Beyond Nuclear Bulletin
2024年3月14日号より
普段なら、このBulletinから
特に日本の核問題を考えるうえで
興味がもたれそうな記事を1つ選び、
日本語化紹介しているのですが ~~
3月14日号のBulletinにはそんな感じの
記事が複数あるので、Bulletinの概要を
まず紹介しいますね。
次の4つの記事があります。
それぞれ、短く紹介してみます:
★ Tune in tonight!
映画Oppenheimerが切り捨てた問題
日本でも映画Oppenheimerが近日上映
開始となりますが、この映画では
・ 広島や長崎で「Oppenheimerの作り出した
魔物の被害にあった方々」のことも、
・ ニューメキシコ州やネヴァダ州などでの
核実験等による被害を受けた方々のことも、
登場しません。
これを問題にするWebinarを、Massachu-
setts Peace Actionという団体が3月14日
夜(アメリカ現地時間)に開催されました。
それへの登録を求める記事です。
本「やかんをのせたら~~」でこの記事を
公開する時点では既にWebinarは終了して
いることでしょうが、記録ヴィデオのようなもの
が今後、公開されるかもしれませんね。
それを考え、該当ウェブページを紹介して
おきますね:
Webinar – Oppenheimer: Sins of Omission – Massachusetts Peace Action (masspeaceaction.org)
★ Fukushima costs soar
福島第一事故に伴う賠償などの費用、既に
巨大で膨張を続け、終わりが見えない
福島第一の事故から13年を経た今も、
関連する賠償や解体清掃などの費用は
膨張を続けており、日本政府は23兆4,000
億円まで膨らむ予想すらしている、といった
記事です。The Japan Timesの記事の紹介
で、元記事は
Tepco’s Fukushima No. 1 victim compensation costs set to rise – The Japan Times
に。
★ Alliance for Nuclear Accountability の
DC Daysというイベント
奨学金受給者の募集
アメリカに本拠を置く、核なき未来を目指す
諸団体の連合体Alliance for Nuclear
AccountabilityによるDC Daysという
イベントのお知らせです。
このAlliance自体のウェブサイトは、
Alliance for Nuclear Accountability | A national network of organizations working to address issues of nuclear weapons production and waste cleanup (ananuclear.org)
に。
★ $15 billion?!
パリサデス原発の再稼働に伴う公的資金の
投入
日本でも、政府は老朽原発の稼働期限
延長と再稼働とを進めていますが、原発には
税金の投入が何らかの形で伴うものです。
単に「来月の電気代が少し安くなるんなら、
早く再稼働してよ」で済ませてよい問題じゃ、
ありません。増税というリスクも考えに
入れないと。
アメリカでも、パリサデス原発というミシガン州に
ある老朽原発(一旦は廃炉が決まったはずの
代物)を、Holtec社という企業が再稼働させ
ようとしています。
一旦は廃炉が決まっても、再稼働させようと
する動きが出てくる場合もある ・・・ そんな
警戒心が必要だという警鐘ですね。その
意味で、私たち日本の反核勢力も、この
パリサデス原発の件、知っておきましょうよ。
今は、Bulletin自体にある短い紹介テキストを。
後日、
Breakdown of Bailouts at Holtec’s Palisades NPP – Beyond Nuclear
にある本文を紹介しますね。何せ、長いので。
いつもどおり、
私の日本語化
< > 内は、私からの補足説明
です
********************
<アメリカのミシガン湖の岸にある>
パリサデス(Palisades)原発はすでに
閉鎖済みの原発だが、<エネルギー産業
向けの機器類のサプライヤーである>
Holtec社がそれを再稼働し、さらには
その敷地ならびに兄弟原子炉とでも
呼ぶべき <やはりミシガン湖岸に
あったが、1997年8月に廃炉が決まっ
ている> やはり閉鎖済みのBig Rock
Pointにも小型モジュール原子炉
(Small Modular Reactor、SMR) を建設
したいと計画、政府からの補助金を申請
している。その補助金合計は150億ドル
を超える金額で、その資金源は連邦税
ならびに州税、ならびに電気利用者たち
が支払う電気料金である。Beyond
Nuclearでは、この補助金について追跡
調査を行った。
その申請補助金の内訳をみると、次の
とおりだ。DOEつまりアメリカ連邦
エネルギー省からの、SMR建設に対する
74億ドルのローン貸与の約束。
「パリサデス廃炉信託ファンド」
(Palisades Decommissioning Trust
Fund)から無駄に拠出された数十億
ドル。ミシガン州政府からの3億ドル。
「民生用核エネルギー クレジット」
(Civil Nuclear Credits)<という
エネルギー省の原発向け資金プログラム
で、既存の原発が財政的理由で閉鎖
されることを防止するためのもの> から
の20億ドル、さらに再稼働が始まるまで
のエネルギー省からの「つなぎ」ローン
15億ドル。そして電力購入契約(Power
Purchase Agreement)も締結したのだが、
この契約のため電気利用者たちにとって
は、総計で電気料金の支払いが35億ドル
増額されてしまう。さらに、アメリカ
連邦政府の農業省からも、9億7,000万
ドル。また、エネルギー省の水素ハブ
(Hydrogen Hub)という補助金制度
から、10億ドルも得られる見込みだ。
*********************
以上、4つの記事を短く紹介しましたが、その
うち最後の「Palisades原発再稼働に伴う、
巨額の公金投入」に関する記事を、後日
詳しく紹介します。長い記事なので、日本語
化に少し時間がかかりますので、しばしお待ち
くださいませ。
英語の元記事を読みたい方は、
Breakdown of Bailouts at Holtec’s Palisades NPP – Beyond Nuclear
へどうぞ!
長くてもこの記事を後日詳しく紹介したいのは、
日本でも政府が老朽化原発の再稼働と稼働
延長とを進めているからですね。
それを支持してらっしゃる方々の支持理由は
たいてい、「原発を動かせば、電気料金を下げ
られる」というものですよね。
でも、原発を再稼働するには、巨額の税金が
投入されます。つまり長期的に考えると、実際
には我々は、「高い電気料金を払うか、増税
に耐えるか」 という困った選択を迫られている
わけです。
「来月の電気代を1,000円でも下げてくれれ
ば・・・」といった「短期的・発作的な」判断を
してよい問題じゃ、ありません。
そこで、他国での「ゾンビ―原発再稼働」の
実情を、実例で見てみましょうよ。アメリカの
ミシガン州でもPalisades原発という廃炉
決定したはずの原発を再稼働し、しかもその
敷地に新たにSMRも建設すると、Holtecと
いう大企業が計画しているんです。なんやら、
岸田政権の提唱している原発政策に、
よく似てますよね。
じゃ、しばしお待ちくださいね。