Forbes ウェブサイトより
How Important is Niger’s Uranium For France? (forbes.com)
このところ、U価格変動やU鉱山に関する
話題を取り上げていますが、今回も
ニジェールのクーデターがU価格や供給
に及ぼしえる影響に関する考察です。
世界のエネルギー問題や持続可能性を
専門にする記者の考察なので、お読み
くだされば何か学ぶことがおありだろう
と思います。
少なくても、U価格が決して安値安定
などしておらず、高騰する危険性を
孕んだものであることはお分かり
いただけるでしょう。
やはり、世界情勢などに左右されない
エネルギー源を求めるのなら、国内に
ある太陽光や風、温泉などなどを上手に
利用することを考えるべきですね。
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How Important is Niger’s Uranium for
France?
(ニジェールのU、フランスにとって
どれほど重要なのか?)
Elias Ferrer Breda記者
世界のエネルギーや持続可能性の主要
問題が専門
2023年8月16日 EDT(アメリカ
東部の夏時間)
7月23日に<ニジェールの首都>
ニアメ―でクーデターがあったが、それ
以来そのクーデターのフランスに対する
戦略的意味に関しては、多数の解説が
登場している。フランスはUの必要性を
強く抱えており、そのかなりの量を
ニジェールから入手している。しかも、
サヘール諸国 <サハラ砂漠南部諸国>
の1つであるニジェールに、フランスは
軍隊をも駐在させている。ニアメ―での
政治的紛争にフランス政府が強い関心を
寄せていることは、疑いない。
軍部によるクーデターの直後、
ニジェールがフランスへのU輸出を禁止
したとの噂が流れた。これは、間違いで
あったことが判明した。だがこうした
噂が広まってしまう可能性もあったのだ。
その噂が実質的に意味するところとして
ニジェールはフランス向けU鉱石の
産出国としては最大国だったのだが、
その有利な立場を捨て去ることさえあり
えた、ということになる。Uという資源
がフランス政府にとってどれだけ重要
なのか、さらにフランスのエネルギー
ニーズ全般にとってどのような意味を
持つのか、しばらく考えてみよう。
全世界のU鉱石供給を見ると、World
Nuclear Association (WNA、世界原子力
協会) による2022年のデータでは、
ニジェールのシェアは5%程度だ。
産出量は、2,020トンだった。同国の
インフラストラクチャーの欠陥や
セキュリティの悪さのため、U鉱山
関連のコストが高くなっており、伸び
悩んでいる。世界で特に産出量が多い
諸国としては、カザフスタン (43%)、
カナダ (15%)、ナミビア (11%)、
オーストラリア (8%) がある。だが
フランスにとっては、ニジェールの
Uには戦略上の重要性があり、
ニジェールは世界第7位の産出国
でもある。
フランスの新聞 Le Monde によると、
2022年にヨーロッパの主要諸国はその
U輸入総量の20.2% をニジェール
から供給してもらっていた。7,131トン
のうち、1,440トンだ。つまり
<ヨーロッパ主要国への輸出に限れば>
ニジェールはカザフスタンに次いで
第2位の供給国となる。3位は
ウズベキスタンだ。さらにフランスの
国営企業OranoはニジェールでU鉱山
3か所を所有しているのだが、そのうち
操業中なのは1か所だけだ。さらにEU
全体を見ても、U供給国として
ニジェールは輸入総量の1/5を占める
可能性がある。
さらに覚えておくべき事実として、
フランスは発電総量の約70%が核発電に
よるものだ。ドイツなどの諸国は核発電
を終了させようと努めているのだが、
フランスではコスト効率に優れ持続
可能なエネルギー源という扱いになって
いる。再生可能エネルギーと合わせて
核発電を拡大していく計画であり、
縮小していくつもりはない。この視点
から見れば、ニジェールのUは
フランスの現在そして今後の成長に
とって、重要な資源なのだ。
世界銀行によれば、2019 年には
ニジェールからのU輸出はすべて
フランスのみを行先にしていた。
ニジェールはかつてフランスの植民国
であり、資源供給国として重要なだけ
ではなく、<フランスによる> 独占
支配の下にある国家として手放せない
のである。つまり、ニジェール領土内に
あるフランスの産業の実情を考える
必要がある。
天然資源には恵まれながらも、経済的
貧困に苦しんでいる諸国は多数ある。
そうした諸国の多くは、その矛盾に
悩んでおり、ニジェールも例外では
ない。国内に産業がなく、鉱業でも
サプライ チェーンの構築や運営でも、
外国資本に依存せねばならないのだ。
それだけの資本が、その国内にはない
のだ。そうした状況が続く限り、
ニアメ―のニジェール政府はU鉱業と
いう分野で外国勢力と密接に協力して
いくしかない。今回の軍部クーデターを
受け、フランス勢力がニジェールを去る
ことになるのだろうか?それとも、
新たな構造がニジェールに生じ、
フランス以外のプレイヤーが関与する
ことになるのだろうか?それにより、
ニジェール国民の演じる役割が拡大
していくのであろうか?
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紛争ダイアモンドなどの言葉は、
皆様もよくご存じだと思います。
私自身はダイアモンドに何の用も
ないので、購入予定は皆無なの
ですが、もし買うことがあれば紛争地
からのダイアモンドじゃなくカナダ産
のものを買おうと思っております。
問題は、U(ウラニウム)もそうした
紛争の絡む天然資源の1つだ、って
ことです。
世界的にみれば最大輸出国は
カザフスタンですが、そのカザフ
スタンのUを中国が買い占めつつある
ことは、上の黒いメニューにある
(項目はアルファベット順) ページ
付録 w-6) などで紹介済みです。
さらに同国では昨年1月、武力に
よるデモ隊鎮圧もありましたよね。
(カザフ騒乱、駐日大使が鎮圧を正当化 「内紛説」は明確な回答避ける:朝日新聞デジタル (asahi.com) )
U価格が今のレベルで何年も留まって
くれる ~~ という保証はないよう
です。
U価格が高騰したら、日本でも結局は、
電力料金がまた引き上げられるので
しょうかねえ??