オーストラリアのABC NEWSのウェブ
サイトより
Ukrainians in Nikopol are out of water and in Russia’s firing line. But Zaporizhzhia nuclear power plant could pose the biggest threat – ABC News
「ニコポルのウクライナ市民、断水に
苦しみロシアからの攻撃も。
だが、最大の脅威はザポリージャ
原発か?」
オーストラリアABCのYeungさんは
ニコポル現地にいらっしゃるようで、
現場の生の様子を読んでみたく思います。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は私からの補足説明
です。
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Ukrainians in Nikopol are out of
water and in Russia’s firing line.
But Zaprizhzhia nuclear power
plant could pose the biggest
threat.
(ニコポルのウクライナ市民、断水に
苦しみロシアからの攻撃も。
だが、最大の脅威はザポリージャ原発
か?)
ヨーロッパ特派員Nick Dole、ならびに
ウクライナはニコポルのFletcher Yeung
による報道
ヨーロッパ最大の原発の陰に暮らす
ニコポルの市民たちにとって、安全とは
決して当たり前のものなどではありえ
ない。
「子供のころから、あの原発は危険を引き
起こす恐れがあると聞かされている」と
語るのは、ニコポルを自分の故郷と呼ぶ
二児の母、Oksanaだ。
同原発には原子炉が6基あるが、いずれも
特徴があり、地平線の上に姿を示している。
最近までそれらは、ウクライナの電力
需要の約1/5を供給していた。.
現在、この6基の原子炉はロシアの管理
下にあり、その下で停止状態にあるが、
停止状態といっても各種の段階がある。
ウクライナ側の情報によれば、
ヴラディミール プーティンが率いる戦争
における一種の武器にされてしまう
危険性もある。
同原発にロシア軍が地雷を敷設して
しまったと、ウクライナ政府はたびたび
警告を発してきた。.
ウクライナ政府の主張では、ロシアは同
原発に爆発を起こし、それをウクライナ
軍による砲撃のせいにするだろう。
ただ、ロシア政府はそれを否定している。
今までのところ、IAEAは同原発現地を
訪問してきているのだが、ロシアが配置
した爆発物があるという証拠は見い
だせていない。ただし、まだすべての
原子炉を検査したわけではない。
Oksanaによれば、彼女の家族も先行き
の見えなさに沈んでいるが、今のところ
ニコポルを去ることは考えていない。
「私たち家族は子供たちのことも両親の
ことも、とても心配しています。
それでも、このニコポルは私たちの故郷
なんです」と、OksanaはABCに述べて
いる。
「この町にいたいのです。私たちの
ルーツが、ここにあるので。魂が、
ニコポルとともにあるのです」
核災害は確かに深刻な問題だが、Oksan
一家だけでなくニコポルの多くの市民も
さらに差し迫った問題に悩んでいる。
飲料水がなくなっているのだ。
戦争のため、命の水が
なくなってしまったニコポル
最近まで、カホヴカ貯水池が北側の
ニコポルと南側のザポリージャとを
隔てていた。だが今や、この貯水池は
多くの地点で干からびてしまっている。
船舶が湖岸に座礁しており、水の中にも
鳥も、生命の兆候がほとんど見られない。
このダムの下流で爆破があったのは
6月6日のことだったが、ロシア軍の
占拠下にある地帯は今まで不安な静寂が
支配している。
ウクライナ政府とNATOはともに、
このダム破壊はロシアによるものだと
非難をしている。ウクライナ軍の反攻
進撃を遅らせるためのダム爆破だった、
という主張だ。
一方ロシアはウクライナによる破壊工作
だったと主張しているが、国際的な専門家
たちの多数は、証拠を見る限りロシアの
工作だったとしている。ロシア占領下に
あったダムに爆薬を考えて配備していた、
という判断だ。
