い都市である> ルヴィーヴへと運び出したと主張している。
…(中略)…
このロシア情報筋は、「チェルノブイリ原発での放射線量が上昇したのは、
ウクライナによる隠れたダーティーボム製造やPu分離作業を隠ぺいする
ためだ」と主張している。
…(中略)…
IAEAのRafael Mariano Grossi 事務総長は金曜日 <3月4日> の記者会見で、
ザポリージャ原発の施設は安全な状態にあり、放射線漏出は起きていないと
述べている。
…(中略)…
すでにIAEAはIncident and Emergency Centre (IAEAIEC、事故緊急事態センター) を
無休の対応態勢にしており、この深刻な事態に対処している。
IAEAが土曜日に公表した声明によれば、ザポリージャ原発に6基ある原子炉の
うち2基が稼働中で、放射線レベルも通常通りであることを、ウクライナ当局は
確認している。
以下省略
**************
“Truth gone”(消された真実)
私のかなり昔の作品より
ロシア側の主張が「イカにもウソっぽい」のは、すぐにお気づきに
なられたことでしょう。
ただ、ここで気を付けないといけないのは、
「原発や再処理工場などがあると、“そこで核兵器開発がひそかに
行われている” というでっち上げを口実に、軍事侵攻が行われる
危険性がある、というより今日(3月8日)現在、実際に行われている」
という事実ですね。
「原発が軍事侵略者の標的になる」という主張は、以前からあります。
するとすぐに、
「火力だって、電力供給を破壊するため、標的とされることは同じだ」
という反論がありました。
しかし。
「ダーティー ボム製造やPu分離が、ひそかに行われている」
という「侵略口実」は、核発電施設にしか使えない口実ですよね。
この「核発電に固有の “侵略口実がでっち上げられる” 危険性」が、
今回、事実で証明されたことになったのでしょう。
どうも日本で「原発問題」の議論となると、ただちに「環境問題と
エネルギー供給問題」という枠組みばかりで論じられてしまい
ますよね。
でも、本「やかんをのせたら~~」でシツコク説明したように、
原子炉とは本来「軍事技術」でした。それに「やかん」をのせて
蒸気タービンで発電したところで、軍事技術という「本性」が変わる
ものでは、ございません。
つまり、「原発問題」を全体として論じる際には、必ず「軍事面」を
まず持ってこないと、歴史上の事実を無視した論議になってしまいます。
もちろん、特に「健康への影響」や「電力供給」、「ホスト自治体への
経済的影響」といった個別問題系に限った議論も必要ですが。
「原発問題」というのは、実は単一の問題系じゃなくて、そうした各種
問題系が絡み合った複雑な形ですからね。でも、それらが何を中心に
絡み合っているのかというと、歴史上の事実から明らかなとおり、
「核兵器問題系」なのです。