“Ten Serious Flaws”, 1つ目の欠陥

では、”Ten Serious Flaws —” に戻って、1つ目の「欠陥」を。

Ten Serious Flaws in Nuclear Deterrence Theory (wagingpeace.org)
(核抑止理論に見られる10の欠陥)
David Krieger | 2011年2月7日)

では、この 「10の欠陥」 から、まず第1の欠陥を。
いつもどおり、私による日本語化、< > 内は私からの補足説明です。

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欠陥1 <核抑止理論は> 単なる理論に過ぎない。  核抑止理論は
実証されたものではなく、そもそも実証不可能だ。理論というものでは、
たとえば誰かが何かをすると、ある種の結果が生じるという因果関係が
提示されている場合もある。核抑止理論では、一方が <相手からの
攻撃に対抗して> 核兵器で報復するという脅威を示せば、その相手は
攻撃しては来ないとする。だが、攻撃がなかったからと言って、それが
核抑止のためだという結論には、必ずしもならない。つまり論理学では、
誤った因果関係の想定というものがあり得る。何か前提条件を満たせば
何か他のことが発生しえないという否定命題は、証明できないのだ。
核攻撃が行われていないという事実の原因としては、他にいくつでも
考えられる。あるいは、単なる例外的な幸運という場合もあり得る。
核戦争が <今までのところ> 発生していない事実を核抑止による
ものだと主張するのは、誤った肯定命題なのだ。そうした誤りのため、
核抑止理論には無根拠な有効性があるものとされてしまう。
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「否定命題」云々という箇所が少しわかりにくいかも。
実例として、たとえば
「アメリカは旧ソヴィエト連邦から核攻撃を受けなかった ⇒ だから、
核抑止は有効だ」
というかなり飛躍した主張を、アメリカではいまだに耳にします。
でも、隣国のカナダは1984年以降、少なくても公式には核兵器を
維持・保有しておりません。そしてカナダにも、ソヴィエトからの
核攻撃はありませんでした。
「いやそれは、“アメリカの核の傘” のおかげだ!」 という理屈が
すぐに聞こえてくるのですが、じゃあフィンランドは??旧ソヴィエトと
長い国境を接し、実際に交戦もしていました (1939-40の冬戦争、
1941-44の継続戦争) が、少なくても明示的には核兵器を保有した
ことはありません。最近のニュース報道でNATO加盟が話題に
なりましたが、逆に言えば旧冷戦時代にはNATOの核の傘の下には
いなかったことになります。でも、ソヴィエトから核攻撃を受けた
ことは、ないのです。
核抑止理論の提唱者の間では、どうも 「何でもかんでも核抑止の
おかげ」 にしてしまう傾向があります。

では、欠陥2 は、次回に。ただ、それまでにザポリージャ原発や
JCPOA関連などで何か発生した場合には、それを取り上げます。

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