このダム破壊のため多くの住民が飲料水を
失い、自治体は必要物をトラックで供給
せざるを得なくなっている。
地元の学校を見ると、Mykola Poltavskii
が地域共用のタンクからプラスチック製
ドラムに水を満たし、それを手押し車に
乗せている。これを押して、家まで歩いて
運ぶのだ。
Poltavskiiによれば、多くの市民にとって
ニコポルは居住不能の街になっており、
彼自身の家族にとってもそうだ。
「子供も孫たちも、もうこの町にいない。
寂しいものだ」とPoltavskiiは語る。
「以前には、この町には生活が
あった。今あるのは、生存すること
だけだ」
ニコポルの人口の約半分は、ロシア軍に
よる全面的な侵略が始まって以来、
町を去った。
ニコポル地区の行政ヘッドである
Yevhen Yevtushenkoは、これもロシア
による計画の一環だと見ている。
「こうした地域の住民を苦しめたいと
いうのが、ロシアの狙いだ。それは、
疑いをはさまない。”焦土作戦”の
やり方なのだ。昔からのやり方その
ままだ」と、Yevtushenkoは語っている。
ニコポルはロシア軍の火力の射程内に
容易に収まっており、<ザポリージャ>
原発方面からの攻撃を定期的に受けて
いる。
Yevtushenko 氏は、ニコポルが二度と
再び自立できないようにしてしまおうと
ロシアは考えているのだと見ている。
「敵軍は毎日、ニコポルに砲撃を加えて
いる。それも、インフラや民生用の標的
も含めてだ」と同氏は述べている。
「集中式の上水供給を復旧できないよう
ロシアは目論んでいるのだ」
原発の冷却水は充分にある ・・
今のところは
この貯水池は、<ザポリージャ>原発の
冷却水源として不可欠な水源でもある。
6基ある原子炉のうち5基は現在、
いわゆるコールド シャットダウン状態に
ある。この状態では、冷却もそれほど
強力なものは必要ではない。
だが残る1基はホット シャットダウン
状態にあり、メルトダウンを防ぐには
かなりの集中的な冷却が必要だ。.
IAEAによれば、カホヴカ貯水池の水位は
確かに低下しているのだが、「数か月間」
冷却ができるだけの水はある。だが
長期的な水供給となると、懸念は絶え
ない。
IAEAはさらに、同原発で再度外部電源
供給が途絶えた場合を憂慮している。
そうなると、この原発は再びディーゼル
発電機で発電し、冷却材用ポンプを稼働
させねばならなくなる。
IAEAのRafael Grossi事務局長によれば、
同原発の状況は今も「予断を許さず」、
彼の監査チームはまだ監査を完了して
いない。
「[我々は] まだ、第3号機と第4号機の
屋上に踏み込むことができていない。
その屋上に爆薬が配置されているとの
報告が最近あったので、それを確認する
ためには現場を調べることが必要なの
だが」.
ニコポルの住民Nadezhdaが暮らす通り
の終端部からは、ザポリージャ原発が
視界に入る。そのNadezhdaによれば、
ニコポルとその周辺コミュニティとは
危険に直面しているのだが、その危険に
ついては考えないようにしているそうだ。
「聞きたくない情報が氾濫しているけど
もう耳を傾けないようにしている」と、
彼女は語っている。
「爆撃や射撃をやめてもらうしか、
我々が生きていける方法はない」
<他にもニコポルの住人である> Mykola
Poltavskii はボトルに水を詰めながら、
ザポリージャ原発でロシアが爆薬を破裂
させる恐れがあるというウクライナから
の警告については「懐疑的だ」と述べて
いる。
Poltavskii は、<ニコポルから> 避難
したいとは思わないと言う。そもそも
彼は、2014年にロシアが占拠した
ルハンスク地区から逃げてきたのだ。
「もう、これ以上逃げ回りたくはない」
と彼は語っている。
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本来、原子炉とは「悪魔の兵器」を製造
するための装置だったのですが、その
宿命とでもいうべき「核兵器との不可分
性」が、既にたった今ニコポルで醜悪な
顔を表している様子を、お分かりいた
だけたと思います。
ニコポルに限らず、ウクライナに平和が、
そしてロシア指導層に正気が戻ることを
祈っております!